月夜見編です!!
頑張れ、俺!!
…此処は妖怪の山。妖怪の山は、幻想郷よりも昔からあり、沢山の種族が住んでいて、とても賑やかな山だった。
月夜見「…懐かしいな。」
幻想郷よりも昔からある…。そう、月夜見も実はこの妖怪の山に来たことがあった。月夜見の一族は月が出来た頃から、神により月を治める使命を貰い、古来より月を統治してきた。大体は嫡男として、その前の月夜見の長男や長女が継ぐのだが、現月夜見の前、つまり、元月夜見神は子宝に恵まれず、一貴族であった現月夜見の剣術の才や頭の良さに他の者よりもずば抜けた才能を見出し、その現月夜見を養子に迎えた。
その月夜見が貴族だった頃。月夜見は一度、この妖怪の山に来ていた。当時の月夜見は今と変わらない赤い…いや、朱色の着物を着ていて、金髪の青年だった。今と違うのは月夜見の持っている刀、『雷鳴』がまだ月夜見を主人として認めていなかった。
月夜見「…そういえば、アイツの供養もまだしてやれてないな。」
先の異変でその雷鳴も真っ二つに折られてしまったのを月夜見は思い出した。しかし、無くなった筈の刀のあった腰には何故か、また一振り…いや、二振り、刀があった。一振りは黒い鞘に収まっていた。もう一振りは全く真逆の白い鞘に収まっていた。片方、黒い方はかつて少年時代…。養子になる前の月夜見の父が少年月夜見の生誕の祝いに鍛冶屋に作るよう頼んだ剣で、名を黒炎と言い、その名の通り、僅かに赤く光る刃が特徴的な逸品である。もう一振りは、月夜見が月夜見の名を正式に受け継いだ時、とある白狼天狗を想い、作らせた逸品で名を白天と言い、その刃は僅かに青く光っている。
月夜見「…。」
?「誰だ。此処は妖怪の山。用の無いものは即刻立ち去れ。」
…妖怪の山にプライドの高い白狼天狗が居るとは本当のようだな。月夜見はそう思った。だが、月夜見にとって目の前の男天狗は、敵ではない。月夜見はゆっくりと彼の前に歩き出す。男天狗は剣を構えるが、月夜見はその剣の剣先を持ち、まるで柔らかいものを曲げるかのように剣を曲げてしまった。
?「なっ!?」
月夜見「…名も知らぬ白狼天狗よ。我を神、月夜見と知ってのことか。」
?「ッ!?か、神さま!?」
男天狗は後ずさる。徐々に腰が落ち、ガクガクと震え、生まれたての子鹿のように立てなくなる。彼を見る月夜見の目は冷酷そのもの。彼の目は赤いのに、ギラリと青く光って見えた。
?「お、お許しください!!まさか、貴方様のようなお若い神様がいらっしゃったとはつゆ知らず…。」
…嘘だ。
月夜見はそう思った。なにせ、この間、自身よりも体の小さな土着神がこの幻想郷の地に越してきたのを知っているからだ。
月夜見「…若い…か。天狗よ。俺は貴様より幼く見えるか?どうだ?貴様よりも若く、弱く見えるか?」
?「め、滅相も…ございません…。貴方様の威圧に…私は立てずにいます…!!」
月夜見は彼の首を持ち、上に持ち上げる。男天狗は、苦しそうに足をバタバタと動かし、もがいていた。
月夜見「…貴様は、白狼天狗の犬走椛という娘を知っているか?俺はそいつに会いにきた。これは明確な理由ではない…か?」
?「い、いえ…!!」
月夜見「そうだな。俺はこの山を登る。俺がその娘と会うまで、絶対に邪魔をするなと全ての天狗に伝達しておけ。…早乙女次狼。」
何故、俺の名前を知っている?男、次狼は思った。その一部始終を見ていた近くの白狼天狗は皆、冷や汗を流しながら怯えていた。次狼は一番隊隊長でかなりの実力者だった。その男が今、丸腰の男になすすべなく地に膝をついているのだ。古来より、天狗はプライドが高いのだが、天狗にもゆとりやらなんやらがあるらしく、月夜見の実力はこの中では完全に頭一つ抜けていた。死にたくないのなら、関わらないのが先決だ。多くの天狗がそう思っている最中、空から何者かが降りてきた。
次狼「て、天魔様!!」
次狼は頭を地面につけるかのように頭に下げた。対する月夜見は、頭を下げず、その次狼の姿を滑稽と思っていた。天魔…と言われたその少女は誰が見ても見目麗しい鴉天狗だった。誰もが目を惹くようなたわわに実った胸に胸元が大きく裂けた黒い着物を着ていた。顔はまだ幼い頃のあどけなさが残っているがそれでも美しいと言わざるおえなかった。だが、この男、月夜見にそんな感情はない。月夜見が興味があるのは強さのみである。空から降り立った天魔は、月夜見を敵視することなく、ただ一言…。
?「ようこそおいでくださいました。月夜見様。」
と、頭を地面につけるかのような姿勢で頭を下げ始めた。女性の象徴かのようにたわわに実った形の良い胸は潰れ、煌びやかな黒髪には少し汚れがついてしまった。この状況に周りの白狼天狗達は驚きと恐怖により、足がすくんでいた。天魔と言えば、ありとあらゆる天狗を監督する立場にあり、その実力は折り紙つきである。ならば、月夜見はそんな天魔が頭を下げるほどの男ということになる。つまり、かなりの強者だ。
月夜見「…また太ったか。和泉。」
和泉「…はぁっ!?」
月夜見は天魔の…そして、あろうことか女性の象徴である天魔の胸ぐらを掴み、そのたわわに実った胸を片手にしっかりと握った。周りの白狼天狗は思っただろう…。終わった…と。
和泉「つ、月夜見様?帰ってきて、そうそう、かなりのご挨拶ですね…ッ!!」
天魔…和泉は青筋をピクピクと立て、月夜見の手を払った。
月夜見「…そのくらいでたじろぐような奴だったか?お前。」
和泉「あのですねッ!!毎度毎度、言っておりますが、女性に太ったは禁句ですッ!!しかも…何百年も待たせた挙句、帰ってきて第一声がそれですかッ!!更には、このような公の場で女性の胸を揉むなど…!!」
…おかしい。周りの白狼天狗はそう思った。先程まで、目上の者を敬うような態度を示していた天魔、和泉が今は月夜見に対し、旧知の友と話すかのような喋り方になっている、更に言えば、痴話喧嘩といってもいいような…。
月夜見「知るか。そんな脂肪の塊、持っていて何が良いんだ。そんなもの、ただ、男を誑かすためにつけているようなものだろう?」
和泉「私だってつけたくてつけた訳ではありません!!貴方も女性になればわかるでしょう!!それにいくら他の男が寄ってきても、私は貴方以外と添い続けることは此の身が滅びようと絶対にありえません!!」
月夜見「当然だ。貴様は俺のもの。誰にもやるわけなかろうが。」
と、先程の険悪モードは何処へやら。月夜見は和泉の頰に唇を落とし、さっと腕を取る。月夜見には勿論、恋愛感情はない。和泉とは幼馴染から一気に過程をぶっ飛ばし、夫婦の関係となったようなものだった。和泉は月夜見の恥ずかしげもなく、キスや恋愛感情を口に示す時の凄く冷静で真剣な眼差しに恋をし、月夜見は和泉の強さや技の数々に尊敬の念を抱いているというなんとも面倒ではあるが、単純な二人だった。しかし、周りの白狼天狗は驚き、ものも言えずにいた。天魔という職業のせいで高嶺の花になってしまったが、かなりの美女。更にはプロポーションも良く、彼女と将来添い続けたいと思っている天狗も数多くいた。それが今になって旦那の登場とは…。しかも、実力も上すぎて倒すこともままならず…ただ、目の前の状況を受け入れるしかなかった。
和泉「んっ…もうっ…。月夜見様はずるいです…。私をこのようにときめかして、まさか、食べてしまうおつもりですか?」
月夜見「アホ言うな。こんな場で食えるはずもないだろう。流石に俺もそのくらいの知識はあるわ。」
和泉「…冗談です。胸は揉むのにその先は嫌がるのですもの。やんなっちゃいますぅ…。」
頰を膨らまし、抗議する和泉。月夜見はその姿に少し面倒と思いつつ、和泉の手を引き、奥へと消えていくのだった。
タイトル無視だよ。
月夜見は既婚者です。
シャドは違いますが…。
では次回!!ではでは〜!!