〜5月15日 09:45〜
〜第3アリーナ モニター室〜
本日は、各学年ごとのそれぞれのクラス代表による
優勝したクラスには、学食のデザート半年無料パスが手に入ると、一夏は必要以上の期待を押し付けられた。
一夏、ド疲れさん。
ちなみに今、このモニター室にいるのは、俺の他に千冬と真耶は当然だが、箒とセシリアがいる。後者の2人は俺に〝勝手に〟付いてきたのでここにいる。
モニターには、アリーナ中央辺りの宙で睨み合っている白式を纏った一夏と
ビーーーーーッ!
試合開始のブザーと同時に一気に距離を詰める二人。鈴の初撃を一夏が受け止める形で鍔迫り合いとなる。
「・・・一夏」
少し不安そうな顔をしている箒。別に大丈夫だと思うがな。死なないだろうし、どっちかってと俺は介入者の方が気になるな。
鈴の連結した青竜刀〝双天牙月〟の斬撃に耐えながらも距離をとろうとする一夏。しかし---
「甘いッ!!」
甲龍の背面両側の非固定浮遊装備の衝撃砲〝龍砲〟が上下のカバーをスライド、大気を圧縮し、解放して空気圧の砲弾を飛ばす。
「何だ今のは!?」
箒が驚き混じりに訊いてくる。
「衝撃砲ですね。空間自体に圧力をかけて、その空気圧でできた砲弾を飛ばす兵器です」
「わたくしのブルー・ティアーズと同じ第三世代兵器ですわね」
真耶とセシリアの解説を聞いた箒は、不安そうにモニターに目をやる。
「あぁもうッ!ちょこまかとッ!!」
一夏は鈴の衝撃砲への即席で思い立った対抗策、常に動き回り、相手の集中力を削ぎ、隙を見つけて零落白夜で一気に決める。
セシリアとの戦いで見出だした、未熟ながらも確実な戦法は見事的中し、鈴は苛立ちを見せ始める。
そして。
(今だッ!!)
鈴のわずかな隙を、見逃すこと無く突っ込む一夏。
虚を疲れた鈴は、回避は間に合わない。
誰もが一夏の勝利を確信した次の瞬間。赤色の一閃がアリーナ上空に展開していたエネルギーシールドを突破、アリーナ中央に激突し、まるで爆発が起こったかの様に粉塵を巻き上げる。
その直後、警告音と共に、物理シェルターシールドが閉鎖された。
「何だ!?」
「何が起こったのよ!?」
一夏と鈴の言葉に反応するかの様に、立ち込める
全身黒塗装に、目と思わしき赤い光点が5つ。
普通のISでは考えられない程、地面すれすれまで伸びた長く太過ぎる腕。
無人IS《ゴーレム》がそこに佇んでいた。
そしてゴーレムは、一機の白いISをロック、馬鹿デカい腕を振り上げ、腕の甲に搭載された大口径ビーム砲を発射する。
「うおッ!!」
間一髪砲撃をかわす一夏。しかし、ゴーレムはすかさず距離を積めようと背面ブースターを点火、飛翔する。
「何だあれはッ!?」
「あれは、ISなのですか!?」
「落ち着け、お前らがテンパってどうすんだ」
・・・データ照合完了。
基礎設計はIS。
ゾイドコア・・・確認。
生体反応・・・無し。
「データ解析完了。モニターに回す」
電波回線でモニターにデータを送った。
「これは・・・!?」
「ああ、デス・スティンガーやデストロイガンダムと同じコアが使われている。余程のミスをしなけりゃ、あいつらでも対処できる。」
「でも、それじゃあ織斑君と凰さんがっ!!」
「どのみち、俺の到着まで時間を稼いでもらう。伝達頼むぞ、真耶。あと生徒達の避難もな」
俺はそう言ってモニター室をあとにした。
「くそっ!!」
「何やってんのよ一夏!!これで何度目よ!!」
「分かってるよッ!!」
『織斑君、凰さん、聞こえますか?』
「山田先生?どうしたんですか!」
『そのISは、無人機です。しかし本来搭載すべきISコアではなく、ゾイドコアと呼ばれるものが搭載されています。今、高嶺君がそちらに向かっているのでそれまで―――』
『一夏ぁッ!!』
「「『!!』」」
急にスピーカーから箒の声が聞こえてくる。
「一夏、男だろう!!ならそんな奴くらい倒せるだろう!!」
辺りを見回すと、Bビットのカタパルト上部の展望通信室に箒がいた。
「ッ!!」
無人ISが箒を見つけ、両腕を箒に向けてエネルギーをチャージする。
「箒ぃぃぃぃぃッ!!」
一夏の叫びも虚しく、図太い2閃の紫色の破壊の光が、箒目掛けて放たれる。誰もが間に合わないと思った刹那---
「はあッ!!」
---図太い2閃の光は、展望通信室に当たること無く、四散した。
「な、何だ・・・こいつは?!」
そこには、白い存在があった。
ガッチリとした騎士甲冑の様な装甲、右肩にマウントされた円盤状のエネルギージェネレーターのようなものが取り付けられた長めのビーム砲、左肩には本体の半分近くを守れそうな大きく厚みのある青い楯、背面の両肩付け根辺りの位置に大型の青いブースター、頭には金色の鶏冠のような装飾、目元は青いバイザーに隠れて視認できない。
「なっ!?トールギスIII?!」
現着した我瑠騨から出た言葉。突如として現れた白い存在の名前であるのは誰しもが察し付く。
「フンッ!」
トールギスIIIは背中のブースターを点火、一瞬にしてゴーレムとの距離を詰め、楯を使って体当たり。ゴーレムはその衝撃を相殺出来ずに吹き飛び、アリーナの端に激突した。
起き上がらせまいと、トールギス3は右肩にマウンドされているビーム砲《メガキャノン》を構える。
メガキャノンは、その砲身を伸ばし、そして上下に割れて、その間にスパークを発生させながらエネルギーをチャージしだした。
一方ゴーレムも、突然の乱入者に混乱するもすぐに敵と認識し、反撃の為に起き上がろうとする。しかし、先程の突撃の衝撃が凄まじかったのか、思うように機体を動かせずにいる。
その間に、トールギスIIIのメガキャノンがチャージされた。そして---
「・・・消えろ!」
太めの黄色い光線が放たれ、ゴーレムに直撃、耐え切れなかった機体はゾイドコアごと爆散した。
黒煙が晴れた後、ゴーレムの姿は無く粉々になった破片と、直撃点のクレーターが残った。
「・・・・・・」
「お前、何者だ!!」
無言で滞空しているトールギスIIIに、変身したガルダ・イーグルが警戒心剥き出しである程度の距離まで近付く。
「・・・少なくとも、僕は敵ではありません。ガルダ・イーグル」
「・・・・・・」
トールギスIIIから発せられた声は、若く、穏やかで、優しく、それでいて勇ましい男の声だった。