沢田綱奈は才能がある。しかも天才的だ。
リボーンはそう確信していた。
最初は嫌がっていたボンゴレボスになることにも嫌がることは少なくなり、まるでスポンジのようにこちらが教える技術を覚えていく。ボンゴレ直系が持つ超直感のおかげもあってか、ザンザス戦の数日前から初代が編み出した奥義、死ぬ気の零地点突破を会得し、さらにその先まで発展させてしまった。
教えがいがないと言えばそうだが、将来は立派なボスに必ずなる。
ただ少し気になるのは、教え始めた時に気づいたが少し戦い慣れていたことだろうか。
その気になる点も小さいものであり、リボーンは時間が経つにつれて忘れていく。
もしリボーンが、徹底的に調査をしていたら気づいたかもしれない。
綱奈の背後にいる存在を。
すでに、彼女も、その周辺もその存在に毒されていることを。
気づいたかもしれない。
「"人形"」
次にクロームへの調教のチャンスが来たのは、大空戦の次の日だった。
その間に、ひっそりとクロームと会っていた綱奈は、クロームへキーワードを言い、時間がある時には乳首を弄るように暗示をかけていた。
調教は一日にして成らず。
せっかく芽生えた乳首性感を再び寝かせないように、自ら性感を育てさせるための暗示だった。
そして今日。リボーンの監視がない時に、クロームと会った綱奈は彼女の耳元でキーワードを伝えたのだ。
「あ……」
クロームの瞳から光が消え、虚ろな表情で綱奈を見つめる。
数日前に白蘭が掛けた暗示の効果が発揮した証拠だった。
「さっ、クローム。私についてきて」
「……」
クロームの意思は深いところまで沈み、綱奈の言葉にこくりと小さくうなずいて、彼女は綱奈の後ろを黙って歩く。しばらく歩いて白蘭の家に到着すると、綱奈は玄関のカギを開け、地下室のある一室へ直行する。
そこはクロームが乳首開発されたベッドのある部屋であり、綱奈はクロームに着ているものを全て脱がせてベッドにうつ伏せに寝かせると、壁際にある棚から拘束具を取り出した。
綱奈はクロームに命令して、上半身はそのままに膝立ちの状態にさせて尻を突き上げさせる。そして線の細い腿と足を纏めて黒革ベルトで、両腕も同様に纏めてベルトで縛り上げて自由を奪う。
そうすれば、尻を高く後ろに突き出した無様な格好をしたクロームの出来上がりだ。その無防備でどこか危うげな姿勢がクロームの華奢な体付きと相まって、男が見ればついゴクリと生唾を呑み込んでしまいそうになる妖艶さと儚い美しさをかえって色濃く引き立てていた。
「よし、完成っと。白蘭呼んでこよっ♪」
そう言って綱奈は部屋を出ていき、数分後には白蘭を伴って帰ってくる。
「なかなかいい格好だね。偉いよ、綱奈ちゃん」
「えへへ……」
白蘭は優しくツンツンとした癖のある、綱奈の頭を撫でる。
「さあ、目覚めなよ、クロームちゃん」
撫でながら、白蘭はそう言う。するとクロームの意識は浮上し、目に光が灯る。
「……うぅ……ここは……」
意識の混濁はすぐに収まり、顔を横に向けて頬をシーツへ押し付けているクロームの視界に綱奈と白蘭の姿が入る。
「ボ、ボス……!! それに貴方は誰!? あ——うぅ……見ないで……!!」
自分をここまで連れてきたであろう綱奈。見知らぬ男。そして己が何も衣類を着ていないこと。
クロームはすぐに状況を察して、見知らぬ男——白蘭の姿に驚き、羞恥で顔を赤くさせる。
「ああ。そう言えばあの時、意識はなかったね。僕は白蘭。骸君の代わりに君の新しいご主人様になる男だよ♪」
「貴方がボスを……こんな風に……」
部屋に入って、白蘭にかけられた暗示通りに前回の調教を思い出したクローム。
綱奈が、普通の中学生が、あんなことをするはずがない。
彼女があんなことをするようになったきっかけが、目の前の男だと確信するのは当たり前のことだった。
「……ボスに何をしたの」
「幼い頃にいいコトを教えたくらいだよ。そうしたら綱奈ちゃんは僕の所有物で忠実なる下僕になってくれたんだ。そして君もそうなる運命にあるんだ」
「——イヤっ!! 私は骸様のもの!! 貴方なんかのものにならない!!」
クロームはとっさにそう言い放った。
身体は恐怖で震えているが、己の全ては六道骸に捧げている。誇りにも似たその事実がクロームに、小さな勇気を与えてくれた。
「流石、骸君の憑依先だね。怖がっててもそんなことが言えるなんて」
白蘭は関心したようにうなずく。
「確かに君なら耐えきれるかもしれないね」
「ひぅ……!!」
白蘭は、幼さの残る丸っとしたクロームの桃尻を撫で、棚まで向かう。そばにあったキャスター付きの台に棚から媚薬はもちろん、ペニスの形のしたバイブに、ビーズの連なったディルド、先端が大きく膨らんでいるバイブなど、様々な道具を手に取って置いていく。
「これくらいでいいかな」
棚から再び、台を引いてクロームの元に戻る白蘭。
クロームが顔を向けていた先で、様々な道具が乗っている台がすぐ近くへ運ばれてきた。
「それで……何をするつもりなの……」
中学生というのもあって、クロームの性知識はあまりついていない。まして大人の玩具などの知識などはまっさらだった。
「これで君を調教——僕の従順な駒になるように、気持ちいいコトを教え込むんだよ」
白蘭がニコリと微笑んでいるが、クロームはその笑顔が薄ら怖く感じ、小さく悲鳴を上げる。
「っ……!!」
「そう怖がらないでクローム。白蘭が幸せを、きっと誰も知ることができない気持ちよさを教えてくれるよ」
クロームを安心させるようにそう言う綱奈だが、そんな言葉ではクロームがまったく安心できるはずがなかった。
「さてと……。私はもう帰るね。そろそろリボーンと出かける時間だし。……ねぇ、白蘭。さよならのキスして……♥」
「いいよ」
白蘭は綱奈を優しく抱きしめて、綱奈は少し背伸びをしてお互いに唇と唇を重ねる。
舌を入れ合い、絡ませ合い、唾液と唾液を交換して、深い深いキスを交わした。
中学生になり、白蘭のひそかな教育もあって美しく成長している綱奈とのキスは、非常に絵になる情景だった。
「ふみゅぅ……白蘭のキス、幸せぇ……」
キスを交わして1分ほど、唇を離した綱奈は目じりを下げたとろんとした顔をしている。
(ボス……すごく、幸せそう……)
あまりにも幸せそうな顔つきに、クロームは現状に焦るよりもそんな感想が思い浮かんでしまった。
綱奈は名残惜しそうに白蘭の顔を見つめると、地下室を出ていき、白蘭はクロームへと向き直った。
「さて……。お待たせ、クロームちゃん。早速、調教を始めようか」
白蘭は台の上からイボ付き手袋を装着して、瓶を手に取ると、手のひらに中に入っているローションを垂らして馴染ませる。
ローションにはもちろん、媚薬が含まれている。
「いいかい、クロームちゃん。これから三日三晩、君に調教を施す。クロームちゃんも分かっているとは思うけど、誰も助けはこないよ。恨むなら君の仲間たちにもっと大切に扱うように言わなかった骸君を恨むんだね」
誰も助けに来ない。
それはクロームも理解している。
一か月も行方不明になれば流石に犬と千種も探すと思うが、たった3日では探すはずがない。
彼らにとって一番大事なものは骸だけであり、ただの憑依先であるクロームは目の前で危機にあっているくらいでないと助けることはないのだ。
「前に綱奈ちゃんからも聞いていると思うけど、この家には君と骸君との繋がりを切る結界が張ってあってね。それと復讐者の牢獄の付近にヴィンディチェたちが感知できない距離から、骸君が精神世界を渡れないように結界を張っていんだよ。だから、骸君自身も絶対に助けにはこない」
「でも……それでもっ!! 私は骸様のもの!! 私は絶対に耐えてみせる!!」
再び白蘭に向かってそう決意を宣言するクローム。
クロームの身体はひ弱だが、術師であり、術師の精神の防壁は強く、拷問などでそう簡単に情報を吐くことはない。
まだまだ骸の仲間となって日が浅い彼女であっても、骸への絶対的忠誠と彼女自身の才能によって拷問には、耐えきれるだろう。
しかしそれは、これから行われるのが拷問だったらの話だ。
「ふふっ。君にはこれまで経験したことがない気持ちよさを与えてあげよう。クロームちゃんは骸君の憑依先だから、三日三晩の調教は耐えきれるだろうね。でも精神の防壁はグズグズに溶けて……"あれ"にかけてしまえば、君は僕の忠実な駒となる」
白蘭が言う"あれ"が何のことか分からないが、クロームは強い意志を持って調教に臨む。
しかし、彼女は知らないのだ。
ナカから生まれる快感を。
快楽に底がないことを。
そうして、クロームへの調教が始まる。