アイリスフィールはイリヤスフィールのために、俺との契約を行なった。
契約の内容は至極単純であり、イリヤスフィールが聖杯戦争に参加することは止められないために彼女を聖杯戦争後も普通に人間として生きていけるようにする代わりに、アイリスフィールは快楽を受け入れ、間桐の家の一員として間桐の勝利のために尽力し、俺の命令を全て受け入れること。
そして、アイリスフィールがそれを受け入れてから数週間。俺やアイリスフィールの肉体を用意した時に既に用意していたイリヤスフィールの肉体を見せることで『イリヤスフィールが生きていくための準備は整った』として、彼女との間に交わされた
結果としてアイリスフィールは、俺の本来の肉体……間桐臓硯の老人としての肉体ではない、若かりし頃の肉体の妻という形で正式に間桐の一員となっている。ちなみに、俺のこの肉体に関しては『間桐鶴野』の名義をそのまま使わせてもらっている。そのためアイリスフィールの立ち位置は後妻となっているのだが、そこに関してはどうでもいい。
「聖杯の欠片を蟲にしていた」だけだったので特に魔力を吸うこともなく、結果として桜が間桐のものとは違う魔術属性のせいで苦戦しながらも、その契約がなされた数日後に蟲を使い魔として使役することに成功するというちょっとした事件は発生したが、今となってはそれも過ぎたこと。
慎二が、桜が魔術師としての後継者だということを知ったことで桜に対しての対応があれになったこと。
桜を衛宮士郎の家に監視という名目で向かわせたこと。
そういった諸々の、そしてそれら以外の俺の知る限りの原作に沿うような行動は、俺が手を出せない部分も、俺の目に届く範囲内ではしっかりと発生していた。
「アイリ」
妻となった女に声をかける。
快楽に耽る正当な理由ができたためか、彼女が溺れるのはほとんど一瞬に近いものだった。
彼女を犯していた期間は約五年。それだけの期間常に裸で、肌が敏感になりながら犯され続けたからか、今の彼女は服と触れ合うだけでも感じてしまう。そのため、キャミソールにホットパンツというできる限り肌を露出した姿で俺の逸物を咥えていた。
お嬢様然とした姿とはまるで違う姿でありながらもその姿からは気品が消えておらず、そしてすでに肉体年齢としては三十歳に近いような年代であるにもかかわらず、コスプレ、似合わないといった感想よりも先にエロいという感想が出てくる。慎二もよく前かがみになっている。
「イリヤスフィールがついに郊外の城に到着したみたいだぞ」
「ん!?」
ゴクリ、と射精をその口で受け止め、喉を鳴らしながら精液を飲み下した彼女は驚きを隠しきれない瞳でこちらを眺めている。
「召喚したのはバーサーカーらしい」
「バーサーカー……そう、お爺様が選んだのね」
「ほう?」
「切嗣が裏切った以上、お爺様が考えるのは裏切らない英霊をってことでしょうし」
やはり、アハト翁の考えはわかりやすいらしい。あるいは、アイリスフィールが生まれた時から彼を知っていたからかもしれないが。
「それで、この聖杯戦争はどうするつもりなの?」
はべるように、その豊満な肉体を押し付けるように、アイリスフィールは俺にしなだれかかる。そんな彼女の背中の方から腕を回して、彼女のお尻に触れる。喘ぐアイリスフィールを無視して、彼女が聞きたがった今回の聖杯戦争について頭の中で思い描く。
「今の所確認できているのがバーサーカー、アサシン、キャスター、ランサー。この中で場所がわかっているのはアサシン、キャスター、バーサーカー。今日、桜に召喚をさせるからさらに一枠埋まる。……まずは桜が召喚を終えねば話は始まらんなぁ」
アサシン、ランサー、バーサーカーの姿は確認できている。その三名は原作と同じく佐々木小次郎、クー・フーリン、ヘラクレスだったので、きっとキャスターも同じだろう。となれば、Heavens Feelルートと同じようにアサシンを媒介に真アサシン……呪腕のハサンを召喚するのがきっと一番目的に近い道となる。
「では、俺は桜の召喚を見守る必要があるのでな」
そういって席をはずす。少し物欲しそうにこちらを見るアイリスフィールに、本当に五年前の時点から変わったものだという感想を抱きながら。
その時、桜はすでに蟲蔵にいた。
「すでに来ていたか」
「……はい、お爺様」
桜が召喚に使う予定の魔法陣はすでに描かれている。
前回の聖杯戦争で雁夜が使用した魔法陣、それを今回の桜も利用する。
桜を解放しようとした男が使った魔法陣を桜が使うというのはなかなかに悪趣味だが、そこに関しては今はどうでもいい。
桜が詠唱をするのを”間桐臓硯”の肉体で見ながら、願わくば召喚される相手がライダー、メドゥーサであることを祈る。
「汝、三大の言霊を纏う七天。抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よーーーっ!」
その言葉とともに発生した閃光と暴風。
蟲たちが吹き飛ばされ壁に押し付けられてプチプチと潰れて行く中、その魔法陣の中心には人影が一人立っていた。
紫の長髪に、視界をバイザーで隠している女性。ボディコンを纏ったその体は間違いなく豊満で、長身であることも合わせて雑誌のモデルだと言われれば納得できてしまいそうな相手。それがメドゥーサであることを悟り、歓喜が浮かぶ。
「桜や、こっちへ来い」
「はい」
こちらに寄って来た桜に言葉を告げる。
それは小声であり、メドゥーサには聞かれたくないということでもある。
「衛宮の倅も聖杯戦争に参加するだろう。
そうなった場合、お前は戦えるのか?」
「……それは」
「戦えないというのならそれでもいい。その場合は、慎二が望めばの話ではあるがあやつに偽臣の書でも持たせて代理マスターとでもすれば良いだけだからな」
「はい」
そこで一度息を吐く。
桜も、微妙に戦わなくていいかもしれない未来に少しばかりの希望を宿した瞳になっている。
使い魔に対する支配力はこちらの方が上だが、それでも使い魔使役に対して少しばかり慣れたためか原作の桜よりも少しばかり感情表現が得意に思える。
まあ、それはいい。
「そういうことだ。あとはライダーと話し合うといい」
そう言って、桜のことを送り出した。
感想欄で展開予想されていたのはびびった