「んぶ、じゅる、んふぁ……」
「っ、はぁ……好きだ」
「ぁん、はぅふ、わらひは、あぅ」
フェラの余韻もすっかり覚めたくらい、というと時間にしてどの程度なのか。一分や二分のレベルではないことは確かなのだが、時計も見ちゃいないから全く分からない。
ぐちゃぐちゃと粘つく音もすっかり耳が慣れてしまったらしく、唾液はきっとコーヒーとミルクのように分け隔てようも無いほどに混ざり合っている。お互いを掻き抱く腕、重なる体と絡む脚、体温に至るまでもカリフォルニアアシカとシェアしているみたいだ。彼女が動けば俺が受け止め、俺の手が彼女の背からお尻に這い寄ればくすぐったそうに揺れながら拒否はしない。
舌がもつれる。きっと力尽きたのだろう。
ようやく口と舌が離れ、彼女の眼鏡がずれているのに気付く。掛け直してやると、はにかんだ。
「愛してる」
しれっと出てくる言葉は人間的なものだ。だから言い直すことにした。
「俺のものだ、君は……カリフォルニアアシカは俺の女だ。いいね?」
腰を抱き、転がる。彼女に覆いかぶさりながら囁くと嫌がる素振りは一つも無し。ゆっくり、でも力強くアシカの顎を掴む。
「好きだから、俺のメスになってくれ」
「……ん」
「返事は?」
声は無かった。ただ、彼女は鼻先を頬に擦り付けてくる。それだけで十分だろう。
「交尾しよう。この……毛皮を脱がすよ」
フレンズっていうのは本当に不思議だ。どのフレンズも服が脱げることはなく、どれだけ激しく動いても、海を泳いでも動くのに邪魔になることはない。
なのに脱げることを知り、脱がされると言われると水着ですら簡単にずれてしまう。
「ほらもう出てきた。大きくて、綺麗だ」
「そうでしょうか……私にはあんまりわかりませんが」
苦笑しながら口付けを、手のひらから零れる胸を優しく揉み、指先に神経を集中させる。桜色の乳首は何度見ても美しいし、触っていて飽きがこない。多分しゃぶりつけば小さい子供のようにおしゃぶりを離そうとしない自分が誕生するだろう。
人差し指が乳首をなぞる。見えないが、乳輪と思われる僅かな膨らみも。
「ぁ、ひぅ…あ、んっ! はぁあ、いい、そこぉ……」
「ここ?」
「ひぃんっ!? そ、こぉ、ですっ!」
これが哺乳類と鳥類だったフレンズの差なのか。リョコウバトと比べて随分と胸の感度が良い気がする。
ぷっくらとした乳首。形をなぞれば脳裏に描ける膨らみはなんとも生物的で、美しい円筒とは言い難い。だがそれがなによりも綺麗だ。ピンと張り詰めながらわずかな凸凹のある先端を摘まみ、クリクリと弄り、小さく弾く。
「ぅあああっ! は、ひぃんっ! それぇ、いい、ですから、もっとぉ……!」
「じゃあついでにこっちも」
「あぁ……っぁああああん!」
片手がアシカの秘所に伸びる。水着越しでも明らかに濡れそぼった秘裂を擦れば、肉厚な土手に挟まれて、スジの形がはっきりと表れる。見えなくとも触るだけで十分だ。
首まで真っ赤に染まったアシカの目は閉ざされている。襲い来る快感から逃れたいのか、それとも味わっているのだろうか。ぎゅうっと力強く閉じられた目蓋は震えるばかりだ。
「よく濡れてる、これならすぐに交尾ができるよ。ほら、わかるだろ。子供を作る膣が震えてるんだ」
「ひ、ぃぃ、ち、つ……は、繁殖、できるんですか? あなたとっ」
「出来たら嬉しい」
本音だ。驚いたように目を見開いた彼女と見つめ合いながら、水着の下に潜り込ませた指を返す刀で膣に押し込む。
生温い肉壺の感触に俺は実のところ驚愕した。獲物に絡みつく肉ヒダのなんて心地よいことか。締め付けはするものの、愛液の潤滑が行き届いて不快感は無い。それどころか、奥へ誘い込むかのように絶妙な力加減で導いてくる。
「……フレンズとヒトでの繁殖なんてできませんよ」
「知ってるけど、もしかしたらってこともあるかも」
「まさか。それにもし子供ができても、どうやって子育てを? 海で暮らしますか? 狩りの仕方はわかります?」
「それは知らないけど……でも」
「でも、なんですか」
「一生じゃぱりまんを食べさせることならできる、と思う」
きょとん、と目を丸くしたアシカを見るに、彼女の琴線には触れなかったようだ。我ながら馬鹿なことを言ったと思うし仕方ないのだが。
恥ずかしさが湧き上がり首まで熱を持つのを感じる。彼女の頬を赤いのはさっきからだから、互いに熱を帯びているのは違う理由なのだろう。気恥ずかしさを隠すため唇を奪うと、彼女の唇が笑うように歪んだ気がした。
「んぅ、ふはぁ、れろ、ちゅ……ふふ、いいですよ。来て……んっ……」
その言葉を合図に乳房から手を放し、水着を引っ張った。露わになった膣に勃起した肉棒が添えられるも、に見ずに挿入するのはなかなかの難易度だ。もっとも彼女も協力してくれるから、どこへやらとさ迷っていたイチモツも首が座る。このまま押せば入る、そんな着地点を見つけた亀頭は分厚い入口の門を押し開いていく。
「ぷは……いくよ」
「ん……」
熱い吐息が口の中で混ざり合う。
ゆっくり、ゆっくりと沈んでいくのがわかる。亀頭はあっという間に膣に包み込まれ、ぬめる膣肉に飲み込まれていく。ところどころあるヒダは押し返すどころか獲物を狩る罠のごとくカリに引っかかって、奥へ、奥へ。
「はふ、ぁあ……どう、ですか、私の中は……」
「気持ちいい、最高だ。少しぬるいのが凄く」
「それなら良かった……あ、んっ……これ、なん、だか、気持ちいいです……」
不思議な事に、愛撫ではあれだけ乱れてみせたアシカは挿入されると非常にうっとりとした目で、喘ぎ声は鳴りを潜め、逆に陶然としたため息が反復している。頬の赤みも興奮というより、穏やかな桃色に近い色をまき散らしている。
それはきっと、俺も同じだ。
「俺のモノが中にあるの、わかるかな」
「ええ、はい……あなたの硬いものが、私の中にあります……ゆっくり、動いてる……」
そうだ。俺の動きも遅い。
リョコウバトの時とは大違いで、まるでスローモーションのようだ。長い時間をかけて彼女の膣奥を味わい、亀頭を何度もこすりつける。それからゆっくり、愛液まみれのイチモツを引き抜き、震える膣から「じゅぽっ」と淫らな愛液の破裂が聞こえてから再び挿入する。奥へ至る道を一歩一歩検分するかのように、ヒダの一つ一つを感じるように。
そんなふうだから射精感がなかなか湧き上がらない。いや、出せと言われればいつでも出せるのだが、堰を切るには随分余裕がある。だからだろう、リョコウバトの時の様な腰のどったんばったん大騒ぎもなく、指を絡ませながら唇を重ねることだってできてしまう。
「ん、はぁ……好きだ、愛してる」
「わた、しは……んっ……ぷは……」
目は口程に物を言う、とはよく言ったもので、アシカの瞳はもう、十分すぎるくらいに返答をくれている。
「今、いや、さっき決めたんだ。俺はここで暮らす。君が俺のメスになるなら余計にだ」
「……」
「ここで働くよ。必要なら一度帰ったらすぐに資格も取る、必ずここで」
「余計に、ですか?」
「えっ」
じいっと見つめる眼鏡の奥の瞳。なんだか、少しだけ、瞳が小さくなった気がした。
「私があなたのツガイになったら、余計に。ということは、それ以外にここで暮らす理由があるということですか?」
あれ。
カリフォルニアアシカの足が、俺の腰に巻き付いている。
「どういった理由があるのか、教えてもらえませんか」
目と鼻の先にある笑顔に、思わず腰が引けそうになって、彼女の足にガッチリと固められる。柔らかい体を存分に活かして俺にしがみついてくる。
「わかってはいたんです。昨日のあなたと今日のあなたの様子が違うから、別のメスに手を付けたって。いえ、それは別に構いません。オスが複数のメスを囲っても奇妙ではありませんから」
笑顔はとても綺麗だ。そして、なんだか、めちゃくちゃ力が強い。まるで体操選手のように彼女は体をひねり、俺の体はいつのまにか仰向けになっていて、彼女が上にまたがっている。繋がったままで。
「ただ――『余計に』という言葉はなんというか。物凄く、余計ですよね?」
にっこりと微笑みを携えながら、アシカの腰が落ちる。2割ほど力を失った肉棒は唐突に強くなった締めつけに音を上げ、ひいこらと固くなり始める。
それどころか凪ぐような心地よさだった膣ヒダの罠が本領を発揮し、急激に愚息を責め立てる。うねり、締め上げ、亀頭の先から根元までを粘つく舌で激しく愛撫されるような強烈な快感が走った。
「ぉ、うっ!?」
「フレンズになってから一番面白いと思うのは、言葉なんです。他のフレンズたちとも話せますし、ヒトになんて言われているかも細かくわかるようになったのは嬉しいし楽しい。あなたに好きだと言われて嬉しいのもこのおかげでしょう。ですが、これも一長一短ですね。ちょっとした言葉に妙な感情を覚えてしまって……聞いてますか?」
早口だ。アシカの声も途中何度も上擦って、甘い吐息が零れている。下腹部に落ちてくるぬるい液体は彼女の分泌液で間違いないだろう。激しく動き、腰を振るうことに彼女自身も快感を感じてくれているのだ。
圧迫感の強い膣奥は重苦しいほど亀頭を押し潰す。負けないように腰を押して、彼女の手を握る。
「んぅ、ふ、ぅ……もっと奥まで……そ、ぉ……っ!」
握り返してくる指が絡まる。通じ合うものは確かにあるのだろう、ごく自然と、互いの腰の動きが定まっていく。お互いに心地よい場所を擦り合わせ、角度が決まる。
気づけば彼女のボリュームのある太ももを抱き、持ち上げていた。甲高い甘ったるい声が上がる部分は一番奥から、ほんのわずかに前の方だ。そこをめがけて膣口を擦るように動けばいい声で鳴く。
「いっ……いいです、そこがっ! もっとください……もっと、ぉ……!」
「ああ、ここがいい、ここに、出るからっ!」
俺の言葉は届いただろうか。俺自身も喘ぐ傍ら、必死に紡いだ言葉。もう耐えきれないほど膨張しきっただろう亀頭は「今すぐに出る」と宣言していて、耐える気力もない。
全身汗ばんだカリフォルニアアシカから香る潮風の匂い。胸元まで赤みを帯びた快楽を貪る顔は、慎みのある女性とは言い難い。ただ気持ちよくなれるように、饅頭のような恥丘が俺の下腹部で潰れ、自ら膣中の肉棒で自慰に浸る彼女の顔はだらしなく、実にオープンだ。涎が一筋零れるような。
「っ――あ」
出た、と言葉にする余裕はなかった。俺の方は快楽を表に出す余裕もなかったのだ。
わかるのは下腹部、肉棒を溶かす膣肉の強引な締め付けに負け、全身の感覚が射精に集中していること。
「あ、はぁっ、何か、熱いです、ふふっ、もっとっ! 気持ちいいの、ください」
その声を聞いて、顔を見て、ヤバイと思った。意識が急速に引き戻され今なお腰を振るアシカを認識すると、彼女がまだ満足していないことがわかったからだ。そのうえ、止まる気配が無い。
(この……性欲お化けかよ)
悪態ではなく嬉し泣きと思って欲しい。嬉しい半分情けない半分だ。人の腰を愛液でびしょぬれにしながらまだ満足できていないらしく、塗り広げんばかりに彼女の腰のグラインドが止まらない。むっちりとした下腹部の熱と感触は二連発して大人しくなった獣欲を呼び覚ますには不十分、徐々に小さくなっていくのが自分でもわかってしまう。
もう無我夢中だった。手が出たのも偶然のようなもので、彼女の胸を鷲掴みにし、もう片方の手が肉壁の中で膨らむクリトリスを探し出せたのは僥倖だ。
「んぎっ!? んは、ぁああああっ!! ひ、はひっ! ぞ、そこぉおおおっ!!」
「ほらイけ、頼むからっ!」
「ふぎッ――ぁ、ぐぅううううっ!?」
獣のような、と呼ぶのは失礼に当たらないはずだ。実際、彼女はけものなのだから。
力いっぱいに目蓋を閉じ、真っ赤になった顔は汗でぬらぬらと輝いている。ひと際大きい痙攣のような震えのあと、細い細いホースの出口から激しく潮が噴出し始める。
何度も何度も震え、そのたびに汗が顎から伝い落ちてくる。ツンと立った乳首を摘まめば背筋が逆反りになって、ゆっくりと崩れ落ちてきた。
抱き留め、体が重なる。人形のように倒れ込んでくる彼女の喉からはヒュウヒュウと、擦れた音がした。
「――か、はっ」
「気持ちよかった?」
「あぁ……は……ひぃ……」
「俺も気持ちよかった。好きだよ、愛してる」
「は――はい」
汗か、唾液か、愛液、それとも精液なのか。体中の水分がまぜこぜになったしょっぱいモノを舌同士で擦り込んで、体同士も密着している。
まぐわうアシカの背中からお尻へ、そして柔らかい女性器へ。指を突っ込めば温かな肉壁と――ぬるりとした体液が溢れ出る。
「んぅっ……あ、んっ……」
至近で見た彼女の瞳には、愛欲と。
「私は、何匹目ですか」
「ああ……二人目、かな」
そっと触れたキスは離れない。啄むよりももっと軽い、撫でるような口付けを。
「それだけですか? ふふ、もっと沢山いてもいいのに」
蠱惑的な囁きを唇で遮ると、それ以上の言葉は紡がなかった。