佐倉慈先生と共依存したい。 作:朝潮
「
慈と離れたくないという気持ちが透けて見えてしまう櫂を見て、慈はあの日から起きた事を櫂に話す事に決めた。
少しでも、自分たちに興味を持ってもらえないかと思っての行動だった。
櫂は、慈の話を黙って聞いていた。
「ゆうりさんは私たちの中で一番頼れる子。」
慈は、悠里の事を思い浮かべながら語る。
慈自身も羨んでしまうような、女性らしい体つきの女の子。
身に纏う、全てを包み込んでくれるような優しい雰囲気。
でも、しっかりと怒る時には怒ることができるお姉さん。
「ご飯を作ってくれたり、洗濯をしてくれたり。家計簿を使って、学校の電力や水分、食料なんかを管理してくれているの。」
今思えば、悠里は主婦のような役回りだった。
こんな世界になっていなかったなら…と、慈は思った。
「
今でも思い出す。
ずっと泣いて落ち込んでばかりだった由紀を励ますために始めた部活。
それが、由紀の笑顔を取り戻した日の事を。
「くるみさんは、とっても強い子。いつも、「彼ら」から私たちを守ってくれてるの。」
次に慈が思い浮かべたのは、ボーイッシュなツインテールの女の子。
本人には言えないが、王子様然とした姿は、きっと女の子にモテるタイプだと慈は思う。
シャベルを持って快活に笑うその姿に、いくら勇気づけられたかわからない。
彼女がいなければ、きっと私たちは屋上から出ることすらできなかった。
「何人もの「彼ら」を押し退けてくれたわ。嫌な役回りを押し付けちゃって、謝っても謝りきれないけど…」
いくら
胡桃は平気だと笑うけれど、慈はどうしても真に受けることができなかった。
「彼女が「彼ら」を追い払ってくれたおかげで、今日までは3階にバリケードを張って安全に生活できていたの。」
胡桃が「彼ら」を殺し、3階を制圧して皆で作ったバリケード。
それも、大量に入り込んできた「彼ら」に壊されてしまった。
「ゆきさんは、とっても明るい子。」
その事を頭の隅に追いやるため、慈は強引に胡桃の紹介を終わらせる。
最後に、面白い形の帽子を愛用する自分の生徒の姿を思い浮かべた。
「こんな事になっても、日々を楽しく生きていられるのはゆきさんのおかげ。」
その言葉に、櫂の表情がピクリと反応した。
誰だって、暗い気持ちで生きていきたいわけがない。
「部活を作ってから、ゆきさんは、色々な事を提案してくれるようになったわ。」
部活を始めてからの彼女は、とても明るくなった。
それから、他の子達の顔にも段々と笑顔が戻り始めた。
今思い出しても、部の中心にいたのは間違いなく彼女だ。
「でも、彼女は…」
私が、変えてしまった。
その言葉は、慈の喉元につっかえてついぞ出る事はなかった。
「…」
慈は、心の中で自分のことを責め立てる。
由紀の時間を止めてしまった事。
それは、慈にとって許せない過ちだった。
(…卑怯者。ゆきちゃんは私のせいであんな事になってしまったのに…悪いところだけ言わないなんて、詐欺師みたいな事…)
慈はしばらく口を閉ざしてしまったが、その空気を払拭するように無理矢理元気な声を出す。
「皆、いい子達なの。それぞれが、それぞれの役割を持ってて…皆で一緒に生き抜こうとしているの。」
慈は、ここぞとばかりにまくし立てる。
真摯に伝えれば、きっとわかってくれるはず。そう信じて。
「櫂くんも、きっと気に入るはず。皆もきっと受け入れてくれると思うわよ。」
慈は、小さくなって座っている櫂の手を取る。
櫂は唐突なボディタッチに驚きつつ、内心ドギマギしていた。
こんな美人に手を握られて。健全な男の子なら舞い上がってしまうだろう。
「…佐倉先生」
「…うん。」
慈は、悲しそうに自分を呼ぶ櫂に、安心するように微笑みかけた。
手を撫でながら子供をあやすように語りかけ、微笑みかける。
怖がっている櫂に向かって、大丈夫だよ、と伝える。
…しかし、櫂は自らの手を包み込む慈の手に違和感を感じていた。
とても冷たいのだ。…まるで、死人のように。
前に触った時はそんな事は無かった。人肌に暖かかったからこそ、慈の体に母性を感じて安心できたのだ。
櫂は、あの血清とかいう薬は上手く効かなかったのかと不安を覚えた。
片や慈も、櫂の体温を感じないことを不審に思っていた。
手の感触はあるのに、人肌の暖かさを感じることができないのだ。
慈は、それを長らく半裸でいたせいで自分の体の感覚がおかしくなっているのだろうとあたりをつけていた。
「やっぱり、私は一週間したら様子を見て、上の階へ上ってみるつもり。一緒に来て欲しいけど、無理にとは言わないから…」
慈は、手を離して今度は櫂の頭の上に持っていき、なでなでと優しく撫で付けた。
男の子相手には少し恥ずかしいと感じたが、慈がやったことの中で由紀が一番安心したのがこれだったのだ。
慈はこれ幸いにと櫂にも試してみた。
結果としては大成功で、櫂にとってはこれまでのどんな励ましよりも幸せな気分となっていた。
「私達と一緒に生活したくなったら、教えてね。歓迎するわ。」
櫂は慈に包まれながら、自分はどうするべきかと少し揺らぎ始めていた。
本当は投稿00分に間に合ってたんだよ…嘘だと思うだろうけど本当なんだよ‥
確認しないまま投稿したのを消しちゃって新たに投稿し直したら01分だったんだよ…
まあそんなに気にすることもないとは思いますが、もしかしたら明日投稿し直すかもしれません。
本文は誤字以外変更しないので。よろしくお願いします。
→投稿し直しました。
しょーもないことだとは思っているんですが、時間に以上なまでのこだわりがあって…すみません。
入っちゃった低評価にちょっと悲しくなりつつも、
主人公があ〜んなことやこ〜んなことをしている時点で仕方ないのかなって思ったり。
たくさん入った皆さんの高評価に励まされて生きてます。
評価入れてくださった読者の皆さん、ありがとうございました!
→ここで評価の話題を出したからか、評価が一気に増えてました!
こんなところでのお礼になってしまって本当に申し訳ないんですが、
新たに評価してくださった皆さんも、ありがとうございました。