~5月15日 11:23~
~IS学園・応接室~
突如として現れたトールギスⅢ。
無人ISゴーレムを難なく破壊したその力は、我瑠騨に仕える為と自ら主張し、その後、周辺に脅威が無い事を確かめた上で地に足を着け、その鎧が光の粒子となり中の人間が姿を表した。
まるで雪の様な綺麗な白色のショートヘアで、顔立ちは声に合った若く穏やかなもので、ほんのりと優しい顔だ。
背丈は俺や一夏とあまり変わらない。加えて少々細身だ。
声は男としては高い方だと思う。美声ってやつだろうな。
現在応接室にて、俺(我瑠騨)と千冬と真耶が、例の青年と話し合いを始めた。
「さて、ではまずお前が何者なのかはっきりさせて貰おうか」
「はい、まず名前から紹介させて頂きましょう。僕の名前はイクサ・フォルゲート。年齢は15、前世は19です。国籍は---」
「ちょっと待て!今〝前世〟って言ったか!?」
「ええ、言いました。要はあなたと同じ境遇なのですよ。高嶺我瑠騨さん」
「!!」
〝同じ境遇〟
即ち、彼も〝転生者〟だと言う事だ。嫌でも分かる。
「何が狙いだ?」
「そこまであからさまに敵意と殺意を向けないで下さい。話しづらいですよ」
「なら抑えておく。その内に話せ」
「・・・お台場での白昼の人質事件」
「!?お前、まさかあん時のッ!!」
「ええ、人質です」
「えっ?!あっ、そう、なのか・・・」
「あの時の犯人だと思いましたか?」
「あ、ああ、まあ・・・」
そりゃ思うだろ!・・・半分は。
「あの時の事、あなたはどこまで憶えてますか?」
「えっと、確か最後に一撃振るって・・・そこまでかな?」
「では、その後少しの事をお話します。あの後は---」
彼の話を要約すると、
・俺がくたばった時点では、犯人はまだ意識があった。
・その直後に犯人がダイナマイトを起爆。
・彼は一緒にいた彼女さんを庇い、絶命。
との事だ。
「・・・すまねぇ」
「あなたが謝る必要は無いですよ」
「だがあの時、
「確かに僕は死に、彼女にはつらい現実が降りかかっているでしょう。しかし、僕は彼女を守れたし、彼女もまた、心はかなり強い方ですから、しばらくは悲しみに沈むでしょうが必ず立ち直り、立派に生きていくはずです」
「よっぽど信頼してんだな」
「当たり前です。例え新しい彼氏が出来てもその彼氏が彼女を本気で幸せにしてくれるなら、それこそ今においては本望です」
「お前の器も大したもんだよ」
「んんっ!そろそろ話しを戻していいか?」
すっかり本題そっちのけで話が進み、千冬と真耶は蚊帳の外となっていたが、千冬のわざとらしい咳払いで本題に話しを戻す。
「フォルゲート、と言ったな?単刀直入に訊こう。お前の目的は何だ?」
「彼の、高嶺我瑠騨の傍らに立ち、彼を補佐する事。それが僕の目的です」
「あの時に纏っていた機械の鎧は何だ?少なくともISではなさそうだったが?」
「ISモードで展開していた〝モビルスーツ〟と言うものです」
「モビルスーツ?・・・ああ、高嶺が前にそんな物の話しをしたな」
「ああ、一応俺もISモードで展開は可能だ」
「成る程、しかし何故高嶺の補佐をするのだ?先程の前世の話だけでは理解に苦しいのだが」
「転生する前に、あるものを見たんです」
「・・・お前も〝巨人〟に?」
「はい、白い光線で輪郭が象られた巨人でした。その巨人にこう言われたんです。〝汝、我を以て蒼き翼の剣となり、楯となれ〟と」
「そうか・・・」
この時、我瑠騨は何かしらの引っ掛かりを感じざるを得なかった。しかし、それが何なのかを理解するには至らなかった。
「千冬、ひとまず様子を見た方が良いんじゃないか?万が一の事態には俺が即時対応する。無人ISの情報整理もあるだろ?」
「ふむ、そうだな。よし、フォルゲートの件はお前に一任する。頼むぞ」
「了解。てな訳だ、よろしくな」
「はい、お願いします」
少なくとも、今は敵味方の判断をするには早過ぎる。しばらく様子を見よう。