〜ドイツ・ベルリン西部・避難民キャンプ〜
〜独 13:25 5月7日(日)〜
〜日 20:25 5月7日(日)〜
ドイツ軍IS部隊シュヴァルツェア・ハーゼ、通称“黒ウサギ隊”の隊長、ラウラ・ボーデヴィッヒとの接触後、
・・・いや、何を話すか大体の目星はついていたので付いて行く事にした。
んで今、ドイツ軍救援部隊の司令所にいる。
「ブルーダー司令。シュヴァルツェア・ハーゼ、ラウラ・ボーデヴィッヒ小佐、指示通り高嶺我瑠騨を連れて来ました」
「うむ、ご苦労。少し下がっていてくれ」
「はっ!」
「ハルフォーフ大尉、君も席を外してくれ」
「了解!」
ブルーダーと呼ばれた男性司令官の命令で退室した…いや、
・・・この世界、別の意味でも俺有利かも。
「さて、では自己紹介させて頂こう。私はギュセッペ・ブルーダー准将。今回この救援活動と復興活動の総司令の任されている」
「既にご存知だろうが、高嶺我瑠騨だ。それで?一体何の為に俺を招いたのか教えては貰えないか?」
「そう警戒しないでくれ。今回は君に礼を言いたかったのだ」
「礼?何の?」
「勿論、今回の出来事、我がドイツ軍IS部隊にも手に負えなかったあの怪物を始末してくれた事。そして救援活動に協力してくれた事に対しての礼だ」
「・・・せっかくだが、俺は礼を言われる立場に無い。現に被害は甚大だ。礼を言われる筋合いは、俺にはない」
ある意味予想外の言葉に内心僅かに困惑している。てっきり上の輩がわざわざ直接ヘッドハンティングを仕掛けてくると思ったからだ。
「そうか・・・だが、救援活動への協力に対しては礼を言わせてもらう。ありがとう」
「・・・・・・」
はっきり言って心地悪い。救え切れなかった無念があるにも関わらず感謝されるのは、悲痛な思いだ。
「ッ!?」
「おい、どうした!?」
不意に何かを感じた俺は、急いで外に出る。
「我瑠騨!?」
外に出ると、クラリッサとボーデヴィッヒが出入口前にいた。しかし、二人に構う余裕が無い程に俺は焦っていた。
何だ、この異様な殺気は?
ターゲット索敵開始、・・・捕捉、インド洋のど真ん中。
こちらに向けて接近中。
・・・早めに叩くか。
「我瑠騨、一体どうしたんだ?」
「新手の敵だ」
「何!?」
「それは本当か?」
「ああ、間違いない。しかも、この前と違って今度は有人型機のようだ。異様な殺気を感じる」
「・・・行くのか?」
「当たり前だ。放っとけばまたこの国が痛手を負うことになる」
「・・・そうか」
「お前のツヴァイクにリアルタイムで情報映像を送る。んじゃ行ってくる」
そう言い放ち、サイファーを展開。高度を安全域まで上げて目標に向かい飛翔する。
「我瑠騨・・・」
悲しそうな顔をしたクラリッサに敢えて気付かない振りをして。
〜5分後〜
〜紅海〜
接近中の未確認目標は予想以上に速く、この紅海での接触がベストと判断した。
『敵未確認機、熱源・生体レーダー、光学視界において捕捉』
サイファーの無機質な男声が報告をすると、次に光学カメラの映像ウインドウに最大望遠で目標を写し出した。
「・・・ザムザザー、か」
映像に映っていたのは、巡航形態で後方の足の間にに円筒状の大型追加ブースターを取り付けた
(まさか、こいつだったとはね。面倒だな)
この新たな破壊者は、とにかく面倒だとしか言い様が無い。
(加えて人間が乗ってるからやたら面倒だ)
台場のデス・スティンガーやベルリンのデストロイガンダムも、どちらも本来は人が乗る事で行動可能だが、どちらも無人でゾイドコアによって動いていたのだ。だが、今回は違う。本来の設計通りコックピットに三人搭乗したあの機体は、ゾイドコアの反応が無い。
故に、この戦い---
「今までの全人生で初めての殺しをする事になるのか」
皮肉にも、そう言わざるを得ない。仮に武装箇所や推進部だけを破壊したとしても、
(だが、一夏に物事を教えるには丁度良い。あいつにも教えてやらんとな。|対デストロイガンダム戦とは違う戦い、命懸けの戦いを)
不意に警告音が頭に響く。
『警告、敵、プラズマ収束砲発射』
「チッ!」
警告の後、左に回避した。そして今俺がいた場所に2つの光線が通過した。ふとザムザザーを再視認すると、後部の増設ブースターをパージしていた。
「チッ、サイファーでは少しキツいか」
元の設計は
(GNドライヴの恩恵を受けさせてもらうか)
「高嶺我瑠騨、ガンダムエクシア、目標を駆逐する!!」
U細胞とGNドライヴによって、ガンダムエクシアを構築。しかし、
再び2筋の光線が通過する。
「うおっと!?」
容赦無い砲撃を今度は上に避ける。
「ったく、容赦無ぇな。だが、そう易々と墜ちはしねえッ!!」
そう言い放ち、俺はザムザザー目掛けて突撃する。
〜現地時間同時刻〜
〜日本 愛知県IS学園 第3アリーナモニター室〜
「始まりましたね」
「ああ」
我瑠騨から〝第3アリーナのモニター室に行け〟という内容のメールが届き、
そして今、我瑠騨が得体の知れない不気味な大型兵器との戦闘が始まった。
一発目の砲撃をかわした後、急に我瑠騨が光に包まれて少しすると光が消える、するとそこにはISとは違う、そして、まるで剣士を想わせる様な
展開直後、また2本の光の矢が飛んでくるも、我瑠騨はそれを回避し、突撃する。
それと同時に、山田先生の座っている操作盤がデータの着信を知らせる。
「あっ、高嶺君からデータが転送されてきました」
「山田先生、データの開示を」
「分かりました」
千冬姉の指示でデータが開かれていく。
「こ、これは!?」
「あの未確認機のデータですわね」
「今の我瑠騨の機体のデータもあるのか」
「ザムザザー?ヘンテコな名前の割には厄介な奴ね」
俺の後にセシリア、箒、鈴と言葉を続ける。
「我瑠騨のあの機体、ガンダムエクシアって言うのか」
「データからして格闘特化機体でありながらも、射撃のレベルも高いな」
「なんて言うか・・・白式に射撃機能を追加したような感じね」
「ああ、だけど・・・」
「どうかなさいましたの?」
確実に敵の砲撃をかわし、隙を見つけては懐に近付き敵の武装を切り裂く我瑠騨を見て、俺は思った。
「今の俺が、どれだけ非力なのかを、身に染みる様な惨めさを、改めて理解した。ただ、そう思ってさ」
〜紅海〜
「そこだッ!!」
確実に
「!しまっ・・・」
武器脚に格納されていた大型の爪が展開、
「くっ、このおぉぉっ!!」
捕まっていない左腕で、GNロングブレードを呼び出し、ザムザザーの最後の武器脚に突き刺す。
「ぐっ!」
爆発の衝撃は回避出来なかったが、何とか脱出は出来た。
「・・・?」
大破していつ爆発してもおかしくない状態のザムザザーの額、言わばコックピットハッチが開き、中から
「貴様!」
「!」
エクステンデッドの一人がこちらに赤外線通信をしてきた。
「貴様!それだけの力を持ちながら、何故非力な奴等を庇う!!我等が
「世界征服に興味は無い。無益な殺生もな。だが---」
GNソードをライフルモードに切り替え、狙いを定め---
「お前達は・・・例外だッ!!」
GNソード・ライフルモードの銃口から放たれた蒼色の粒子ビームは、ザムザザーの開いたままのコックピットハッチ目掛けて飛び、着弾、爆散した。
残骸は重力に従い、抗うこと無く紅海の
その中に、エクステンデッドの三人の姿はなかった。しかし、当然の事だ。
〝俺が殺したのだからな〟
一夏は恐らく---いや絶対に怒りを向けるだろうな。
だが、一夏には分かって貰わねばならない。
ISで有ろうが無かろうが、力を持つ者の責任と代償を。