第96話『聖夜と彼女とパーティーと』
今日はクリスマス。色々なことがあった後であまり準備は出来なかったが、会場は紅魔館だという。咲夜も大変だが、陽奈も向こうにいるみたいなので手伝っているのだろう。
俺も手短にお菓子でも作って持っていこうと思う。そう言えば、ルナサ達も先に行っている。今回はクリスマスライブとか言ってたな。
漣「行くぞ〜?」
和洋折衷とはよく言ったものだ。見た目は日本家屋だが、床はフローリングだし、扉もふすまではない。まぁ、そんな家はいっぱいあるだろうと俺が向かおうとしているのは紫苑の部屋である。
紫苑と迦具土は一緒の部屋に寝ているが、実は彼女はうち一番の寝坊助である。後、一番髪が長いので手入れに少し時間がかかる。最近は陽奈も紫苑と同じくらい髪を伸ばそうとしているが、手入れがしづらいのでやめて欲しいとルナサがぼやいていた。
漣「紫苑〜?」
紫苑「すぅ…すぅ…。」
そして紫苑は寝相が少し悪い。流石に迦具土とは違う布団で寝ているが紫苑の布団は掛け布団が何処かに消え、服もピンクのパジャマが着崩されている。パジャマがめくれて、下着が見えてたり、髪が乱れている。
漣「しーおーんー。」
紫苑「ふにゃ…。れんしゃん…?」
こういう時は紫苑のほっぺをムニュッと摘んでやる。そしたら意外と簡単に起きるんだなぁ…。これが。因みに揺すっても無駄。何処かのメイド長みたいなことは可愛そうなので出来ませんッ!!
漣「ほら。早く着替えろ。行くぞ。」
紫苑「もうそんな時間…?」
紫苑は目を擦りながら、小首を傾げる。可愛いのはいいが、まずは着替えてもらわないといけない。というか、コイツの部屋がこんなに片付いているのに少し違和感がある。一人当たりの部屋はそこそこ広め…それこそ、一人で部屋にいてもスペースを持て余すほどだ。なので、ルナサと紫苑以外はかなり広いのではないだろうか。いや、でも、リリカの部屋や蛮奇の部屋はぬいぐるみでいっぱいか。
紫苑「ん〜…。服、どこ…?」
漣「ん?クローゼットにあるんじゃないのか?」
紫苑「あっ…。そっか。」
…お前は何をしてるんだ。
今の様子を言えば、部屋の中に男とほぼ全裸の女の子、下着だけ着けてるけど…がいる状態だ。しかも紫苑の場合は、あまり食わないのにプロポーションはいいので出ているところがわかりやすい為、それが性欲を掻き立てる。
紫苑「あっ。」
バレた…。
紫苑「…エッチな目で見てた…。」
漣「…勘弁してくれ…。」
そりゃ、じと目で見られるのもわかる。わかるけどな。健全な男子なら見るぞ?よくわからんが…。そりゃあ、俺の周りの男子があいつらだからな…。
紫苑「あっ。赤くなったー。ふふ。」
漣「…。」
俺が片手で顔を隠しているにも関わらず、何の配慮もせずに下着姿で俺の頰を突っつく紫苑。羞恥心は無いのか?確かにほのかに赤らめているが、笑顔でこういうことをしないで欲しい。なんていうか…もたない…。
漣「…早く準備しろ…。俺、出てるから…。」
紫苑「うん。ちょっとだけ待っててね。」
紫苑の声を扉越しに聞く俺。俺も準備しないとなぁ…。
2時間ぐらい経っただろうか。俺はすぐに着替え終わったが紫苑が何やら手間取ったようで、家を出るのに少し時間かかった。因みに紫苑はいつものパーカーだが、お札が付いていないやつ。もう少しおめかしすれば良いのにと言うと…。
紫苑「おめかし…してるよ?」
「ほら」と首のネックレスを見せられた。ハートの形のネックレスだ。それだけのおめかしで良いなら良いが…。ワンポイントってことか。
とりあえず、必要なものを持って家の扉を閉めて、紅魔館に向かうことにした。今日は豊姫達も来るので少し楽しみだ。紫苑の手を握り、歩き始めた。そう言えば、あの異変の後、さとり達に感謝をされた。お空に至っては何もわかってなかったな。あの後は腹を抱えるぐらい大笑いしたものだ。
美鈴「おっ。漣さんに紫苑さんじゃないですか。ようこそ、紅魔館へ。」
漣「久しぶりだな。美鈴。」
俺が挨拶をすると「はいっ!!」と笑顔で歯切れの良い返事をする美鈴。そして、美鈴に案内されるまま、館内に入る。
紫苑「すごい…。」
漣「あぁ…。」
真ん中には大きなクリスマスツリー。色とりどりの装飾にテーブルクロスが引かれた上にはシャンパンタワーを中心に多種多様な食事が置かれている。
陽奈「お父さんっ!!」
漣「おっと…。ふふ。」
周りを見渡すや否や、メイド服に身を包んだ我が子が抱きついてきた。見た目はメイド服の長髪ルナサだ。久しぶりに会ったので少し寂しかったのだろう。満面の笑みだ。
フラン「む〜。フランも漣兄様に抱きつきたいのに〜。」
レミリア「はっはっはっ。少しは我慢してやれ。折角の親子の再会なんだ。外野が手出しするわけにはいかないだろう。」
後ろでぶ〜たれるフランを宥める姉、レミリア。
漣「招いてくれてありがとな。」
レミリア「当然だ。我が妹の伴侶になる男を呼ばなくてどうする?」
漣「それ…相当無理してるだろ…?」
レミリアの顔が一気に紅潮する。コイツはこれがデフォルトだと思われるが実は違う。妹の前では見栄を張りたいだけだ。なお、妹、フランはそれに気づいている為、気づいて放置しているというちょっと可哀想なレミリアである。
レミリア「む、無理なんて…してないが…?」
目が泳いでいる。
フラン「まぁ、私は気づいてたけどね。」
レミリア「フラッ!?き、気づいてたって…?」
フラン「本当はカリスマお姉様じゃなくて、かりちゅまお姉様ってことをだよっ!!」
ビシッと指をレミリアに向けるフラン。ガヤガヤと騒ぎ出すスカーレット姉妹に咲夜は頭を抱えている。俺も笑いながら見ていると左手が誰かに握られ、耳元で「ちょっと来て」と小声で言われ、引っ張り連れて行かれた。
漣「こんな所に連れてきて…。どうしたんだ?蛮奇。」
俺を連れてきたその人物は赤蛮奇だった。
蛮奇「…怪我とかしてないの?」
漣「ん?」
…怪我?なんのことだ?
蛮奇「…れーむから聞いたんだ。お前、なんかすごいのと戦ったんだろ?」
アレのことか。
漣「大丈夫。怪我とかしてないよ。」
蛮奇「そ、そうか…。」
蛮奇は少ししおらしい、普段の彼女のイメージからは少しかけ離れた様子だった。
蛮奇「ちょっとさ。しゃがんでくれる?」
漣「ん?」
何故そんなことを…。俺は蛮奇が人目につかないところに呼び出したこともあり、俺は蛮奇の言う通りに蛮奇の姿勢に合わせるようにしゃがむ。すると…。
蛮奇「…よく頑張ったね。」
漣「えっ…。」
蛮奇は俺の顔を胸に寄せ、頭をよし…よし…と母親のように撫でた。蛮奇からはほのかに良い匂いがした。
漣「ば、蛮奇?」
蛮奇「…私だってレンの奥さんだもん。旦那の苦労は労ってやるのが突然よね?」
漣「ち、違くて…。」
蛮奇は自分の世界に入って気づいていない。が、周りから鳴るシャッターにやっと気づいたらしく、数秒固まった後、顔を茹で蛸のように真っ赤になった。
蛮奇「なっ…なっ!?」
漣「だから言ったのに…。」
俺を離した蛮奇は完全に立ちすくんでしまっていた。周りはもうガヤの集まりである。文め…。
文「あやや!!スクープゲットですねっ!!さすが、幻想神とその奥様。アツアツですねー!!」
蛮奇「うぅ…。」
もう蛮奇は満身創痍だ。仕方ないなぁ…。
漣「そこらへんにしておいてくれ。もう、もたないから。」
文「そうですね!!パーティーの続きを楽しみましょうかっ!!」
…お前が仕切るんかい。
その文の言葉を皮切りに、みんなは俺たちを冷やかすのをやめ、周りに散り散りになっていった。俺も蛮奇に「ありがとう」と言って、頬に唇を落とし、料理やらなにやらに手を出し始めた。
流石、咲夜だ。どの料理も格別である。
妖夢「咲夜さんだけじゃなくて、私も作ったんだけど。」
おや。声に出てしまっていたようだ。
漣「大丈夫。妖夢の料理も十分美味しいよ。」
妖夢「ありがと♪」
その後の話はこうだ。ルナサ達によるクリスマスライブ。酔ったシャドを介抱する魔理沙とメディスン。宴会のたびにカオスになるのはもはやお約束だ。だが…。
漣「…。」
妖夢「どうしたの?」
漣「いや?」
たまにはこういうカオスなのも良いなと思った。そういう1日だった。
クリスマス回という名の宴会回。
そして長くなってしまったねぇ。
では次回!!
ではでは〜。