※この作品はR-18です。

半人半妖の恋愛奇譚   作:紳爾零士

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虚無異変第一幕、終わります。


第124話『糸と操りと事件の終結と』

逢魔「さぁ…愉快な愉快な殺戮ショーの始まりだ。」

 

逢魔がニヤリと笑った。…何を考えている?

 

逢魔「本調子ではありませんが…。始めましょうか。極刑『地獄の文字盤』」

 

漣「蛮奇!!紫苑!!月夜見とシャド、霊夢を呼びに行ってくれッ!!」

 

逢魔の周りに時計のように文字の弾幕が現れる。逢魔が不気味に微笑みながら飛び、周りにゆっくりと回転しながら、ついていく紫色の文字。妖力や霊力の量が今までと桁違い…。だが、全員いれば倒せるだろう。

 

紫苑「えっ?でも…。」

 

漣「此処は俺が食い止める!!紅蓮『サンライズブラスター』!!」

 

無数に飛んでくる紫色の細かい弾幕を避けつつ、俺は周りに6つの大きな弾幕を展開する。飛んでくる弾幕は密度が濃いかつ、一箇所に集まり、回転しながら向かってくる複雑な動きをしているため、気を張り詰めていても奴の正面に立てば被弾は免れない。

 

逢魔「素晴らしい。この弾幕の向かい風…。被弾しないように対抗できる量の弾幕を周りに打ちつつ、相殺。球状に配置された弾幕はバリアの役割をしている。更に言えば、ブラスターと言っているわけですから、真ん中でエネルギーを溜めていると考えて宜しいでしょう…。ですが!!それではまだ三流のやり方ですよ?」

 

漣「そこまでわかってて、なぜ何もしないんだッ!!」

 

逢魔「言ったでしょう?本調子ではないのです…。そして、待っているのですよ!!彼が…No. 1を破壊し!!もう一度、兵器として作り替えるのをッ!!」

 

…チッ!!

ぬかった…。逢魔に気を取られて、鏡一郎が動いていることにすら気がつかなかった!!

 

漣「ルナサッ!!メルランッ!!リリカとユウちゃんを頼んだッ!!」

 

ルナサ「わかった!!行くよ!!メルラン!!」

 

メルラン「わかった!!」

 

逢魔「…ここで行かせてはいけませんかね?極刑『丑の刻』」

 

弾幕は変わらない。だが、逢魔自身が2人に分身し、弾幕の量は単純に2倍に増え、ルナサやメルランに襲いかかろうとする。…だが、一直線に並んだらダメだぜ?

 

漣「エネルギー充填完了!!くらえェェェェェッ!!」

 

俺の弾幕が奴の細かな弾幕を相殺した隙に出来た穴に溜めたエネルギーをレーザー砲に変換して放つ!!

 

逢魔「やりますね!!」

 

逢魔にあたり、黒煙が舞う。一時的に逢魔の弾幕は止み、ルナサ達はその隙をつき、リリカ達のいる山の方向へ飛んでいく。手応えはあったが、逢魔は清々しい顔で空に飛んでいる。光輪のように後ろに控えた文字盤はヒビは入っているが、消えてはいないため、スペルは終わっていないのだろう!!

 

漣「…チッ!!」

 

ルーミア「漣。私もやるわ。」

 

漣「…背中は任せた。」

 

…せめて、時間稼ぎぐらいはしないと…。1人では勝てない!!

 

逢魔「さあ…。楽しませてくださいね?」

 

ニヤリと笑う奴を前に俺たちは空に飛びたった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リリカ「早くッ!!」

 

鏡一郎「チッ!!待ちやがれッ!!」

 

息が上がっている。リリカは後ろから迫る鎌の斬撃を避けつつ、ユウちゃんと共に逃げる。だが、その足は山奥に入り、生い茂る木々の中、方向感覚まで狂ってしまいそうになる。…周りの景色にはなりふり構わず、ただ飛んでいく。

 

鏡一郎「逃げても無駄だよッ!!余計な仕事増やしやがってッ!!『鋼の牙』」

 

鏡一郎の鎌は飛ぶ斬撃を生み出し、木々を倒しながら、リリカ達に攻撃していく。リリカは時に避け、時に相殺し、奥へ奥へと進んでいく。枝に道を遮られることもあるが、弾幕でおり、なんとか道を切り開く。

 

ユウ「リリカ…お姉ちゃん!!」

 

リリカ「大丈夫っ!!お姉ちゃんに…任せて!!」

 

不安げな顔をするユウちゃんにニコッと笑いながら飛んでいくリリカ。…絶対に手を離すもんか…!!ユウちゃんを渡すもんか!!と、走るスピードは落とさない。

 

鏡一郎「チッ!!『合わせ鏡の障壁』!!」

 

対する鏡一郎は、鏡の壁をリリカ達の前に生み出し、リリカ達の進む道を遮る。急いで止まるリリカ達。息を切らしながらも、追い詰める鏡一郎。リリカ達にとっては万事休すの状況だった。

 

鏡一郎「ハァ…ハァ…。クックックッ…。追い詰めたぜぇ?お嬢ちゃん?さぁ…No. 1!!こっちに来い…。その首、掻き切ってやる。」

 

ユウ「私は!!そんな名前じゃないッ!!私の名前はユウだもん!!お姉ちゃんがつけてくれたんだもんッ!!」

 

鏡一郎「…馬鹿め!!ただの人形が、主人の名前を名乗るんじゃねえよッ!!成り代わろうとでも思ってのか?殺人鬼ッ!!テメェはただのブリキなんだよッ!!主人であるのはその魂だけッ!!借り物の体に縛り付けられただけの魂が本物づらするんじゃねえよッ!!…さぁて?今楽にしてやる…「違う…!!」あ?」

 

リリカ「…ユウちゃんはただの人形なんかじゃない!!魂なんかじゃないッ!!ユウちゃんはユウちゃんだ!!…私の…家族なんだからッ!!」

 

震えながらもユウちゃんの華奢な手をしっかりと握りしめるリリカ。そのリリカの必死な声に鏡一郎から笑みが消え、怒りに顔が歪みだし、手に持っていた鎌の刃を前に突き出した。

 

鏡一郎「ええい!!腹立たしいッ!!…ならば、貴様も見るがいいッ!!その『家族』の首が飛ぶ様をッ!!『死神の刃』ッ!!」

 

鎌が大きく振り上げられる。ブオンッと風の音がリリカ達の耳に届く。…なす術はないのか…。リリカとユウちゃんは目を瞑ることしか出来ない。だが、そんな彼女らに無慈悲にも鎌は彼女らの首を切らんと振り下ろされる。

 

鏡一郎「死ねェェェェェッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

漣「くそっ!!」

 

とてつもない量の弾幕だ。リリカ達は大丈夫だろうか。

 

逢魔「…ほう?それほどにあのお嬢さんが心配ですか?よそ見は感心しませんねぇ?極刑『柔らかな刃』」

 

漣「ッ!?」

 

ルーミア「漣ッ!!」

 

逢魔の右手が長い糸のような…ゆらゆらと揺らめくものに覆われる。…その名前の通り、柔らかな剣のように形作って…。そこからは一瞬だった。

 

漣「ぐはっ…!!」

 

逢魔がニヤリと笑う。…胸に…いや、胸だけじゃない。足、腕、頬の切り傷から血液が垂れでている。切り傷とは言ったが、上から下に切られた傷ではなく、剣を突かれて出来るような前から後ろに切られた傷がいくつか出来ている。肩や太ももには刺し傷が出来ており、服には俺のらしき血が滲んでいる。…あまり血を失いすぎると危険だ。こうやって冷静に対処できなくなる。奴は器用に俺の太ももの筋肉の腱を切り、立てなくなっている。再生するにも…時間がかかる…!!

 

漣「チッ…!!」

 

逢魔「無様ですねぇ…。まるで生まれたての小鹿…。その息の根、今、止めてさしあげましょう。」

 

先程の柔らかな剣がまるで生き物のような動きで剣先を立て、瞬時にその剣先は俺の胸に近づいてくる。…まさに伸縮自在といったところか…。だが、冷静に分析している暇はない…。

 

ルーミア「漣ッ!!」

 

漣「紅蓮『火之神ノ加護』!!」

 

周りに炎を展開し、突っ込んできた刃から自分自身を守る。自身を中心に円形に広がる炎が目隠しになり、逢魔からは見えていないようだ。

 

逢魔「…流石、煉獄の奇術師…。」

 

漣「勝手に名前をつけるなッ!!人符『パンドラの業』!!」

 

逢魔「貴方のネーミングセンスよりはいいと思いますがね?極刑『ことり箱の呪い』」

 

レーザーとレーザーがぶつかり合う。逢魔の方が威力は高いが、ぶつかり合った瞬間、お互いのレーザーは散り散りになり、形を変え、お互いに飛んでいく。無数の細いレーザーの雨が俺に向かって降り注ぐ中、俺はそのレーザーを相殺せんと同様の細いレーザー砲を打ち込む。まさに類似のスペルだ。

 

逢魔「パンドラ…ですか。それは、貴方の持っていた紫電一閃のことですか?血肉をくらい、無残に散ったあの刀…。ご存知でしたか?あのまま、使い続けていれば、どうなっていたか…。」

 

漣「…なに?」

 

弾幕の嵐の中、逢魔は険しそうな顔もせず、平然とそのように話しかけてくる。…集中を乱そうとしているのか?

 

逢魔「…帯刀していなかったから、今の貴方がいるだけのこと。もし、帯刀していたら…幻想神なんて名前は与えられていなかったかもしれませんねぇ…?」

 

漣「…好きで言われているんじゃない。周りが勝手に呼び出したんだ。」

 

逢魔「…会ってみたくないですか?イフの世界の君と…。神ではなく、悪魔と化した幻想の王と…。」

 

漣「…もしもの話は好きじゃないなッ!!」

 

弾幕の嵐が止み、奴に殴り合いを仕掛けに行く。逢魔に向かって飛んでいくが奴の周りに無数に不規則に散らばった糸が行手を阻み、容易に近づくことが出来ない。なんとか避けて近づくが、糸と擦れた部分の肉は細く切れ、そこから血が流れる。

 

漣「くそッ!!」

 

逢魔「…品がないですね。ただの殴り合いに何の意味があります?これが高貴なる幻想の神の姿ですか?服が切れ、肉がえぐれ、血が垂れ出す…。そんな醜い体になりながら、何故、戦うのですか?…もう、放棄しては良いのでは?別に、君にこの郷を守る義務は無いのです…。それはあくまで権利に過ぎない。放棄だって出来る…。家族を守ることも…僕と戦うことも…全て、権利に過ぎない…。」

 

逢魔はのらりくらりと俺の拳や蹴りを交わしながら、諭すように俺に話しかけてくる。ニタニタと笑うその顔に恐怖を覚えつつも顔や態度には表さず、怒りのままに攻撃する。腹の中は煮え繰り返っている…が、やけに冷静でもある。奴の言う『権利』という甘い言葉に左右される気はさらさら無い。

 

漣「なんだと…ッ!!」

 

逢魔「…薄々、気はついているのでしょう?さっきまで戦うと息巻いていたルーミア君も簡単に地に落ちてしまいました。だからこそ、無意味だと言っているんですよ。君たちが…思っている以上に少女達は非力です。最強と言われし、博麗の巫女も妖魔となり、廃れてしまった。今はただの少女なのですから、対抗する術はありませんよ?」

 

漣「…お前はなにもわかってないな…。」

 

逢魔「…はい?」

 

漣「…霊夢は妖魔化したんじゃない。彼女らは弱くなんかない…。吠え面かけよ…。クソッタレ…!!」

 

逢魔「なに?」

 

?「玄霧様ッ!!」

 

玄霧の後方から、黒い着物の男が現れる。男の顔は黒いヒビが入っており、目は赤く、髪は白い。

 

逢魔「…どうしました?右近。」

 

右近と呼ばれた男は青ざめ、逢魔にひざまづきながら、声を上げた。

 

右近「申し上げます!!玄霧様ッ!!や、八雲紫が…。」

 

逢魔「…?」

 

右近「八雲紫が連れ去られましたッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鏡一郎「…なん…だと…?」

 

リリカは目を瞑った。なにが起こっているか、わからない…。だが、何かがぶつかるような金属音が響いたのを聞いた途端、恐る恐る目を開けた。…あの人は…。

 

リリカ「…和泉さぁ〜ん…!!」

 

キリッとした顔をし、筋肉質な男が持っていそうな刀を持つ着物の女性。ある時は元月の長の嫁であり、ある時は山を納める天狗の長、天魔…。その親しんだ相手を見た途端、先ほどまでの恐怖からか、リリカは涙声を出した。その声を聞き、此方に和泉は優しく微笑みかけた。

 

和泉「…もう安心です。私達、山の天狗が貴方を守りますよ?リリカさん。」

 

鏡一郎「キッサマァーッ!!我々の邪魔をするとは…ッ!!命は惜しくないのかッ!!」

 

和泉「…どこまで腐れば気が済むのでしょうか。この下衆…。我が神器にも近い名刀『赤磐雄町』の錆になりたくなければ即刻、立ち去りなさい。」

 

和泉の目は鋭く、声は低くなった。相手を威圧する低い声に鏡一郎は押しつぶされそうになった。鏡一郎は知らなかったのだ。目の前の相手が、この幻想郷で五本の指に入る実力者の末裔であることを…。

 

鏡一郎「ぐっ…!!ふざけんなよ…!!このバ烏めが!!『鋼の牙』ッ!!」

 

和泉「…最早、罪を償う気もないですか…。銀風『夜を刻む鉄の風』」

 

和泉が空中で剣を振るう。すると、和泉の周りに四つの竜巻が現れ、その竜巻から弾幕が生み出され、その密度とスピードにより、鏡一郎は圧倒される。鏡一郎の体は鎌鼬の如く、風の力で切り刻まれ、血が滲んでいた。足がフラフラになり、地面に尻をつく鏡一郎に和泉は近づき、その首に刃を突きつけた。

 

和泉「…答えなさい。貴方達はなにをしようとしているのですか?」

 

鏡一郎「はぁ…はぁ…くっ…!!言うわけ…ねぇだろッ!!…チッ!!しくじった…ッ!!次はこうはいかねえぞ!!『鏡渡り』…ッ!!」

 

和泉「…ッ!!」

 

鏡一郎の下に鏡のようなものが現れ、そこに吸い込まれるように鏡一郎は消える。和泉は赤磐雄町を鞘にしまうと、そっとリリカの元へと駆け寄った。

 

和泉「大丈夫ですか?」

 

リリカ「ぐすッ…うわぁぁぁん!!」

 

リリカは和泉に抱きつき、泣いた。和泉は静かにリリカをその豊満な胸に抱き寄せ、母のようにリリカの頭を撫でた。ポカンとしているユウちゃんに気づいた和泉はユウちゃんにも来るように手招きすると、彼女もまた少し涙を浮かべ、和泉に抱きついた。2人の頭を微笑みながら和泉は文が来るまで撫で続けていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逢魔「…まさか…。」

 

初めて逢魔が驚愕した。…成功したんだな…。

バサリッと聞き覚えのある羽の音が聞こえた。そこには幻想郷の管理者、元月の長、そして、相棒と彼女達がいた。

 

逢魔「…何故、拠点を留守にした?右近。」

 

右近「はっ!!お嬢の好きな甘味がきれていましたので買い出しに出かけて…。」

 

逢魔「…クロ…。あの自由奔放にはつくづく困りますねぇ…。」

 

逢魔はやれやれと言ったようなジェスチャーをして、また此方を向く。その顔からは悔しいと言う感情も、怒りの感情も読み取れず、ただニタニタと笑っているだけだった。

 

シャド「…観念しやがれ、クソ野郎ッ!!」

 

月夜見「貴様らの企みも阻止したぞッ!!」

 

逢魔「…全て、氷川漣の読み通りだったということか…。」

 

俺は奴にニヤリと笑いかける。

…今回の異変、人と妖怪の間にかなりの壁を作ってしまうものだった。何故なら、逢魔は殺人の犯人を妖怪にでっち上げていたからだ。そのために人間には到底できっこないような方法で人をドンドンと殺し始めた。そんなことを紫が黙って見ているわけがない。だが、現れなかった。そんなことはないとも思いつつも、紫がもしかすると敵方に捕らえられているのではないかと思い、蛮奇にそのことを伝え、月夜見たちに救ってもらったというわけだ。

 

逢魔「…本日は引きましょう?我々とて引き際がわからぬ阿呆ではありませんからねぇ…。」

 

そういうと、逢魔は糸で地面を叩き、砂煙に紛れて、逢魔は右近とともに霧散してしまった。霊夢や魔理沙が到着したのはその後だった。安心してからなのか、体中が痛い…。

俺は帰ってきたルナサに肩を預けつつ、家に帰ることにしたのだった。




ルナサは方向音痴です。生い茂った森の中で地図も無く…となると。
まぁ、どうしたのって言われたときのために迷って、間に合わなかったとで思ってください。
たくさんの方にアドバイスやリクエストをもらい、感謝をしております。僕としてはとても嬉しいです。今後ともどうぞ宜しくお願いします!!では、次回!!ではでは〜!!
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