~IS学園 第3アリーナ~
本日の試合も特に滞りなく進んでいく中、次の対戦は転生者3人からして、気の抜けないカードの組み合わせだった。
織斑ペア対ボーデヴィッヒペアの対戦だ。
「我瑠騨さん」
「ああ、分かってる。警戒は厳にしておくんだ。初期行動は避難誘導、後に制圧。いいな?」
「はい」
「メリッサも同様だ」
「分かったわ」
この3人が警戒しているのは、もちろんラウラ・ボーデヴィッヒのシュヴァルツェア・レーゲンだ。
可能性としてではあるが、
可能性として、の理由は俺達転生者の存在もそうだが、今まで俺達(イクサとメリッサはそれぞれ目立たないよう密かに)が戦ってきた異形達の存在。そして何よりここは〝ISが存在する世界〟である為だ。ラノベのISみたいな展開があったりなかったりである為、可能性として見ている。
(仮にVTシステムが搭載されていて、それが発動すれば一夏が動こうとするだろう。無いならそれに越したことは無いんだがな)
そんな事を考えていると、ブザーが鳴り響き、試合が開始された。
案の定一夏は素直に直進していった。対するボーデヴィッヒは
当然の様にAICに捕まる一夏。レーゲンのレールカノンが向けられたが、直後に周辺が砂埃に呑まれた。
実は相川が、誤射を懸念してガルムで2人の足元を射撃。砂埃を発生させる。
マンツーマンでは実力の高いラウラだが、やはりというか、チーム戦の特性を把握出来ていないようだ。
故に砂埃が舞った瞬間、意識が大きくブレてしまい結果としてAICは外れて、それに気付いた一夏が斬り込む。切っ先がレーゲンの左手の薬指と小指を斬り落とした。
「ちっ!油断した!」
次の策を練るボーデヴィッヒだが、やはりチーム戦を意識出来ず、パートナーの存在は計算に入れてなかった。
次の行動でワイヤーブレードを使うも、僚機の存在を疎かにしていた為、一夏を追う途中で僚機がワイヤーブレードに当たり軌道がずれてしまった。
(クソッ!何故この様な無様な事ばかり起こるのだ!?)
今まで1人で物事をこなすよう育てられた---いや、彼女の場合はそう言うべきなのか曖昧な所だ。
クラリッサからは、ボーデヴィッヒは試験管ベビーである事、戦うことを徹底して叩き込まれた事、IS操縦は、最初こそてんでだめだったが、千冬の指導でかなりの勢いで強くなった、という内容を訊いた。
我瑠騨が思案する中、試合はラウラ・ボーデヴィッヒの不利に働く。
個人の実力は確かに群を抜いて強いラウラだが、その強さは〝あくまでも戦闘手段が〟である。それが裏目に出てしまい、僚機はリタイア、織斑ペアはズタボロだが両者健在、自身もそこそこダメージを受けているため状況は五分五分だった。
「相川さん、状態は?」
「結構ボロボロ、武器の弾もほぼないよ。織斑君は?」
「同じかな。・・・頼めるかな?」
「もちろん!」
「じゃあ、行くぜぇ!!」
一夏は相変わらずの突進ぶりを見せる。
「フン、馬鹿のひとつ覚えが!」
再びAICによって突き刺す直前の姿勢で動きを封じられる一夏。だが、その顔は余裕を浮かべていた。
「だったら、あんたも同じだな」
「なに?ガッ!?」
突然真上からの衝撃に怯む。上には相川がショットガンを腰だめに構えていた。
状況が読めた直後、ボーデヴィッヒは気付いた。
(個人対複数・・・そうか、これほどまでに不利なのか)
目の前にはAICが解けて、一夏が再び突進してきた。
(なんて・・・なんて、まっすぐで、力強い眼差しなのだ。まるで・・・)
---あの時の教官の様だ---
雪片弐型、もとい、零落白夜をくらい、シールドエネルギーがゼロになるシュヴァルツェア・レーゲン。
この時ボーデヴィッヒは、不思議と悔しい顔をせず、むしろ清々しいとでも言うかのような笑みを浮かべていた。