漣「やってるかい?」
?「あっ。探偵さん。やってますよ〜。」
ここはミスティア・ローレライが経営している屋台。仕事終わりによく、ご飯を食べに来ている。なんたって、安いし、酒も旨いし、時折、よく知っている奴が来たりする。そいつと世間話をするのが結構、楽しいのだ。
ミスティア「なに食べてきます〜?」
漣「寒いから…おでんを。」
映姫「私もそれで。」
ミスティア「はいはーい。」
と、まぁ、こんな風に。しかし、今日は意外な奴が来たな…。
映姫「なんですか?私が来たら、何か問題でも?」
漣「いいや?音もなく来たから少しびっくりした。」
ミスティア「そりゃあ、地獄の閻魔様ですものね…。」
閻魔とはいえ、下界まで来て何かを食べたいと思うこともあるということか。心外と言わんばかり、ちょこんと木の椅子に座る映姫を見ながらそう思った。「はい、どうぞ。」と出されたおでんの大根に箸を入れつつ、横目で時折、映姫を見る。まぁ、バレてるわな…。
映姫「な、なんですか?そ、そんなに見られては…た、食べづらい…です…。」
漣「ごめんな。」
映姫「わ、わかればいいのです。わかれば…。アツッ…。」
勢いよく大根をかじったもんだから…。そういえば、映姫はかなりの猫舌だと小町から聞いたことがあったな。今もフーフーしている。
漣「ん…。旨い。」
ミスティア「ふふ。ありがとうございます♪」
寒い日のおでんってのはなにものにも変えがたい特別な旨さってのがある。おでんを肴に、ミスティアから渡された日本酒を飲む。
映姫「まーた飲んでるんですか?本当に好きですね…。お酒…。」
漣「鬼の血の影響だろうな。」
急激な成長速度や力の増加に耐えられるのは、この鬼の血のおかげだ。だが、鬼の血とはかなり欲求に従順で、酒を求める力は何よりも強い。無論、飲めば飲むほど鬼は強くなる。後はただ単に好きってだけだが…。
映姫「鬼の血…ではなく、ただ、お酒が好きなだけでしょ。」
漣「ふふ。バレてら…。」
映姫「あのですね〜!!…こっちは心配してるんですよ?お酒の飲み過ぎで彼岸に来る方も少なからずいらっしゃるんですから。」
映姫の小さな手が俺の頬を両側から挟む。説教ではなく、心配か。そういえば、彼も俺のことを心配していたっけ。
映姫の手が離れる。
漣「わかったよ。自粛はするようにするよ。」
映姫「ほんとですか〜?」
そんなジト目で見ないで欲しい。まぁ、そんな話しながら飲んでたら、説得力ないわな。
漣「そういうお前も、飲んでるじゃないか。」
映姫「話を逸らさないでくださいよ…。こっちは仕事のストレスがたまってるんですっ!!小町ってばですね〜…!!」
漣「はいはい…。」
こうなってしまっては、笑顔で聞いてあげるしかない。昔から、映姫は仕事のことや家事のことに関しては超絶長話になる。説教も、だ。さて、ここから長くなるぞぉ…。
映姫「りゃかりゃ〜こみゃちは〜…。」
ミスティア「うわぁ…。完全に酔われてますね…。」
人に飲むなと言っておいて…。二杯半で確実に酔ってしまっている。閻魔のストレスとは相当なものだったようだ。
映姫「わらひだってぇ〜…。あんまり怒りたくないんでしゅよ〜…。れも…こみゃちが〜…わらひを〜こどもあちゅかいしゅるかりゃぁ…。」
漣「してないと…思うけどなぁ〜。」
映姫「しゅるんでしゅよ〜…!!」
漣「はいはい。」
小一時間くらい、小町が子供扱いするだのなんだの言って眠ってしまった。しかも、四季映姫ともあろうお方がよだれを垂らして…。俺はミスティアから布巾をもらい、よだれを拭いてやる。こう見ると小町が子供扱いするのもわかる気がする。
ミスティア「本当、可愛いですね〜。閻魔様ってことを忘れてしまいそうです。」
漣「おいおい…。そんなこと言って、腹いせに地獄送りにされても知らねえぞ?」
ミスティア「げっ…。そ、そんなことは…。」
ないと確証出来ないのか、ミスティアが少し青ざめてしまっている。流石に職権乱用はしないだろう。
?「ありゃりゃ。四季様、寝ちまったのかい?」
俺たちが話をしていると後ろから彼岸の死神、小野塚小町が歩いてきた。
小町「女将、あたいも一杯。」
ミスティア「はいはーい。」
漣「飲みに来たのか?」
そのまま、映姫の横に座った小町ははにかみながら、笑い、「まぁね」と渡された日本酒を呷る。因みに映姫は先ほどから寝言で「もう食べられません」とベタなことを言っている。
小町「四季様を迎えに来たってのもあるんだけどねぇ…。こんなに気持ちよさそうに寝ちゃってまぁ…。疲れたんだろうねぇ…。」
漣「お前のせいだって言ってたぞ〜?」
小町「えぇ?あたいのせいかい?」
と、驚く小町。多分、それだけじゃないけどなぁ…。
漣「子供扱いするとかなんとか…。」
小町「まぁ、しゃあないさ。こんな小さな子がしっかりと仕事してたら誰だって心配ぐらいするさ。四季様は頑張りすぎてるんだよ。だからと言って、閻魔の仕事はサボっちゃならない。だから、あたいが気にかけてあげないと四季様、いつ倒れてもおかしくないんだよ…。」
なるほど…。小町は小町なりに映姫のことを心配しているってわけか…。
小町「まぁ、よくサボってるあたいが言っても説得力無いと思うけどね!!」
漣「よくおわかりで。」
ミスティア「小町さんにはご贔屓にされていただいてます。」
遠回しに小町がサボってるのは大体ここよって言ってませんか?ミスティアさん。
映姫「ふにゃ…。こみゃち〜?」
小町「はいはい。小町ですよ〜。帰りましょう?四季様。」
映姫「…うん。漣さん…バイバーイ…。」
小町に手を引かれながら、此方に手を振る映姫。それに対して、俺も手を振り返した。そのまま、彼女らは帰っていった。
ミスティア「…映姫さん。寝ぼけるとあんなちっちゃい女の子みたいな口調になるんですね…。」
漣「あぁ…。俺も初めてだ…。」
なんて会話の後、俺もそのまま、家に帰った。その後、映姫に呼ばれ、あのことは忘れろと赤面で説教されるのだが、それはまた別のお話…。
次回はどうしよう…。
では、次回。
ではでは〜。