佐倉慈先生と共依存したい。 作:朝潮
シャコシャコシャコシャコ…
食事の後は歯磨きだ。
歯磨きは大事だ。しっかり磨かなければ、虫歯になってしまう。
虫歯になってしまうと、歯医者のないこの世界ではどうすればいいのかわからない。
これからは、病気には一段と気をつけなければならない。
「あ…あひひへぇ…」
「もう少し我慢しててくださいね。」
ただ、櫂が磨いているのは自分の歯ではなかった。
手の動かしにくい慈のため、櫂が磨いてあげているのだ。
「おうひい…おうひいほ…」
「大きい?」
「ほうひい…」
「納品?」
「もぉひい!」
「もういい?」
「ほう!」
確かに、櫂は慈の歯をかれこれ30分は磨き続けていた。
普段あまりこういうことを言わない慈が言ってしまうのも無理はない。
ただ、櫂としてはこのままずっと慈の歯を磨き続けていたかった。
綺麗な白い歯と、中から覗くチロチロとしたいやらしい舌をずっと見ていたかった。
口を開ける慈の顔が。口端から溢れ落ちてしまう唾液がエッチで、それをさせている事が愉悦だった。
「はい、どうぞ。」
しかし、歯磨きには終わりというのは絶対に来る。
櫂は諦めてうがい用のコップを持ってきた。
美しい陶器を見たらなぞりたくなってしまうように、櫂もその衝動を抑えられなかった。
櫂は、無防備にさらされていた慈の背中を、つう…となぞった。
「ひゃぁうんっ!?」
慈から思いの外大きな声が出て、櫂も驚く。
「ちょっとぉ…悪戯しないの。」
「ごめんなさい…」
子供に叱りつけるように、優しく諭す慈。惚れた。
櫂は高校の教員というより保育士みたいだと思った。
こし、こし…
櫂の腕が、慈の陶器のように綺麗な背中を往復する。
「どうですか?痛くないですか?」
「うぅん…気持ち良いよ。」
慈は身体中に汗をたくさんかいたようで気持ち悪がっていた。
櫂は気にしない…というかむしろ興奮してしまうのだが、慈にとっては辛いだろう。
という事で、手足を縛ったままシャワーに行かせるのは危険と判断した櫂は、濡れタオルで慈の体を拭いているのだ。
例によって、手が動かせず背中が拭けない慈のため、櫂は甲斐甲斐しく働いた。
本音を言えば、慈の背中に浮き上がる肩甲骨や背骨のラインに欲情していただけなのだが…
「うん、ありがとう。もういいよ。後は自分でできるかな。手伝ってくれてありがとね。」
「いえ…僕にできる事があれば、なんでも言ってください。」
慈は櫂に迷惑をかけてしまって申し訳がなかったが、櫂にとってはそれはご褒美のようなものだった。
むしろ、慈の世話を焼きたいが為に手足の拘束は限界まで外さない事を決めてしまっていた。
「じゃあ、僕は出てるので…拭き終わったら呼んでください。」
「うん。ありがとう。」
慈は、まるで満開の桜のように美しい笑顔を見せた。
櫂は興奮を悟られないよう落ち着いて、ゆっくりと部屋を出ていく。
今、ズボンの不自然な膨らみを見られるわけにはいかないのだ…
慈は、紳士的な態度の櫂に関心すら覚えていた。
最初に変態なのではと疑ってしまったのを心の中で詫び入ってしまうほどに。
…しかし、騙され易い方である慈は、それが間違っていない事を知らない。
そんな櫂はというと…
「佐倉先生…ごめんなさい…ごめんなさ…♡」
しこしこしこしこ…
耐えきれなくなった情欲を鎮めていた。
櫂が自分から部屋を出て行ったのは、紳士だったからでも何でもない。
ただ、慈の肌の感触を忘れる前に今すぐ自慰をして気持ちよくなりたかったからだ。
自らの欲望を愛撫して慰める。勿論、「オカズ」は先程の慈の体だ。
あの黄金比率で出来上がった体は、何度見ても慣れることはないだろう。
櫂は、夜中にもぞもぞと動き出す。近くに慈がいることに興奮してしまったのだ。
寝ている慈を想像して、胸を揉みしだいた時のことを思い出してしまったのだ。
あの感触を一度覚えてしまうと、また触りたくなってしまう。
だが、あの時と今は違う。触れれば慈はきっとすぐに起きてしまうだろう。
「…はぁっ…はぁっ…はぁっ…」
だからこそ、櫂は自分を慰めて落ち着かせようとした。
慈が起きないよう、音を立てないように気を配ってもぞもぞとズボンを下ろす。
中からは、カチカチになった肉棒が現れる。
今日だけで3回は発散したはずが、もうこんなになってしまっている。
こんな事では、隠し通せるのも時間の問題だ。
櫂が自分の息子を手に、慰め始めようとしたその時。
「…何してるの?」
「!?」
櫂は、突然投げかけられた言葉にビクン!と全身を凍りつかせた。
それは、紛れもなく少し離れた位置で寝ていたはずの慈の声だった。
(佐倉先生に…バレた!?)
櫂の全身から、サーっと血の気が引いた。
終わった…人生終わった…
櫂はこんな事をしている所を見られ、絶対に嫌われたと思った。
「こっちにおいで。」
「…はい。」
櫂は、叱られるのだろうと思って、ズボンをあげて慈へと近寄る。
すると慈は、櫂の予想もしてなかった行動に出た。
「…」
「!?」
慈は、無防備に近寄って来た櫂を抱きしめてしまったのだ。
突然のことに驚き、櫂は硬直してしまう。
「眠れないのね。怖い夢でも見ちゃった?」
「…」
(お、お、お…おっぱいが…!?)
櫂は答えられなかった。…というか、答えるだけの余裕がなかった。
櫂の顔には、慈の全てを包み込む大きな胸が触れていた。
しかも、押し付けてきたのは慈の方なのだ。つまり、合法。
「名前、覚えてるかわからないけど…ゆきちゃんもね。夜眠れない事が多かったの。」
この辺りで、櫂は慈が自分のしていたことに気がついていないことを悟った。
落ち着いて考えれば、こんな真っ暗な中で見えるわけがない。
とりあえず最悪な展開にはならずに済んだ、とほっと胸をなでおろした。
…すると、どうにも慈とくっついているこの状況がたまらなく幸せに思えてくる。
「でもね。こうしてあげると、段々と落ち着いてくれるの。」
慈は、櫂の頭を慈しむように、大事な我が子をあやすように撫で始めた。
慈の誤算だったのは、女の子と男の子では違うという事だった。
櫂の方は、慈の体が柔らかいやら香る匂いがエロいやら心臓がうるさいやらでそれどころじゃなかった。
もうどうにかなってしまいそうだ、と本気で思った。
「よし、よし。いいこ、いいこ。」
とどめに、脳髄まで届くかのような囁き。
櫂は、甘くとろけるかのような時間に、固まってしまって動く事ができなかった。
「落ち着いた?」
櫂は、声を出したら震え声になってしまいそうで、首を縦に降ることで答えた。
本当は、むしろ落ち着かなくなってしまったのだが、幸い慈にはそんなことは気がつかれていなかった。
「そう、良かった…怖くなったら、いつでも言ってね。またこうやってぎゅ〜ってしてあげるから。」
櫂は、咄嗟に離れそうになった慈の体に手を回した。
離れたくなかった。どうしても慈と離れるのが嫌だった。
「安心して。櫂くんが満足するまで、先生はどこにもいかないから。」
それに気が付いた慈は、嬉しそうな声色で再び櫂のことをその胸に抱きしめる。
この頃になると、慈は櫂にかなりの情が湧いていた。
(この子は、何としてでも守る。何としてでも、助ける。どうにか説得して、絶対に一緒に来てもらおう…)
慈は、自分の世話を嫌な顔1つせずにしてくれる櫂のことをいたく気に入っていた。
こんなに優しくて、とてもいい子なんだろうと考えていた。
側や櫂はというと、今すぐ自分の股間を弄り回したくて仕方がなかった。
だが、それ以上に、慈の抱擁を1秒でも長く感じていたい。
そんな矛盾した考えを持っている歯がゆい状況に悶絶する。
(でも、これじゃ生殺しです、先生…)
櫂は、こんなに近くにあるのに自分から触れられない虚しさと、思いっきり発散したい切なさに一人震えていた。
ただ、この夜が櫂の人生の中で一番幸せな時間だったことは言うまでもなかった。
《変更》
ということで、流石にシャワーとかそんなものはここにはないため、濡れタオルで慈の体を拭いているのだ。
↓
という事で、手足を縛ったままシャワーに行かせるのは危険と判断した櫂は、濡れタオルで慈の体を拭いているのだ。
《追加》
美しい陶器を見たらなぞりたくなってしまうように、櫂もその衝動を抑えられなかった。
櫂は、無防備にさらされていた慈の背中を、つう…となぞった。
「ひゃぁうんっ!?」
慈から思いの外大きな声が出て、櫂も驚く。
「ちょっとぉ…悪戯しないの。」
「ごめんなさい…」
子供に叱りつけるように、優しく諭す慈。惚れた。
櫂は高校の教員というより保育士みたいだと思った。