〜5月2日〜
〜19:30〜
〜一学年学生寮・食堂〜
「織斑君、クラス代表決定おめでとう!!」
「いぇ~~~い!!」
パパパンッパンパンッ
軽快にクラッカーを鳴らす女子達。今は
「ちょっと待ってくれ、何で俺なんだ?」
「それは俺が辞退して」
「私も辞退したからですわ」
なんとも息ぴったりなコンボをかました俺とオルコットだった。実はあの後、俺は元々クラス代表になる気は無かったので、それをオルコットに話したら、自分もクラス代表にはならないと言ったので、一夏に譲るかって話しになり、互いに承諾した。勿論、一夏は今知ったがな。
しかしまあ、若さゆえに有り余った……いや、持て余した体力が、このハイテンションフィーバーを維持させている事を見せつけており、前世二十四の幼児から見るおっさんの俺には、精神的にキツくてへばりかけている。
「人気者だな、一夏」
「そう見えるか?」
「ああ、見える」
この賑わいに不機嫌な箒と、それに振り回されている一夏。箒、こういう時くらい妬くな。
バシャッ
「「「!?」」」
突然の閃光に俺、一夏、箒の三人は一瞬身が固まった。
「はいは〜い、新聞部で〜す。私は新聞部副部長の
そう言って俺と一夏とオルコットに名刺が手渡された。ご丁寧にどうも。前世は陸上自衛隊の唯一の特殊部隊、殊作戦群の所属だったから秘密満載で名刺交換はおろか、挨拶も特定の人物だけだったからな。とは言え、一発の銃弾で絶命するのは、やはり人間であったが故なんだな。
「早速ですが織斑君、クラス代表になった感想をお聞かせください」
「えっと…、頑張ります」
「え〜、それだけ?他には無いの?例えば『俺に触れると火傷するぜ。』みたいなの」
「自分、不器用ですから」
「うわっ、前時代的」
無茶ぶりに付いていこうと必死の一夏に失礼だな、黛。
「ま、そこはうまく捏造するか」
バッキャロ!そう言うのは人前で口にすんな!!
「それじゃ次、セシリアちゃんね。何でもいいからコメントして」
「はい、この度、クラス代表の座を、こちらの織斑一夏さんに譲る事にいたしました。私は代表候補生として―――」
「はいカット。長引きそうだからここで一旦区切らせていただきます」
「なっ!?人の話しは最後まで聞くものでしてよ!!」
オルコットに一理あり。
「まあまあ、大丈夫だって。うまく捏造しとくからさ」
「だからそこ口にすんな!!この大馬鹿野郎が!!」
思わず口に出してツッコミを入れた。てか、むしろツッコミ入れない奴はいないだろ。
「お。ノリの良いツッコミだね。さて、ツッコミ入れたところでインタビュー!」
「無いこと以外で捏造しとけ」
「え~、せめて何か一言お願い」
「・・・・・・人生初の寮付き学校生活に、今でもまだ馴染みきれていないから困ってる」
「へぇ〜、まあ、ここや一部の学校位しか寮は無いからね」
「まあな、ただ、俺の場合、それに加えて学校自体初めてだからな」
「「「えぇ~~~!!!」」」
・・・・・・耳がキ~ン
「ちょっ、高嶺君それほんと?!」
「じゃあ、今まで何してたの?」
「何って言われても、はっきり覚えていないんだ。ここ最近路地裏でこそこそしている夢を見るから、多分ホームレスかストリートチルドレンだったんだろな。んで、気が付いたら、この学園の病棟の個人病室のベッドに寝ていた。因みにその目を覚ましたのは入学式の二週間位前」
・・・・・・しまった。適当な事言い過ぎた。ヤバい、ヤバいよ。なんかしんみりオーラ
「我瑠騨・・・・・・お前、グスッ・・・・・・本当はかなりの苦労人なんだな」
ワギャー!!一夏が、一夏が涙目になっとるー!!
「過去が曖昧で、家族もいない・・・・・・うっ・・・・・・悲しい、悲しすぎるぞ我瑠騨!!」
ノォォォ!!箒ガチ泣きしよっとー!!
「その上、力有るもの定めに従い、自ら戦火に身を投じる・・・・・・ううっ、残酷ですわぁ!!」
まってえぇぇぇ!!オルコット、お前のそのお上品な泣き方なんとかして!!その泣き方をされる方が残酷!!マジ罪悪感増幅するわ!!
「高嶺君・・・・・・少しでも良い方向に捏造するね」
「だからそれを口にすんじゃねぇ・・・・・・」
スッパーーンッ
・・・・・・あ。勢い余って物理的ツッコミ入れちまった。
〜20:30〜
〜一学年学生寮・1026室〜
サアアアアアァ
・・・・・・帰れない・・・・・・
・・・・・・帰ることが出来ない・・・・・・
・・・・・・帰ることが許されない・・・・・・
「うっ…ぐっ…ううっ……。」
寂しさを堪えきれない。
涙が溢れて止まらない。
その後、約十数分程、シャワーと共に悲しみの涙を流していた。
〜20:45〜
涙は止まったものの、未だに悲しみが払い切れていない。
コンコンッ
・・・・・・誰だ?この時間に。
ガチャッ
「こんばんは、高嶺君」
「お、鷹月か。どうした?」
「はい、高嶺君、今日の二時間目に居眠りしていましたよね?それではい、このノートに二時間目にやった内容書いてありますから、高嶺君のノートに書き写すのに使って下さい」
「あそっか、二時間目極端に眠くて記憶無いと思ったらやっぱ寝てたか」
「ハハハ・・・・・・自覚してすらいなかったんですね」
呆れ笑いされた。
「だな。でもいいのか?ノート借りて」
「はい、私は自分のまとめ用のノートに書き終えたので、大丈夫です」
「そうか、ありがとう。・・・・・・でも敬語はやめて欲しい。接しづらくなるからさ」
「でも、織斑先生は一歳差でも敬語は使えって。前に言っていたので」
「でもそれは俺がOK出せば例外。だから一夏や箒は俺と普通に話してるんだ。だから、気にすんな。何より、俺は気にしてないからさ」
「・・・・・・ですが」
「敬語は止めれ」
「・・・・・・うん、分かったわ。それじゃ高嶺君、改めてよろしくね」
「おう、よろしく。それじゃノート借りるな。明日までには返すようにするよ」
「わかった。それじゃおやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
そのやり取りの後、自分のノートに二時間目の内容を書き写すべく鷹月のノートを開くが・・・・・・。
「授業用のノートとはいっても・・・・・・羨ましい程に鮮やかで美しい達筆だ」
思わず心の中で脱帽。そして一つ気付いた事がある。
「鷹月ってもしかすると隠れ美女なのかもな」
昔何かの番組で『達筆は人の心を表すものだ。』ってな感じのこと言ってた気がするが、鷹月の達筆は、心清らかだからなのかも知れない。成績優秀で容姿も中々。ISの有無に限らず、鷹月は絶対良い嫁さんになるだろうな。
翌日、朝のショートホームルームの前の時間帯に鷹月にノートを返したのだが、そのやり取りをどっかで無理矢理ねじ曲げた新人類型のクラスメイトが勝手な妄想を始めた。……殴ろうか否かを考えてる間に千冬が来てタイムアップになったがな。
〜5月3日〜
〜放課後〜
〜IS学園・モノレール駅前〜
俺は、なんとなく散歩したくなり、学園のジョギングコースを歩いていた。そして、学園への数少ないアクセス手段であるモノレールの駅前を通り掛かった時、ある人影を見た。
「!」
その人影は、俺を目認するとこちらに駆け寄ってきた。
「ちょっとアンタ、ここの学生?」
「ああ、そうだ」
「やっぱりもうひとりいたんだ。男のIS操縦者」
「その口振りからすると、君は転入生かな?」
「そうよ。あたしは
やっぱり、このちびっ娘さんか。取り敢えず自己紹介を返さないとな。
「高嶺我瑠騨。世界で二人目のIS操縦者だ。よろしく、鳳」
「うん、よろしく。ところで一つ聞きたいんだけど良い?」
「俺に出来ることならな」
すると鳳は、肩に掛けていたボストンバックのサイドポケットからしわくちゃな紙切れを出して広げて。
「ここに行きたいんだけど案内してもらっても良い?」
その紙切れには、転入手続きの為の受付までの案内が書かれていたが・・・・・・
「これ、どこをどう行ったら良いかが書かれてねぇな。いくら秘匿性を求められる事がある場所とは言え、せめて受付位は教えてやっても良いのにな」
「でしょ!全く嫌になるわよ!」
ここばっかは、鳳に一理有りだな。
「まあ、受付はそんな遠くないし、俺でよけりゃ案内するぜ」
「ホント!サンキュー!」
原作通りのアクティビティなお嬢ちゃんだな。
「ところでさ」
「ん?どした」
「アンタのこと、なんて呼べば良いかな?」
「高嶺だ。俺の事を名前で呼んで良いのは、俺が認めた相手だけだ。それと初対面の人間にいきなり名前で呼ばれたくないからな」
「ふぅ~ん、わかった。それじゃ高嶺、これからよろしくね」
「おう、よろしく。それじゃ行きますか」
「うん」
こうして、俺と鳳は受付に向かい歩き出す。
「ねぇ、高嶺」
「ん?」
「高嶺は・・・・・・その、織斑一夏って男の事は知ってるよね?」
「おう、同じクラスだしな。たまにあいつの自主練に付き合って模擬戦もやるしな。最も、あの直球一本槍は、素直で自分の信念を曲げまいとしている所は良いんだか、それが
「へぇ~相変わらずなんだ、一夏」
「一夏とは知り合いなのか?」
「うん。小学四年から中学二年まで一緒だったからさ。会うのは一年ぶり位かな」
「えっと、去年いっぱいは中国に帰っていたのか?」
「うん、ちょっと家の都合で」
この言葉を発した後、鳳はどこか寂しそうな、また、悲しそうな顔をし出した。
「なんか訳有りみたいだから、これ以上は何も聞かないでおくよ」
「うん、ありがと」
そんな会話をしながら歩いていると、受付のある本校舎に向かう歩道の十字路に差し掛かった。ここを右に曲がれば本校舎なのだが、俺の右隣を歩いていた鳳の視線は反対の方、左の第三アリーナに視線を向けていた。もしやと思い、俺も第三アリーナに視線をやると、ちょうど一夏、箒、そしてオルコットが出てきて、何やら今回のトレーニングの出来を話し合っているようだった。
「何?あの娘達」
「ああ、あいつらも一夏の自主練にいるメンバーさ。ポニーテールの日本人が、篠ノ之箒。金髪ロールのイギリス人がセシリア・オルコット。箒は剣道の腕がかなり良いので、主に近距離格闘戦を。オルコットはイギリス代表候補生で専用機持ち。主に一夏の対射撃戦をそれぞれ担当している。一夏の奴、今クラス代表で、来週のクラス
「ふぅ〜ん、そうなんだ」
いまいち面白く無さそうな態度を見せる鳳だったが、さっさと手続きを済ますべく、右の道、本校舎に向かって足を進めた。
「------はい、これで転入手続きは完了です。ようこそ、IS学園へ」
「ありがと。あの、織斑一夏って何組ですか?」
「ああ、一番最初に男でISを動かした彼ね。彼はそちらの二番目の男のIS操縦者と同じ一組よ」
「あたしのクラスは?」
「鳳さんは二組ね。織斑君の隣のクラス」
「その二組のクラス代表ってもう決まってるの?」
「ええ、どのクラスも先週全て決まったわ」
「その二組のクラス代表の名前教えてもらっても良い?」
「えっと・・・・・・聞いてどうするの?」
「そのクラス代表の座を譲ってくださいってお願いするから」
この会話は、文字通り、かつ原作通りに嵐の予感がしてならなかった。