※この作品はR-18です。

半人半妖の恋愛奇譚   作:紳爾零士

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今回から前々から言っていた異変を始めたいと思います。長い異変になりますので、最後までついてきてくれたらめちゃくちゃ嬉しいです。


虚無異変・第一幕〜Who will kill you…〜
第118話『最強と最凶と家族と』


…やぁ。読者諸君。僕は————です。

まぁ、態々、名前を教えなくても良いですが…。どうせ君たちは、知ることになりますよ。嫌でも…ね。別に僕がストーリーテラーになりたいわけではないのです。そう、皆様の頭には今、我慢やらなんやらが渦巻いているでしょう。なら、何故出てきたのか…。

今回から、僕の革命が始まるのですよ。……え?それはなんなのか…。ですって?

…。一言で言うなら…『人と妖怪、どちらかを確立する世』ですかね。どちらでもある僕だからこそ、どちらかが天下をとらなければ、世界は崩壊へと歩くのみ。騙されてしまえば、蠱毒のように殺し合うでしょうね。先ずは小手調べです。僕の子供たち…その中で一番、活きの良い子を投入いたしましょう。それでは皆様、また近々…お会いしましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

漣「…またか。」

 

シャド「あぁ。これで5件目だぜ?」

 

平和だったはずの幻想郷。異変も無く、妖怪たちも人を襲わなかった。だが…。その平和は徐々に崩れつつある。

 

シャド「で?慧音ちゃん。これを調べろってのが依頼か?」

 

慧音「あぁ。こいつ…四郎って言うんだが、今朝から異臭騒ぎがあってな。ほら、ここ、住宅街だから。この近所のご婦人が見つけて、私に言いに来たんだが、私にもさっぱりわからん…。だから、漣たちに依頼したいんだ。そしたら、この方が手伝ってくれてな。鏡一郎さんだ。最近、幻想入りして来たらしい。」

 

…あぁ。現代からなんかしらの形で博麗大結界を破って、この地に足を踏み入れた…人間か。青っぽい髪で妙な燕尾服、黒いメガネの男性だ。見た目は誠実そうだが、シャドは訝しげに思っている。

 

鏡一郎「どうも。佐久間鏡一郎と言います。最近、此方にやってきました。向こうでは警察官をしていました。よろしくお願いします。」

 

…警察官?自警団みたいなもんかな。

俺たちは相手にお辞儀を返し、先ずは状況を把握することを始めた。

昨日から続く、変死体騒ぎ。シャドの言った通り、これで5件目だ。最初は

親子だった。そして、高齢者の夫婦や一人暮らしの女性、子供、そしてこの四郎さん。それぞれの遺体にはいくつか、おかしいところがあった。

 

鏡一郎「氷川さん。…この事件、どう思います?」

 

漣「…外傷もなし。盗られた物品もなし。物取りの犯行じゃないな。」

 

鏡一郎「そうですね。」

 

シャド「内臓の欠損やら、持病の悪化やらではねえな。毒物も俺にはわからなかった。呼吸器系統の破損でもねえし…。どうやって殺したんだ。」

 

…全部そうだった。それに部屋の中は荒らされた形跡も…それに…。

 

鏡一郎「…全て、密室だった。部屋の中には穴も空いてませんでしたし…。これは密室殺人ですね。外の世界には時々あるんです。…被害者は殺されることが不可能な状態で、死んでいるといったものです。」

 

とりあえず、家に帰るか。ここにいてもわからないことばかりだし、安らぐとこに行って、考えた方がいいだろう。

 

漣「俺たちは帰るけど、鏡一郎はどうする?」

 

鏡一郎「僕は、慧音さんに一室借りてますので、其方で独自に推理してみたいと思います。では。」

 

…俺たちも帰るか。シャドはまだ鏡一郎のことを怪しく思っているようだ。幻想入りした男、佐久間鏡一郎…。確かに、今は謎しかないが、第一印象は悪くないかもしれない…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃…。

 

鏡一郎「…上々です。玄霧様。」

 

鏡一郎の借りている家。意味ありげに影を刺す一室に、鏡一郎の他にいくつかの影が刺す。ふすまの開く音が何もない室内に響き渡り、風が入ったことを知らせるように室内の仏間の線香が揺れる。入ってきた男は座布団に腰掛け、胡座をかき、静かに机の上の熱々のお茶を啜る。

 

?「…そうですか。佐久間鏡一郎君。接触はできましたか?」

 

鏡一郎「はい。近くに行くだけでヒリヒリと痛むほど、強い妖力を感じます。ですが、玄霧様の見立て通り、彼は鬼としての誇りがありません。」

 

透き通るほどの緑眼に鏡一郎の姿が映る。意味ありげに微笑む男に鏡一郎は表情を一切変えず、淡々と話を進めていった。

 

?「…ほう。腐っても神なだけありますね。実際はここに来ていないとはいえ、僕にも少し感じます。とはいえ、勝てない相手ではないでしょう。君の能力は彼女から奪ったものですからね。今は大人しくしてくれていますよ。そして、君独自の能力が成長した…。期待していますよ?鏡一郎君。」

 

鏡一郎「…はい。必ず使命を果たします。」

 

その言葉の後、黒外套の男は霧散した。部屋の中には威圧感だけが残っていた。

鏡一郎「…あれが本当の悪夢だ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「…チッ!!気に食わねえな。あの探偵より強え奴だって…?私の目指す幻想郷破滅計画に差し支えるじゃねえか。…アイツの言ってることはわからなくはねえ。でもなぁ…。私は『天邪鬼』だからなぁ。アイツに従うか、探偵に従うかは…その時の気分だがな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「宜しいのですか?玄霧様。」

 

虚無の空間。先程の声は何処から聞こえたのだろうか。だが、確かに聞こえた。木の軋む音が聞こえる。その方向には男が座っていた。黒外套に身を包み、黒いハットをかぶっている。男はカップを口に運び、その中身を口に入れた。虚無の空間なのに、緑色の目は光って見えた。

 

?「…良いのですよ。右近。それに僕たちは戦いたくても、そこまでの戦闘員が揃ってないじゃないですか。せめて、あと二人は欲しいですね。」

 

右近…と呼ばれた男は、黒外套の男の前に平伏している。黒外套の男はカップを木の丸机に置き、右近をその緑の目に映した。まるで日の光のような光が二人を照らし、室内を明るくした。

平伏している男…右近は、筋骨隆々の大男で額に一角が見える。左頬に傷があり、目の下の隈らしきものが男の人相を悪くしている。

 

右近「しかし、玄霧様。あの天邪鬼は勝手すぎないですか?我々に手伝えと言いながら、自分から逃げ出しましたよ?それに地下牢のあの女…。いつ逃げ出してもおかしくないじゃありませんか。」

 

?「右近。急いで何になるんです?…今は時を待つんですよ。時は刻一刻と近づいています。運命の歯車は狂いつつも動いている…。僕が間違っていたことが………一度でもありましたか?」

 

右近「い、いえ…!!も、申し訳ございませんっ!!玄霧…逢魔様ッ!!」

 

…玄霧逢魔は殺気を隠す気はさらさらなく、その声はこの世のものとは思えないほどドス黒いものだった。先程の穏やかな笑みはそこにはなく、ただ、エメラルドグリーンの目で睨みつけるだけだった。空間内には威圧感で満ちていた。

 

逢魔「…まぁ、まだ君には利用価値があるのでしませんが、その気になれば…一介の人妖など…簡単に消せるということを覚えていてください。」

 

右近「はっ!!」

 

逢魔「…もう、計画は進んでいます。…あの子が彼らに近づいている…。くくくっ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リリカ「ふんふふ〜ん♪」

 

ソロ練習の終わり。人里で事件が起きてることなど全く知らなかったリリカは鼻歌を歌いながら、道を歩いていた。もう、空は日が暮れていた。

 

リリカ「遅くなっちゃったなぁ…。」

 

?「ひっぐ…えっぐ…。」

 

何処からか泣き声が聞こえた。リリカ自身、ホラーは得意な方ではないので、びっくりしながらも、声の主を探すことにした。泣き声的に幼子の声だったからだ。

 

リリカ「ど…どこ?」

 

震えながらも真っ暗な道を進む。リリカは知らないがあの事件以来、人っ子一人出ていないため、人里の少し明るい時間でも音がしない。無音なのだ。泣きそうになりながらも、家の裏手など人目につかない場所を探す。徐々に泣き声が近くなる。

 

リリカ「ひゃっ…。ど、どこなの…?」

 

?「ぐす…ひっぐ…。」

 

リリカ「うわぁっ!!」

 

見つけた…。

井戸の近くで泣いている…背丈的にはフランやこいしみたいな少女だった。真っ白なワンピースに身を包み、綺麗な長い黒髪。顔はうずくまって見えていない。

 

リリカ「ど…どうしたの?」

 

リリカはビビりながらも少女に声をかける。リリカの声を聞いたからか、少女は泣きじゃくるのをやめ、立ち上がり此方を見る。少女に他意はないだろうが、リリカはその少女の素立ち姿が暗闇もあるだろう、とても不気味に見えた。少し露出した真っ白な脚はガクガクと震えている。

 

?「お姉さん…だぁれ?」

 

リリカ「私?私はリリカ。あなたは?」

 

?「…わからない。」

 

…え?

リリカは困惑した。震えこそなかったが、頭の中ではまだ少女に恐怖していた。わからない…とは、どういうことなのか。記憶喪失?それとも…ただ、覚えていないだけ?

 

リリカ「…そう。思い出せない?」

 

?「…うん。あっ。でも、これ…。」

 

少女はリリカに持っていたポシェットを渡した。そこにはネームプレートがあり、英語が書かれていた。だが、暗すぎるのと多少汚れていて、YOUと書かれているのしか、わからなかった。

 

リリカ「よし。じゃ、貴方はユウちゃんね。」

 

?「…ユウ?うん!!私、ユウちゃん!!」

 

リリカがつけた名前に少女は飛び上がって喜んだ。月明かりに照らされてやっと気づいたのだが、少女の目は真っ赤だった。血の色と言ってもいい。リリカは気にも留めなかった。彼女にはもっと気になるところがあったからだ。リリカはユウの目線に合わして、しゃがんだ。

 

リリカ「ユウちゃん、お家どこかわかる?」

 

ユウ「…わかんない。」

 

ユウがまた泣きそうな声を出したのでリリカは慌てて、ユウを慰めた。そうだ。こんな幼子が自分の名前を忘れているのに、家を覚えているはずがない。だが、その瞬間、リリカの頭にあるアイデアが浮かんだ。

 

リリカ「ユウちゃん。うちに来る?」

 

ユウ「…え?良いの?」

 

リリカ「うん。おいで!!」

 

ユウはぱぁっと明るい笑顔になり、少女らしい元気な声でうなづき、リリカの手を小さな手で握った。ユウとリリカは歩きながら、いろんな話をしつつ、家に帰った。誰もがこれを見れば、仲のいい姉妹が歩いているように見えるだろう。

その様子を見るものが一人。暗闇の中で笑みを浮かべ、流暢な英語を呟く男。その男は家に帰ると目にかかる髪をかきあげ、笑った。

 

鏡一郎「…くくくっ。事件ってのは突然始まるものだな。」

 

尚も変わらず、大声で笑っている鏡一郎の声は響かない。誰の声も聞こえない人里には…。




…長い…。
一応、場面転換の時に間隔開けてますが、わかりにくかったら言ってください。ミステリアス…にもなってないかなぁ…。
では次回!!ではでは〜。
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