※この作品はR-18です。

Quatro XX ~スパイ未満のオレの胃はもう限界かもしれない~   作:滑落車博士

10 / 10
一年くらい前に、ピクシブさんに投稿してたエチ短編の改稿です。
(ピクシブ側は既に非公開にしてます)

おおよそプロトタイプ版なので、若干文体が違ったりしますが
ご了承ください。

ベアトさんルートのエチシーンです。
時制は未来の任意地点です。

(今後もエチシーンは時系列とか前後すると思います
 オムニバス形式というか、各ルート入ったif展開的な)





◆Route B IF : Blue moon in your eyes

 ベアトリスには、時折、「ちょっとした、私用です」と言って出かける日がある。

 

 その事情については、彼女の主であるプリンセスと、

 一度尾行して詳細を把握しているアンジェ以外、知らない。

 

 屈託なく、明るく振る舞うベアトリスがチーム白鳩の面々にも隠す秘密、それは―――。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 ・・・神様は何もしてくれない。

 

 大人は、誰も助けてくれない。

 姫様の周りにいる人たちは、優しい姫様を守ってくれるわけじゃない。

 ただ、姫様を利用するか、不利益になるのならば害してしまおうと思ってるんです。

 

 

 わたしは、長い間、そう考えて、悩んできました。

 

 それは、わたしの生い立ちと、わたしの主人であり、「友達になりましょう」と言ってくれた姫様…その姫様が、複雑な政治的立場におかれていたことが原因だと思います。

 

 

 けれど―――。

 

 チーム白鳩のみんなは、スパイですけれど

 基本的に優しい人たちなのは、すでに知っています。

 

 

 ドロシーさんは、大人っぽくて、そして可愛らしくて、みんなのお姉さんみたいな人です。

 きっと、わたしにお姉ちゃんがいたら、あんな風に優しくしてくれるのかな…って思っちゃいます。ただ、お酒が大好きで、飲みすぎてしまうところは、ちょっとだらしがないのかなぁ…。

 

 

 ちせさんは、ちょっと変わったところもあるけれど、素直な良い人です。

 全く文化の違う国に来ているのに、へこたれずに立ち向かっていきます。

 それは、剣術の腕というだけでなく、彼女の「強さ」なのだと思います。

 

 

 アンジェさんは…最初は、よくわからない人でした。

 うそつきで、姫様と同じ顔をしたスパイ。

 本当のコトを言ってくれなくて、いつも話をはぐらかして

 最初は、姫様の敵だと、すごく警戒していました。

 

 でも、今は違います。

 

 アンジェさんは、姫様が大好きで。

 本当は、嘘を吐くのがあまり上手じゃなくて。

 きっと否定するけれど、すごく優しい人。

 みんなに迷惑をかけたくないから、一人で頑張っちゃう人なんです。

 

 それを知ることができてから、わたしは、チーム白鳩のみんなが、大好きになりました。

 

 

 そして、もう一人。

 

 わたしには、信頼できる、大好きな人がいます。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 わたしは、こほんと息をして、お屋敷の玄関の呼び鈴を鳴らしました。

 

 ちりん、ちりんと、機械仕掛けの鈴が鳴って、しばらくして執事のおじいさんが出てきます。

 

「あのっ、クイーンズ・メイフェア校より、シャーロット王女の代参として

 クロフォード伯爵への手紙をお持ちいたしましたっ。…お取次ぎを、頂けますでしょうか?」

 

 この瞬間は、いつも恥ずかしいです。きっと、顔も真っ赤になっている筈です。

 

 執事のおじいさんは、にっこりと笑って、玄関に招き入れてくれます。

 しばしお待ちを、と玄関で待つ間、このお屋敷と、その主人のことについて思います。

 

 クロフォード伯爵。

 一応は男爵家の娘であるわたしからみても、大きく、立派なお屋敷。

 代々の侍従、式部、尚書などで王家にお仕えしている古い貴族。

 

 彼の母は、ロンドン革命の前に姫様の教育係ををされていました。

 そのため、姫様を幼いころから知っていて、数少ない姫様の味方といえる貴族の一人です。

 

 ・・・そして、チェンジリング作戦に秘密裏に協力してくれています。

 

 

「やあ、ベアトリス。わざわざ来てくれて、ありがとう。―――外は、寒くなかったかい?」

 

 出てきたのは、いつもの優しい笑顔のクロフォード伯爵です。

 

「はいっ。最近は寒くなってきましたから、ちょっと厚着をしてきちゃいました」

 

 わたしが、少しばかりおめかししてきたコートを見せると、彼はくすり、と笑って。

 

「・・・じいや、熱い紅茶を、ボクの部屋に用意してくれるかい?

 淑女(レディ)を玄関先で待たせて、長話という訳にはいかないからね…」

 

 そして、目配せ。

 

 わたしの顔が熱いのは、外が寒かったからじゃなくて。

 きっと、期待してしまっているから。

 

 ―――わたしは、ドキドキする胸を抑えて、彼に連れられて中へと入ります。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 部屋の扉を後ろ手で閉めて、ボクはベアトの唇を奪った。

 

「っ!? クロフォードさま…っ!?」

 

 驚きの声を上げる彼女の口を、強引に塞ぐ。

 身を寄せて、抱きしめる。

 

 中々、口実を付けなければ会うこともできない彼女が、

 ただただ愛おしくて、止めることができない。

 

 ぷは、と強引な接吻から息を吐き、彼女の瞳を覗き込む。

 

 琥珀色(アンバー)の瞳、ボクよりも一回り小さい体躯、愛らしい声。

 小動物に向けるような保護欲と、この少女が欲しいという劣情が、綯い交ぜになる。

 

「あ、あの! わたしはクロフォード様に、姫様からのお手紙を渡しに…っ」

「知ってる」

 

 ぎゅ、と強く掻き抱く。

 

 …どさり、と足元で音がしたのは、彼女が革鞄を取り落としたからだ。

 

 

 ―――そう、これは逢瀬。

 

 ベアトとプリンセス、そして共和国スパイの活動が始まってから、

 クロフォードとベアトリスの仲は、急速に縮まった。

 

 共にプリンセスを敬愛し、深い感情を向けている同志であり、

 チェンジリング作戦という、王国に仇なす秘密の共犯者である。

 

 淡かった恋心が、いつしか燃えだすまでに時間はかからなかった。

 

 ロンドンの夜闇の中、いくつかの任務を一緒に乗り越えた。

 スパイの任務は、危険だ。まして、年端も行かぬ優しい少女に、させたくはない。

 

 ・・・ある時、ベアトが用事で訪ねてきた夜、クロフォードは彼女を抱いた。

 愛している、と。もう失いたくない、ボクのものになってくれ、と。

 

 思い返せば、身勝手な言葉であった。

 けれども、ベアトリスは困ったような笑顔で、それを受け入れ―――

 ―――逢瀬は、今も続いている。

 

 

 コン、コン、コン、コンと。

 

 扉を、4回ノックする音が、部屋に響いた。

 

「・・・じいやか。少し待ってくれ」

 

 

 ボクは、赤くなっているベアトから身を離すと、足元の鞄を拾い上げて机の上に置いた。

 ベアトは慌てた様子で、少し乱れてしまった服を整え直している。

 

「入れ」

 

 ややあって、熱い紅茶が用意され、カップから湯気が立つ。

 

 ……じいやは察してはいるのだろうが、特に何も言うことなく、紅茶を注ぎ、

 ニコニコとしながら部屋を辞した。

 

 …自分とベアトの様子から、おおむね気づいてはいるのだろうが。

 

 

「・・・その。 紅茶、飲みましょうか」

「ああ…」

 

 

 ラプサンスーチョン(正山小種)の芳醇な香りが、部屋を満たしていく。

 体が、どうにも熱く感じるのは、飲み干した紅茶のせいか。

 

 ……もどかしい。

 

 クロフォード伯爵家がスパイ活動に本格的に関与していると疑われないためにも、ベアトと夜に会えるのは月に一、二度ほど。

 我が身可愛さの保身ではないが、自分が捕まればプリンセスに累が及ぶ以上、ベアトに会いたい一心だけで危ない橋は渡れない。それはベアトも同じで、頻繁に屋敷に訪ねる訳にはいかないのであった。

 

 

「っ、先に、姫様からのお手紙を渡しますねっ。 …ちょっと、お渡しするの遅れちゃうところでしたけれど」

 

 ベアトは、はにかみながら鞄から封筒を取り出す。

 プリンセスからの手紙である。

 

 公的な手紙であれば、王家の紋章の封蝋が押されるはずであるが、これにはそれが無い。私的な手紙だ。

 もちろん、スパイに関わる内容は書かれていない。情報漏洩を防ぐためだ。

 必要な内容があれば、基本、ベアトが口頭で伝える。そういう手筈になっている。

 

「それで、今回は? ボクは、何を支援すればいい?」

「それが…」

 

 封筒を手にして訊ねるボクに、言い淀むベアト。

 

「姫様からは、ただ手紙を渡してきて欲しい、読めばわかるわ、と言われただけで…。

 何も、言伝をおっしゃらなかったんです」

 

「ふむ・・・?」

 

 ペーパーナイフを取り出して、封を開ける。

 

 

「・・・、・・・・」

 

 

 

 

「あの、クロフォード様…?」

 

 難しい顔をしていたであろうボクに、ベアトがおずおずと訊ねてくる。

 

「ああ…。いや、心配するような内容じゃない」

 

 そう、ベアトが心配するような内容は、何一つない。

 むしろ―――。

 

 

 少し、昔を思い出す。

 思い返せば、『シャーロット』も『アンジェ』も、あれで結構な悪戯好きだった。

 

 きっとこれは、スパイだとか国とかは関係なく、幼馴染の女の子たちの悪戯で。

 

 ベアトリスという女の子を、ちゃんと幸せにしなさい、という無茶ぶりなのだ。

 

 

 こほん、と一息。

 

 

「あのさ」

 

 きょとんとしているベアトに、ボクが大好きな女の子に、手紙の内容を要約して伝える。

 

「・・・プリンセスが、『今日は戻ってこないで泊ってきなさい』って」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「こんな、ことになるなんて…」

 

 寝台に座ったベアトは、いつも以上に恥ずかしそうに、小さく呟いた。

 

 今回の手紙は…彼女の主であるプリンセスから、直截的に「存分にいちゃいちゃしてきなさい」という命令であった。

 ボクに向けては、「責任を取って、幸せにしてあげなさい」と。

 

 この手紙を書いているとき、プリンセスはどんな表情をしていたのだろう。

 王女としてではなく、幼い頃の天真爛漫な彼女が、茶目っ気にペンを握っていたのではないだろうか。

 

 

 ・・・二人の仲はプリンセスに知られていたし、手紙を口実にして逢瀬を重ねていることも把握されていた。

 が、こうも直截に、プリンセスが言及したのは初めてで。

 それがベアトを戸惑わせているようだった。

 

 

「・・・姫様に、こういうことで気を遣わせたのが、嫌かい?」

 

「だって…、わたしは姫様の侍女なのに。姫様に、こんなことをして貰うなんて…」

 

 それに、と。ベアトは言葉を継ぐ。

 

「姫様に、わたしがいやらしいことをしてるのを知られちゃうんですよ?

 

 もちろん姫様にはちゃんとお伝えしてますし、だからこそ『私用です』とお暇を頂いているわけですけど…。…それと、直々にお膳立ていただいて、密会するなんて、話が別ですっ…!

 

 ああ、明日、姫様にどんな顔をしてお会いすれば…っ」

 

 

 落ち着かない様子のベアトを、ボクは抱きしめる。

 小さくて、柔らかい体。ボクの好きな女の子。

 

 心臓の鼓動が、密着した体から伝わってきて、彼女の気持ちが判るような気がした。

 ボクの気持ちも、彼女に伝われば、良いのだけれど。

 

「ベアト」

 

 細い首筋に手を這わせて、顔をこちらに向けさせる。

 潤んだ瞳に、拒絶の色は無く、ただ混乱してどうしたらわからないようだった。

 

「ボクは、ベアトのことが、好きだ。………愛してる」

 

 本心から告げて、軽く口付ける。

 

 先ほどの衝動めいた強引なキスではなく、優しく、いたわるようなキス。

 

「確かに、プリンセスに知られて恥ずかしい気持ちもあるけどね…。

 

 ボクは、今夜、ベアトとずっといっしょに居られることが、すごく嬉しいんだ。

 キミを、めちゃくちゃに愛してしまいたいと思ってしまう」

 

 

 正直に言えば、今だって我慢できないくらいなのだけれど、

 それは少し抑えて、彼女を落ち着かせる。

 ベアトの頭を、ゆっくり撫でる。肩口にかかる濃い亜麻色の髪を、梳くように指でなぞる。

 

「・・・ベアトは、ボクといっしょにいたくない?」

「そんなこと!」

 

 大きな声を出してしまった後で、はっと口に手をあてるベアト。

 

「そんなこと、ないです。わたしだって、クロフォード様といっしょにいたいです。

 

 ―――でも、わたしだけ特別にこんなことしてもらって、幸せになっちゃったら

 姫様やチームのみんなに、悪いんじゃないかな、って…」

 

 

 危険な任務に身をやつして、失敗すれば殺される。

 そんなチームのメンバーに対して、ベアトは引け目を感じていた。

 

 ……今、ベアトがチームから距離をとり、クロフォード伯爵家と関係を持てば

 王国貴族としての生活と安全は十分保障される。

 男爵家の娘が、王家の信も厚い伯爵家へと仮に嫁いだとすれば…客観的に見れば、玉の輿だろう。

 

 しかし。

 死と裏切りが隣り合わせになっている、アンジェやドロシーは、自分のことをどう思うだろう。

 ベアトは機械に強い、大したものじゃ、と評してくれたちせは、友人でいてくれるだろうか。

 なにより、敬愛するプリンセスの、お側で仕え続けることが、できなくなるのではないか―――?

 

 

 逡巡するベアトに、ボクは寝台横のチェストに置いてあった、プリンセスからの手紙を見せる。

 

「大丈夫」

 

 そう、ベアトの心配は、杞憂だ。

 

 ・・・ボクも含めて、みんなベアトの幸せを願っているのだから。

 だから、いっしょにいられるし、何が変わるわけでもない。

 

 「読めばわかる」―――そう、プリンセスが言った通り。

 手紙の文面には、ボクとベアトの関係を、祝福し、後押しする言葉が綴られていた。

 

 

「大丈夫だよ、ベアト。好きとか愛しているとか、そういう気持ちは、悪いものじゃあ無いんだから」

「クロフォード様…。姫様…っ」

 

 流麗なプリンセスの筆跡を読んで、ベアトは目を潤ませて、

 そして、手紙を折りたたむと、ゆっくりと言った。

 

「わたしは―――姫様が好き。

 クロフォード様も、もちろん好きです。

 

 だから・・・その、こんなわたしでよろしければ。

 幸せにしてくれますか…?」

 

 答えは、言うまでもない。

 

 ボクは、ベアトを寝台に押し倒した。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 肌寒い季節とはいえ、屋敷は裸でいても寒くないくらいには暖かくしてある。

 身にまとっていた服をすべて脱がせて、ボクはベアトの体を愛撫した。

 

「ん…っ。クロフォード、さまぁ…っ」

 

 甘い声。

 一つ年下の少女を喘がせているという事実に、胸が熱くなる。

 

 体を重ねたのは片手に満たないほどの数ではあるが、

 ボクにとってベアトの体は最高だった。―――愛おしく、離れがたい。

 

 口つける箇所を、唇から耳、首筋に降ろしていく。

 啄むように、なぞるように、優しくキスの雨を降らしていく。

 そして、さらに下へ。

 

 可愛らしい小ぶりの胸と、その先にある蕾に、口を這わせる。

 

「そこ、ダメっ…! 赤ちゃんじゃないんですから、あんまり吸わないでぇっ…!」

 

 嬌声が、思考力を鈍らせていく。

 

 双丘を揉みしだけば、ベアトは恥じらい、身をよじらせる。

 先の小さな蕾を口に含めば、いやいやと首を振り、感じてくれる。

 

 ・・・彼女の反応は、脳を痺れさせる麻薬のようだった。

 

 普段から目にしている、純粋無垢で明るいベアトリス。

 どこか幼い印象が強くて、プリンセスの侍女として、妹のように思っていた少女。

 

 彼女が、組み敷かれ、快楽を堪えている姿は―――どうしようもなく、煽情的だった。

 

「・・・ベアト、もっと感じて…」

「そ、んなぁ…っ」

 

 興奮のままに。歯で、固くなった乳首を軽く噛む。

 痛みに近い刺激が、細い体を震わせる。

 

 幾度かの逢瀬で、彼女は胸が非常に弱いことを知った。

 小さい胸だとコンプレックスのように気にしているが、

 それと裏腹に、感じやすくなっているらしい。

 胸だけの愛撫で、軽く感じ入ってしまうほどに、彼女の胸は敏感なのだ。

 

 

「はぁ…。はぁ…!」

 

 昂る劣情のままに、彼女の腰を引き寄せる。

 自分の股間にある怒張は、堪えられないくらいに張りつめている。

 

「ベアト…」

 

 互いに、貪るようなキス。

 

 二人の間に、もはや隔てるものは何もないと。一つになりたいと体を密着させる。

 舌を絡め、手と手を握り・・・深いキスをしたまま、彼女の秘所を貫いた。

 

 

「っ―――!」

 

 ベアトが、ピンと爪先を伸ばして、軽く絶頂する。

 繋いだ手の平が、ぎゅっと力をこめて握りしめられる。

 

 挿れたボクも、すでに余裕はない。

 ベアトの体は小さいが、名器としか表現できないほど、気持ちいいのだ。

 

 彼女の胸が、男を誘惑し、彼女自身を濡れさせる果実だとすれば。

 彼女の中は、引き寄せられた男を果てさせ、精を一滴残らず搾り取る雌蕊だ。

 

 小さい体だというのに、男根を包み込むように吞み込んでいき、

 絞るように、ひくひくと不規則に蠕動し、内側へと男を受け入れてくれる。

 

 我慢なんて、できるわけもない…!

 

 

「ベアト…。ベアトっ…!」

 

 彼女の名前を呼びながら、猿のように腰を振り続ける。

 華奢で、いつもなら守ってあげたくなるその矮躯を、

 今は上から押さえつけ、一心に獣欲をぶつける。

 

「くろふぉーど様っ、ダメっ、激し…っ」

 

 抗議の声を、再び口で塞ぐ。

 舌で、口腔を蹂躙する。

 

 

 酸欠めいた息苦しさのままに、ベアトの体すべてで気持ちよくなる。

 

 腰と腰がぶつかり合う音。粘膜が擦れあい、愛液がぐちゃぐちゃとなる音。

 

 お互いの唾液と、性交による獣めいた匂い。彼女の髪の香り、薄い化粧の香り。

 

 握りしめた手の感触、互いの性器が触れ合う快感。

 

 ―――すべてが、何も考えられなくなるほど、気持ちいい。

 

 

 そんな快楽の時間も、やがて絶頂を迎える。

 むずがゆいような射精感が、一突きごとに昇ってくる。

 急き立てられるかのように、自然と呼吸は乱れ、もう果てることしか考えられない。

 

「あ、ああ…」

 

 もはや、理性で彼女の名を呼ぶことすらできずに、薄く開いた口で呻く。

 目の前がチカチカして、目の前の女の子しか見えなくなる。

 

 ただ、腰を振り続ける獣欲と、この子を守りたい、愛おしいという想いが

 最後に残った。

 

 

「くろふぉーど、さまぁ…!」

 

 ベアトは、快楽に蕩けきった顔で、ボクの頭に手を伸ばして、ぎゅっと掻き抱いた。

 

「すき、すき…っ。だいすきれす…くろふぉーどさまっ…―――!」

 

 

 体が快楽に震え、果てたのは同時。

 吸いついてくる膣内に、精魂のすべてを吐き出した。

 あまりに気持ち良すぎて、痺れて動けなくなるような射精。

 ぎゅ、ぎゅ、と狭い膣が男根を搾り取り、内襞が精液を奥へと呑み込んでいく。

 

 は、と荒い息を吐き出して、ベアトに覆いかぶさる。

 陶酔感と多幸感、虚脱感。

 幸せすぎて死んでしまいそうな、快楽だった。

 

 

「・・・ん…っ」

 

 引き寄せられるように、優しくキスをする。

 二人で繋がったまま、好きという気持ちだけが確かだった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「ん…」

 

 ふわふわと、気持ちの良い眠気。

 天気の良い日曜日の午睡のような、暖かな気持ち。

 

 わたしは、いつの間にか、少し眠ってしまっていたようでした。

 

「・・・ベアト?」

 

 すぐ横から声が聞こえて、わたしは目を開けます。

 

 彼は、わたしに腕枕をする形で、ベッドに横になっていました。

 

「無理をさせて、すまなかったね」

「いえ…。その、わたし、眠ってしまったみたいで…」

 

 気にしないでいいよ、と優しく囁いてくれる彼は、

 そのまま、わたしの首後ろに回した手で、抱きしめてくれました。

 

 

「ベアト。その、順番が違っちゃってるようだけれど…。

 ボクの妻に、伴侶になってくれないか?」

 

 優しく、真剣な声でした。

 

 目を見れば、今まで見たことがないくらい、本気の表情をしています。

 

 

「スパイを辞めろとは、言わない。

 姫様の侍女として、必死にお仕えするキミの姿に、ボクは惹かれたから。

 

 でも、同じくらい、ボクの横で、妻として立っていてほしいんだ」

 

 

 ・・・それは、きっと。すごく難しくて、簡単なこと。

 わたしが、イエスといえば、それで叶ってしまう甘い夢。

 

 王国と共和国、その壁を崩すことに比べたら、とても簡単で。

 

 けれども、二人で姫様をずっと支え続けるということは、

 いつスパイ活動が明るみに出て、破滅するかもしれないということ。

 

 ―――答えは、決まっていた。

 

「わたしは・・・貴方のことが、大好きです」

 

 

 壁に隔てられたロンドン。

 スパイの暗躍する、権謀術数が張り巡らされた街。

 けれども、今だけは―――愛おしい気持ちのまま、優しい夢を見ていたい。

 

 

 ・・・夜空に輝く月だけが、窓からわたしたちを見守っていました。

 

 

 

to be continued…?

 

 

ーーーーーーーーー

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