~ドイツ シュヴァルツェア・ハーゼ基地 クラリッサの居室~
「はいこれ、この前渡しそびれたプレゼント」
そう言って手渡したのは、以前シャルロットに渡したプレゼントと同じ形の黒色の箱だ。
「開けてもいい?」
「勿論。喜んでもらえればいいんだが・・・」
箱から出てきたのは、本体色がシルバーでバンドが革製でライトグレーの細身の腕時計だ。
「・・・どうかな?」
「とても素敵。ありがとう我瑠騨」
「気に入ってもらえて何よりだ」
「ところで我瑠騨、最近シャルロットとはどうなの?」
「ああ、特に大きな問題は・・・無い訳では無いが、特には」
「あんまり蔑ろにしてはダメよ?」
「分かってる。そうじゃなくて、デュノア社の事だよ」
「ああ、その事。それで具体的なものは---」
『失礼します
不意に、クラリッサの部下であろう女性の声がノックと共にドアから聞こえた。どうやら会話が聞こえたのだろう。
(しまった!我瑠騨、どこかに隠れて!)
(その必要は無い、開けてやってくれ)
(何故だ?)
(以前の事、仲間を失った彼女達は割り切れていない部分があるはずだ。溜まってるものがあるなら、俺で発散させればいい。不死身だから集団リンチを受けても死にはしないさ)
(しかし---)
(いいから!)
(・・・分かった)
「
「ああ、ひとまず入れ」
「はい、失礼します」
ドアが開き、部屋に入ってきたクラリッサの部下はすぐに我瑠騨の存在に気付く。彼女の容姿は、原作でのピンク色のショートヘアの女の子だった。
「あ、あなたは!」
「ああ、高嶺我瑠騨だ」
「・・・・・・」
彼女は特に何かを言う訳では無かったが、複雑そうな顔をしていた。無理もない。同僚を失う原因の一つにして、その同僚を必死になって救おうとした相手だ。どんな感情を表せば良いのかに迷うのは仕方のない事だ。
「・・・クラリッサから聞いたとおり、やっぱりまだ引っかかってるんだな」
「・・・・・・」
「すまなかった」
「あなたが謝っても、彼女は還ってきません・・・」
「分かってる。だが、何も言わないのは申し訳がない」
どうしても沈黙が続いてしまう。しかし、何を話せばいいかも分からない。すると、彼女から口を開いた。
「今回、犠牲になったのは、私の、私の大切な、友達だったんです!」
声を震えさせ、でも、涙はこぼさずに訴えてきた。
「ここに、黒ウサギ隊に配置になった当時、厳しい訓練を毎日続けて、つらくて、堪らない時にも、同期だったエリーと一緒に頑張ってきて、でも・・・でも・・・」
遂に堪えきれず涙がこぼれだした。クラリッサは流石に拙いと思ったのか彼女のそばにより、肩に手を添える。
「ツルカ、落ち着きなさい、ここで無理に全てを話そうとしなくていいのよ」
「だけど・・・私・・・」
「・・・俺は、君と、君の友人と、それぞれの似た経験をしている」
「え?」
「ッ!我瑠騨、それは---」
「いいんだ。いずれ公にするつもりだし、先に1人2人話したって大したことじゃない」
「・・・分かった」
「えっと、お前の名前は?」
「・・・ツルカ・デーニッツです」
「そうか、デーニッツ。今から話す事は事実だ。だが、信憑性の事情から、俺が公開するまでは他言無用で頼む」
「?」
「俺は、転生者なんだ」
「転生者?」
---その後、クラリッサやシャルロットに行った記憶を見せる能力を使い、口頭からも説明をした。
「---正直、信じられません」
「だろうな。誰よりも俺自身が理解に苦しんでるんだからな」
「ごめんなさい、あなたの気も知らずに」
「気にするな」
「ところで、話が逸れますがいいですか?」
「何だ?」
「あの、
「え?」
彼女の視線の先はクラリッサの右手を見ていた。その手には先程の箱に入ったプレゼントが握られていた。
「あ、ああ、これは我瑠騨からもらったものだ」
「中身は何ですか?」
「え、う、腕時計、だか?」
「本当にそれだけですか?」
「ツルカ、何をまじまじと---」
「何か、匂います」
くんくんと周りの匂いを嗅ぎ始めるツルカ・デーニッツ。流石に我瑠騨もどことなく心配した。
「・・・おい、デーニッツ?」
「高嶺さん」
「は、はい!」
「
「は?」
「そのまんまの意味です!」
「く、クラリッサと呼んでるが・・・」
「・・・
「さ、さっきから何なのだ!」
「2人はもしや、肉体関係に発展しているのでは!!」
((ドキィッ!!!))
突然の鋭い指摘に思わずチェストブレイクを起こしそうになった2人だ。
その後、余りにギャーギャーわめくものなので、宥めるのに一苦労したそうな。
たまにいる個人にぞっこんタイプの女の子でした。