佐倉慈先生と共依存したい。 作:朝潮
「どう?由紀さんたちとは馴染めそう?」
「…はい。皆いい人たちでした。」
その夜。
慈は櫂へとカウンセリングのようなことをしていた。
シェルターを出ることを嫌がっていた櫂が、ストレスを感じているかもしれないと危惧しての事だ。
結果的に慈のその心配は、全くの杞憂だったのだが。
「正直、好意的すぎて怖いくらいです。」
「ふふ…それは櫂くんが素敵な人だからだと思うわ。だから、皆仲良くなりたいの。」
慈は、最早習慣なってしまっている櫂の頭を撫でる。櫂は、慈へと頭を預けた。
眠る前にこうされると、とても落ち着くのだ。
「それにしても、防火扉とは、よく気がついたわね。」
あれからたった一週間で3階にいた「彼ら」を殲滅、そして制圧してしまっていた彼女たちの行動力には驚かされる。
そして、1日でバリケードを防火扉の向こう側へ移動させてしまった事には更に驚いた。
「ゾンビの出てくるゲームとかで…」
ゲーム、か。こんな時には、そういう柔軟な発想の方が大事なのかもしれない。
慈は、昨日の夜のことを思い出す。
「ちょっと待て。なんだよ、これ。なんなんだよ!」
自分がいなくなってしまったら、この事を教える事もできなくなる。
一度死の淵を彷徨ったことにより、何も隠さないことを決めた慈。
精神が不安定だと思われる由紀を寝かしつけた後。
緊急避難マニュアルを、由紀を除く部員の皆に見せた。
「あの、胡桃さ…」
「めぐねえは…知ってたのか?」
「その…」
「胡桃。落ち着いて…」
慈はどうしても言葉を詰まらせてしまう。
──知らなかった。
無責任にそう言えたなら、どれだけ幸せだっただろうか。
…だが。
「先生が知ったのは、事件の後…ですよね?ここに書いてありますから…」
櫂が、開かれたマニュアルを表紙に戻して、開封指示の部分を指差す。
櫂には、慈がこの指示を破ってまで読んでいるとも思えなかった。
そして、それは他の部員たちも同じだった。
「! …ごめん…大声出して。」
胡桃は、自分が頭に血が上っている事を理解した。
そして、隣の部屋で由紀が寝ていたことを思い出して我に返る。
「めぐねえ。…本当の事、教えてください。」
悠里が、いつにも増して真剣な表情で問う。
慈は、その迫力に飲まれてしまった。
言わなければ。全て大人の…私のせいだ。
この事を知っていれば。ちゃんと見ていれば。
「私、こんなの…知らな…っ」
こんな事、言えなかった。知られたくなかった。
秘密にしている罪悪感が。痛みが。苦しさが。全てが、溢れ出してしまった。
下に、弱さは全て捨ててきた。…そう思っていたはずなのに、涙が止まらない。
なんて私は弱いんだろう。
「…めぐねえは、悪くないから。」
「そうだよ。誰も責めてないから。」
「うっ…うぅ…ごめんね、わたし…ぐすっ…たよりない先生だから…」
「そんなことないですよ。」
「めぐねえは、あたしたちの最高の先生だよ。な?りーさん。」
「そうね。私もそう思うわ。」
それでも、言い出す勇気が出たのは、櫂くんのおかげだ。
今は、勇気をくれた彼に。受け入れてくれた彼女たちに。感謝をしよう。
「私を許してくれて、ありがとう…」
「先生…」
物思いに耽っていた慈を、櫂が現実へと呼び戻す。
「なあに?櫂くん。」
慈は、櫂の頭を慰め続ける。
由紀や櫂の頭を撫でることが、慈にとっても幸せな時間だった。
自分が、生徒たちの役に立っている事を実感できた。
「したいです…先生…」
「何を…あっ」
ふと櫂のズボンを見やると、とある場所がとても膨らんでいるのが見えた。
慈はこの中のものを思い出して、ポッと赤くなる。
「その。由紀さんたちが隣の部屋で寝てるから…ね?」
「でも、我慢できないんです…」
慈は、食事の際のスプーンによる間接的な感染だと説明していたが…
他部員は2人のキスを見たことにより、それも怪しいものだと思っている。
今櫂とおかしな事をしたら、不信は確信へと変わってしまうだろう。
「駄目よ…聞こえちゃう。」
慈はやんわりと断るが、そこまで強く拒否するつもりはなかった。
櫂をこうしてしまったのは自分だ。
だから、彼を慰めるのは自分の責任でもある。
…そんな言い訳をしていたが、慈はこんな事でも櫂の役に立てることが嬉しかった。
慈は、張ったズボンの上から、カリカリと肉棒をなぞる。
刺激を待ち望んでいた肉棒が、ズボンの中でヒクヒクと動いた。
この時点で、慈は櫂の処理をする事を決めていた。
「とってもつらそう…どうしても、我慢できない?」
櫂が頷いたのを確認して、慈はズボンを下ろす。
慈は、パンツの中から取り出したものを見て息を飲んだ。
「…これ…」
「昨日から、こんな状態なんです。多分…」
感染の所為。
櫂の肉棒は、皮が引き攣り、血管が浮き出ていた。
フィクションで見るような、そそりたつ大きな肉棒。
「多分、感染経路は…」
「私の、せい…」
恩人を、自分の手で殺めてしまうところだった。
慈はもう泣きそうだ。
「そんな事ないですよ。」
櫂は、慈の頬に貼られた湿布を剥がす。
その下から、櫂のものと似たものが現れる。
綺麗な慈の肌には似合わない、痛々しい傷跡。
「これで、佐倉先生とお揃いですね。」
櫂が嬉しそうに笑う。
慈にとって、1人じゃないということがどれだけのことであるのか。
慈自身も、知らなかった。こんなにも安心するなんて。
「…じゃあ、口で…してあげるから…」
そして、代替案を提案した。
慈にとっても初めてだが、知識としてはある。
口の中で慰めて、気持ちよくしてあげる行為。
これなら、声が出ることもなく、気をつければ音も小さく済む筈だ。
表紙にしていた挿絵を使いました。
こちらの挿絵は、えいじゃー様という絵師様に依頼したものです。
詳細は際者のページの画像一覧からどうぞ。
おまけ
学園生活部を果物で例えると
悠里、桃
言わずもがな。肉厚で美味しそう。特に赤みのさすほっぺたは本当に桃かと見紛うほど。
胡桃、ライチ
さっぱりすっきりとした性格。どこがとは言わないが、小さい。可愛い。
外はクールだが、内面は誰よりも乙女…みたいなところが完全に一致。
由紀、いちご
甘酸っぱい。小さくて元気。