※この作品はR-18です。

半人半妖の恋愛奇譚   作:紳爾零士

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第132話『剣と鎌と月夜見の本気と』

鏡一郎「ギャハハハッ!!ハーハハハッ!!死ねぇ!!死ねぇぇッ!!」

 

敵軍、前線で大鎌を振り回す鏡一郎。その狂ったような勢いに死屍累々の軍は勢いを増し、その勢いに天魔・和泉率いる天狗軍は苦戦を強いられた。

 

鏡一郎「ギャハハハッ!!全員、殺せぇッ!!我が主人!!玄霧逢魔の名の元にィィッ!!」

 

妖怪達「オーッ!!」

 

一人、また一人と妖怪達は天狗を爪で、牙で、そして、刃で殺していく。青々と短い草が生えた草原にはもういくらか、惨殺された天狗達の死体が転がっていた。

 

和泉「…くっ…!!」

 

文「天魔様ッ!!どう致しますかッ!!」

 

珍しく真面目な顔の文が和泉に聞く。ただ倒されていく天狗を見て、天狗達の中には和泉の指揮の腕が悪いと言う大天狗も出始め、統率が取れなくなっていた。その軍隊の乱れを狙い、鏡一郎率いる死屍累々軍は攻めてくる。…正直、和泉にはどうすることも出来なかった。

 

和泉「ッ!!」

 

鏡一郎「おいおい…ッ!!天魔さんじゃねえかッ!!…お前を討ち取れば…俺も玄霧様に認められる…ッ!!ギャハハハッ!!あの時の借り…返させてもらうッ!!」

 

鏡一郎の大振りの鎌が和泉に向かう。和泉は名刀『赤磐雄町』で刃をなぎ払い、鏡一郎を無視して、鏡一郎の軍の真上に行く。

 

鏡一郎「おいおい…戦線離脱かぁ?ギャハハハッ!!」

 

耳障りな大声で笑う鏡一郎を背に、和泉は息を整え、大声で空に向かって吠えた。

 

和泉「全ての天狗達に告ぐッ!!」

 

その声に敵味方、諍いをやめ、太陽の中に飛ぶ和泉を見た。太陽の中に広げた大きな翼はよく映えた。その美しい顔はキリッとしていて、まさに天魔と言った様子だった。

 

和泉「…勝機は我らにありッ!!中には私の指揮を問題視する者もいると聞くッ!!だが、安心して欲しいッ!!私が統率するからにはもうこれ以上、犠牲は出させないッ!!…だから…私にッ!!お前達の命を預けてくれッ!!」

 

高らかに声を張り上げる。全軍に行き渡るように和泉は空に吠えた。少しの沈黙にも心が折れそうになった。…だが、その心配は必要なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天狗達「ウオォォォーッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和泉の声に闘志を取り戻した天狗達は一丸となって死屍累々軍を攻め始めた。その勢いは前とまるで雲泥の差。激流に乗った魚の如く、勢いを得た天狗達に押し切られ、死屍累々軍は勢いを失いつつあった。

 

鏡一郎「畜生…!!なんじゃこりゃあ…!!今までとは全く持って違えじゃねえか…!!」

 

和泉「このまま…押し切れッ!!」

 

文「疾風『風神少女』ッ!!」

 

椛「狗符『レイビーズバイト』ッ!!」

 

弾幕の嵐に地を走る死屍累々軍の大半が削られていく。その穴を狙い、白狼天狗達が突っ込んで行く。その剣裁きの速さ、攻撃速度の速さに翻弄され、着実に…確実に人員を削っていく。和泉も前線に立ち、持ち前の威力のある風と名刀『赤磐雄町』の斬撃により、先程まで乱雑に大振りに振るっていた鏡一郎の鎌を的確にいなし、鏡一郎の体に無数の血、傷をつけた。

 

鏡一郎「こ、こんなことが…ッ!!」

 

和泉「…終わりです。降参しなさい。」

 

戦意を喪失したのか、膝から崩れ落ちる鏡一郎の首に刃をあてがう和泉。周りでは爆音、砂埃、怒号が聞こえる中、そこのみ静寂が訪れた。

 

鏡一郎「…強く…なりたかったんだ…。僕は…母に…父に…みんなに…仲間として…認めて…欲しかったんだ…ッ。」

 

和泉「…。」

 

和泉は鏡一郎の光のない目、そして、小さくかすれた声に少し…少しだけ、慈悲を向けたくなった。…なってしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…それは一瞬だった。和泉が刃を下げた瞬間、鏡一郎は和泉を魔力で拘束し、押し倒した。天狗ならばただの人間にそのようなことをされるはずが無いのだが、逢魔の力からなのか、鏡一郎の秘めたる力なのか、もがけばもがくほど和泉の拘束は強くなるばかり…。その様子を見た文や椛達は急ぎ向かおうとした。

 

鏡一郎「動くなッ!!…動いたらコイツの首が…飛ぶぞ?」

 

和泉「くっ…!!なんと卑劣な…。」

 

鏡一郎「卑劣ぅ?…ギャハハハッ!!卑劣でもなんでもやってやるさッ!!この俺が世界で…宇宙で1番になる為ならなッ!!お前を殺し、月夜見もぉ!!シャドも、氷川漣も!!全て…全て殺してッ!!力を取り込めばッ!!後の敵は玄霧逢魔ただ一人ィィィ!!…安心しろ?お前の愛した天狗達は…月夜見は…後で送ってやるからよ…。だから、素直に…死ね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——————罪深きもの、業深きもの、我が刃にて亡命せよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…剣は闇を切る。鏡一郎の首筋に一閃の傷がつき、そこから血が吹き出した。誰もいない。誰も刀を下ろしていない。それなのに鏡一郎は倒れ、和泉の拘束は解けた。

 

鏡一郎「ガッ…!!貴様は…ッ!!」

 

…まるで夕暮れの光を転写したかのように発色の良い橙…いや、緋色の着物。風に揺らめく金色の髪。つり目気味な赤い目。

 

和泉「…つ…月夜見様ぁ…。」

 

月夜見「…よく頑張った。後は…任せろ。」

 

いつもの真顔ではなく、和らげな笑みを浮かべながら、抱き寄せた和泉の頭を撫でる月夜見。和泉はその優しさからか、目からは大粒の涙を流していた。

 

鏡一郎「な…なんでッ!?お前には特に人員を割いたのに…ッ!!」

 

月夜見「…あんなもの、悪あがきにもならん。俺を殺したければ、少しは骨のある奴を寄越すんだな。…文、和泉と天狗達の統率は…任せた。」

 

文「はいっ!?」

 

月夜見は胸の中の和泉を文に引き渡すと、月夜見は赤く光る刀を構え、鏡一郎に向かう。鏡一郎はゆらりと立ち上がり、鎌を持ちながら、ニヤリと笑った。

 

月夜見「…忠告しよう。俺は大切なものを傷つけられて気が立っている。手加減は出来んぞ。」

 

鏡一郎「…チッ!!…良いぜ。アンタも掻っ捌いてやる。順番が変わっただけだからなッ!!」

 

月夜見「…『儚く散りしもの。魂の導きをこの刃に託す。邪に散りしもの。慈愛と抱擁の中、その魂を浄化し、罪を悔い改めよ。さすれば、汝ら、輪廻転生の機会を与えん』…。」

 

鏡一郎「隙だらけだぜッ!!」

 

月夜見は何かを詠唱し始め、その隙を狙って鏡一郎は鎌を構え、走りながら月夜見に刃を当てようとする。だが、月夜見に隙はなかった。鎌の刃と月夜見の赤く光る抜刀剣が相対する。

…鏡一郎は動揺していた。地面を蹴って速度をつけ、反応できない速度で振り下ろしたのに…。まだ刀に手すら触れていなかったのに…相殺されたのだ。

 

鏡一郎「ッ!?」

 

月夜見「どうだ?神刀『酔狂満月』の味は…。格別だろう?」

 

鏡一郎「…へっ!!此処でぶっ殺してやるよッ!!」

 

月夜見「…良い覚悟だ。無論、手加減はしない。お前は俺が…殺す。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライトシープ「…生き延びた…か。」

 

砂埃が立ち込め、炎が点在し草を焼き焦がす。まさに地獄という環境の中、空を飛ぶ巨大な鳥の攻撃から身を守るように氷の壁が出現していた。だが、ヒビが入り、バリバリッと音を立て、崩れ落ちると左手を前にかざすシャドとその後ろにいる幽香、レミリアの姿があった。

 

シャド「ヒュ〜…。危ねぇ危ねぇ…。テメェは弾幕ごっこのだの字も知らねえのかよ。」

 

ライトシープ「…最早、これは遊戯ではないのでね。変身『解除(キャンセル)』

 

ライトシープの体はその詠唱とともに光り輝き、元の神父の姿へと変わった。

 

シャド「…戻ってどうする?テメェは爆弾しか作れねえ信教者。そして、テメェを倒しに来たコイツらもやわじゃねえ。その姿じゃ後3時間も生きられねえぞ?」

 

ライトシープ「…わざわざ挑発して、私に本気を出させたいのですか?…君のことも彼のことも…みんな調べ尽くしました。君の秘密…知られたいですか?周りのみんなに…。」

 

シャド「…何?」

 

ライトシープはニタニタと笑う。シャドは面白くなさそうにライトシープを睨んだ。幽香もレミリアも興味がないわけではないが、ライトシープを睨みつけた。…シャドという男。謎多き悪魔。不死身であるのも、その圧倒的強さも、不確定な存在。

 

ライトシープ「…君の本名はサンドラ・アルカディア。とある少女の怨念体ですよね?」

 

レミリア「…少女だと?コイツは男だぞ?筋骨隆々…どこから見ても…。」

 

ライトシープ「…ええ。器…はね。」

 

ライトシープはまたニヤリと笑った。

 

ライトシープ「…しかし、サンドラからシャドとは…また安直なネーミングセンスですね。まぁ、良いでしょう。では、君たちに教えてあげましょう。その少女が一体、過去に何をして何があったのかを…。」

 

ライトシープは戦場で静かに語り出した。シャドは頭を俯き、レミリアと幽香はシャドを心配しながらもライトシープを止めることができず、それを聞くしか出来なかった。




最後のは…やりすぎたかなぁ…。
では次回!!
ではでは〜。
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