もう、終わる!!もう終わるから待って!!
魔理沙side
居た…。
シャド「…吹っ切れたな。魔理沙…。」
先程まで地面でのびていた奴が腕を組みながら、倒壊した瓦礫の上に座っていた。シャドの服は所々、焼かれ、生々しい傷痕が複数、点在していた。メディスン曰く、止血は済んでいるらしい。
魔理沙「メディスンにはもう話してあるぜ。私がいくら足手纏いになろうが、お前ならなんとか出来るだろ。あの災厄を…。」
シャド「…いーや。お前もここにいろ。俺と霊夢ちゃんだけで奴を止める。」
…何を勝手なことを…!!といつもならキレていたが今は違う。「よっ。」という声とともに瓦礫から降りてきたシャド。その身長差故に、私は奴を見上げ、奴は私を見下ろすという形になる。これもいつもなら嫌がっていた筈だ。だが、さっきまでぐちゃぐちゃしていた頭ん中が霊夢の声で一気に覚醒した。
魔理沙「…私も一緒に連れて行って欲しい。」
シャド「…それは好奇心からか?」
魔理沙「あぁ。好奇心だよ。でも、私には必要なんだ。…人を守る為の力ってのが…。」
一度、私は尻込みしてしまった…。でも、私はもう二度と尻込みしない…。漣とか霊夢風にいえば覚悟って奴だな。お似合いだぜ…。全く…。
私の目がシャドの目を見定める。逆も同じだ。シャドのカラスの如き、漆黒の瞳が私を一寸のくもりもなく、映し出す。
シャド「いい顔するじゃねえか。俺たち3人が行っても勝率は変わらねえ。俺たちが行くより迦具土の奴が一人で行った方がまだ勝率が上がる。だが、その迦具土は今は温存しときたいってんだろう?」
それは仕方がない。回復技を持っているのは迦具土だけだし、奴が本気を出せば、勝てる見込みも少なくはない。だが、迦具土曰く、まだ幻想郷に慣れていない為、本気を出せないらしい…。一番強いと豪語される迦具土が今動けない。つまり…。
シャド「…しゃーねぇなぁ!!子どものわがままにゃ、大人が付き添わないと…。いいか?これは遊びじゃあねえ。俺たちのやっているおままごととは違え。テメェの命をかけるってんなら、最後まで全力で足掻け。その覚悟…できてんだろうなッ!!」
魔理沙「当たり前だッ!!」
私は目一杯叫んだ。喉が裂けそうなくらい叫んだ。私が目を開けるとシャドは満足そうな顔をしていた。
シャド「行くぞッ!!」
魔理沙「おうッ!!」
私たちは勢いよく飛び出した。それでも奴らが居る場所まではかなりの距離がある。シャドと並走しつつ、中々のスピードで飛んではいるが、周りの景色は変わらず、戦いの黒煙や倒壊した家屋の柱やらなんやらがずっと続いている感じだ。てか、この先は…。
シャド「地霊殿が近えな。さとり達が危ない…が。まぁ、あいつらなら大丈夫か。」
魔理沙「どうしてそんな…。」
シャド「ア?勘だよ。勘。」
勘…か。私は後方から飛んでくる霊夢を見る。
そういえばアイツもよく言っていた。しかも、百発百中だった。昔も今もそうだ。アイツは自分を信じている。私はどうだ?
何を信じてきた?自分を否定したものを、自分を拒んだものを否定して…。否定しかしていないのではないのか?
シャド「…チッ。さっきまでの威勢はどうした。さっきまでの!!あの、吹っ切れた感じはどうしたッ!!」
シャドは翼の動きを止め、私の前に立ちはだかる。その顔は誰が見てもキレていた。
魔理沙「なんっ…!!早く行かねえとッ!!」
シャド「今のテメェが行ってもッ!!無駄死にするだけだッ!!さっきまでのお前は!!悩みなんてない…、決意だけで足を進めてきたッ!!その覚悟に、俺は突き動かされたッ!!」
魔理沙「ぐっ…!!」
私は拳を強く…強く握った。それだけ悔しかったんだ…。私は私を一番に信じないといけないのに…。私はもう一度前を向くッ!!もう、私は迷わないぜッ!!私は…私を信じない私を信じるッ!!今までの私を…信じる!!そう思えば、心が軽くなった。自然と口角が上がり、私は笑えていた。
シャド「…くくっ。それでこそ、霧雨魔理沙だ。今度こそ、いくぞっ!!相棒ッ!!」
魔理沙「おうッ!!」
私たちはまた飛び始めた。徐々にイーグルと戦っている漣達が見える。だが…。
魔理沙「…んだよ…?あれッ!!」
私たち目に映ったのは巨大な弾幕を2本の細い光が止めようとしている様子だった。だが、止めきれていない。押されているんだ。
シャド「…。」
その時、私はさとりでも漣でもないが、シャドの考えが読めた気がした。私は八卦炉を前に突き出す。その先から出すのは一度は敗れた努力の結晶…。だが、私はもうッ!!迷いはしないッ!!
シャド「いくぜぇーッ!!漆黒『暗黒滅裂波』!!」
シャドの紫のレーザーが先行する。
魔理沙「恋符『マスタースパーク』!!」
いけっ!!私のマスタースパークッ!!弾幕は…パワーだぜッ!!
side out
漣side
背後から二つのレーザーが飛んできた。片方は一度負け、ボロボロに打ち砕かれた人間が…。もう片方は相棒を信じる悪魔が放っていた。だが、パワーボールは無慈悲に進む。俺と月夜見の技は弾き飛ばされた…。
イーグル「馬鹿馬鹿しいッ!!どれだけ足掻こうが無駄なんだよッ!!このまま幻想ごと仲良く消えちまえッ!!」
イーグルは青筋をたてて、キレている。が、彼女らは諦めていない。レーザーは交わり、闇と光は一体となって、光弾に立ち向かって行った。
シャド「へっ…!!悪いなぁッ!!俺たち二人は特に諦めが悪くてよぅッ!!」
魔理沙「もう…!!負けてたまるかッ!!お前なんかにッ!!幻想郷を壊させるかよッ!!」
徐々にパワーボールは歩みを止めた。二人の決意はイーグルの憎悪を、怒りを超え、パワーボールを押し切っていく。
イーグル「ぐっ!!」
迫りくる自身の力。消滅させればレーザーの餌食に。しかし、受け入れればパワーボールをもろに喰らってしまうイーグルは、パワーボールを受け止めるという選択をした。勿論、距離は目と鼻の先程度だ。イーグルの筋肉は緊張し、力一杯なのが分かった。
イーグル「なん…で…ッ!!のうのうと…楽しく…生きている貴様ら…ッ!!なんか…にィィィッ!!」
シャド・魔理沙「ハァァァァァァッ!!」
そして…。パワーボールは、消滅した。だが、イーグルを飲み込んだわけではない。奴は紙一重のタイミングでパワーボールを空中に受け流したのだ。
シャド「チッ…!!もう…無理だぞ…!!」
イーグル「…はぁ…はぁ…。もう無駄だッ!!どれだけ足掻こうが、もう貴様らには余力がないはずだッ!!」
…確かに彼らには余力は無いのかもしれない。だが、この場で立ち上がれる奴が…居た。
イーグル「ほう。お前が先に死ぬか。それもまた一興。」
漣「いーや?俺だけじゃない。そして、死ぬ気もない。」
俺とともに紅白の巫女が名乗り出た。これが正真正銘、最終決戦の始まりである。
次回最終話です。
多分ね。