※この作品はR-18です。

半人半妖の恋愛奇譚   作:紳爾零士

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第134話『鬼と神とお互いの意思と』

漣「ハァァッ!!」

 

レン「ダァァッ!!」

 

…シャド、月夜見が新たな力に目覚め、死屍累々軍と戦い始めている頃。お互いの想いをぶつけ合った漣達はまた戦いを始めた。

 

漣の右拳をレンは手で跳ね除け、左足を軸に右足で漣の横腹を蹴ろうとする。

 

漣はレンの蹴りをしゃがんで躱し、瞬時に立ち上がって、レンの頬を右拳で殴った。

 

レン「ぐっ!!…チッ…!!」

 

元々出ていたのか、さっきの拳をもろにくらって口の中を切ったのか、レンは口から地面に血をプッ…と吐き出した。

 

漣「…くくっ…。思っていることは一緒か?」

 

レン「あぁ…。お前は俺を消し去るつもりだろうが、お前に俺が殺せるかな?」

 

二人は平野に立ち尽くし、笑った。まるで旧知の友のように…。

先程までの激しい戦いが嘘のようだった。

 

漣「…もはや、俺を殺すのに容赦はないッ!!」

 

漣は地面を蹴って、レンに向かって走る。そして、右、右、左と3連キックをお見舞いする。

 

対するレンは全て涼しげな顔で避け、漣の左足を持つとグルングルンと回し、小さな岩山に投げつける。

 

漣「チッ!!」

 

漣の体が宙を舞う。岩壁にぶつかる寸前、漣はバク宙の要領でぐるりと回転し、足を使って岩肌を蹴り、勢いをつけて、殴りかかった。

 

レンはその攻撃を左手で防御をし、右手のアッパーで漣の腹を打ち抜き、漣を宙へと打ち上げた。

 

漣「ガッ…!!」

 

レン「おいおい…。まだ手加減している気か?お前の相棒とやらはもう本気を出したようだぜ?」

 

漣を追いかけながら、レンはそう言いながら、空を飛んだ。速度を上げて、漣の上を取るとその背中に肘打ちを決める。

 

漣「ぐわぁぁぁッ!!」

 

上空から一気に急降下し、雲をも突っ切り地面に叩き落とされた漣。地面は浅くではあるが円形に窪み、所々、亀裂が入っている。

 

レン「…ふふっ。おいおい。これっぽちじゃちっとも満足できねえぜ?」

 

漣「…イテテテ…ッ。さてと…そろそろ本気出すかッ!!」

 

漣は起き上がり、首をコキリコキリと鳴らし、右肩を回した。勿論、左肩も同様だ。そして、砂埃を払い…笑った。鏡写しのようにレンも笑った。…少しだけ二人の場所に静寂が訪れた。

 

漣「…さぁ!!行くぞッ!!」

 

レン「チッ…!!本気と言いつつ、姿は変わらんのか?」

 

漣は姿を変えずにリミッターを外し、魔力、妖力、霊力を最大限まで上げる。レンはその様子に訝しげに思い、右目をピクピクとさせながら、怒りの表情で漣を見た。

 

漣「…あぁ。本気が良かったら、お前が出させてみろ。」

 

レン「…その天狗の鼻…。へし折ってやるよッ!!」

 

レンは漣の挑発に乗り、また殴り合いを始めた。だが、次は話が違う。レンのラッシュを漣が拳と拳で相殺する。

 

そして、レンの拳を一撃避け、隙ができた瞬間に腹に一撃をたたき込んだ。

 

レン「ぐっ…!!な、なるほど…?確かに…少しだけ強くなったじゃないかッ!!」

 

漣「…消えろ。数奇『たった二十一の星の宇宙』」

 

上空に巨大なサイコロを生み出し、各面々から弾幕を打ち出す漣。その質量と密度にレンは…

 

レン「ぐっ…ぐわぁぁぁッ!!」

 

…飲み込まれていった。

 

漣「…。」

 

漣は冷ややかな目でレンの居た場所を見た。先程の弾幕で発生した黒煙と砂埃が視界を遮った。砂埃が晴れるとそこにボロボロのレンが横たわっていた。赤いロングコートは焼け焦げ、あちらこちらが破けている。

 

レン「…くくっ。」

 

漣「…そろそろ、お互い本気で行くか?」

 

レン「…意地きたねえぜ。テメェ、本気で俺を殺しに来てやがる。」

 

レンは砂埃を払い、着ていたコートを脱ぐ。その下は筋肉質な体とその上に着られた薄いノースリーブの真っ赤なシャツだった。多少ついている筋肉が生地が薄いため、しっかりと見えている。

 

レン「…肩が凝ってしまった。身体中が痛えじゃねえか。いきなり肉弾戦から弾幕に切り替えたから、少し油断したぜ…。」

 

レンは肩や首などの関節をコキッコキッと鳴らし、不敵な笑みで笑った後、目を閉じた。

 

レン「…本気で…殺す気でやってやるさッ!!鬼の本気…見せてやろうッ!!紅蓮『鬼神の業火』…!!」

 

レンの周りを青紫色の炎が包む。それをレンが手で払い除けると髪は少し青みかがり、額の右あたりに一角が現れた。漣の使う『鬼神の業火』とは違い、目の下に涙が出たような黒いヒビがあり、目は赤くなっている。

 

レン「…これが真の鬼神の姿。貴様が俺に勝つにはこれ以上の力を見せないと…勝てないぞ?」

 

漣(奴の自信はただのハッタリではないな。このピリピリと刺激する感じ…。只者ではないのは分かっていたが、これが俺自身の力…というのか…。)

 

漣は静かに構える。さっきまでの遊びの表情とは違い、相手を見定めるような目だ。

 

レン「…『ありとあらゆるものを視る』程度の能力。そんなもん使って楽しいかぁ?紅蓮『酒呑ノ雨』」

 

レンが空に打ち出した赤い炎の弾幕が上で四散し、雨の如く降り注ぐ。雨というよりは流星群と呼ぶべきだろうか。漣はそれをステップやバク転などで避け、なんとか間合いに入ろうとする。

 

だが、レンを舐めていた。レンはパワーアップしただけあってそのスピードも威力も桁違いに上がっており、いきなり横に現れたレンはそのまま、拳圧を叩き込んでくる。

 

勿論、一挙一動は漣には筒抜けなので、避けることも可能なのだが、少しでも動けば、上から降り続ける弾幕に当たってしまう。なので、漣は手をクロスして、その拳をすべて受け切ろうとするが…。

 

漣「チッ…!!腕がヒリヒリしがやる…!!」

 

レン「鬼の体術は天下一品ッ!!全て受け切ろうなんざ、無理な話だぜッ!!」

 

レンの拳が漣の顔面に伸びる。

 

漣はそれを避け、腹に一撃入れるが、軽い軽いと言わんばかりに、左足で天へと蹴り飛ばされる。

 

漣が反応をする前に鬼の筋力でレンは跳び上がり、漣の後頭部にかかと落としをヒットさせる。

 

また、地面に打ちつけられる前にダメージを少しでも防ごうとぐるりと空中で回転し、着地する漣。

 

レン「さっきのはこうやってやったんだよな?…数奇『たった二十一の星の宇宙』!!」

 

漣「…なるほどねッ!!」

 

降り注ぐ弾幕を全て躱し、レンの真ん前までスライディングで滑り込み、腹に一撃入れる漣。地面に砂埃が立ち、擦れてできた跡が地面にできた。

 

漣「近くに滑り込んで一撃殴ってもガードされるか…。」

 

レン「テメェはなんにも使ってねえからな…。さぁ…。本気を出す気になったか?この瞬間を楽しみたいんだろう?」

 

わかりやすく、漣を挑発するように言うレン。二人とも傷だらけだが、レンの体は先程のスペルで強化されているため、漣の方が重傷である。頭から血がダラリと流れ、口元からも血が流れている。少しでも気を抜くと倒れてしまいそうだと漣は危惧していた。

 

漣「…そうだな。少し本気を出すか。紅蓮『輪廻転生之炎』ッ!!」

 

漣の体を白い炎が包んだ。一点の曇りもない、すべてを浄化する天上の炎。その炎は地面の草を燃やさず、圧倒的な熱気を示していた。

…そして、漣はその白き炎を手で払う。火に包まれた漣は髪が真白に神々しく光り、見るものすべてを魅了した。レンはその姿にニヤリと笑い、スッと構える。二人の熱気が周りで戦っていたものたちにも通じた。

 

漣「…俺は幻想神、氷川漣ッ!!貴様を焼き殺すものだッ!!」

 

レン「…やれるモンなら…。」

 

レンが勢いよく、地面を蹴る。その勢いを殺さずに漣の腹に拳を叩き込んだ。

 

レン「…やってみろよ…。」

 

レンはニヤリと笑った。拳が漣の腹に入ったからだ。漣の顔はレンには影になって見えない。レンは思った。確実に手応えがあったのに、何故かダメージの入っている感じがしなかったからだ。

 

漣「…痒い。」

 

レン「何ッ!?」

 

漣は腹に入ったレンの拳を、腕を掴む。そして、左手をレンの腹にお返しと言わんばかりに放った。

 

レン「ガッ…!!」

 

漣はレンの怯んだ隙に、ラッシュをかけた。レンはまさになす術無し。殴ろうとしても、腕を出す前に殴られる。蹴ろうとしても足を出す前に蹴られる。そして、漣はレンの腹に回し蹴りを入れ、後ろに大きく吹き飛ばした。

 

レン「ぐわぁぁぁッ!!」

 

レンの筋肉質な体が後ろの岩壁に叩きつけられ、その体の形に岩壁は窪み、周りにはヒビが入った。レンは大量の血を吐き、膝から地面に崩れ落ちた。膝と両手で倒れそうな体をレンは支えた。

 

レン「ハァ…ハァ…ハァ…ぐっ…!!」

 

レンは激痛で動かない体を必死の思いで支えた。その端正な顔は額、鼻、口元からの血で汚れ、筋肉質な腕からも足からも流血している。対する漣は、そこまで激しい傷はないものの、さっきまでのお互いのぶつかり合いにより、口元や額からの少しだけ流血していた。だが、動けないほどでもないのか、漣はレンのいるところへ歩いて行く。

 

レン「…こ、これが…テメェの…。」

 

漣「…本気じゃあない。俺たちにはまだ刀がある。それを差し引いてもこれは本気の力じゃない。まさに鬼同士の喧嘩だ。殴り合いのな。」

 

レン「へへッ…。よく…言うぜッ…。鬼の…威厳なんてッ…ねぇ…くせに…よぅ…ッ。」

 

漣「…。」

 

漣は尚も立ち上がるレンに哀れみの表情を向けた。レンはボロボロの体で息を切らしながらも、ニヤリと笑い、漣を見た。

 

漣「…俺は過去の俺とも戦った。今更、そんな力が俺に通用すると思うなよ?」

 

レン「…やってみなくちゃ、わかんねえだろ?…お前に勝ってルナサを頂く。その為なら、妖魔の刀だろうが、なんだろうが使ってやるよ…ッ!!」

 

レンは背中の紫電一閃に手をかけた。そして、その刀を鞘から抜く。

 

漣「ッ!?」

 

漣(なんだこれはッ!!…瘴気の暴風がとんでもない勢いで放出されている…ッ!!)

 

紫電一閃から圧倒的な力が地上に溢れ出た。まるでそれは紫色の雪崩のようだった。そして、そのえげつないエネルギー粒子が自然に流れ出る。その粒子が全て流れきったときには、レンは今までのレンではなかった。

 

レン「…鬼の圧倒的なパワー…見せてやるッ!!」




最終話に漣対レンは畳み掛けるかも。
だって、まだ出してないのいるもんね。しょうがないね。
では次回。
ではでは〜!!
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