“女難の対魔忍”暗躍譚 ―対魔忍RPGX HAERESIS― 作:holmint
(―校長室でふうま小太郎たちが『対魔石』についての会議を終えてから数時間後。
五車町内の秋山家近くにある「逸刀流(“斬鬼の対魔忍”秋山凛子の属する流派)」道場内にて)
「うわぁ……。佐那さん、鬼壱あずささんってホントに凄い剣士ですね。凛子先輩と互角なんて」
「ん? ああ、まぁな。……っつーかあたし的には剣より足捌きのほうがビックリだわ。何度もやり合って動きが読めるにしたって、どうやってあいつの空遁を術もなしに躱してんだ?」
「へ、蛇子にはどっちも雲の上過ぎて分かんないや……足固めてガードくらいしかやることなさそう……」
「おいーっす。あずささん、いますー? ……お、ゆきかぜ達もいたのか。おーい姉貴ー、あずささんいたー!」
「おいおい何だ神村ぁ、道場にいきなり入ってきてその態度はぁ? 一発しごいたろか……って、あれ、東じゃん」
「馬鹿声がでけーよ。道場なんだからちっとは行儀よくしろ……お、佐那もいたのか、おはよーさん。休日に押しかけてわりー、ちょっと用事があってな。……おーいあずさ、ちょっとこっち来いやー!」
「……ん、神村? それにあの人は……」
「…………珍しいところで会うものだ。凛子、すまないが少し休憩しよう。どうやら私の客らしい」
「あ、はい! じゃああず姉、私はお茶を用意します。後でお時間がありましたら、続きをお願いしますね!」
「……ふっ。ああ、もちろんだとも」
「……で、お前は何しに来た」
「んだよ、相変わらず陰気な奴だな。態々こっちに来てやったんだから笑顔の一つくらい……まぁいいや。おらこれ、ウチの校長からだ。こっちの用事ついでに届けてやったんだ。ありがたく思いやがれ」
「…………ああ、頼んでおいた呪符か。成程、一応礼は言っておくべきなのかもしれんな」
「かもしれん、じゃねえよありがとうぐらい言えよこの野郎! ……って、こんな漫才してる暇じゃねえんだ。おい舞華、こっちの用事は済んだんだ。さっさとお前の彼氏紹介しろよ」
「「「か、彼氏ぃ!?」」」
「な……あ、姉貴まだ言ってんのか! だからあいつはそんなんじゃねえって言ってんだろ! 偶々買い物先でばったり会って、荷物持ちさせただって……!」
「お前が只の男友達や舎弟を家に上げたりするか! 今までギャルファッションにばっか夢中でソッチの気なんざ一切なかったくせによ! 大体なら何であたしに隠すんだよ、えぇ?」
「そりゃ……姉貴が見つけ次第ぶん殴るとか言うからじゃねえか。……つか、さらっとバラすなやギャルの事!」
「…………ま、舞華ちゃんってギャルに憧れてたの(小声)?」
「さ、さぁ……お姉さん? が言ってるんだからそうなんじゃない? (小声)佐那さん、この人って……」
「ああ、神村東。正真正銘舞華の姉だよ。……おーい、お二人さん。姉妹喧嘩の続きはウチの店でやろうや。……あたしも詳しく聞きてえしなあ、その彼氏の話はよぉ?」
「「(あ、悪ノリした)」」
「だ、だから違うってぇ……!」
「お待たせしました。お茶で……ん? 騒がしいですが、如何しました?」
「聞く必要はない。犬も食わんような話だ。……凜、こちらの用事は済んだ。お茶を頂いたら夕食まで続きをしよう」
「あ……はい! よろしくお願いします、あず姉!! ……あ、皆もどうぞ飲んでくれ」
「あ、はーい! 私たちの分もありがとうございます、凛子先輩」
「早めに白状したほうが身のためだぞコラ、いいからこの前部屋にあげた男が誰なのか言えって!」
「部屋に入れたのかよ! そりゃあ言い逃れできないねえ。……って、おいまさか、それってあいつじゃ……」
「あん? 佐那お前、心当たりあんのか?」
「だ、だから誤解なんだって! あいつは……その、彼氏とかじゃなくってよぉ……!」
「え? ……ちょっと舞華ちゃん、その男の人ってまさか……!」
────2083年8月某日 夕刻
「へぇ、九郎さんも結構苦、っ……へぇっくしゅ!」
「ん、冷房か? ……いや違うな、誰かに噂されたか」
突然きた鼻のむずつきが抑えられず、俺は思いっきりくしゃみをぶちまけてしまった。
すいません、と運転手である九郎さんに謝りつつ車のセンターコンソールに置いてあるティッシュを一枚手に取り、鼻をかむ。使用したティッシュは後部座席に置いてあるゴミ箱に入れた。
五車学園での会議に、今運転手を務めている盲目の対魔忍、八津九郎氏が参加してから数分後、詳しい事情説明もないままに(これはいつもの事なので気にしていないが)彼の愛車に連れ込まれ、現在はひたすら高速道路を西へと進んでいる最中だ。
九郎さんの私物であるこの車は、車高が普通より高く一回り程サイズが小さいワンボックスカーといった外見だ。車内で寝泊まりすることも多い彼の生活スタイルに合わせ、様々な設備が取り付けられており、後部座席が快適なベッドへと変形するだけに留まらず、荷台には調理器具やテントも収納されている。
車体自体も、銃弾や爆発などの衝撃にも耐えられるようにかなり独自の改良が施されており、改造した本人曰く『そのまま戦場でも使い物になる』程度にはカスタム済みらしい。俺は車に詳しくはないが、八津九郎という男のプロフェッショナリズムには全幅の信頼を置いているので、たとえ彼の目が見えてなくてもその運転に不安を感じることもなければ、彼の成すことに疑いを差しはさむこともあまりない。
「……それで、お前の方はどうなんだ。井河姉妹とは上手くいってるんだろうな」
唐突な質問に、はい? と聞き返すととぼけなくていい、と硬い声を返された。
外には一切漏れてない筈だが何処から聞きつけたのだろう。それとも会議中の雰囲気から察したのだろうか。
「別にお前の性生活そのものについてあーだこーだ言う気はない。お互いの仕事に支障が出ない限りはな。紫にはまだ勘づかれていないんだろう?」
「……ああ、はい。さくら先生もそれには注意してるんで、今は問題ないと思います。……あの、やっぱり機を見てこちらから切り出すべきですかね?」
「はっ……莫迦な。話してどういう反応を期待しているんだ、お前は? あいつが『そうかおめでとう。3人とも幸せにな』なんて言う可能性があると思ってるのか」
「いえ、まさか……! リスクは覚悟の上でしたから俺が責められるのはいいんです。せめて紫先生の矛先があの2人に向かないようにできれば、ぎりぎり軟着陸と言えるかなー、なんて」
それを聞くと九郎さんはフンッ、と鼻を鳴らした。明らかに俺の短慮を嗤っている。
当たり前の反応だとは思う。お互いの立場を考えればたとえプライベートな問題であっても、九郎さんには俺や井河姉妹の言動に意見する資格と義務がある。
九郎さんは海外で活動することが多く五車には滅多に現れないため、その名前さえ多くの者は知らない。
増してかつて井河アサギの右腕として知られた“幻影の対魔忍”―ゆきかぜの母親でもある水城不知火が行方不明の今では、実質的に対魔忍のNo.2と言って差し支えない人物であるということを知る者は、本当に一握りの人間だけだ。
そんな彼が、暴露されれば五車最大のスキャンダルになるであろう俺たちの関係を快く思わないのは自然だし、俺が叱責で済まない所業を働いている自覚は十二分にある。
いや、しかしそれにしても──
「……九郎さんだって、俺がこの“技”を使う事には賛成だったじゃないですか。まあ最初の相手がさくら先生だったのは俺も予想外でしたし、そこからなし崩しでアサギ先生も、ってなったのは認めますけど。あの2人のそういった事情が不安だとも言っていたと記憶していますが?」
「俺の想定では紫→さくら→アサギの順番で、それもアサギを堕とすのに紫を加担させていた。それなら内部の問題はほぼなかったからな」
「……は? な、何ですかその順番?」
余りに人でなしの発言過ぎて、一瞬自分の耳が信じられなかった。
普通兄ならこういう時「妹には手を出すな」と釘をさすものじゃないのか。
「あいつは堅物で規律を重んじるが貞操観念に厳しいわけじゃない。どういう形であれアサギと結ばれる、という誘惑には勝てんのだから、自分から憧れの人に手を出したという負い目もあればお前の乱行には目をつぶると思っていたんだが……こうなっては逆に意固地になりかねん」
「え、ええ……?」
極めてフラットな口調であんまりな話を続けられ、今度こそ俺はただ困惑するしかなかった。
九郎さんはそんな俺をちら、と見えていない筈の横目で見て、今度は愉快そうにふっ、と笑った。
「非常識だという自覚はある。……が、少なくとも桐生とこのままなし崩しになるよりはましだと思うが」
「いや、そんな毒入りよりは腐った飯の方がまだマシ、みたいな言い方されても……」
さくら先生と同じ内容の台詞を言われて、こちらとしては苦笑するしかない。
美人とあれば誰にでも下心を抱き、女を落とす手管に長けた小僧の方がストーカーで触手まみれのマッドサイエンティストよりは「まだまし」だという話なら……まあ、正論と言えなくもないのかもしれないが。
「大体そんな詭弁で、紫先生は納得しないでしょう。このまま隠していたって、いずれは露見しますよ。あの3人は単なる同僚じゃありませんし、何なら紫先生の方はもう不審に思ってるかもしれません」
「……まさかお前、今からアサギと紫の仲を取り持とうとか考えてるんじゃないだろうな。それだけは考え直せ。今からじゃどうやっても拗れるぞ。妹はもちろん、アサギの方も決していい顔はすまい」
敬愛するアサギ様がふうまの若僧と、しかも自分に隠して情を通じ合わせていた。
確かにそれを知れば、八津紫という女性がどのような行動をとるか予想はつかない。恐らくショックで塞ぎこむだろう、それか俺を亡き者にしようとするのもまあ想定内、最悪の場合は俺や校長を巻き込んで心中しかねない。
そんな形で五車頂上決戦が勃発するなんて最悪にもほどがある。だが、そんな可能性が冗談で済まされない程に、八津紫の抱くアサギへの愛情は重い。紫先生本人はあくまで本心は内に秘め、尊敬する上役として接しているつもりだし、当のアサギ先生の方ときたら片思いされてることすら気づいてはいない。そしてそれを傍目に呆れながら面白がるさくら先生というのが、これまで彼女たち3人の関係性の構図だった。
だが俺という異物が間に挟まったことで、その過去には永遠に戻れなくなってしまった。
悪いことをしたとは思っていない。過程に些か以上の問題は在れど、2人ともに俺とセックスしたことを後悔してはいないし、どういう形であれ俺と男女の関係を結ぶことが互恵的な作用を齎すと信じられたからこそ、教師であるあの姉妹がこの不純異性交遊を容認しているのだから。
アサギ先生にしても、周囲が思っているような強い女じゃないことを俺は知っている。
別に“最強の対魔忍”という称号にケチをつけたい訳ではない。彼女は単に腕っぷしが強いだけでなく、生まれ持ったまっすぐな心と辛い経験からの教訓が合わさり、如何なる時も対魔忍総隊長、五車学園校長としての振る舞いを忘れず、正しくあろうと己を律している。実力も人格も、10年以上にわたり対魔忍のトップを務めつづられただけの器であることに疑念はない。
だが、アサギ校長に畏敬の念を抱く者の大多数は知らない。彼女が10年前、対魔忍としての責務と別れ自らの愛に殉じ、何者でもない只の女として生きようと決意したことを。
そしてその結果、一生添い遂げようと誓うはずだった人を失い、心に深い傷を負ったことを。
井河アサギという女は、一度恋愛でトラウマを負っている。
それ故に公平で勇敢、規律には厳格だが柔軟な対応力も兼ね備える正義の味方然とした態度を保ちつつ、心の中には常に寂しさを抱え、尚且つそれを晴らすことに怯えてもいた。
あれだけの美貌を持ちながら、30を過ぎても恋愛話が噂すらしないのはそのせいだ。
もちろん周りの男が端から諦めてしまっているという事情はある。どんなに自信過剰な対魔忍でもあの「最強」に迫れるほど無謀な者はいない。そもそも過去を知る身内は、そうした話を振ることすら躊躇うだろう。
単なる肉欲で声をかける者など歯牙にもかけず、力を知る者は欲情する前に委縮する。
俺とて、アサギ先生が無意識に抱く警戒を解きほぐすのには相当に骨が折れた。幼き頃から積み重ねた知己のよしみ、そして故合って身につけた技術と知恵がなければ敢え無く玉砕していただろう。
15という年齢の差など、彼女の嘆きを受け止める事に比べれば大した問題ではない。
だからこそ、彼女と性交渉を通じて心を通わせられたのは、俺にとっても大きな意味があった。
少なくとも「決してこの女の思いを裏切らず、この女に相応しい男になろう」という決意を抱かせる程には。
「今の俺にとって優先すべきなのは、アサギ先生とさくら先生です。そのためにも、紫先生をただ不幸にするわけにはいかないってことですよ。さくら先生も、これに関しては結構マジっぽいですし」
「ふん、端からハーレムルートしか考えていない連中はこれだから……。まあ、血脈から考えればお前が漁色家になるのは宿命だ。俺としてはその性を、俺の思い描く未来図の中で最適な潤滑油として活用できれば文句はない。八津家の女一人、その為の礎になるのなら安いものだ」
勿体ぶった台詞を聞いて、今度は俺が鼻を鳴らす番だった。
真意を隠すために敢えて露悪的な言い回しを使うというのは俺も時々やるが、そのやり口を知っている身からすれば少々滑稽にも見えてくるというのが困りものだ。
だがそれを抜きにしても、俺としては突っ込まざるを得ない部分が今の台詞にあった。
「そんなに言い繕わなくても、妹さんの事を案じているのは分かってますよ。そちらも、出来る範囲でいいのでアフターケアの方はお願いします。……ていうか、血筋のことは関係ないでしょう。確かに守備範囲は広いですけど、俺は親父みたいに誰彼構わずという訳じゃ……」
ない―と、言いかけた俺の言葉を「いや、ふうま弾正のことではない」と九郎さんが遮った。
「確かに彼は気の多い男だったが、保険のかけ方もケツの拭き方も十分に心得ていた。お前のように特殊な房術を修めたわけではないが、愛人同士の諍いも深刻なものは起きず、私生児によるお家騒動も起きなかった。お前に言うのもあれだが、甲斐性のある善良なプレイボーイだったわけだな」
「善良なプレイボーイ」というパワーワードの響きに、思わず吹き出してしまう。
「はは、何ですかその単語……健康にいい煙草、いや子供向けアダルトアニメくらい矛盾に満ちた単語ですね」
「まあ、女にモテるだけでなく、同性や子どもからも人気だったということだ。もちろんふうま一門の、だがな。俺が引き合いにしているのはさらに前の世代……そうだな、弾正の曾祖母にあたる女の事だ」
思わぬ昔話をされ、俺は首を傾げた。
親父のひい祖母ちゃんということは、つまりは現当主である俺から数えて4代前、少なくとも100年近く前の人間という事になる。
「……すいません、その人のことは良く知らないんですが。ていうか、うちに女性の当主がいたんですか?」
「何だ、意外と不勉強だなお前。……ああ、まあしかし当然か。彼女はふうまにとって存在してはいけなかったもの……謂わば一族にとって最大の黒歴史と言っていい。大方、当時の連中が記録を全て抹消したんだろう」
ますます疑問が湧く説明をされてしまった。
当主の座を追われるならまだしも存在した記録を消されるなんて、一体その人は何をやったというのか。そして、そんな曰くのある我が家の歴史を何故九郎さんが知っているのか。
「あの、九郎さんはどうして―」
その時、ピリリリリ……と俺の携帯の着信音が響いた。
しまった―心の中で舌打ちをしながら、急いでズボンのポケットから携帯を取りだし、話し相手に了解を得ることもせず通話に出る。彼がそんなことより、着信音が鳴り続けることの方が気に障るタイプだと知っているからだ。
いつもこの車に乗るときはマナーモードにしていたが、今日はうっかり忘れてしまったらしい。
「もしもし。…………はい? 何だ、蛇子か? いきなりそんな剣幕で喋られても分からん…………あ、ああ。確かに舞華の家には行ったよ。街中で偶然会っただけなのに、あいつが買い過ぎたってんで荷物持ちさせられて……え? それだけ? って……まあ、お茶とお菓子くらいは貰ったし、色々話したけど…………いや、してねえよ。……ああ、お茶飲んだだけ。何かお姉さんが帰ってきたってんで窓から追い出されちゃったしな。…………ああ。何もなかったって。………………あ、そうなのか? じゃあそのお姉さんにも、その辺ちゃんと伝えといてくれ。今人と会ってるんだ…………いや、男だけど。仕事の話中なんだ……ああ、じゃあな。2人に宜しく言っといてくれ」
そこで通話を終え、携帯端末をポケットに戻す。
「人気者は大変だな。……神村の姉が五車に来てるって?」
通話を終えた瞬間、不機嫌どころか愉快そうな笑みを浮かべながら九郎さんが話しかけてくる。
彼の耳を持ってすれば隣の電話内容を聞き取るくらいなんでもないだろうが、正直気分は良くない。
「……ええ、そうらしいですね。お知り合いですか?」
「知人と呼べる間柄ではあるな。あの女は神村の修業が嫌で家を飛び出し、今は五行学園で教師をしている」
「五行? って言うと……あの陰陽師がいるっていう?」
予期せぬ新情報が飛び出し、思わず不機嫌になったことも忘れて聞き返してしまった。
『五行学園』―俺の記憶が確かなら、京都の六波羅という地にある学校だ。
俺の所属している五車学園とは名前だけでなく、創設目的や運営体制も酷似している。ただし向こうは対魔忍ではなく、陰陽師を育成し魔の脅威に対抗する組織らしい。
正直同業者とは言え詳しい情報は把握していないし、俺自身今まで陰陽師に直接会ったこともない。
関西最大の犯罪都市アミダバラにある魔界へと繋がる門を守護する結界は彼らが拵えたものであること。また俺たちが東京キングダムやヨミハラに住む者たちに目を光らせているのと同様に、彼らも当該都市における治安維持を現地の協力者と共に行っていること。知っているのはそう言った基礎知識くらいだ。
本拠地が東西に分かれているからと言って、別に五車と五行は縄張り争いをしているわけではない。
実際アミダバラには五車の人員も常駐しているし、人材交流の名目で向こうの教師がこちらに来たり、任務によっては直接協力する事もあるようだ。
しかし舞華の姉さんがそこで教師をしているとは、初耳だし意外過ぎる繋がりだ。
そういえばこの前ゆきかぜから、凛子先輩の姉貴分に当たる剣士があの学園にいると聞いたことがある。“慙愧の対魔忍”と呼ばれる先輩をも凌ぐ華麗な剣技の使い手らしいが、一体どんな超人なのだろうか。
「ああ。無論あいつに素養があった訳じゃない。五行に所属し、術を施された武器を振り回しているから陰陽師と呼ばれているだけだ。……まあ、実戦でそこらの術者より頼りになるのは確かだがな」
「へ~ぇ! 随分型破りな人だな。……あ、もしや今から会いに行く『当て』って、五行の人ですか?」
「いや違う。彼らの専門は結界と国内の固有魔生物……所謂『妖怪』だな。出所も分からん魔石のことなんぞ、余程の実害が出ない限り興味を持ったりはせん」
向かうのはアミダバラだ―そう言いながら九郎さんはハンドルを傾け、左の車線へと車を向ける。
カーナビ(運転手には無用のものなのに何故か標準より高性能なものを搭載している)を見ると、200m程先にドライブスルーが見えた。そう言えばそろそろいい時間だし、腹ごなしはしておきたい。
「向こうに着いたら忙しくなるしな。……ま、蕎麦でも一杯手繰るとしよう」
どうやら2人の意見は一致しているらしい。俺は無言で頷いた。
「……ところで今更ですけど九郎さん、いつもは走る時って窓開けてたと思うんですけど、今は音声案内も外の音も聞かずにどうやって運転を? いつもの超感覚ですか?」
「ん? 東海高速の構造くらい記憶しているに決まっているだろ。この道なら居眠りしてたって運転できるぞ」
「…………やっぱあんた超人だわ。忍法とか関係なしに」
いつもの事ながら投稿が遅れまして大変申し訳ありません。
環境の変化に慣れるのが思いの外大変で、ここ1、2ヶ月はまともに話が進んでいませんでした(汗)年は取りたくないものです…。
今回いつもよりかなり短いですが、今月からはなるべく更新の頻度を上げられるようにスケジュールの調整をしていきたいと思います。
何卒今後とも、宜しくお願い致します。
…ゼルダ発売までにもう1話上げられるといいなあ。