~IS学園 学生寮 1206号室~
朝日が昇り、日の光が眩しく輝き、街を照らし始める。
「・・・ん・・・朝か」
カーテン越しに明るくなった部屋で、我瑠騨は目を覚ました。
「すぅ・・・すぅ・・・」
我瑠騨の隣には、昨晩夜の営みを行ったシャルロットが、彼の腕枕で、かつ抱かれながらすやすやと寝ていた。
(時間はまだあるし、もう少し寝かせるか)
日が昇っているとはいえ、時間はまだ5時になったばかり。夏が近付いてるが故に、日が射す時間は早くなってきている。
朝のHRは8時に始まるから、起床時間はその後の準備を含めて6時としている。
(しかし、本当に安心しきっているな。そんなに心地良いのだろうか?)
シャルロットの寝顔は、まるで母親に抱かれて眠る赤ん坊の様に安心した寝顔だった。
(今ぐらいは、とことん甘えさせても良いよな)
彼女の心境を知り、己の経験から僅かながらにも彼女を理解しているからこそ、彼女を想ってそのまま時間になるまで寝させてあげようと思ったのだ。
~その後、6時半頃~
「は~、やっぱり朝の味噌汁は美味いな」
「あんたは相変わらずね」
「だが、一夏の気持ちは分からんでもない。この赤味噌の濃くもさっぱりとしたものは、寝起きの身としては嬉しいしな」
「わたくしも、今度日本食を食べてみようかしら」
「僕も明日は、久しぶりに和食を食べたいですね」
食堂にて、一夏、鈴、箒、セシリア、イクサの4名が各々に朝食を採っていた。
「お、みんな揃ってんのか」
「おはようみんな」
そこに、我瑠騨とシャルルが合流した。
ガブリュ!
「痛ぃっだい!!」
我瑠騨の肩に乗っていたフェンが突然耳たぶに噛み付いた。今名前が挙がって無かったのが理由では無い。多分。
「はは、朝から賑やかだねぇ」
「ほっとけ!---うん?今の声は誰だ?」
不意に女の声が聞こえた。少なくとも知ってる声では無い。
「後ろにいるわよ♪」
「!?」
とっさに振り返ると、そこには1人の女子生徒がいた。
紅い瞳に紫のポニーテール、そして周りより比較的長身の女子だった。
だが我瑠騨は、彼女に対して〝何か〟を感じ取り、臨戦態勢をとっていた。
「・・・何だお前は?」
「そんなに構えないで。少なくとも敵意は無いから。ひとまず自己紹介だけでもさせて。私はメリッサ・バージルス。あなたに似ているところがある者よ」
「・・・成る程、千冬の言っていた3組の転入生か」
「そう、そして3組唯一の専用機持ち。そして貴方達と似て非なる力の持ち主なの」
「メリッサ・バージルス。まさかとは思うが〝メデューサ〟と〝バジリスク〟からきてるのか?」
「ピンポーン!大正解!」
「・・・色々訊きたいが、時間が時間だ。時間のある時に話を訊かせてもらうが、構わないか?」
「勿論いいわ」
「そうか。ところで話が変わるが・・・」
「何?」
我瑠騨は視線を落とし、彼女の朝食のお盆を見る。そして一言。
「・・・大食漢なのか?」
「ええ。1.5人前くらいで基本の一食分よ」
彼女はそのお盆一杯に色々な料理が載せられていた。
「そら大したもんだな」
「かく言うあなたは少なすぎない?」
「訳あり。但しダイエットや金欠ではない」
対する我瑠騨はご飯と味噌汁、そしてだし巻き卵をチョイスしていた。
実は数日に1回はホットケーキ以外のものを口にしている。と言うのも、味覚を刺激する為だ。そうでもしないと〝味覚で楽しむ〟事が出来なくなってしまうからだ。
「そうなんだ。さてと、時間本当に迫ってるし、早く食べましょ」
「おう、じゃあまたあとでな」
各々空いてる席に向かい朝食を摂り始めた。
~IS学園 本校舎 屋上~
昼休み。午前中の授業が終わり、各々が時間を過ごす時間となり、屋上には我瑠騨とイクサ、そしてメリッサの3名がいた。
勿論昼休みなので、この3名も昼食を持ってきている。
「朝のデジャヴな気もするが、本当にたんまり食うんだな」
「あはは・・・これだけはどうしても、ね」
我瑠騨は彼女の食欲に改めて感心し、メリッサは自身の事とは言え、苦笑していた。
「んで?」
「ん?」
「お前も〝転生者〟なのか?」
「うん、その通り。加えて、多分隣の彼と同じだと思うけど、あなたの力になる為に来た。ってところかな」
「つまり貴女にも僕達と同じ様に〝
「勿論あるわ。でも、お披露目はまたの機会に。口頭で分かり易く説明するなら、そうね・・・通じるかどうかだけど、仮面ライダーオーズのプトティラコンボ、みたいな感じかな?」
「ふーん」
・・・俺もそうだが、この世界への転生者って仮面ライダーの力を持ってるよな。
「あ、一応前世の話ってした方がいい?」
「無理はしなくて良いからな」
「ええ、寧ろ知って欲しいから。実は私の前世の死因は---集団レイプに遭っての、ショック死なの」
---その後、彼女は具体的に話をしてくれた。
ある日、当時高校2年生の彼女はいつも通りの帰宅の最中、近付いてきたワンボックスカーに突如引き寄せられた。瞬く間に手足を拘束され、口を塞がれ、頭を何かで覆われ、何も見えないまま、自分が拉致された事に気付き、この先どうなるのかと怯えていた。
何時の間にか気を失っていた彼女が次に気が付いた時には、既に自分の身体は〝おもちゃ〟として扱われていた。その時視界に映っただけで20人近くの男がいた。
意識が戻ったことを確認した周りの男達は、一斉に彼女を犯し始めた。
口や秘部、そして肛門。穴という穴に男達の欲望が突き刺さり、受け入れたくもない性欲を吐き出された。時間を感じさせない程に。
挙げ句には、致死量の媚薬を打たれ、それが原因でショックを起こし、心臓マヒで命を落としたとの事だ。
「---以上が、私の前世の終わりの話」
「・・・・・・」
「・・・酷い思いをされたのですね」
「うん・・・ただ、それが影響しているのもあるんだけど、私の今一番の問題があるの」
「・・・その剛食の事が?」
「うん、しかも私の力、オーズのプトティラコンボを基にした力。〝無の欲望〟が、色々求めるの。食欲と、・・・そして性欲。犯されて、堪らなく恐いのに、身体は性欲を満たせと・・・」
「・・・こう言うのも何だが、1人で背負い込むな。今は無理だが、お前のその呪いから解放させてやれる様に、協力してやるよ」
「僕も可能な限り手を貸しますよ」
「・・・なんだか、ごめん。それと・・・ありがとね」
「おーい、我瑠騨ー!」
何ともタイミングの良いところに、一夏達一行がやってきた。
少なくとも盗み聞きはしてないだろう。
「お、まだ飯食ってなかったのか?良かったらみんなで食わないか?」
・・・ったく、相変わらず元気だな。
「ああ、構わんが、どうだ?イクサ、メリッサ」
「勿論構いませんよ」
「右に同じ♪」
「よし!それじゃ食おうぜ!」
メリッサ・バージルス。彼女がこの先どの様な存在になるかは分からない。だが、心の傷は少しでも紛らわしてやりたいな。
・・・案の定だが、セシリアの料理で壊滅的被害が出たのは言うまでもない。
そしてメリッサは普通に食ってたから一抹の不安を感じたのは俺だけでは無いはずだ。