※この作品はR-18です。

(主に)翡翠の少年に纏わる妄想文集置き場   作:形右

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 まずは一本目にユノフェ。
 サブタイでも分かるとおり、だいぶドロドロしてます。

 ただ、ヤンデレともちょっと違って、どっちかというと本当にお互いが傍に居るのが良いなみたいなのを、惰性的にエロくした感じ(のつもり)でございます。

 それでは、コレが性癖に引っかかった方は是非どうぞ。
 お楽しみ頂ければ幸いです。


~依存風味~

 ミッドチルダの首都・クラナガン。

 夜に染まったこの街の、夜の活気を伝えるネオンに背を向けながら。時空管理局の保有する超巨大アナログデータベース、無限書庫の司書長をしているユーノ・スクライアは、一人家路を急いでいた。

 しかし、珍しい光景だった。

 普段彼は書庫の中に籠もっている割合が高く、家に帰る際もそこまで浮き足だってはいない。とりわけ本局の寮を出て一軒家に越して以来、帰るまでの時間と、誰も居ない家帰るという鬱屈さからユーノはどこか辟易した様な様子を見せる事が多かった。

 けれどどうしたわけか、ここ半年ばかり、ユーノは家に帰ることを楽しむようになっていた。それも、ある特定のサイクルに従いながら。

 何があったのか、彼の部下である司書たちとの間では暫く噂が絶えなかった。

 その筆頭は、やはりというか例の教導官の女性との噂。しかし、それならば向こうの家に行くのでは無いかという話が持ち上がり、結局この話は結論を得ないまま堂々巡りを繰り返している。

 そして、真実はと言えば―――

 

「―――ただいま」

「あ、ユーノ。お帰り」

「うん……ただいま、フェイト」

 

 今ユーノは、そういう状況に身を置いていた。

 

 ***

 

 始まりは、執務官としての検索依頼をしに来たときのことだった。

 元々見習いの頃から兄の手伝いや、自身の使い魔であるアルフが書庫を手伝っている事もあり、フェイトが書庫を訪れる比率は幼なじみの中でも比較的に多かった。

 だが、それでもこうしてユーノの家にまで足を運ぶようになったのは、半年ほど前にあった出来事が切っ掛けだった。

 

 ある日のこと。

 フェイトは依頼した資料を受け取りに無限書庫を訪れていた。

 いつもなら、受け取ってユーノにお礼を言って終わりになるところだったが、しかし、赴いた先で見たのはダウン寸前に疲弊しきっているユーノの姿。

 何があったのかと言えば、依頼が嵩んでろくに休みを取れていなかったのだという。

 尤も大まかなダウンの原因は疲労だけで、大事ない事に関してはホッとしたものの、ここまでなるまで放っておいた事に憤慨し、家まで送っていくと申し出た。

 最初はしっかり休んで欲しい、くらの気持ちだったのだろう。

 しかし、思いの外フェイトが引くに引けない―――いや、ユーノの事を放っておけなくなったのは、彼の自宅を見てしまったからだった。

 別に、取り立ててがら空きだったわけでも無い。

 ほどよく家具も置かれているし、少々ほこりが溜まっているのも職業柄まぁ許容範囲と言える。

 ……だが、それでもその家は〝帰る場所〟としては些か殺風景だった。

 あまりにも気になったので、そのことを傍で見ていたアルフに訊ねてみると、それなりに司書の数や練度が上がった頃にユーノは寮から自宅へと移ることに決めたのだそうだ。

 考古学者としての仕事にも戻って行くのに、資料の保存や論文の作成、そうした個人での研究を進める場所としてもちょうど良いというのが当初の目的だったのだろうが、如何せん一人暮らしで頭脳系とは言えハードワークをこなし続けている状態ではなかなか健康そのものとは行かなかったのだろう。

 ただ、こうなる前に誰かが気づきそうなものだと思った。本音を言えばフェイト自身、ユーノととても仲の良い親友の事が浮かばなかったわけでは無い。いの一番に気づきそうなのは、やはり彼女だろうと。

 しかし、奇妙な事に彼女はユーノの家では無く自身の家に彼を招き寄せるパターンが多く、また娘との待ち合わせ場所として書庫が使われており、そこから―――というパターンが多かった様だ。それならそれで問題は無いように思うが、実はそうではなかったらしい。

 それになりに忙しい二人が会おうとすれば、当然予定も絡んでくる。

 待ち合わせ場所であり、交流の場所になっていた書庫も友人が増えたり、それに合わせ仕事の方も融通させたりと、母娘の変化によって段々と変わって行った。

 ついでにいうと、件の友人は未婚の女性で、ユーノも独身の男性である。

 この辺りから、若干倫理的な話も絡んできたとか。―――正直なところ、傍目から見ればまだくっついていないのが不思議なくらいなのだが、事実というのは往々にして奇怪なものである。

 そんなわけでまことにややこしいながら、現在の状況が生まれたというわけだ。

 

 要するに結論から言ってしまえば、フェイトはユーノを放っておけない。

 

 フェイトも独身女性だが、普段の穏やかさはさておき、司法系においては秀でた執務官である。なら問題も起こるまい、という理屈と、それとも手を出したいのか? という質問を重ねている間にこの話は終わりを迎えた。……まぁ、後者については少しばかり訂正の必要があるかも知れないが、今は置いておくとしよう。

 

 ともかくフェイトはこうしてユーノの家によく来るようになっていた。

 執務官としての業務上いかんせん出張が多く、規制するなら実家で、短い間なら元ルームメイトの親友の方の家に暫く厄介になる方が感嘆と言えば簡単だった。

 けれど、いくら親友の娘の後見人を務めているとは言え、正式な母というわけでは無い。

 ついでに言うとフェイト自身も息子と娘に当たる子供たちの保護責任者になっていたりもする。

 二人は自分たちのやりたいことのために遠くの世界で頑張っており、それを邪魔する様な真似は出来ない。もちろん、助けが必要ならば飛んでいくが……生憎と、本当にしっかりしてきた二人は最近殆ど甘えてくれない。

 そんな部分も重なったのだろうか。

 こうしてフェイトは、ミッドチルダに帰ってくる度に、幼なじみの男の子とこうして過ごすようになったのだった。

 

 流れていく時間は、酷く穏やかなもの。

 無論というか、子供の頃もこうして一緒にいた時間はあった。ユーノに救済の夏から秋にかけての半年ちょっとの間、ユーノはフェイトの義母(はは)であるリンディが提督を務めていたアースラという次元航行船で一緒だった。魔法を教わったことなどもあったし、距離で言えばそれなりに近しいと言って差し支えない。

 けれどユーノにとっても、親友にとっても、きっと最後に一番近くに置くと決めたヒトはお互いなんだろうなと思っていたから、あまり意識しては来なかった。

 ……しかし、状況はいつの間にか変わっていて。

 保っていたはずの距離は埋められ、いつの間にか近づいてしまっていた距離は、もう既に代えがたいものになってしまっていた。

 

「美味しい?」

「うん。ありがとうね、フェイト。本当なら僕がおもてなしするべき何だろうけど……いっつも頼りっぱなしでゴメン」

「謝らなくて良いのに……。でも、それなら明日買い物とか行って、帰ってきたら一緒に何か作ったりしない?」

「良いね。じゃあ、そうしようっか」

 

 他愛ない会話を繰り返し、そうして時を過ごしていく。

 やがて夜は深まり、街も人も眠る丑三つ時を迎える。……が、二人の夜は、ここから始まるのだった。

 

 ***

 

 暗い部屋を、薄く照らす灯りだけが、中にいる二人の影を淡く伝えている。

 けれど、寝ているわけでは無い。……いや、ある意味では〝寝ている〟と言えるのだろうか。

「ぁ……、ぁぁ……っ」

 微かに軋むベッドの音似合わせ、小さく漏れる声。

 甘い響きを伴ったその旋律は、闇の中にしっとりと、布に染みる水のように伝わっていく。

「……フェイト、気持ちいい?」

 ユーノがそう訊ねると、フェイトは小さく頷いて腕を伸ばして引き寄せこう言った。

「良いよ……とっても。だから、もっと……ね?」

 幼い子供のお強請りみたいな誘いに、「うん」と応えて、もっと深く腰を沈めた。

「ぁ……♡」

 声がまた、甘さを増す。

 それと同時に、ベッドの軋みに混じってくる新しい音があった。

 ぬちゃ、ぱちゃ、とリズミカルな水音。

 二人の行為に伴うアイに比例して、それらの音は段々と大きく、激しくなっていく。

「すっごい濡れてるよ、フェイト」

「そん、な、こと―――っあ、ぁぁ……っ」

「でもほら……こんなにキツくなってる」

「も、ぅ……イジ、ワルぅ……っぁ……」

 静かな熱の証を、短く囁くように告げていく。

 互いが互いを求め合っている。

 それを今更の様に確かめ合いながら、二人は交わし合う熱を感じ、悦びの甘さに身を委ねていた。

 程なくして、二人は軽く呻きにも似た喘ぎを漏らし、ひとたび大きく跳ねた身体を押しとどめるように二、三度震えた後……余韻を惜しみながらも、少しだけ離れ、静かに身体を横たえた。

「……はぁ、は……ぁ」

 重なり合った、乾き、熱を伴った吐息だけが暫く部屋を包み込む。安らかな倦怠感の中に沈み行く意識は、眠気を誘う。そのまま落ちて仕舞えば、恐らくは心地よいだろうと確信させる程に。……けれど若い衝動は、まだ足りないと、お互いを求めろと告げてくる。

「今度は、わたしが上で……ね?」

「……うん」

 気怠(おも)くなった腰を上げて、仰向けになったユーノの上にまたがるようにして乗るフェイト。

 ちょうど、先程とは逆転した体勢。

 しかし、それだけでは無い。これはいうなら、貪ら(くわ)れていた側が、今度は喰らう側に立つという意思表示だ。

「は―――、ぁ……っ」

 息を整えて己の中にそれを導く。

 狙いは逸れることなく、滞りなくフェイトの中にユーノのモノがぐにゅりと滑(ぬめ)る肉壁を掻き分けて、彼女の中へと突き立てられた。

「っ~……ぁ、んんぁ……っっ」

 抜けきらない余韻の為か、やたらと敏感になっている身体は、互いが触れ合う快感(よろこび)に敢えなく敗北する。

 入れた瞬間に、もう身体の芯を真っ直ぐに射貫かれたような気分だった。

 そんな小刻みに震えているフェイトを見ながら、ユーノもまた、彼女から与えられる感触に自身を絞められ、絡め取られないように気を一本保つ様に心がける。

 少しだけ間を置いて、二人はまた動き出す。

 宣言の通り、最初はフェイトの方が積極的に動いていた。

 だが、腰を振り下ろし、肌と肌がぶつかり合う音がするごとに、彼女の動きが段々と鈍くなっていく。

 普段の高機動型の魔導師として、執務官の任に着いている時とは雲泥の差だ。……しかし、弱るかのようなフェイトの姿が、ユーノは堪らなく愛しいと思えた。

 

 ―――そういえば、始めて身体を重ねたのも、ちょうど似たような状況だった気がする。

 

 ふと、思い出した。

 別に何か大それた事があったわけでは無い。

 それまでと何も変わらない、友人だった時間の積み重ねの中で―――いつの間にかお互いをそう見ていて、どちらとも無く、まるで最初からそれが当たり前だったみたいに、

 

「……フェイト」

「ふぇ……、ぁ……うん」

 

 こんな風に、甘い口づけを交わした。

 始まりというか、きっかけはそんな些細な事だった。けれど、それが心地よくて……お互いに、好き合っても良いと思えたから、今もこうしている。

 きっと、そう。

 お互いに、何かを許し合っている。

 与え、憂い、何かを共感している。

 惰性的なのに心地よくて、とても優しいこんな行為を、今も、……そしてきっと、これからも。

「んむ……っ、ぷ……ぁ」

「……っは、んむ……」

 啄む雛みたいな口づけは、だんだんと爛(ぬれ)れた欲(みず)にまみれたものに変わって行く。

 絡め取り合う舌の感触が、

 滴れ、溢れる唾液が、なんだかとても、熱い。

「っ……」

 熱に浮かされた脳裏が、背筋を抜けた忘れていた感覚に引き戻される。

 限界が近い。

 漠然と、どこか夢見心地ながら、二人は自身の状況を理解し、そして―――程なくして二人は、二度目の頂きを超えた。

 

「っ~、ぅ……ぅ、っ~~~っっっ♡♡」

「ぁ―――、っ……ぁ……ぁああ―――っっっ‼」

 

 ———瞬間、結合部(つながり)から二人の悦楽の証が噴き出した。

 たっぷり三十秒ばかりかけて、本当の空っぽになるまでそれぞれを吐き出して、あふれだした飛沫に愛の熱(あかし)を確かめ合う。

 また少しだけ、荒くなった息遣いの音が、部屋を包み込む。

 若いながら、獣のように貪り合う行為ではなく、どこか達観しているような、落ち着いた終わりだった。……が、それは何も淡白さ故ではない。

 笑った膝を無理に保とうとせず、フェイトはユーノの胸板の上にそのまま身体を放り出している。ユーノはそれを受け止めて、そっと腕で彼女の華奢な体躯を抱き込む。

 それ以上はなく、行為の続きの気配など何処にもない。

 けれど、それでいいのだ。

 一時に全てを懸けるのも、確かに悪くない。むしろ、それの方が分かり易い情愛の証を見ることができるという利点もある。———だが、こんな淡白に見えそうな状態の方が、たまらなく二人にとっては好ましかった。

 

 全部を懸けて、焼け付くのも良い。

 刹那的であろうと、残る痕(あかし)はさぞ、怖いくらいに甘いのだろう。

 ……でも、それではきっと、忘れてしまうことも多い。

 だんだんと衰えて、無くなってしまうこともきっとある。

 悪いわけではない。

 しかし、どうせなら失くしていく全てさえ、少しずつ少しずつ……余すことなく、長い長い時間を掛けても、骨の髄まで貪(しゃぶり)り尽くしたい。

「……ねぇ、ユーノ」

「なに?」

「わたし……これからも傍にいるから、ユーノもわたしのそばにいて?」

 それは、優しい麻薬とでもいえばいいのか。

 無くならないという対価の代わりに、時間を要求してくる。

 ただ一時のみ燃え、そのまま消えることを許さない。これからも、この先でもずっと、その存在を捕え続ける絆という名の檻。

 が、

「僕でよければ、傍にいる。これからも、ずっと」

「ユーノがいいんだよ? でも、よかった……なら、これからも一緒だね」

「うん」

 小さくうなずいて、二人はそのまま眠りに堕ちていく。

 惰性的で、けれど離れがたい。

 そして、だからこそ溺れても良いと思える。

 二人が愉しみ、魅せられているのは───きっとそんな、甘い甘い依存みたいな、関係(アイ)であった。

 

 

 

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