※この作品はR-18です。

現実社会の恐怖 エッチな百物語 どこから読んでも各話読み切り   作:みなぽん

7 / 40
東京都 八丈島 海の怨霊「海難法師」と少女 妖怪ハンター 月読 心音

私は月読 心音 (つくよみ ここね ) カルチャースクールで心理学の講師をする傍ら、大学院で日常生活の中に潜む妖怪や怪異といった現象の研究をしています。

大学院での専攻は心理学です。「人々の錯覚や心因性の障害によって、ありえない存在を見る。

それが世界に多数存在する妖怪伝説や心霊現象の正体である」と言う仮説に基づいて研究しています。

友人たちにはそんな私の姿が奇異に写るらしく、子供の頃に流行った珍獣ハンターと言う番組をもじって「妖怪ハンター」と言われています。

 

私の母の実家は宮城の白鳥神社。父の家は埼玉の月読神社です。

ともに神主の家系ですから、そうした知識は幼い頃から触れる機会が多くありました。

そうした神秘や怪異の一端を担っている月読神社の神主の娘である私が、心理学と科学の目で否定しようと言うわけですから、世の中は皮肉なものです。

この世で人に関する事象である限り、心理学で解き明かせないものは無いのです。

 

もちろん、妖怪現象を研究する以上、心理学の知識だけではどうにもなりません。

歴史や民俗学への理解も大事になります。

私は親戚の立花鏡ちゃんの紹介で日本民俗学の権威、大東都文化大学の柳沢 昇先生のもとを

訪ねて(押しかけて)いろいろと妖怪の知識を教えていただいています。

中年の落ち着いた魅力を持つ柳沢先生、先生のゼミはゼミ生も多くいます。

ことに姉川美奈子さんと南條美和さんと言う2人の学生はいつも先生と一緒にいます。

「ここね姉、いらっしゃい。新宿の花園饅頭を食べますか?」美奈子という女の子ははいつもニコニコと饅頭とほうじ茶を出してくれます。相変わらずの豊かな胸、Cカップの私にはちょっとうらやましいです。

「美奈子ちゃん ありがと、このお饅頭美味しいわ」若い学生と語る楽しいひととき。

いつか私も教授になってこうした活気あるゼミ室を持ちたいものです。

 

「先生が研究されていた風習の中で妖怪が登場するものはありませんか?できればその伝承が今も生きているところが知りたいんです。」

いつものように押し掛けて、私は先生に質問をします。

「東京からフェリーで半日行ったところに八丈島と言う島があります。そこの1月24日の「海難法師」と言う伝承は今でもリアルに村人に信じられていますよ。」

「その辺の話を詳しく聞くにはどうしたらいいでしょうか?」

「基本的にはフィールドワーク、しかしその前に歴史や風俗をよく調べると良いでしょう。最近は地元のコミュニティーサイトなどもありますから、そこで現地のお友達を作っていろいろ聞いてみるのも良いですね。」柳沢先生が教えてくれました。

 

こうして私は先生に教えられた手順で研究を進めました。

そうした中で 南風原 藍ちゃん、16歳から「海難法師」との遭遇談を聞くことができました。

今日はその取材メモを紹介します。

 

南風原 藍さん 当時14歳 2018年1月 24日 八丈島シーパレスホテルにて取材。

 

この島では1月24日、海難法師がくると言われています。

寛永5年、豊島忠松という悪代官を村人が荒れる海に連れ出して殺したため、その怨霊が島を巡ると言う説

代官を殺した村の若者25人が暴風雨の夜に逃亡し、村人にかくまってもらえずさまよった挙句、1月24日に海難事故で全員が死亡。村人に裏切られた怨霊が島々を巡るという説。

海の事故で亡くなった者の怨霊であり次の海難の死者が出るまで成仏できないという説、

そして共通する事はそれを見たものが死ぬと言う事

その日には村人が柊やトベラを入り口に立てて絶対に外には出ませんし、海は見ません。

 

村内を彷徨う海難法師に出会えば命はないからです。

南風原 藍ちゃんは昨年の1月24日に海難法師に遭遇したそうです。

その時の模様をアイちゃんはこのように語ってくれました。

私は遠い親戚の玉城 智樹さんというお兄ちゃんの家で1月24日を迎えました。

うちの家は沖縄から引っ越してきたのですが、海難法師の風習とか一切お構いなしで、

その日、両親は東京に急な用事で行ってしまったんです。

私は学校で海難法師の話を聞いていましたから、100%信じないまでも怯えていました。

智樹お兄ちゃんはそんな私を心配して自分の家に私を呼んでくれたんです。

 

親戚の集まりとかで何度か会ったことがあってちょっと素敵だなぁと思っていた年上のお兄ちゃんです。

お仕事は漁港で船の修理屋さんをしています。

夕方になる前にお兄ちゃんの家に入りました。2人でカレーを作って、レンタルの映画を見て過ごしました。

夜9時になってお兄ちゃんが驚いたような声で言いました。

「入り口の扉に付けていた柊が風で飛ばされてしまった、これはまずいことになったかな」

今まで楽しく過ごしていたお兄ちゃんの笑顔が消え、思い悩むような表情になっています。

「お兄ちゃん海難法師って迷信だよね、、」ちょっとおびえて私が聞きます。

 

「俺の中学時代の友達がそう言って1月24日海に夜釣りに行って帰ってこなかったんだよね。俺その日こっそり窓の隙間から外を見ていたんだけど、友人が釣りをしている堤防のところを背中の曲がった黒い影がズルズルズルズルって友達に近づいていくのが見えた気がするんだ。」

「ヤダ、そんな、シャレになんないよ」お兄ちゃんの真剣な声にさらに恐怖が高まります。

「柊がないとたとえ鍵をしていても海難法師は家に入ってきちゃうんだ、

俺、隣の家から柊を分けてもらってくる。もし俺がいない間に何かあったら、

絶対に目を開けないこと。海難法師の顔を見てしまったら命はないからね。

絶対に目をつぶっておくんだよ」そういうとお兄ちゃんは出かけていきました。

 

隣の家までは1キロほどあります。

自分が出会ってしまうかもしれないのに私のために勇気を出していってくれたんです。

私はお兄ちゃんのベッドの中で震えていました。布団がお兄ちゃんの匂いがしてちょっと安心できます。

私はお兄ちゃんの布団にぎゅっと抱きつきました

そして2分ほど経ったとき引きずるような足音が外から聞こえてきたんです。

ズズッーーーズズッーー引きずるような足音が聞こえます。

 

がらがらがらっつ横引きの扉が開きます。お兄ちゃんは鍵をかけていたはずなのに。

それと同時にブレーカーでも落としたように家中の電気がバッサリと消えました。

1階の部屋をずるずると歩く音が聞こえます。1階の部屋の扉を1つずつ開けて中に人がいないか探しているようです。私は2階のお兄ちゃんの部屋の中でブルブルと震えています。

そして次にゆっくりゆっくりと階段を上ってくる不気味な足音がしました。

その得体の知れない侵入者が扉を開けると部屋に潮の香りが満ちました。

私は目を閉じて両手を前に合わせて合掌しました。

 

「海難法師様 見逃してください。南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏」私は涙ぐみながら体を硬くしました。

目を開けたら命を取られると言われていますから目を開けることができませんでした。

「ぐふふふ じゅるり 海難法師か、、、面白い。 そうだ、俺は海難法師だ、命がおしくば言う通りにしろ」

少し酒に酔っているようなろれつの回らない地の底から響くような気持ち悪い男の声がしました。

「許してください。許してください。」

「目を開けるなよ、何をされても、くふふふ、どれどれ、お前の身体をみてやろう、、くふふ」

化け物は私のパジャマのボタンを一つ一つ外して、パジャマのズボンを乱暴に剥ぎ取りました。

私は裸にされて食べられてしまうのかそんな恐怖が頭をかすめました。

 

「フゥーーーフゥーーーだいぶ女の体になってきたな、ガキだと思っていたがこれはこれで、」

荒い鼻息、ジュルジュルとよだれを垂らす音がします。

私の細い足の足首をつかんで私は化け物に足を開かされました。

私の熊柄のパンティに化け物は顔を近づけて匂いをかぎます。

そして私の恥ずかしいところに唇を押し付けてきます。

パンティー越しに化け物の舌が私の花園をなめまわし、スポーツブラも乱暴にはぎ取られました。

 

「まだちっちぇパイオツだな、朱美とは大違いだ、、こんな小さなおっぱいでも、触れたらどうなるかなぁ?」化け物の指が私の乳首に触れました。たっぷりと唾をつけて指先で私の乳首をこね回します。化け物がなぜお母さんの名前を知っているのか、恐怖で混乱した頭の中にさらなる混乱が訪れます。

次第に乳首の先がじわじわと熱くなって感じたことのない感覚がおっぱいに広がります。

「まだ少女のおまんこの匂い、あいーーあいーーパンティーを脱いでお前の女の子を見せてみろ」

気持ちの悪い怪物は私の名前まで知っていました。

 

私は抵抗できずにパンティーをむしられて化け物の前に女の子の大事な部分を晒しました。

クチュゥチュピチャピチャチュー恥ずかしい音を立てて化け物が私のおまんこを舐めます。

小さな穴に尖った舌先が入れられます。

敏感なつぼみの先っぽをいやらしい手つきで撫でるように責められます。

オナニーとは桁の違う性的刺激、体の方が勝手に反応しておまんこ濡らしてしまいます。

気づけば自分の細い腰が小刻みに震えて化け物の顔におまんこを押し付けていました。

 

化け物はきっと怪しい力を使って私は変な気分にさせているんだと思いました。

私の乳首も痛いほど勃起してしまって化け物に触れるたびにとろけるような快感が押し寄せます。

「こいつ!おまんこ濡らして自分から腰を振って、やっぱりお前は朱美の娘だな!俺がさんざん可愛がってやったにもかかわらず、他の男と結婚してガキまで作りやがって!このガキ、アヘ声が朱美そっくりだぜ、げひひひ、おまんこのココ!指で擦りられると弱いんじゃねーか、おらおら!」

そう言うと化け物は私のおまんこの奥まで指をねじ込んでクンッと指を曲げて内側の壁を押すように撫でてきました。

 

男の指が出し入れされるたびにキュンキュンっと下腹から今まで経験したことのない刺激が湧き上がります。

「いぎぃ、ああが、ああひぁあ、ああ、何、これ、あああ、やらぁ、やらぁ、やめへ、いやらよぅ、ああ、いやん、ひぐぅ、、あああひぃぃぃ、あああ、なんかくる!くる!きちゃぅうううう」

男に触られるたびにばねじかけの人形のように私の腰が激しく触れました。

そして私の割れ目のお肉が化け物の指をきゅうきゅうと締め付けてしまいました。

そして突き抜けるような快感が私の下半身から頭まで噴き上げて、私は潮をふいてイッてしまいました。

私の小さな割れ目から暖かい体液がお兄ちゃんのベッドの上に飛び散ります。

腰の力が全て抜けてだらしなく開いた口からよだれを垂らして私は化け物のおもちゃにされたのです。

 

私はポニーテールを乱暴に掴まれて無理やり引きづりおこされました。

そして毛生えたブニブニした塊と棒状の肉を顔に押しつけられました。

ツーンと鼻をつく、独特の生臭い匂いがします。

「オラ、これをしゃぶれ、犬みたいに這いつくばれ!」

それをぐいぐいと押し付けられ口の中に入れさせられました。

そして太い肉の棒を唇を押し分けて喉の奥まで入られました。

「歯を立てたら殺す!タコみたいにちゅうちゅうすんだよ。」

私は硬くて生臭いものをシャブらされました。

 

そして同時に私のおまんこは化け物の指で散々弄ばれ快楽を引き出されました。

私は肉棒をしゃぶらされながら、おまんこ濡らしました。

強い匂い、不思議としゃぶるほどに興奮し、おまんこがどんどん濡れてしまうのです

そして心を込めて汚らしいものをしゃぶってしまうのです。

「んげ、んんん、lぐぅ、、んんん、あ、あ、あああん、むぐう、うぶぅ、ああああん」

「おお、顔だけならそっくりだぜ!朱美、朱美、おおおお、飲めよ、飲めよっ射精る!射精る!」

ビュルビュルビューービュー「うぉう、射精るーーーーー!」ビュ、ビュ

化け物大きな手が私の顔を押さえつけて口と喉の奥に粘ついた体液を吐き出しました

私は口の中に体液を出されながらイッてしまいました。

 

そしてイキ果てて動けない私の上に臭い化け物の体がのしかかりました。

目をつぶっていたのでよく分かりませんが、私のおまんこに熱くて硬いものが押し付けられました。

もちろんそれが何か分かりませんが、直感的にそれは化け物の悪意の塊であると言うことが私にはわかりました。それは私の体内にじりじりとねじ込まれようとしていたのです。

灼熱の鉄の棒で串刺しにされるような感覚、生暖かいナメクジに侵入されているような気持ち悪さ、そして私の精神まで侵食するような脳に響くぞくぞくとした感覚。

 

「犯される」「生殖行為」「セックス」「レイプ」思春期の私の聞きかじりの知識が頭の中でぐるぐると回りました。そして化け物の悪意の塊は私の女の子の貞操の幕を突き破ろうとしていました。

あたしは必死に腕を突っ張って化け物はね避けようとします。

「やめてーー!やめてよぉ!」

恐怖を忘れて化け物の体を拳で叩きました。

人は顔を叩いたような感触がありました。

 

「いてぇな、クソガキ、たっぷりと犯した後で朱美にお前の死体を写メで送ってやるぜ!」

化け物の太い腕が私の首を絞めました。閉じた目の中で世界がスパークし息が詰まりそうです。

頭がガンガンとなります。私の意識が遠のきます。私はやっぱり海難法師に殺されてしまうのです。

あきらめかけたその時、駆け込む足音、扉を荒々しく開ける音が響きました。

「やめろ!この野郎」そこに扉を開けてお兄ちゃんが飛び込んできたんです。

バキ!ゴイン バキ!グシャァ!暗闇の中でお兄ちゃんが海難法師をバットで殴りつけていました。

 

「なんだこいつ、グヘェ、ウガァ、ゴフゥ!」海難法師の無様な声、、、。

海難法師は窓ガラスを突き破り、1階の地面に叩きつけられてヨロヨロと逃げていきました。

「ごめんね、藍ちゃん遅くなって!」お兄ちゃんが私を強く抱きしめました。

私の頬に顔を寄せるお兄ちゃん、お兄ちゃんの目から熱い涙が溢れて私の顔にかかります。

私は助かったと言う安心感と大好きなお兄ちゃんにに助けられたという喜びの中で気を失いました。

 

こうして私はお兄ちゃんのおかげで助かりました。

しかし、その翌日、漁に行った漁師さんの中で糸満 洋行さんという漁師のおじさんが船が難破してお亡くなりになったと聞きました。

海難法師は、私を引きずり込むつもりが果たせなかったのでその糸満さんを海に引きずり込んだのではないでしょうか。

 

以上 南風原 藍さんの 証言

 

こうして彼女話は終わりました。私は彼女に取材のお礼に東京土産の東京バナナと原宿のかわいいアクセサリーをプレゼントしました。

藍ちゃんはうれしそうにくるくる回っていいました。

「素敵なアクセサリーとってもうれしい。智樹お兄ちゃん 藍のこと、可愛いって言ってくれるかな?お兄ちゃんと一緒に東京バナナ食べよ!」

「助けてくれた智樹お兄ちゃんね?もしよかったら、お兄ちゃんとも話させてもらいたいんだけど、いいかしら。」

私は彼女の話を聞いてある疑念が芽生えていたからです。

「お兄ちゃんなら漁港の南側の修理ドックにいるからいってみて。藍からお兄ちゃんにはオッケー取っとくから」

 

こうして私は八丈島の漁港に向かいました。波消ブロックの向こうには白波が立っています。

外洋にある八丈島は海も荒く漁師は大変な仕事です。いつ何時、自分が海難法師になるかわからないのです。

コンクリートに囲まれた小さなドックに智樹さんはいました。

「やあ、藍ちゃんのお友達?東京の月読心音さんでしたっけ。」

「はい、海難法師の件で研究に協力をしていただいたんです。」

「藍は1年前の出来事を海難法師に襲われたと思っているんですね」

智樹君がはっとしたような顔をしました。

 

「智樹さんあなたは本当のことを知っていますね?私は藍ちゃんの経験した海難法師の一件と糸数さんという漁師の遭難、そしてあなたを1つの糸で結ばれていると思っているんですよ。」

「心音さん、あなたはどこまでわかっていらっしゃるんですか?」智樹さんはききます

「私の推測と心理学を交えた見解でよろしければお話をさせていただきますが。」

私と智樹さんはドックのドラム缶に腰をかけて小波の音を聞きながら話しました。

 

「八丈島は気候も温暖で過ごしやすいので、親戚を頼って沖縄から来る人もたまにいらっしゃるんですよ」

彼はお茶の準備をしながら気さくに話してくれました、焼けた肌にきれいな歯並び、笑った笑顔がとっても素敵な好青年です。

智樹さんはあったかいお茶と石油ストーブで炙った八丈島名物のくさやを出してくれました。

最初は強い匂いに閉口しましたが、思い切って口に運んでみるとその芳醇な味わいに私はすっかり夢中になりました。

「それでは話させていただきますね。まずこの件は海難法師とは全く無縁の出来事ですね。智樹さんもおっしゃってましたが藍ちゃん家族は沖縄の方ですね。亡くなった糸満さんも典型的な沖縄の方の名前です。

 

まず、この糸満さんと藍ちゃんのお母さんの朱美さんとの間に何かがあったのではないでしょうか、そして、彼女のご両親が急遽東京に行ったこと、智樹さんが藍ちゃんを1月24日に預かった理由それもそこにあるような気がするのです。」

「藍ちゃんの話からそこまで感じ取るとは凄いですね心理学ってそこまでわかっちゃうんですか?」

「彼女の話した中身、事前に取り交わしたメールのやり取りでうっすら感じてたんですよ。外れていたら申し訳ないんですけど、お母さんは飲み屋さんのお仕事とかしてませんか?藍ちゃんの人当たりの良さとか、絶対この子接客業しているうちの子供だってわかるんです。そして少しませた感じがお酒も出る店なんじゃないかなって。そして藍ちゃんの顔から想像するにお母さんも相当美人ですよね。」

 

「娘からそこまでわかりますか、そうですよ彼女の家は島で何件もないスナックの1つです。夫婦でやってますから朱美さんがお客と爛れた関係になる事はないですよ。

でも昔、沖縄にいた頃付き合っていた恋人が糸満なんですよ。

とんでもないDV男で、今の旦那さんが見かねて守ってあげたらしいです。それでも付きまとわれて八丈島に来たのは糸満から逃げる意味もあったんですよ。

糸満と言うのはひどい男で朱美さん以外にもレイプ事件とか何件も起こして最近まで服役してたんです。

ところがひょんな拍子で観光客のFacebookを見て目ざとく明美さんを見つけたんですよ。

あいつはもともと漁師ですからね、人手不足の昨今、多少過去に傷があっても雇い先はいくらでもあります。中古のボロぶねにあてがわれて漁師になったわけですよ。

寺泊漁業共同社って会社です。うちも寺泊の持ち船の整備、やらせてもらってますよ。

そんで小金がたまったら朱美さんのスナックに顔を出すようになった。

そして夫と別れて俺と結婚しろなんてストーキングを始めたわけですよ。

1人の帰り道に糸数にレイプされかけたこともあったらしいです。

そこで1月24日、店を閉めても支障のないこの日に東京の弁護士事務所に行ったんです。

訴訟を起こすつもりだったんですよね。そして、藍には知られないために俺のところに預けたわけですよ。

藍ちゃんも狙われてるといけないから、俺は海難法師の話をして勝手に外に出ないようにしたんです。

柊の枝を取りに僕が出たのは、嘘で実は知人から糸満が藍ちゃんの家の周りをウロウロしてるって言うんで放火とかされたらいけないなと思って慌てて見に行ったんですよ。」

 

「その隙に糸数は入れ違いにあなたの家をおそったのですね。」

「藍ちゃんがうちにいるのを嗅ぎつけていたんです、あとでわかったことですが、藍ちゃんの友達を暴力で脅して藍ちゃんの居場所を吐かせたらしいですよあいつは!」

「ともあれすんでのところであなたに藍ちゃんは救われたわけですね。」

 

「あんなので、救えたうちに入るなら、ですが彼女はあの夜の恐怖体験を海難法師という化け物のせいにしています」

「そうですね、解離性障害の一種、記憶の改ざんがおきています。精神がレイプの恐怖の記憶を抑えるために、脳が記憶のすり替えをしている形跡がありますね。辛い思いや大事故を化け物や妖怪のせいにするのは、人間にとってある種のマイナス方向の癒し行動なのです。「人智をこえた非日常の化け物の仕業だからしょうがないと」あきらめるわけです」と私は答えました。

 

「その記憶の改ざんは元に戻るのでしょうか?」

「うふふふ、気づいてますか?今では彼女のその記憶が次第に「幸せな記憶」に変質しているんです。怖いお化けに襲われているところを大好きな王子様が助けに来てくれたという記憶にね。これは女の子にとって最高のエピソードになるんですよ。あと彼女に必要なのは王子様とのハッピーエンドの記憶だけです。だから藍ちゃんを大事にしてあげてくださいね。」

「え、俺はあいつをただ守ってあげたいだけで(//∇//)」

「彼女は、これからもっと美人になるわ(^ ^)押さえておくなら今のうちだと思いますよ。ふふふ」

 

「さてここで最後の疑問の確認です。糸数はなぜ翌日に海で死んだのか?海難法師の日の翌日、冬の海は少し荒れていた。でもベテランの漁師が命を落とすほどであったかというとそうでもないですよね」

「糸数は他殺だと?でも海の上でひとりでいる漁師をどうやって殺せるんですか?」

「あくまで例えばですよ、寺泊漁業共同社の船のメンテナンスは智樹さんがしているんですよね。

糸数の与えられた船はもとより中古のボロ船だったと聞いています。メンテナンスのプロの智樹さんであればどこをどういじれば船が故障するとかもわかっているんじゃないですか?」

 

「俺ならこうしますね。船のスクリュー点検窓の蝶ネジを緩めます。これが振動で開くと海水が噴き出します。上甲板上で作業してる漁師は船底の変化にめったなことじゃ気づかないでしょうね。無線機の配線も断線させておけば救難信号も出せませんよ。広い海の上で静かに沈んでいく船、外は冷たい海、季節が1月25日じゃまず助からないでしょうね。、、、でもこれはもしもの話です。糸数の件は事故なんですよ、船主の寺泊社長は船の保険と糸数の生命保険がが入って大満足、糸数には身寄りがありませんからね。ボロ船とロクデナシが三億円に化けたって大笑いしてましたよ。朱美さん家族も糸数が死んでほっとしているでしょう。もちろん私もです。俺の藍に汚い手で触れたあんな外道は死んで当然です。」

智樹さんは暗い笑みを浮かべて語りました。

 

「ふふふ、私もあなたと同感です、女を不幸にする化け物が退治されてめでたしです。(^ ^)

私は警察ではありませんから糸数の死の真実には興味はありませんから、安心してください。」

こうして智樹さんのところで話を聞いた私は海辺の民宿に帰りました。

八丈島の温泉につかって、おいしい海の幸をいただき大満足です。

私は食後に部屋の窓を小さく開けて海を眺めました。今日は1月24日、海難法師の日です。

 

各家には魔除けの柊が置かれています。外を歩く人は誰もいません。

たまに通り過ぎる車にも柊の枝が貼り付けてあります。海難法師の伝説は色濃く息づいているのです。

海から上がってきて人々を襲ったのは海難法師ではなく、過去の妄執に狂った糸数という男でした。

船を沈めてその糸数の命を奪ったのは海難法師ではなく、まだ20代前半の心優しい青年でした。

やはり妖怪や怪異などというものは存在しないのです。

白波の立つ浜辺を眺める私。月のない夜、波の黒々としたうねりが広がっています。その波間からその夜、

海難法師らしき、まがまがしいものが立ち上がってくる事はありませんでした。

怪異は存在せず、自然界には邪悪な意思はなく、まがまがしいものは人の心の中にだけあるのです。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。