~IS学園・学生寮・1206号室~
『---以上、社長と婦人からの命令だ。我が社の経営はお前次第で変わる。そしてお前自身の未来もだ』
「はい、承知してます」
「失敗ともなれば、お前は一生牢屋の中で、しかもそこの男共の玩具になってもらうとのお達しだ。自分が可愛ければ必死で足掻けよ」
「分かりました」
この返事を聞いた相手は一方的に通信を切った。
「はぁ・・・」
溜息をしながら座っていたベッドにそのまま寝転がる。
折角の休日も、
「ヒャルルー?」
寝転がっていると、我瑠騨が出発前にゲージから出していたフェンが(我瑠騨の言っていた)鳥形態で気に掛けてるかの様に横から顔を覗かせてきた。
「ん?ああ、心配してくれてるの?」
「ピィッキュ!」
「ふふ、ありがとう」
「ヒャルル、フェンフェン!」
なんだか応援されているみたい。
そうだよね。こんな事で落ち込んでいたらキリがないよね。
ハムッ♪
「うひゃあっ!?」
突然耳たぶを甘噛みされた。
「ン~~♪」
「わっ、ちょっ!や、やめ、くすぐったいよぉ!」
「---ん?」
「どうした我瑠騨?」
「何か、騒がしい気がしたんだ。ここじゃなくてどこか別の、かつ平和な意味で」
「なら、気のせいではないですか?」
「ん~、そうだな。んじゃ買い物続けますか」
「も~、急にあんな事したらだめだよ」
フェンにめっ!と叱ると、ショボンとした。どうやら構って欲しかったようだ。
「クィ~・・・」
「遊びたいなら、鳴き声で呼んだりしてあまり迷惑を掛けないようにしないとね」
「フェン」
わかったと答えるかのような反応を見せた。
「ふふ、それじゃあ何して遊ぼうか?」
「フェンフェン!」
急に飛んだかと思えば、空中で身体を光らせ、人の姿に翼が生えたような姿に変わった。
そのままテケテケと我瑠騨の机に向かっていき、引き出しを開けて中から何か箱を取り出した。
「フェーン♪」
その手に持っていたのはリバーシ(オセロ)だ。
「それで遊ぶの?」
「キュッキュッ!」
テキパキと箱からボードなどを慣れた出して準備しだした。
「我瑠騨と遊んだりしているの」
「クゥ」
最後に、中央の4つのマスに白と黒の石を互い違いに配置した。
「フェン、ヒャルル、フェンフェン」
今度は手をグー、チョキ、パーとしながらシャルロットに向いた。どうやらジャンケンも理解しているようだ。
「それじゃ、先攻後攻を決めようか」
「ぴっぴぃ!」
「それじゃあ、じゃーんけーん---」
~その日の夕方~
「たっだいま~」
「キュ!カルカー!」
「あ、お帰り我瑠騨」
太陽が西に半分ほど沈んだ頃に、我瑠騨は帰ってきた。手には袋が3つ程握られていた。
「結構買ったんだね」
「おう、お土産もあるぞ。まずはフェンだ」
「フェン?」
我瑠騨は袋に手を入れる。そして取り出したのはりんごだった。
「お前は果物が好きだからな。今回はりんごと梨を買ってきたぞ」
「キュイー!カルカ、キュイー!」
フェンは満面の笑みで喜んだ。本当に果物が好きなのだ。
「それから、シャルロットにはこれだ」
次に取り出したのは、紺色の小さめの箱だった。
「開けてごらん」
「う、うん」
そう言われ、箱のふたを開ける。すると中には、シャンパンゴールドのフレームに、オレンジ色の革製バンドの細身の腕時計だ。
「我瑠騨、これ・・・」
「プレゼントだ。その・・・この先はどうなるかは分かんねえけど、少なくとも今は俺の女なんだ。プレゼントするのは当然だろ?」
「我瑠騨・・・ありがとう」
嬉しさからなのか、シャルロットの目はうるんでいた。
「あっ、でも---」
「クラリッサの事だろう?」
「うん」
「大丈夫、あいつのも買ってあるから心配しなくていい」
「そっか。我瑠騨は本当に優しいね」
「はは」
「フェーンフェーン!」
振り返ると、フェンが早くりんごを食べたいと急かしていた。
「わかったわかった、今切ってやっから。結構買ってきたから、みんなで食べようか」
「フェィーン!」
「うん、いただくよ」
今日の夕飯が果物と言うのもいかがかと思う所もあるが、たまにはいいだろう。