ジョウトのジムバッジを全て獲得したバニラは、コガネシティを訪れていた。
コガネシティはヤマブキシティとリニア新幹線で繋がっているとだけあって、カントーからの観光客が数多く訪れる町だ。
常に街中は賑わっており、コガネシティの活気ある人々のおかげで、街から人気がなくなることはない。
「いっぱい売ってるなぁ……タマムシデパートとどっちが品揃えが多いんだろう?」
そんな中、バニラはコガネ百貨店を訪れていた。
家族連れや観光客で賑わう百貨店には数多くの商品が揃っている。老若男女問わず飽きず買い物を続けられるこの百貨店には、ジョウト中の町から人々が集うのだ。
「あら? 君はもしかして……」
「へ?」
ポケモン用の道具を物色していたバニラに声をかけたのは、スラリとした誘惑的な肢体を惜しげもなく晒すような露出度の高い服を身に纏う、銀髪をポニーテールにまとめた女性だった。
一方で、サングラスにマスクと顔の大部分を覆い隠している。
一見バランスの悪い恰好に見えてしまうものの、彼女程の人物ともなれば納得はいくだろう。
「カリンさん……?」
「正解♪」
サングラスとマスクをずらして答え合わせをするカリン。
露わになる端麗な容姿でいたずらっ子のような笑みを浮かべる彼女は、ときめかざるを得ないほど魅力的だ。
「どうしてここに?」
「どうしてって、単にオフだったから買い物に来てたの」
説明しながらカリンはいそいそと変装用のアクセサリーを付け直す。
現ポケモンリーグ四天王の一人であるカリンは、ポケモントレーナーの憧れの的だ。美しくも強か。ポケモンバトルにおける勝利の決め手を、単純な種族としてのポケモンの強さではなく、トレーナーの努力という点に重きを置いている彼女は、あくタイプ使いながらも巷では聖女扱いされているという噂さえあるほどだ。
しかしながら、当然の如く彼女にも休日はある。
休日には日ごろの四天王としての責務から解放されてショッピングに勤しむ訳であるが、生憎世間からすれば四天王カリンはいつどこであっても四天王カリン―――つまり、スターであるのだ。
このように人でごった返している百貨店にカリンが訪れていると知られれば、それこそ買い物どころではなくなる。
そこで彼女はこうして変装し、一般人に紛れ込んで買い物を楽しんでいるのだった。
「それにしても偶然ね。ポケモンリーグ以来?」
「はい!」
カリンと面識があるバニラ。ジムバッジを合計16個持っている彼は、勿論ポケモンリーグに出場したことがある。カリンとはその時に知り合った仲だ。
他愛もない話に華を咲かせ、歳の差を感じさせなく和気藹々とした雰囲気を漂わせる二人。
このまま世間話を終えたら各々の買い物に戻るのだろう―――そんなことを考えていたバニラであったが、少し経ってカリンが『そうだ』と手を叩く。
「ねえ、ここで会ったのも何かの縁だから一緒にご飯でも行かない?」
「ご飯、ですか?」
「ごちそうするわよ。なんたって、四天王だもの」
『ただし、ここのフードコートだけれど』と付け足すカリンは、サングラス越しにウインクする。
その申し出を断るのも失礼だと考えたバニラは、申し訳ない気持ちの一方で浮足立つ気持ちを全面に出した笑顔を浮かべ、彼女の申し出に頷いた。
「あの」
「うん?」
「荷物持ちます!」
「あら、男の子ね。でも大丈夫よ。大して重くないから」
「でも、ごちそうになりますし……」
「う~ん……じゃあ」
荷物を持とうとするバニラの申し出に頷いたカリンは、携えていた紙袋の取っ手を彼へ差し出す。ただし、取っ手は握ったまま。
「一緒に持ちましょ」
「え……?」
「嫌かしら?」
「そ、そんなことありません!」
必死に取り繕いつつ取っ手を握るバニラ。
まるで恋人―――もしくは夫婦のような行為に、彼は顔を真っ赤にしている。傍目からすれば姉と弟が仲良くしている光景に見えなくもないだろうが、絹のように柔らかで、ふんわりと香水の香りが漂ってくるカリンの手と常に触れ合っているような距離感は、健全な男子にとっては気が気ではない状況であった。
「うふふっ♪」
そのようにしどろもどろになっているバニラを横目に、楽しそうに笑みを浮かべるカリン。だが、その不敵な笑みもマスクに隠れて誰の目に映ることもなかった。
*
二人がやって来たのは百貨店の一階にあるフードコートだった。
テラス席もあり、昼時には人がたくさん訪れる場所でもあるが、二人が訪れたのはちょうど人が少ない時間帯だ。
ゆっくり食事を摂るにはピッタリだったと言えよう。
「荷物持ってくれてありがとね」
「い、いえ……」
席に座っても尚カリンの手と触れあった感触が忘れられないバニラは、依然心臓の鼓動がバクバクと騒いでいる。
顔もオクタンのように真っ赤で、そこまで暑くないにも拘らず、頬には一筋の汗が伝っていた。
「暑い?」
「え? ……い、いえ、そんなことは……」
「でも、顔が真っ赤。そうね、まずはご飯の前にドリンクでも注文しましょ」
「は、はい……」
バニラの様子を見かねたかのように、先んじてドリンクを買いに席を立つカリン。
そうして彼女は二人分の飲み物を携えて戻ってきた。
バニラはサイコソーダ、カリンはミックスオレである。
ストローで吸い上げる清涼感たっぷりの炭酸飲料を味わい、ようやく一息吐けたと言わんばかりにホッとした表情だ。
「ふぅ……ん?」
もうひと口とストローに口を付けようと顔を下げるバニラ。
刹那、彼の視界に映ったのは、大胆に肩を露出するワンピースを着ていたカリンのたわわに実った果実が、トップスから零れ落ちている―――否、意図的に彼女がさらけ出している姿であった。
大人の女性であれば着けているだろうブラジャーはそこにはなく、綺麗な桜色がぷっくりと実っている光景も、はっきりと見えてしまう。
「んぐぶっ!?」
余りにも強烈な光景に、飲み物を飲む所か噴き出してしまいそうになったバニラ。
その様子をクスクスと笑うカリンは、サッと胸をワンピースの中へと戻し、涼しい顔で飲み物に口を付ける。
「うふふっ、驚いた?」
「お、驚いたどころの話じゃありませんよ……なにしてるんですか?」
「知らない? おっぱいチャレンジ」
「へ? そ、そのおっ……チャレンジってなんですか?」
「公衆の場でバレないようにおっぱいをさらけ出す巷で話題のエッチな遊びよ」
バレてしまえば女としての人生が終わってしまいそうな余りにも過激な遊びである。
そんな遊びを用い、バニラを弄ぶカリンであったが、彼女のからかいはまだ終わらない。
「そっちのジュースもおいしそうね。一口くれない?」
「えっ!?」
「もちろん、あたくしのも一口あげるから」
「わ……わかりました」
「じゃあ……」
バニラが口をつけたストロー目掛け、向かい側の席からテーブルへ身を乗り出すカリン。
その際、たわわに実った果実はワンピースの中で重力に従って零れるように垂れ下がり、男の視線を吸い込む魔性の谷間を生み出す。
バニラもその例外ではなく、否応なしに視線はカリンの谷間へと向かってしまう。
ハッと気が付いて視線を逸らすものの、その一連の流れをしっかりと見ていたカリンは、恍惚とした表情を浮かべてストローに口を付ける。
「んっ……♡」
わざと艶っぽい声を漏らし、バニラの初々しい様子を楽しむ。
一口と言った手前、長々と飲む訳にはいかないカリンであるが、その短い間にもできる限りの煽情的な所作を目の前の少年へ見せつける。
口の端に零れた飲み物を舐め取り、身をよじらせるように天井を仰いだかと思えば喉をゴクリと鳴らし、最後に炭酸飲料のフレーバーの混じる甘い吐息を漏らす。
「御馳走様」
最後に、うっとりと―――恍惚したように蕩けた表情を浮かべて礼を告げる様は、まるで違う場面を錯覚させる。
思わず生唾を飲み込むバニラ。
しかし、そんな彼に畳みかけるようにカリンは自身が飲んでいた飲み物を差し出す。
「さ、今度はあなたが飲んで」
「は……はい」
先ほどまでカリンが口を付けてたストローに、今度はバニラが口を付ける番だ。
余り意識してはならないと自分に言い聞かせる。心頭滅却。これはなんてことのない行為なのだ、と。
だが、徐にバニラの顔の傍に近づいてきたカリンが囁く。
「間接キス……しちゃったわね♡」
「んっ!?」
意識しないようにしていたことをそのまま言葉に出され、バニラは咽てしまった。
「げほっ、ごほっ! カ、カリンさん……!」
「冗談よ。カワイイ♡」
「や、やめてくださいよぅ……」
咽たことにより、バニラの口の周りはジュースで汚れてしまっていた。
それをカリンは微笑みながらバッグから取り出したハンカチで拭う。このように甲斐甲斐しく世話焼きな面があるというにも拘らず、どうしてこうも悪戯が好きなのだろうか。バニラは困惑しつつも、僅かながらそのギャップに魅力を覚えてしまっていた。
ハンカチに染みついたカリンの香りを否応なしに嗅がせられ、その柔らかな花のような香りを楽しんでいれば、よもすれば唇が触れてしまいそうな距離でカリンが囁く。
「この後……下着売り場に行かないかしら?」
「へ?」
「見たでしょ? あたくし、今日下着付けてないの」
「そ、それは……あの……はい、見ちゃいました……ごめんなさい」
「謝らなくていいの。でも、このまま帰ったらうっかりした時に見られちゃうかも。だから……」
徐にワンピースの裾がたくし上げられる。
そこには本来穿かれて然るべきの下着の存在はなく、丁寧に処理された陰毛が茂る秘所が佇んでいるだけであった。
「あなたに下着を選んでもらおうかなって」
『いいわよね?』と紡いだカリンの手は、バニラの股座へと添えられていた。
既にズボンの中では屹立してしまっている男根を撫でるかのように―――。
*
普段であれば決して赴くことのない女性の下着売り場。
そこへカリンに連れられてきたバニラは、挙動不審と受け取られてもおかしくない落ち着きのなさを露呈していた。
それも仕方がないことかもしれない。何故ならば、かの四天王の一人・カリンの下着を直々に選ぶことになっているのだから。
「どんなのが似合うと思う?」
「ええと……」
最早遠慮することなく、バニラにぴったりと寄り添いながら下着を物色するカリン。
彼女もまた興奮を隠せていなのか、マスクの下では頬がほんのり紅潮していた。女性の下着など選んだことがなさそうな少年が、選択の権利を委ねられて必死に熟考している様は、この上なく嗜虐心をそそられる。
趣味に走るも良し。自分に合うものを選んでくれるのもよし。
彼が無難だからと選んでくれたものであっても、所詮それは彼の認識でしかないのだ。ギャップがあろうがなかろうが、楽しめることには変わりない。
ゾクゾクと背筋を這い上がる感覚に、カリンは気付かれない声量でハァと声を漏らした。
だが、中々バニラの物色が終わらない。こう迷っている姿もそそられるが、何もアクションがないのももったいないと、カリンは自ら状況を動かしてみることにした。
「あたくしに似合う下着ってどんなものかしら」
「カリンさんに似合う下着……っ」
「こういう黒のエレガントな感じ?」
そう言ってカリンが手にしたのは、フリルのついた豪華な装飾の下着だ。
確かにカリンに似合いそうな下着ではある。あくタイプ使いのイメージにも、黒色は合っていると言えるかもしれない。
「それとも、白い清純な感じ?」
次に手に取られたのは、真っ白で先ほどの黒の下着ほど装飾が豪華ではない下着。
カリンの言う通り、清純なイメージの女性が穿いていそうな代物ではある。しかし、カリンのようにアダルトな雰囲気を漂わせる女性が穿いていたとしても、それはそれで似合っていると言えよう。
「こういう情熱的な赤もどうかしら?」
真っ赤に燃える紅蓮色の下着を手に取ったカリン。
それから、誘惑的な紫色。シュッと引き締まった印象を与える青色。溌剌とした明るい黄色。落ち着くような緑色等、様々な下着を取って見せる。
「意外にこういうキャラものもイケるかもしれないわね♪」
「そ、それは流石に……」
ノリノリなカリンが手に取ったのは、小さな女の子が穿いていそうなキャラものの下着だ。女の子が好きそうなヒメグマやプリンといった可愛いポケモンがプリントされている下着を穿いているカリンは想像できない。
だが、それさえも穿きこなしてしまいそうなのがカリンの恐ろしいところである。ギャップも抜群。一部の紳士からすれば、燃えるような夜を送ることができるエッセンスとなろう。
だが、一般的に考えて大人の女性が穿いていたら白い目で見られるだろう代物を自分の裁量で穿かせる訳にはいかないと、バニラもこればかりは即座に却下する。
「じゃあ、こんなのは?」
「はわわ……」
キャラものの下着が却下されたカリンが手に取ったのは、極端に布面積が少ない―――それこそ大事な部分しか隠せないであろうTバックであった。
しっかりと陰毛の処理をしなければならないとはみ出してしまう為、必然的にカリンに労力を要してしまう。
そう自分に言い聞かせるバニラは、これも選ぶのが憚られると却下しようと考える。だが、Tバック片手に詰め寄るカリンは、バニラの腰に腕を回し、その腕で彼の股間に手を添える。未だ収まることを知らない男根を布越しに楽しむカリンは、撫でるような手つきで股間の辺りを擦りつつ、蕩けるような甘い声で誘う。
「こんなの穿いたらシやすそうだと思わない?」
「……何の話ですか?」
「しらばっくれてもダメよ。お姉さんは何でも分かるんだから」
撫でるような手つきは、いつしか揉みしだくような動きへと変化し、バニラも思わず前かがみになってしまう。
そんなささやかな抵抗も、今のカリンには無意味だ。
「これがいいわよね?」
「あ、あの……」
「もしこれを選んでくれたなら、試してあげてもいいのに……」
「ぁ……何を……ですか」
「それは買ってからのお楽しみよ♡」
とうにカリンにTバックを選ばせないという考えはなかった。
半ば強制的にTバックを選ばされるという形になったバニラは、カリンに手招かれるがまま、人気のない場所へと連れていかれる。
そして―――。
*
クチュ……ヌチュ……。
静かで淫らな水音が響く。
そこは百貨店の男子トイレと女子トイレの間に挟まれる、多目的用のトイレであった。普通の個室よりも広々としたトイレの中、しっかりと鍵をかけたカリンは、先ほど購入した布面積の少ない下着を身につけ、便座に座るバニラに跨り、これまた淫らな腰の動きを見せている。
「はぁ……はぁ……♡」
ポニーテールにまとめていた髪をほどき、いつものウェーブがかった長髪を振り乱すカリンは、甘い吐息を漏らし、時折バニラと口付けを交わす。
小さなリップノイズを響かせるも、あくまでここは百貨店内であり、人が来るトイレの近くだ。余り音を大きくすれば怪しまれてしまう。そうなればカリンにとっては一巻の終わりとも言える。
そして本来、この多目的トイレは間違っても性交用の場所ではなく、警察に見つかれば御用となること間違いなしだ。
だからこそ、その背徳感が麻薬のようにカリンを満たしていた。
禁忌を犯すことこそ至極の悦楽をもたらす。彼女程の女となれば、これほどの刺激でなければ心も体も満足しないのだろう。
買ったばかりのTバックをずらし、一回りも小さい少年の逸物を、その花弁で包み込む。
舞うように腰を振る様は、口の中の飴玉を懇切丁寧に舐る舌の動きを彷彿とさせる。そのように甘露な舞いを受けるバニラは、今にも爆発しそうであった。
「カ、カリン……さん」
「いいのよ……中にたくさん出して……」
「は、はい……うっ!」
「んっ……キたァ……♡」
激しいピストン運動に比べれば、比較的刺激の少ないグラインド騎乗であったものの、優しくねっとりと締め付ける膣肉にとうとう我慢できなくなった男根から、子種が炸裂した。
じんわりと広がっていく熱。それを一身に受け止めるカリンは、蕩けるような満足感を覚えつつ、同じく蕩けそうになっているバニラと今一度キスを交わした。上の口も下の口も繋がっている。ほぼ一体化していると言っても過言ではない、緩やかで情熱的な色事は、慎ましやかに静かな終わりを迎える。
「たくさん出たわね……♡ もったいないっと……♡」
キスを交わしている間に復活した剛直がぬるりと膣から抜けた瞬間、膣内を満たしていた精液が零れないようにと、カリンはずらしていたTバックを正しい位置に戻す。
そうすれば必然的に淫裂に当たる部分が精液と愛液に濡れるだろう。事実、カリンの穿いているTバックのクロッチ部分にはじんわりと染みが広がっていた。普通であれば不快感を覚えるだろうが、カリンは違った。染みのできた部分を指でなぞった彼女は、僅かに二人の体液に濡れた指先を舌で舐る。
まるで欲しいものを目の前にした子供のような姿。しかし、下半身は子供というには余りにも乱れている光景が広がっている。
そんな彼女は濡れた下半身を拭うこともなく、たくし上げていた裾を下ろし、平然とした顔で立ち上がった。
「ありがとね。楽しい休日を過ごせたわ」
「カリンさん。あ、あの……穿いたままで大丈夫なんですか?」
「ああ、これ? これはそうね……」
いそいそと自身の男根をウェットティッシュで拭っていたバニラに、カリンは徐に顔を近づける。
その顔は悦楽に歪んでおり、さながら夢魔のようだった。
性臭を隠しきれない股間から、ぬちゃりと水音をわざと立てる為に腰を動かす彼女は、指でその部位を指し示しながら語を継ぐ。
「あなたのザーメンがたっぷり染み込んだ下着……また穿くから」
「えっ!?」
「今度テレビであたくしを見た時も、直接会った時も穿いてるかも……」
「っ……!」
「それじゃあね♡」
最後にいたずらっ子のような笑みを浮かべたカリンは、サングラスとマスクを着け直し、多目的トイレを去っていった。
室内に残るのは彼女の柔らかな香りと、二人が淫らに混じり合った性臭のみ。
そんな中、彼女のからかいによる爆弾発言を受けたバニラは、一人抑えきれぬ情欲に苛まれたままだった。