間桐桜が『黒桜』あるいは『マキリの杯』と呼ばれるような存在へと至るにはいくつかのプロセスが存在する。
その最後のひと押しが慎二の殺害だったから、慎二を別のところにでも放り出そうかと考えていたわけだが、よくよく考えてみればそんなことにはなんの意味もない……とまでは言わずともそこまで効果がないということを理解した。
慎二の殺害は『最後のひと押し』だっただけで、別にその状態になってしまえばいつ黒桜に覚醒してもおかしくはないのだ。黒桜に覚醒させないことを目的とするのであれば、まずその時限爆弾がいつ爆発してもおかしくはない状況を作り上げないこと……つまり火種を取り除いてしまえばいい。
ではその火種がなんだったのかと言われると答えは簡単。マキリの杯が取り込んだ無数のサーヴァントであり、ならば間桐桜にサーヴァントの魂を吸収させなければそれでいいのだ。
そのための用意は、自分が予想していた使い方とは違うことにはなるが、それでも用意することができていた。
「さて、早めにキャスターを黒化させねばな」
己の内側、内包されてしまった「この世全ての悪」とそれに取り込まれたキャスターの魂に対して意識を向ける。
少女時代のメディアの表面をこの世全ての悪が這い回り、汚泥が服の内側に潜り込んでその美しい裸身を穢している様子が見える。
彼女を黒化してしまえば、間桐の使い魔の使役に関する造詣の深さもあって、聖杯の泥を使役しているのと同じようにして使役することは可能なはず。
そう、つまりは黒桜とは別の……俺の肉体を間桐の聖杯としてしまうことで黒桜の誕生を封じるというのが俺の選んだ手段。
今現在中にいるキャスターの黒化の割合としてはだいたい三十パーセント程度だろうか。今日、あるいは明日の昼。そこまでにはキャスターを泥で犯し尽くして黒化を終わらせなければ、セイバーを捕まえる予定が狂ってしまう。
ただでさえ、キャスターとセイバーがリリィだったことで本来ならば使い捨てる予定だったキャスターを生き残らせる必要が出てきて面倒なことになっているので、これ以上の変化はできることなら遠慮願いたい。
そういうわけで、俺の中でキャスターの魂と霊基を侵食をしている最中の泥に対して意識を向けた。
魂だけの状態のキャスター、それを犯しているようなイメージを臓硯は抱いていたが実際には魂を泥の中に浸けて、体を構成する魔力を全て泥に移し替えて黒化を完了させるための作業。
「……んぅぅ、ふぁ、あぁ――……くぅぁ、はぁ、はぁ……」
そこに放り込まれているキャスター……メディアリリィの魂は地獄の快楽を味わっていた。
泥が表面を這い回っているだけだというのにもかかわらず、それだけで彼女の性感が刺激されるのは『姦淫』という『悪』をその泥は含んでいるからか。
少女はこの空間を
その艶姿は彼女の思考が蕩けさせられていることを示し、その侵食に彼女の魂が穢されていくたびに痴態はより扇情的に。
「ひあぁ……! あぁぁっ、あっ! ……中、たくさん、ごりごりってぇ……ふぅっ……! あ、き、もちいぃっ……!」
泥の動きが変わる。
ただ這い回るだけだった泥が、彼女の女性器の中に入り込む。
その変化は臓硯が使役をしたのかどうか。
これまでのメディアリリィはただ泥の中に落とされて、その中を彼女が落ちていくことで表面を泥が這い回っていただけだったが、臓硯がこちらに意識を向けたことによって泥の中の意識が臓硯が知る女を堕落させる方法を認識して、その方法を取り始めた。
泥は流体のように彼女の内側も這い回り、刺激を繰り返す。
叩きつけられるような快楽にメディアリリィの意識は蕩けていき、そして。
「目覚めたか」
彼女が気がつけば、見知らぬ男の……臓硯の部屋の中にいた。
メディアはこの男からも先ほどの泥の気配がすることは理解して、そしてこの男が己のマスターなのだと理解した。
葛木宗一郎をマスターとして認めていたはずの彼女はそのことを忘れてはおらず、けれど同時に男に対しても忠誠を誓うようにして彼の前に跪く。
「マスター、ご用命を」
男から向けられるぶしつけな視線だけで彼女の股は濡れてしまいそうで。
けれどその様子は見せずに、キャスターは命令を待つ。
姿形、服装すらも一切の変化はないのだが確かに霊基が変化したことを臓硯は理解して、命令を下す。
「わかりました」
その命令にキャスターは微笑んで、そして泥の中に溶けるようにして一度戻り、命令を果たすために行かなければならない場所への移動を開始した。