~IS学園 学生寮 1206号室~
「う~ん・・・」
「どうしたの我瑠騨?何だか難しそうな顔をしてるけど」
現在時刻は18時半。我瑠騨は現在の一夏達の訓練内容をノートに書き出しながら考えていた。
「ああ、これからの訓練内容でちょっとな。特に一夏の場合は近接戦闘しか出来てないから、それとは別に銃での訓練を入れたいと思っててな」
「銃ってISで?」
「いや、人が持つ銃で。ISならハイパーセンサーである程度フォローは利くけど、実銃の構え方を知らないやつにいきなり〝はい撃ってください〟なんて言っても何も出来ないだろうしね」
「確かに、それは一理あるね。でも、銃はどうやって?」
「俺が持ってる。拳銃、小銃、散弾銃、機関銃、挙げ句バズーカやロケットランチャーも持ってる」
「い、至れり尽くせりだね・・・」
毎度の事ながら、相変わらず次元違いだと思うシャルロットであった。
「あ、そうだ」
「?」
ふと、我瑠騨は何かを思い出したようだ。
「そろそろ、お前の傷痕を消そうか?」
「傷痕?」
「ほら、額と腕の」
「そんな事できるの?」
「まあな。但し消してる最中は少しむずかゆくなる」
「そうなんだ。・・・そうだね、お願いしようかな」
「おし。んじゃまずは額から」
---我瑠騨の能力によって、シャルロットの額左側と右上腕の傷痕は綺麗に消えた。この最中、シャルロットは思っていた以上のかゆさに内心愚痴を漏らしていた。
~翌日 モノレールIS学園駅 ホーム~
今日は土曜日。IS学園は土曜日にも午前中の授業があるが、毎月第1と第3の2回となっており、他の時は前日休みとなっている。まあ、年頃の若者揃いだ。遊ぶ時間も教育の上でもまた必要な事だ。
今日は、以前セシリアと約束していた通りに、モノレールで2つ程進んだ先の駅と合併した大型ショッピングモール《レゾナンス》に行く---予定だったのだが---
「む~~」
「あれ?俺何か悪いことしたか?」
「黙れバカの化身」
相変わらず乙女心の読めないミスター朴念仁こと織斑一夏が、箒、鈴、イクサ、メリッサを連れてきたのだ。当然だが、みな私服。
何でも、俺を誘ったあと、一夏の事も誘っていたらしい。男2人を呼ぶことをどうかと思う気持ちはあるが、一夏を誘ったのはミスチョイスだったかもな。
そして余談だが、シャルロットについてはフェンと寮でお留守番。 ボーデヴィッヒはまだ友好関係には至っておらず、誘おうに誘えない状態だった為不在だ。
「まったく、お前というやつは」
「アンタって本当に唐変木よね」
「今度ばかりは、一夏が完全に悪いですね」
「お誘い受けたと思ったら、案の定の事態だったわ」
「ふんっ!!」
セシリアも機嫌を損ねてしまった。ホントもう面倒起こさないで欲しいところだってのに。
「一夏」
「お、おう」
「罰として今日は〝全員分の〟荷物持ちやれ。否定する前にやれ。文句や愚痴は帰ってきてから言え。挙げ句今この場で『何でなんだよ!?』とか言ったら殴る」
「ぬぐっ・・・」
取り敢えず一夏にちーっと多めに楔を打ち込んだ。
~ショッピングモール《レゾナンス》 駅改札口前~
「ほー、こりゃデカいな!」
「そこいらのショッピングモールに引けを取らない位広い気がしますね」
改札口通過早々、俺とイクサはそれぞれ第一印象を口にした。
「このモールは日本一大きいって有名だからな。見て回るだけで1日は簡単に費やせる程だからな」
「確かに、この案内図を見ただけでも、時間が掛かるのは用意に想像つくね」
続けて一夏とメリッサもモールの規模について述べた。
「さてと、それじゃあ散策しないか?セシリアは行きたい所とかあるか?」
「実は、まだ決めてませんの。この様に一つの建物に複数のお店がある所に来たのはこれが初めてですし」
「なら、今日は行けるところまで見て回らないか?みんなで回れば色んな発見とかありそうだし」
「確かに、それは一理ありますわね」
「みんなはどうだ?」
「おう、いいぜ」
「異論は無いな」
「僕も同じく」
「「異議なーし!」」
「決まりだ!んじゃ、まずはこっちから行こうぜ」
こうしてグループでのモール散策が始まった。ここにある店は本当に多種多様だ。ブティックや家具屋、駄菓子屋に様々なマニアックショップ。薬局や生鮮店等と午前中で見て回れたのはたった1フロアと半分程だが、それでもこれだけの店数だ。
「お腹減った~」
「12時丁度のお知らせありがとうございます」
会話の通り、たった今12時になり、それに合わせてかメリッサが開口一番に空腹を訴えた。
「じゃあ飯にしようぜ。目の前にフードコートあるし」
「そうですね。行きましょう」
メンバーは揃ってフードコートに入っていく。運良く人数分座るだけの席の確保に成功。我瑠騨が自分から荷物番兼場所の保守を名乗り、注文はイクサにお願いした。
待っている間、彼は前世で使っていたのと同じモデルのスマートフォン《TORQUE》を操作していた。見ているのは、前世でよく聴いていたアニソン等の歌詞だ。
「おい!」
「ん?」
急に声を掛けられた。視線を向けると、そこにいたのは3人の女子高生だ。派手なメイクに染めた髪と言ったチャラチャラしていそうな感じだった。
「何かな?」
取り敢えず返事をしてみる。無視すると面倒だからな。かと言ってぶっきらぼうな態度も相手を刺激しかねないと判断し、少しばかり丁寧めの口調にした。
「おまえさぁ、何でそんなに場所とってんだよ?」
「ああ、今日は仲間と来ていてね。今みんなが注文に出てるから、荷物番も兼ねてここで待っているんだ」
「あぁ?ふざけてんのかテメェ!そこは私達の場所なんだよ!わかったらさっさとどけよ!!」
・・・まったく、面倒なのに目をつけられた。
「そんな横暴な事を言われても---」
「うるせぇよ!!男のクセに何口答えしてんだよ!!」
1人がいつの間にかセルフサービスの水をコップに注いで、俺にかけてきた。
そして、これがきっかけでカチンときた。
「・・・ガキがほざいてんじゃあねえぞ?」
「「「っ!?」」」
3人に対してのみ、鋭い殺気をたてた。
「女尊男卑主義なんてもん掲げてんなら、今すぐやめろ。理由は単純だ。IS適性が論外のてめえらにはいらねぇ思考だからだ。第一、男か女かだどちらか一方しかいない世界じゃ何も残んねえし、何も出来ねえよ。あと、1つ余談だが---俺は高嶺我瑠騨って名前だ。あるいは《蒼騎士》と呼ばれている」
「「「!!!!?」」」
この時、この3人は本能的生命の危機を感じ、我先にと大慌てでこの場から逃げ出した。ニュースの範囲ではあるが彼の事を知っているからだ。加えて彼の剥き出しの殺意に恐怖したためでもある。
「我瑠騨、お待たせ。豚骨でいいんですよね?」
「ん?ああ、サンキュー」
間もなくして、イクサが戻ってきた。それに続くようにみんなぞろぞろと帰ってきた。
なお、掛けられた水は悟られない様に先程の間に体温操作でなんとか蒸発させていた。周囲に散っていた水については、近くのちり紙でささっと拭き取った。
「みんな揃ったし、食べようぜ」
ひとまず昼食にありつこう。そして豚骨は熱い。だがそこがよくて、旨いのだ。