~IS学園・1年1組教室~
6月に入って数日。梅雨が近付くじめじめしたこの時、クラスはある話題で盛り上がっていた。
「ねね、黛先輩の話聞いた?」
「うん!」
「また1年に転入生が来るってやつだよね?」
「今回はいっぺんに3人くらいが来るらしいよね!」
そう、転入生の事だ。
無論、俺は千冬から話を聞いた為、誰がどこと言うのは知っている。
そう、シャルル・デュノアの男装偽名で来るシャルロットと、ラウラ・ボーデヴィッヒの事だ。もちろん1組に編入される。
しかし意外なのは、あと1人転入生がいるということだ。
さらには、俺やイクサと〝同じ様な境遇〟の存在との事だ。
と言う風にはぐらかされたのも、場所が職員室だったからだ。因みにその転入生は女子で、専用機持ちのいない3組に配置との事だ。一体何者なのか。
「お前達、席に着け。ホームルームを始めるぞ」
千冬の声でみんな席につく。続けて真耶が教壇に立つ。
「えー、皆さんご存知かも知れませんが、今日は新しいお友達が2人、このクラスに入ります。2人共、入ってきて下さい」
そう言うと、案の定2人金髪と銀髪が入ってきた。
2人は教壇の横に並ぶ。そして1人ずつ自己紹介を始める。
「皆さんはじめまして。フランスから来ました、シャルル・デュノアです」
まずはシャルル、もといシャルロットが挨拶をする。
「・・・き---」
「?」
『この声聞こえたら耳塞げ!!』
「「「きゃあああああーーーッ!!」」」
毎度本当にありがとうございます。
いつものメンバーと転入生2人は耳を塞いでいた。
そしてついに、窓ガラスの一枚に亀裂が入った。
「ウチに4人目の男!」
「しかも美形!守ってあげたい系!!」
「いい加減にしろヒヨッコども!!」
流石の千冬もこればかりはキレた。
「まったく、騒ぐのも大概にしろ。ボーデヴィッヒ、次はお前だ。自己紹介しろ」
「はい、教官!」
ボーデヴィッヒは千冬に敬礼をした。
「ここでは教官ではなく、織斑先生と呼べ」
「分かりました」
こちらに向き直る。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
・・・沈黙。それ以外の言葉が一切見当たらない。おろおろした真耶が声をかける。
「あ、あの・・・それだけ、ですか?」
「それだけだ」
余りに無愛想で味気ない態度に、真耶は半分涙目になる。
「・・・・・・」
「?」
ボーデヴィッヒは一夏に視線を向けていた。この時彼女は、一夏を叩くか否かを悩んでいた。
憧れである千冬の印象を崩す様な、そして、モンド・グロッソ2連覇を成し遂げられなかった原因である彼を許せない気持ちと、我瑠騨から聞かされた一夏の気持ちを知らずに一方的に憎んでいた申し訳なさとで、彼女は悩んでいた。その結果彼女が出した決断は。
「織斑一夏」
「ん?」
「機会があればの話だが、模擬戦を行いたいのだが構わないか?」
「ああ、まあ、いいけど」
「一夏、シャキッと答えてやれ。そいつ自身、着けたいけじめがあるみたいだからな」
「わ、分かった。えっとラウラ、だっけ?その申し出、受けて立つぜ!」
「うむ、よろしく頼む」
「さて、時間が惜しい。ホームルームはこれにて終了。この後の授業の準備にかかれ!それと男子共、デュノアの面倒を見ろ」
「あいさ」
さて、最初の授業はIS操縦だったな。
「一夏、イクサ、シャルル、行こうぜ」
「おお」
「はい」
「わかった」
男子陣(1人を除いて)は、女子の着替えを妨げない為にも足早に教室を後にした。
~1年3組教室~
「---と言う訳で、これからよろしく」
そういって挨拶するのは、本日転入してきた3人目の女子生徒。
背は170センチ近いスマートな長身で、真紅色の瞳に紫色の髪をポニーテールにまとめた女子生徒。
後ろの電子ボードにはこうあった。
---メリッサ・バージリス