異変編、スタートです。
漣「くっ…。」
迦具土「まだまだだ。我が業火に焼かれたくなければその力を自身の内に閉じ込めよ。それができなければ、迦具土の火を伝承することはできないぞ?」
…迦具土との修行。
この修行が始まってから、約五年程は経っただろうか。だが、まだ、俺が未熟なのか…迦具土の火とやらを伝承することは出来ない。修行といっても至ってシンプルだ。ただただ、迦具土の力を俺に流し、その質量に耐えるだけ。言葉にしてみるとシンプルなのだが、体の中から焼かれているような痛みがズキズキと広がっていく。自身よりも強い力が彼女にはあるということか…。
漣「…。」
迦具土「休憩だ。まだまだ幻想神も神になりきれていないな。この力をその身に常駐できなければ、更なる力も手に入れられなくなる。先に器が崩壊するぞ。」
迦具土は俺の手を引きつつ、縁側に座らせた。五年か…。時の流れは早いな。陽奈は成長して、背丈は霊夢くらいになった。というか、半妖の子は成長が早く、老いが遅いらしい。もうすっかり大人の女性の仲間入りだ。つい最近まで、迦具土ぐらい小さかったのに…。もう一つは前々から欲しいと思っていた新居を建てたということ。白玉楼のような立派な日本家屋にしてもらった。勿論、鬼に手伝ってもらってな。
迦具土「…確かに。前の家ではここまで凝った修行は出来なかったな。」
迦具土がほのかに笑い、自宅を見る。これまで迦具土を見ていた結果だが、彼女はかなり人や妖怪に似た反応を示す。例えば、これは前の家のことになるが、ご飯を食べて、食器を片付けようとすると必ず、台に登り、片付ける。届かないからだ。月夜見と違って、泣いたり笑ったり甘えてきたりもする。本人曰く、若くして母を亡くし、父に殺された為、両親の愛情というものがわからないのだとか。
迦具土「…わからぬのではない。知らぬだけだ。我は月夜見のように家族の愛というものを根本的に否定したくはない。」
迦具土は寂しそうな声で庭の上に寝そべるような形で倒れている俺に話しかけてくる。
迦具土「…我には決まった性別はない。今はこのような幼子の女子の容姿をしているが、元は巨大な体躯の大男かも知れん。性別も分からず、自身の姿も記憶していない我は父、イザナギに殺されてからというもの、あのような蛇の姿をしていたのだ。性別も分からぬほど、幼子の頃に殺された。故に我は…探している。家族の愛とは何か。この世を回す摂理とは何か…を。」
…摂理…か。
難しく考えすぎだ。
迦具土「そうだと良いがな。」
漣「…ん?」
陽奈「お父さん。魔理沙が来たよ。」
家の中から陽奈の声が聞こえた。俺はわかったと返事をし、迦具土を肩車して中へと向かった。迦具土は意外と子供扱いされるのが好きなようで、ルナサと一緒に寝たり、時には紫苑にぬいぐるみのように抱かれて寝ていたこともあった。陽奈はまるで妹のように扱っている。
魔理沙「よう。漣。随分、良い家じゃねえか。」
シャド「真白だがな。」
メディスン「遊びに来たよ〜♪」
ニカッと八重歯を見せて笑う魔理沙といづらそうに頭を掻くシャド。ソファに座っていた二人以外には自分の居場所だと言わんばかりにシャドの膝の上に座っているメディがいる。
漣「どうしたんだ?」
魔理沙「ん?いやさ…。久しぶりに面白そうなのが起こったんだ。」
月夜見「…面白そうか。人間、この状況を笑っていられるとは流石だな。」
そういえば、月夜見が遊びに来ていたんだった。私もいますよと月夜見の腕を離そうとしない和泉。月夜見は愛を探すなどと言っていたが、探さなくても知っているような気がするのは俺だけだろうか。
シャド「ア?月夜見の野郎もいやがったのか。」
月夜見「…別に、悪くなかろう?迦具土の様子をたまたま見に来ていただけだ。」
シャド「チッ…。どうせ、そのついでとか言ってッ。漣の奴に惚気話でも聞いてもらってたんだろ。」
犬猿の仲…と言うわけでもないが、月夜見とシャドは会うと必ず一度はいがみ合っている。夜を治めるという月夜見と闇を扱うシャド。やはり、何か…あるのか。俺にはわからないが…。
魔理沙「話を戻すぞ。何故だかわからないが、幻想郷中のありとあらゆるところで間欠泉が吹き出してきた。そして、その間欠泉の穴から地底の亡霊たちが出てきてな。シャドの力で今は抑制してはいるが…。」
漣「地底…。旧地獄か…。黄泉戸喫の眠っている場所もそこだっけ?」
シャド「あぁ。だが、アイツのせいじゃねえだろ。旧地獄つったら、凍華とか、勇儀とかもいる。あそこでなにが起こってるのか…。さっぱり見当がつかねえ…。」
…確かにな。鬼達がいるのに地底の治安が荒れているとは考えづらい。鬼達が暴れたとして、勇儀が止めるはずだ。それに亡霊が暴れた…となると沢山の人、妖怪が動くこととなる。被害は想像を絶するほどになるだろう…。
漣「…ん?」
陽奈「お父さん。手紙。お母さんも一緒に来てだって。」
ルナサ「私も?」
…送り主は…四季映姫だった。閻魔からの呼び出しはあまり聞いたことがない。俺たちはとりあえず、彼岸に向かうこととした。
映姫「…お待ちしておりました。ルナサさん。漣さん。そして、皆さん。」
道中、霊夢と妖夢にも会い、合流。メルラン、リリカ、蛮奇、紫苑は留守番だ。いざという時、家を守る奴がいる。陽奈は何処かに行ってしまった。大方、紅魔館だろう。なんでも咲夜に護身術を学んでいるらしい。しかし、咲夜と違う点はナイフではなく、銃火器を使うということ。俺の昔愛用していた小型のピストルをやった。足のホルスターにいつも常備しているが、なんせ陽奈はあまり戦闘をしたことがない。それでも筋がいいらしく、咲夜も教えがいがあるとのことだった。
映姫「皆さんを呼んだのは他でもありません。現在、幻想郷内で起こっている異変についてです。…私や八雲紫の予想では規模は過去最大。人里では慧音さんと妹紅さんに守ってもらい、貴方方には異変解決に向かってもらいます。…旧地獄で…何か…。とてつもない…何かが暴れています。」
映姫は不安げな声でそう言った。そのとてつもない何かに関しては薄々気づいてはいた。地底から感じる神の力…。迦具土に匹敵する程の力を感じる…。
迦具土「同意見だ。…これは八咫烏か…?」
ルナサ「やた…がらす?」
迦具土「あぁ。太陽の化身とも形容されてる三本の足を持つ烏のような神だ。それが暴れてるとすれば…厄介だぞ…。」
…八咫烏…か。俺とは違う、正真正銘の太陽の化身。馬鹿にできないほど強いはずだ。だが、やらなければ幻想郷は破滅してしまう。…ならば…。
漣「任せてくれ。俺たちが…その烏を止めてやる。」
月夜見「神と剣を交えるのも…良いだろう。」
シャド「折角、楽しくなってきやがったんだ!!簡単に壊されてたまるかッ!!」
思い思いの言葉を口にする。それを聞いた映姫はほっと安心したような顔をして、俺たちにニッコリと笑った。
映姫「お願い…します。幻想郷の未来は貴方方に託します。」
映姫はそう言い、俺たちに一礼した。
…この事件により、俺たちは知ることとなる。
八咫烏はまだ、序章に過ぎなかった…と。
毎回言ってるけど終わり方が難しいんですよ。
勉強しないとなぁ…。
では次回!!
ではでは〜。