メディスン「すぅ…すぅ…。」
シャド「…。」
幽香の野郎。こんな夜中まで俺とメディの二人にさせるなんてな。今は布団にメディを寝かせて、俺がその横で寝転がってるって図だ。幽香の家にはベッドはあるにはあるが、メディは俺の横に寝たがるので硬い床にふわふわの布団引いて、いつも二人で寝ている。なんか、
シャド「…友達…か。」
似た者同士だしな。おんなじ捨てられたもの同士。俺は額の右にある小さな火傷をさすった。…もう、あれから何年経った?レンレンすらも忘れてるだろう。闇に飲み込まれ、絶対悪となったあの『月の戦争』。俺の能力の真意を知った。暗闇なんてチャチなもんじゃねえ…。邪悪…。この世の悪そのもの。それが俺なんだ。
シャド「…ありがとな。」
俺はメディの頭を優しく撫でて、そう言った。普段、目を合わせて絶対に言えねえ…感謝の気持ち。普通、闇は嫌われて当然だ。だが、こいつは俺を友達と言って、慕ってくれている。無邪気な…子供の心。それに触れちまったからか、心の底にポカポカと温かい何かがあるのがわかる。…アマちゃん…か。甘くなったのは…アイツらのせいだぜ…。全く…。
メディスン「…ん…?しゃ…ど…?」
シャド「あらら…。起きちまったか。」
メディの頭を撫で続けていたからか。メディの寝息が聞こえなくなり、彼女は静かに眠りから目覚めた。
メディスン「どうしたの?寝れないの?」
シャド「あー…。まぁ、そんなとこ。」
俺は頭を掻いて、そう答える。なんか、俺はこの頭を掻くつうのが、癖になっちまってるらしく、よくする動作らしいな。
メディスン「…シャド。悲しそうな顔してる。」
シャド「…え?」
…メディスンと俺の顔は目と鼻の先。窓ガラスから照らす彼女の顔は普段のあどけない少女ではなく、一人の女として見れる顔だった。…悲しそうな顔?何言ってやがる?
シャド「…悲しそうな顔なんて…してねえよ。」
メディスン「嘘。してるもん。」
…彼女の顔が近くなる。やめろ…。やめてくれ…。それ以上…近づけないでくれ。…それ以上近づいたら…俺は…お前を…『友達』として…見れなくなっちまう…ッ…。
シャド「してねえ…つってんだろ。」
メディスン「してるもん!!ほら…。今でも泣きそうな…。」
シャド「してねぇつってんだろッ!!」
メディスン「ひっ…!!」
俺は我慢が出来なくなり、思わず怒鳴ってしまった。それだけじゃない。メディを怯えさせただけじゃなくて、そのまま、窓の外から飛び出してしまった。秋の終わりを感じさせ、もう冬になると夜風が冷たく俺に知らせる。怒りで火照った体には、とても寒く感じた。
シャド「チッ!!」
心底、腹立たしい。俺が寂しげな顔をしていただぁ?俺は決めてんだよっ!!もう、寂しいなんて思わねえって。なのに…。
シャド「…なんで…こんな気持ちになんだよッ…。」
目から熱い何かが流れる。汗か?雨でも降ってきたか?こんな真っ暗闇じゃわからねえ。胸の奥…。心がズキズキと痛み出す。行く宛もなくバサバサとなる翼の羽音が急に虚しくなる。
…俺は何をした?何が似た者同士…だ。俺の方がよっぽどガキじゃねえか。
シャド「違え…。違えよ…。俺は…ガキなんかじゃ…。」
…本当はわかってんだ。俺はガキだって。口ではなんとでも言える。…でも…。
シャド「…認めたくねえんだよ…。自分が…成長してねえってことを…ッ…!!」
漣は恋人を作り、家庭を築いた。月夜見の野郎は和泉と共に愛を探し、日々成長している。…俺は?気に入らねえことには直ぐキレちまう。短気、冷静さに欠けてしまっている。…それで…俺は…友達に怒鳴っちまった。
シャド「…。」
…今から戻って、許してくれるだろうか。いや、やってみるしかねえッ!!俺は急旋回し、元いた幽香の家へと向かう。…許してもらおうなんざ、思ってねえさ。でも、言わないで後悔するより、言って後悔する方が良いだろう…?
シャド「…着いた。」
ガチャリとドアを開ける。…俺は理解していなかった。先程まで、真っ暗だった室内が明るくなっていたことを。
シャド「メディ…!!さっきは…。ッ!?」
幽香「…今更、何しに来たのよ。」
そこにはメディの姿は無く、幽香が一枚の紙切れを持って、立っていた。
シャド「な、んで…?」
幽香「…アンタ…。とんでもないクソ男ね…。少しは見直したのに…私の見当違いだったわ。」
そう言って、幽香は俺に紙切れを差し出した。そこには『シャドを探しに行ってきます。メディスン』と拙い字で書かれていた。
幽香「何をしたのよ…。言いなさいよ…。」
シャド「…。」
俺は幽香に全てを話した。直後、俺の頬に痛みが走った。紅葉型の腫れがヒリヒリと痛む。幽香の目は涙ぐんでいた。
幽香「探してきなさい…ッ!!探してくるまで…戻ってくるなッ!!」
シャド「チッ…!!そのつもりだよッ!!」
俺はあの時のように翼を広げて、窓から出る。メディスンの服はパジャマだ。俺と一緒に採寸しに行った…薄手のパジャマだ。俺なら良いが、いくら妖怪と言えど、アイツにはこの寒さは酷じゃねえか…。
シャド「…っざけんじゃねえよッ!!」
…絶対に見つけてやる…。
俺はメディの姿を思い浮かべつつ、みつけにいくのだった。
初めてだね。
漣君以外で多数話にしたの。