※この作品はR-18です。

現実社会の恐怖 エッチな百物語 どこから読んでも各話読み切り   作:みなぽん

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神奈川県 川崎市 「縊れ鬼」人を死に誘う妖鬼と女子大生カップル。月読 心音

1人の女が古い書物を読んでいた。ショートボブの髪型、切れ長の瞳はどこか眠ってるようにも笑っているようにも見える。唇に色香があり小柄な割にどこか艶いたところがある。

時に幼い少女のようにも見えるが、男を知り尽くした女のようにも見える。丁度、朝とも夜ともつかない夕暮れのような女であった。その女の手に幕末の旗本文士・鈴木桃野の随筆『反古のうらがき』があった。

彼女が食い入るように読んでいるのであった。

 

生者にとりつき首つり自殺させる鬼をくびれ鬼、縊鬼(くびれおに)とよぶ、、ある侍が江戸の麹町で酒宴を開いたが客がなかなか現れない。やがて現れた客は「急用があるので断りに来た」と言う理由を問いただすと「首をくくる約束をした」と言う。酒を飲ませて引き止めた、やがて近所でで首吊り自殺があったという報せ、侍は縊鬼がこの客を殺そうとしたものの諦め、別の者に取り憑いたたと考え事情を問うた。すると客は全然何者かに首をくくるように囁かれ、その気になってしまったと言う。

 

「うーん、縊れ鬼、、江戸時代の話だけども、多分、原因はうつ病と言う所かな、、」

月読心音は怪異の原因を心理学や科学をもとに分析してその原因を解き明かすことをライフワークにしている。

もちろんそんなものが生活の糧に化けるわけはなく、普段は大学院で研究しながらカルチャースクールで心理学の講師をしているのだ。

仲間達は子供の頃に流行った珍獣ハンターと言う番組をもじって心音を「妖怪ハンター」と彼女をよぶ。

 

今回、彼女が「縊れ鬼」を調べる理由はある友人の一言にあった。

それは瀬能 さくらという能天気な友人が珍しく切羽詰まった声で助けを求めて来たことに始まる。

彼女といつも一緒にいる。友人の喜連川 未唯が最近、援助交際を始めたと言うのだ。

大学とは少し離れた街で中年のサラリーマンの相手に体を売っているらしい。

「心音(ここね)私、最近、未唯のやつがわからなくなったよ、実は私たちはね、、、レズ、、恋人関係なんだよ、あいつはタチのくせになんで男なんかと寝るんだよ?理由を聞いたら「縊れ鬼」に取り付かれたって言うんだよ!もうわけわかんないよ!」さくらは頭を抱えて涙を流した。

 

そして心音に自分の貯金423,565円を全て差し出して、未唯に取り付いた縊れ鬼を退治するように依頼してきたのだ。

「さくら、私は妖怪が存在しないことを立証する妖怪ハンターなんだけどね(^ ^)とりあえず面白そうだから調べてみるよ」心音は請け合った。

念のため喜連川家を調べたが、ごく平均的なサラリーマン世帯で暮らし向きが豊かな方で親も特に問題は無かった。

ただ未唯が養子であることがわかった。

両親に長女と次女の未唯、その下に弟がいるらしい。

彼女は喜連川家に1人でもらわれてきたのだ。

 

そしてさくらに聞いたところ

彼女は毎月26日に決まってでかけていく先があると言う。

心音はその日の彼女を尾行した

 

喜連川家とは反対に5駅、海岸べりの工場地帯、赤い鉄階段のある古いアパートへ未唯は入っていった。

苗字は百瀬とある。喜連川ではない、だから状況確認するため素早く部屋の周囲を観察。

するとキッチンの窓が薄く空いていた。

隙間から中を覗くと家の中は酒瓶の転がるゴミ屋敷。

そこに震える未唯と酒灼けして作業着を着たおっさんがいた。

顔は酒焼けしてだらしない。人相はまさに人格の歪みを反映するかのように醜悪だ。

さては、恐喝かと心音は思ったが、未唯の口から出た言葉は予想外だった。

 

「お父さん、これ、弟の学費と生活費」

「おいおい拓人も来年から高校だあな、そんな金額であいつを学校にやることできるかなぁ?」

「お父さん、私もこの金額で精一杯なんだよ」

「未唯、援助交際してるんだって!姉の美幸も駅前の風俗で俺に貢いでくれたからな、そもそもお前の母親も風俗で稼いでいた!母親なら娘も娘だ、姉も妹も我が家の女どもはみんな淫売だな。

せいぜい気を付けろよ、美幸は夫に副業がバレて家庭崩壊寸前でもう貢げないっていってきたんだよ!

今では旦那ともども音信不通だよ!お前の母親のしずかも最低の水商売で働いた挙句にノイローゼになって首をつって、俺を残して死んじまいやがってふざけた女だぜ!」

 

汚いおっさんは酒をあおりながら未唯の体をいやらしい目線で見た。

「弟を学校にいかせてほしかったら、もっと毎日、援助交際して金を増やせよなぁ!

母親と同じで体で稼ぐの得意だろ!」男は下卑た口調で言った。

心音はクールなイメージの未唯が感情を爆発させるの初めて見た。

「お前が身体を売らせたんだろ!お前みたいなクズにママを悪くいう権利なんてないんだ!」

そう言うと未唯は親父の顔面を殴りつけた。

おっさんのコップ酒が畳に転がった。

 

「未唯てめぇ、父親になんてまねしくさる!」

バーンと激しい殴打の音が響き、未唯は壁際のタンスに叩きつけられた。

しかし、気丈にも親父を睨む未唯。

「おいおいなんだその目は、生意気しくさると弟の拓人にそのツケを回してやるぞ!

あいつ男のくせに体弱えからな、、俺に殴られると女みたいにピーピー泣くんだよなぁ!」

 

未唯の顔から血の気が引いて、恐怖と怯えに歪んだ。

彼女が弟に弱いのは一目瞭然だった。卑劣な笑みを浮かべる父親。

「拓人に酷いことしないで」

親父は舌舐めずりしていう。

「ぐふふふ、 お前ら姉妹はちょろいな。美幸もこれを言われると俺の言いなりになったもんだ。あいつはお母さんに似ていい体をしていたなぁ、「未唯には手を出さないで」って泣きながら何度も俺に抱かれたぜ、

金も稼いでくれて性欲処理の相手にもなる!最高の親孝行の娘だったんだがなぁ!音信不通じゃしょうがねぇ、今まで未唯と美幸、2人交代で俺の相手をさせてきたが、これからはお前だけだ!たっぷりセックスして俺の女にしてやる!」

 

「お母さんだけじゃなくてお姉ちゃんの幸せまで壊して!お前は人間じゃない縊れ鬼だ!」

彼女は親父を睨んだ。

娘の軽蔑の視線をものともせずに親父は性的な目で娘を見た。

すでに汚らしい作業着の下には浅ましい勃起したちんぽがあった。

「未唯!お父さん、今、ソープにいく金もなくてな、今日もお前にマンコで我慢してやるから、裸になれ!」

「誰があなたなんかに!」

 

「さっさということをきかないと弟の拓人を打ちのめすぞ!!あいつは病弱だからな、もしかしたら死んでしまうかもしれないぞ。げへへ、お父さんが憎いか!親と子の絆はどうあっても切れないんだよ!」

「このケダモノ!」悔しそうな未唯。

しかし耐えがたい屈辱を強い意志の力で彼女は押さえつけた。

未唯は実の父親の手で裸にさせられた。

 

自分の娘の体を親父は粘つくような視線で眺めていた。

「今日は大井町でナイター競馬があるんだ。ちゃっちゃと済ませるか、未唯、そこで足を開けよ!」

うす汚いせんべいぶとんに裸の娘を横たわらせた。

言われるがままに未唯は自分からエム字に足を開いた。未唯の顔が恥辱と屈辱で歪む。

「前戯はめんどくさいからマッサージオイルを塗ってと」

親父は汚らしいちんぽに100円ショップのマッサージオイルを塗って、

まるでダッチワイフでも扱うかのように未唯の膣内に挿入した。

オイルを塗っても前戯ぬきの挿入は女性器に痛みを与えた。

 

「くぅ、痛っ!、ふざけんなよ親父、ぐぎぃいい、ああ、あがぁ」

「全く未唯はスレンダーだな!おっぱいとかもう少しでかくなると俺の好みなんだけどな、

でも、おまんこの締まりは最高だ。お姉さんの美幸よりいい具合だぞ!」

親父の毛むくじゃらの汚い尻が、未唯のカモシカのようなスラリとした白い足

の間ではずむように腰をふっていた。

「く、く、あ、、死ね、クソ親父、ああ!」オイルでおまんこがクチュクチュ音をたてる。

必死に自分の感情を殺して親父のレイプを受ける未唯、無反応に徹しようとしているのだろう。

彼女は目に涙を浮かべながらも声を押し殺している。

 

親父は未唯がレイプされても反応しないことを知っているのか、テレビのリモコンを押してアダルト

ビデオをつけた。淫乱な女優が腰をくねらせるのを見ながら親父は腰を振っていた。

「ああ、この女優たまらねえな、おーー射精る!射精る!」未唯の細い腰に乱暴にペニスを打ち付けた

そして便所に小便でもするように娘のおまんこの中にドピュドピュっと射精したのだった。

「あ、中にでてる、外に出せよ、チクショウ!」彼女の目から大粒の涙があふれた。

「ふー出たぜ、ふぅお前のマンコの具合は最高だぜ未唯」

親父が犬みたいにブルブルと尻をふって未唯の中に最後の1滴まで精液を流し込んだ。

 

陵辱されぐったりした未唯の細い足の間から一筋の白濁した液が股をつたう。

ゴミ溜めの六畳間に未唯の白い身体が打ち捨てられている姿が痛々しかった。

親父は美和の金のはいった茶封筒と競馬新聞をもって出かけて行ったのだった。

そこへ恐る恐る帰ってきた者がいる。小さな中学生、末弟の拓人だった。

「お姉ちゃん、もう来ないでって言ったのに、僕のためにまたあいつに酷いことされて、、、、」

「拓人、姉ちゃんは強いから大丈夫だよ(^ ^)シャワー浴びたら、中華屋さんでラーメンたべようよ」

性器から親父のザーメンを垂れ流しながら、笑顔で弟と話す。

未唯の弟のための明るい演技が痛々しかった。

 

そして翌日、心音は瀬能 さくらにその一部始終を伝えた。

合わせて彼女の家族の状況もわかる範囲は全て伝えた

未唯は母親の死後、現在の喜連家に養子として引き取られた事。

社会人であった姉は父親に生活費をせびりとられていたと言う事。

そして現在は姉の家族と音信不通であると言う事。

弟は父親のもとに残されて、何度か児童相談所の訪問を受けるような状態であること。

そして、親父は実家や親類に金の無心を繰り返し、未唯の養子先も迷惑をかけて、親父が関係あるうちは喜連川家は弟まで引き取るつもりはないと言う事。

要はいろいろ八方塞がりの状態で未唯が体を張って弟の暮らしを支えていたのだ。

家族をネタに妻を食い物にし、弟を人質にして娘を次々と犠牲にして自らの怠惰な生活を維持する最低のヒモ男!醜い鬼の姿が明らかになった。まさに縊れ鬼であったのだ。

 

しかし私は驚いたのはその報告を聞いた瀬能 さくらの表情だった。

死神に表情と言うものがあるとするならば間違いなくこういう顔だろう。

彼女がそういう顔をしていた。

普段の彼女はふわとろ系の触ると溶けてしまいそうな優しい女の子だ。

それゆえにクールな喜連川 未唯とのお神酒徳利は絵になる光景だった。

 

「本当に親子の縁って嫌だよね!私も親で苦労したから彼女の気持ちよくわかるよ」とさくら

「これはもう弁護士事務所とか絡めたほうがいいんじゃない?」と私。

「あーゆーやつはさ、法律で引き離しても何度でも、未唯や美幸姉さんに取り付くだろうね、未唯の親父は女に寄生するしか生き方を知らないからね」とさくらはいう。彼女はその外見とは裏腹に世間の裏表を知り尽くしているかのようであった。

「それじゃあどうするの」

「未唯のために私、親父に会うことに決めた、、。うちも訳ありでさ、ずっと親父と距離をおいたんだけど今回は親父を頼ることにしたよ。」桜が凄絶な微笑を見せた。

そして心音はその理由を3日後に知ることになった。

 

心音と未唯は桜に呼び出された。

「今日で未唯の親父と決着をつける!未唯、一緒に「縊れ鬼」を葬り去ろう!」

普段のさくらとは違う強い口調で私たちを説き伏せた。

そして未唯の親父のアパートへと向かう。

そこには3台の黒塗りの車が止まっていた。

国際色豊かな強面の男たちが8人ばかり未唯の父親のアパートにたむろしている。

アパートの部屋の真ん中ではボコボコにされた未唯の親父が震えていた。

 

仕立て良い服を着た貫禄のある男がさくらを見るなりを満面の笑顔で走り寄ってきた。

「おーーーーさくらーーー!大きくなったな!可愛くなって、美人になって、お前はどこまでお父さんの天使にになれば気がすむんだい?」

どう見てもヤのつく職業にみえる大男はさくらに抱きついた。

まるで子猫と遊ぶかのようにさくらに頬ずりする大男。

「うぅ、パパ、、ウザい、それより例の件、大丈夫なの?」さくらは父親を見る。

 

「ああ、この百瀬 拓三の借金の証文は全て、業者のものから個人貸し、2人の娘からせびりとった分までまで、ウチの瀬能グループが買い上げて一まとめにしておいたぜ。このろくでなしは借金まみれだ、ざっと5000万円はあったな!」

さくらは未唯の親父の首根っこを掴んで引きずり起こした!そして吐きすてるように言った。

「おいヒモ親父!今日からあんたは借金の返済のために30年間、パパの経営するアフリカの鉱山で働くんだよ。逃げようとしたって砂漠のど真ん中だからね、ずっと逃げられない!あんたはアフリカの土になるんだ!」

 

ヒモ親父はさくらの後ろに未唯の姿を見て、四つん這いになってすがりついた!

「未唯、お父さんを助けてくれ!お前の馬鹿な友達になんか言ってやってくれ!」

「お父さん。未唯の娘として最後のお願いです。私たちの前から消えてください!」

彼女はうっすらと涙を浮かべ声を詰まらせながらそう言った。

「この親不孝もんがぁぁぁ!」親父は怒声を上げて立ち上がった。未唯を殴ろうというのだ。

 

しかし、その瞬間、雷に打たれたように飛び上がり腹を抱えて倒れ込んだ。

「私の未唯に汚い手で触ってんじゃねーよ、この縊れ鬼がぁ!!」

瀬能さくらのつま先がしたたかにヒモ親父の股間を蹴り上げたのだ!

「この、、、あば、、ず、れ、がぁ、、、」ヒモ親父はさくらを睨む。

 

「パパ さくら怖いよ 助けて」さくらは父親の大きな背中の後ろに隠れた。

「おい、うちの可愛くて清純で汚れのないさくらがなんだって?あん、もう一度いってみろや!」

ヒモ親父の顔が恐怖に歪む。そこに縊れ鬼どころか本物の赤鬼がいた!

大男の激しい蹴りがヒモ親父の股間に炸裂した!グシャァ!と何かが潰れる音がした。

「ごぎゃーーーーーーピギャーーーーげえええええええ」

今まで聞いたことのないような滑稽な叫びを上げてヒモ親父は転げ回った。

 

そしてヒモ親父はその日のうちに、屈強な瀬能家の関係者とともにアフリカ行きの貨物船に乗った。

瀬能の家は貿易商である。しかしただの貿易商ではない。

ただしなんでも商う、武器や兵士や労働者も、経済マフィアや死の商人だと言う人もいる。

ヒモ親父はその他、多くの悪質な多重債務者達とともに、アフリカの荒野の真ん中、

地下300メートルの鉱山でレアメタルを掘ることになる。

そして屈強な鉱夫達におそらく尻の穴も掘られることになるだろう。

彼は人生で初めての勤労を経験し、男のペニスを経験し、おそらくはアフリカの土となることだろう。

 

こうして喜連川 未唯を苦しめていた縊れ鬼は葬り去られた。

そして姉妹と弟、さくらと心音、揃ってのささやかな再会の宴がひらかれた。

桜並木がキレイな河原に面した小さな中華屋、家族の思い出の店だ。

ヒモ親父に隠れて暮らしていた姉の美幸も姿を現した。夫婦崩壊の危機は何とか回避できたらしい。

未唯、美幸、拓人、バラバラだった3人の姉妹がやっと笑顔で暮らせる日が来たのだ。

拓人は喜連川家の養子として迎えられた。

うれし涙を流して抱き合う3人、その結末を見届けて、1人、背を向ける女がいた。

瀬能 さくらだった。

 

彼女は1人大粒の涙を流して店を出た。

河原の土手を1人歩く、彼女は縊れ鬼の手から最愛の恋人を守った。

しかし、彼女の実家の素性が喜連川 未唯の知るところとなった。

生真面目な未唯に自分の父親がどう映ったかは想像に難くない。

今までの彼女の友達たちがそうであったように、未唯また自分と距離を置くだろう

恋人関係であればなおさらのことだ。

 

ハラハラと夜桜が散っていく、自分も散り時がきたとさくらは思う。

今ここで自分が死んだら、きっと未唯は自分のことを覚えていてくれるだろう

2人の幸せな思い出だけを心に残して自分は旅立っていけるだろう。

死と言うものが甘美な開放に思える瞬間。

足元に工事用ロープが転がっている。見上げれば満開の桜の枝振り

次第にさくらの心に黒い影が広がっていく。

縊れ鬼が「今日ここで首をつれ」とそそのかす。

彼女は無意識のうちに工事用ロープを丸く結んで桜の枝にかけた。

幸いあたりに人影は無い。彼女はベンチを踏み台にして

自らの首をその輪の中に入れようとした。

 

しかし彼女の耳に最愛の恋人の声が響いた。

「さくら!さくらーーーーーー!」未唯が必死の形相で駆けてくる

息を切らして涙を流して、

彼女の心に取り付いた縊れ鬼がその姿を見て あと形もなく消しとんだ。

「未唯!みいーーーーーーー!」

2人は強く抱き合った。

 

「未唯、 こんな私のそばにいたら未唯が不幸になるよ!」さくらが泣いた。

「さくら!あなたのために不幸になるなら構わない、あなたが私の縊れ鬼なら、喜んで死んであげる。

だから私から離れないで、ずっとそばにいて、愛してるよ!さくら!」

彼女はさくらの小さな体を抱きしめて力強く唇を奪った。

桜吹雪が抱き合う2人の姿を隠した。

 

心音は遠く橋の欄干の上から2人の姿を見ていた。

未唯の父は最初からあのような男ではなかった、優しさが弱さになり、弱さが卑劣さになったのだ。

彼は自分の家族以外は傷つける事ができない弱い男であった。

それゆえに未唯の家族の不幸があった。

彼女の父親は妻や娘の愛にすがり、あげく、すがり殺そうとしたのだ。

心音は思った。弱い事を優しいというが、真に弱い人に優しい人はいない。弱さは時に鬼を生む。

 

未唯には、弟のために自分の人生を投げ捨てるという鬼がついていた。

そして、さくらには愛のための犠牲になろうという鬼がついていた。

縊れ鬼は誰の心にでも宿る。愛も悲しみもすべてはその寄り代となるのだ。

そして破滅の響きは時に甘美にその耳に届くのだ。

そう縊れ鬼は全ての人の心に潜み待っているのだ。

決定的な場面において、縊死へいざなう言葉を心に響かせる瞬間を。

 

 

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