佐倉慈先生と共依存したい。 作:朝潮
第23話
───最近、学校が好きだ。
そう言うと変だって言われそうだけど。でも考えて欲しい。
学校ってすごいよ。
物理実験室は変な機械がいっぱい。
音楽室。
綺麗な楽器と怖い肖像画。
放送室。
学校中がステージ。
何でもあって、まるで1つの国見たい。
こんな変な建物、他にない。
中でも、私が好きなのは…
「おはよう、由紀ちゃん。」
「はーい、めぐねえ!」
「今日はしっかり起きれたみたいね。」
「うんっ!」
佐倉慈。
巡ヶ丘の、元国語教師。
そして今は、唯一の大人にして部の顧問。
「じゃ、部室へ行きましょうか。」
「はーい!」
由紀は今日もいっぱい元気だ。
「みんな、おはよー!」
扉を開けると同時、勢いよく挨拶をする由紀。
「ん、おはよ。」
無愛想な挨拶をするのは、恵飛須沢胡桃。
ボーイッシュなツインテールガールで、部の戦闘担当。
「おはよう、由紀ちゃん。」
ふんわりと微笑んだのは、若狭悠里。
料理洗濯なんでもござれ。女性らしい家事お化けの頼れる副部長。
「おはようございます。由紀先輩。」
そして最後に、唯一の男子部員の宮本櫂。
新入生で新入部員。これからどんな活躍をするのかに要期待だ。
由紀が入ってきた後から慈が教室へ入る。
すでに全員と朝の挨拶を終わらせている慈は席へと着いた。
その間に、由紀はぱたぱたと台所へ立つ悠里の元へと駆けていく。
「りーさん。今日の朝ごはんは?」
「今日はスパゲッティよ。2つ味があるから、好きなの選んでね。」
悠里は、IHコンロで麺を茹でながら、味付けのパックを見せる。
カルボナーラとミートソースの2種類のパックだ。
「私ミートソース!」
「私カルボで。」
「えーと…カルボナーラでお願いします。」
「じゃあ私もカルボナーラで…」
結果、由紀1人がミートソースという状況になる。
「えー。ミートソースは私1人なのぉ?」
「いいえ。私もミートソースよ。」
「わーい!りーさんお揃いだね!」
「ええ、そうね。」
悠里は、元気な小学生を相手取るように返答する。
そんな様子に、慈と胡桃はいつも通りか、と苦笑い。
「いただきまーす!」
全員の合掌の後、箸を取り食事に手をつけはじめる。
「はふはふはふ!もぐもぐ!美味しいよ、りーさん!」
「ふふ。ありがとう。…でも、もう少し噛んで食べましょうね、由紀ちゃん。」
「はぁい…」
口の中をもごもごさせながら、悠里の言葉通り噛み始める由紀。
こんなせかいで、まともな食事を摂れているのがどれだけ幸せなことか。
しっかりと味わって食べなければならない。
「ごちそうさまでした。」
慈と櫂。そしてその他の部員3人と2つに分けて、水の溜まった容器へとつける。
櫂に感染したのは、同じ食器を使ったことによって起きてしまったのではないか。
…と、言うことになっていた。
櫂も慈も、さすがに思い当たる理由を説明するわけにはいかないと思ったからだ。
食器による間接的な感染の可能性も十分あるため、この措置は真っ当なものでもある。
慈は、食べ終わった由紀へと話しかけた。
「それじゃあ由紀ちゃん。今日も授業を始めるわよ。」
「はぁい!」
由紀と慈は、2人揃って教室を出ていく。
彼女たちは、これからマンツーマンで授業を行うのだ。
「行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい。」
残る3人は、由紀たちを見送った。
「じゃ、あたしも朝の見回り行ってくる。」
「あ、僕もいいですか?」
「…そうだな。一緒に行こうか。」
「洗い物任せちゃってすみません。」
「いいのよ。気をつけてね、2人とも。」
「わーってるよ。」
「ありがとうございます。」
2人は、教室を出た。
しばらく2人で歩いて、そして胡桃が櫂へと問いかける。
それは、櫂には無言に耐えきれなかったと言うわけではなく、ずっと聞きたかったことのように思えた。
「なあ…その、本当に大丈夫なのか?」
「? 何がですか?」
「感染。…いや、見てるぶんには大丈夫そうなんだけどさ。」
「…そうですね。別段、変わったところはないともいます。変化がなさすぎて、本当に感染したのかって思っちゃうぐらいで…」
「そうか…それは、良かったよ…」
胡桃は、複雑そうな顔で呟いた。
櫂が学園生活部と出会ってから2日。
今の所、櫂の体に異変は見られていない。