~亜空間~
激しい戦いの末、相打ちという結果に終わった我瑠騨とジョーカー。
「まさかな。これほどの力を持っているとは思わなかった」
「正直、俺も驚いてる」
「しかし・・・」
「?」
「あれほどの力は尋常ではなかった。かつて俺の知る男は
キングフォームの酷使によってジョーカー化したのだ。少なくともお前は短時間とは言え、あいつを超えるほどの力を使っていた」
「つまり、今頃はジョーカー化していた。と言うところか?」
「そうだ」
『それは私から説明をしよう』
「「!?」」
不意に響く優しそうな成人男性のような声が聞こえた。
「この声、まさか!」
我瑠騨はこの声に聞き覚えがあった。
そう---転生する前に言葉を交わしたあの〝巨人〟の声だった。
ふと胸元を見ると、変身した時に現れる菱形の結晶体が現れ、光を放ち俺とジョーカーを呑み込む。
余りに光が強く、俺達は目を開けられなかった。
次に目を開けた時には、目の前にあの時の巨人が水晶のように透明感のある俺達と同寸の身の丈の姿で現れた。
「我瑠騨、君とこうして話すのは2度目だな」
「ああ、そうだな」
「君は私に色々訊きたい事があるだろうが、私には余りに時間が無い。簡潔に要点だけを話そう」
「頼む」
「まず、君がジョーカー化しなかった理由だが、これは君が転生を決めた瞬間から、君が〝不老不死〟となったからだ」
「なっ!?」
突然の一言。ジョーカー化しなかった理由は理解は出来たが、受け入れられなかった。しかし、疑問は保留として次を促す。
「理由としては、君の力はこの世界に必要だから。そしていずれは別世界でも、君には戦ってもらわねばならない。これは私の不甲斐なさが原因なのだ。そして次に君を選んだ理由だ。それは君の魂と私が唯一同調する事が出来るからだ。加えて、力の使い道を誤る事が稀だろうと判断したからでもある」
淡々と話を進めていく。
「しかし、君はまだ力を覚醒させきれていない。これは足りないものを外部から取り込む為だ。過去に覚えがあるだろう?」
「あの〝データドレイン〟擬きのやつか?」
「そうだ。君が前世において見聞きしたもの、そうでないものの幾つかの架空のものはこの世界に存在する」
確かに、デススティンガーやデストロイガンダムにエイフォス、それにイクサのライダーシステムも前世ではアニメや特撮といった架空のものだ。
「ところで、私はまだ君に何者なのかを言っていなかったと思うのだが?」
「!そう言えばな」
気にはなっていたが、訊く機会がなかった身としては教えてもらえるならありがたい。
「私は・・・そう、君の記憶にある言葉で言うならプロトカルチャーとでも言うべき存在だ」
「プロトカルチャーだと!?」
「そう、君の前世の世界において、全宇宙の文明の祖とでも言うべき存在。この世界に置いてもプロトカルチャーは実在していた様だ」
「エイフォスの事か?」
「そうだ」
「・・・」
プロトカルチャーが俺を選んだ。そして強大な力と不老不死を得てしまった。
今俺に分かるのはこの程度だ。
「・・・む?すまない、そろそろ限界のようだ」
そう言うと、うっすらと消え始めた。
「最後に、君の不老不死の力は他の者にも与える事が出来る。使い時は必ず考えてくれ」
そう言い残して、完全に消えた。
「・・・?ジョーカー?」
辺りを見回すと、ジョーカーの姿さえなかった。そして、不意に意識が遠退いた。