漣「…。」
辺りに八咫烏の鮮血が飛ぶ。大きな音を立て、空から落ちた巨大な体躯の烏に最早、もがく体力は無い。
カヤ「神とは言え、この程度か。無様な…。」
カミュ「さぁ!!次は貴方達の番だよっ!!」
カヤを睨むカミュと涼しげな顔でいるカヤ。奴らとしては、とてつもなく強い八咫烏を失ったのだ。しかし、涼しげでいるカヤ&イーグル。…まだ、奴らは何かを隠している。
カヤ「くくくっ…!!はっはっはっ!!」
静まりかえった地底内に高笑いがこだまする。
シャド「何がおかしいッ!!」
月夜見「負けると知って、頭でもおかしくなったか?」
尚も臨戦態勢をとかない月夜見とシャド。
…いや、まだ何かを隠している…はずだ。迦具土が気をつけろと言った以上、俺たちが苦戦するほどの何かが…。
カヤ「…終わりだ。」
イーグル「いただきます。」
その直後だった。イーグルの背中から、黒い鉤爪が伸び、あの巨大な八咫烏の翼を掴んだ。そして、八咫烏を持ち上げ、その黒い鉤爪…闇が烏を飲み込み、イーグルの体へと帰っていく。
イーグル「ウォォォーッ!!」
イーグルの体は八咫烏を飲み込んだ闇と同化し、紫の光が一直線に伸び、俺たちの視界を遮る。数秒後、光がなくなり、イーグルを見るとイーグルの上半身の服がなくなり、黒光りする鱗が上半身を覆う。背後から伸びるカラスのような羽と鳥類の爪のような手、そして、赤く怪しく光る眼。イーグルというより、クロウだな…。こりゃ…。
迦具土「洒落を言っている場合ではないぞ。…奴め。格段にパワーアップしている。」
イーグル「素晴らしい…。これが、神の力か…。」
イーグルは自身の変化にうっとりとしている。確かに、感じる妖力も何もかもが先ほどの比にならないほど、進化を遂げている。
イーグル「さて…。始めようか。」
それは一瞬だった。イーグルの蹴りが月夜見とシャドを後方に飛ばし、イーグルの腕が俺の首を絞め、地面に叩きつけた。イーグルを見ていたかと思えば、次の視点は地底の空を見ていて、背中にとてつもない鈍痛を感じたのだ。
漣「ぐっ…!!」
イーグル「どうしたッ!!貴様らの力はそんなものなのかッ!!」
倒れた俺に向かって、イーグルの無慈悲な拳圧が襲いかかってきた。立ち上る砂埃や砕かれる地面の小石が拳の鋭さを物語っている。
魔理沙「恋符『マスタースパーク』!!」
妖夢「人鬼『未来永劫斬』!!」
イーグルの背後より、2人のスペルが降りかかる。だが、イーグルの背中から伸びる闇の鉤爪が弾幕を裂き消した。霊夢とルナサも後方から支援をする形で弾幕を打つが、その攻撃は全くと言って良いほど効いていない。
イーグル「なるほど…。自分ごと打たせるとは…。血迷ったかぁ?」
カヤ「イーグル。遊んでいる場合ではないぞ。さっさと魔法石を奪え!!」
イーグル「チッ…。もう少し遊んでも良いと思うんだがなぁ…。さぁ!!カミュ様ァ?私にその魔法石を…くださりませんか?力づく…という手もございますが?」
ゆっくり…ゆっくりとカミュに近づいていくイーグル。あれが幻想郷破壊に繋がるのであれば、止めなければならない!!
ノブナガ「カミュ様に近づくなッ!!」
イーグルがカミュに近づいた途端、横からノブナガが刀で斬りかかる。
イーグル「甘いッ!!」
ノブナガの剣を断ち切るかのようにイーグルは手刀を放ち、剣を真っ二つにした。ノブナガは尚も険しい顔でイーグルに回し蹴りを放つが、それも受け止められ、ノブナガの足を掴み、ぐるんぐるんと回して投げる。
イーグル「やっぱり甘いなぁ?従者も…主君も…。」
イーグルがニヤリと口角を上げ、カミュを見る。カミュは首の辺りを触るが、そこにあるはずのものが…ない。それはあろうことか、イーグルの右手にしっかりと握られていたのだった。
カミュ「ッ!?返してッ!!」
イーグル「くくくッ…。素晴らしい…。この緑色の輝き…。ここに魔力が…。」
…魔法石…とはよく言ったものだ。確かに緑の輝きが増すごとにどんどん感じる力が強くなる…。あれをカヤが持つとすると厄介だ…。
カヤ「よくやった…。それがあれば…私はもっと…。さぁ、早く…此方へ…。」
イーグルがカヤの元へと歩いていく。渡したらやばいとガレキの下からとんでもない勢いで飛んできたシャドがイーグルに剣を振るい、なんとか剣をイーグルの腕に刃を入れるのだが、傷は付いておらず、逆にシャドの頭をガシッと後頭部から掴み、顔前面を地面に叩きつける。シャドの顔が叩きつけられた地面はシャドを中心に円形に窪んでいる。
シャド「ぐっ…。」
メディスン「シャド!!」
漣「行くなッ!!」
俺はシャドの元へ飛んでいこうとするメディスンを止める。確かに彼女の気持ちはわからないでもない。彼女がこの幻想郷に降り立って初めてできた友達…。それが傷つけられている…。
しかも、目の前で、だ。飛んで行きたくなる、助けたくなる気持ちは俺も痛いほどわかる。
カヤ「放っておけ。どうせ…すぐに知ることになる…。どれだけ足掻いても無駄だということをな。」
イーグル「ククッ…。そうさなぁ?ここで全員、殺すってのも一興だ…。」
カヤは早く魔法石を欲しいのか、イーグルを急かしているが、イーグル自身は強さで自信がついたのか、かなり余裕の表情を示している。
カヤ「さぁ…!!さっさと…それを…渡せぇ…!!」
イーグル「…良いですよ…。」
————–––——グサッ!!
そのときだった。
カヤの腹をイーグルの腕が貫き、辺りに赤い鮮血が…飛び立った。周りにいる誰もが何が起こったのか、理解が出来なかった。先程まで主人と執事だった関係の奴らが、今、執事が主人の腹に風穴を開けている…。理解するのに、少しの時間を要した。
カヤ「がは…ッ!!き、貴様ッ…!!な、何を…ッ!!」
カヤはイーグルの腕が抜かれた後、膝から崩れ去った。腹からはドロドロと血が流れている。カヤの口からも血が流れ落ちている。横からカミュの「お姉ちゃんッ!!」と叫ぶ声が聞こえた。この惨劇を引き起こした本人は腕についた血をペロリと舐めて、ニヤリと笑った。
イーグル「アナタの野望はこの俺が引き継ぎますよ…。」
イーグルはカヤを一瞥した後、空へと飛ぶ。勿論、二つの魔法石を持っている。
イーグル「これが…俺の力にッ!!」
その次の瞬間だった。イーグルはその魔法石を口に運び…飲み込んだ。
イーグル「グルォォォォォッ!!」
イーグルの周りを赤いオーラが包み込む。突風が吹き荒れ、閃光は八咫烏を飲み込んだときの何倍も眩しく、その光は地底中を照らし尽くした。
漣「くっ…。」
シャド「バケモン…じゃねぇか…。」
俺たちが言える立場かどうかはさておき…。
奴の力は今までの比にならないほど膨れ上がっていた。閃光が止む…。黒光りする鱗や羽は先ほどと似ているが、感じる力はやはり違うようだ。
イーグル「…さぁ!!地獄の始まりだッ!!」
その掛け声とともに、奴の拳が俺の顔に近づくのだった。
長いかなぁ。
なんとかなった気がします。
では次回!!
ではでは〜。