右近「…そろそろ死ねッ!!」
魔理沙「グァァァッ!!」
魔理沙の顔がドンドンと地面に沈んでいく。彼女は頭から大量の血を出し、フランがその様子を見て泣き叫んでいる。そのフランとともにルナサも弾幕の量を増やすが、もう無理だと悟っているのか、半泣きである。フランは喉を痛めそうなほど泣き叫びながら、右近の体に拳を放つが、その拳は血で染まっている。…まさに阿鼻叫喚である。
右近「諦めろッ!!…次は貴様らの番ゆえ足掻くだけ無意味だ!!このまま、この頭を握り潰すのにあと数分とかからん。足掻いても無駄だ。」
フラン「嫌だッ!!魔理沙を離せぇッ!!」
フランは右手で目を握りつぶし、右近の左腕を四散させた。右近は痛みに顔を歪めるが、何が起こったのか、わかっておらず、そのうちにルナサが魔理沙を掻っさらい、一度、岩の影へと避難した。
魔理沙「…ハァ…ハァ…。」
フラン「…ルナ姉様ッ!!魔理沙…死んじゃうよぉ…!!」
ルナサ「まだ死んでないからッ!!…大丈夫だから。」
フランは涙を堪えられず、鼻を啜っている。震える魔理沙の手を小さなフランの両手が掴んで、離さない。…フランとしては魔理沙も友達だ。だからこそ、死んで欲しくない。
ルナサもそんなフランの心情を察して、フランを宥めるが魔理沙の様子は決して大丈夫とはいえなかった。頭からの出血や、体温の低下。魔法で強化されているとはいえ、致命傷であった。
右近「チッ…!!」
左近「ありゃりゃ、派手にやられちゃってまぁ…。あんなことまでしなくても簡単に殺せたでしょうに。寝つき悪くなっちゃったらどうするのよぉ。全く。」
右近はやってきた左近の皮肉に対して、左近を睨みつけた。左近は現世刀で右近の左肩を撫でる。すると左腕が肉塊のような姿で生え、完全に再生した。
右近「…殺し損なった。そっちは。」
左近「あぁ。喰ったよ。後、30分ぐらい稼いでくれりゃ、完全に奴らの技をモノにできる。早く殺しちまいな。この騒ぎに乗じて幻想神が来たら面倒だ。」
右近「…ふむ。剛拳『崩壊の序曲』!!」
右近が天に向かって弾幕を放つと、地面に着弾した瞬間、大爆発を起こした。ルナサは魔理沙を抱き、飛んだ避ける。が、密度も多く広範囲のため、避けづらい様子だった。フランはフォーオブアカインドで四人に増え、左近たちの前に姿を現した。
右近「…小娘、そんな芸当も出来たのか。」
左近「ありゃりゃ、こりゃ、遊んでいる場合じゃなさそうだ。」
右近はフランを睨み、左近はフランたちを見てニヤリと笑った。フランたちには笑みなどない。フランたちは二人を怒りのままに睨んでいた。
フラン1「…咲夜と陽奈ちゃんは?」
左近「ん?あぁ。喰っちまったよ。俺の能力でな。でも、安心しな。まだ消化はされてねえからよ。後、30分ぐらいだから、まぁ、そこまで遊んでくれや。」
フラン2「遊び…?違うわ。遊びなんて生やさしいものじゃない。…貴方たちは私が倒す。」
その一言でフランたちが瞬時に動き出した。フラン1、2は左近を蹴り、フラン3、4は右近にラッシュをかけた。だが、フラン1、2は左近の長い刃にに切られ、3、4は硬い装甲の右近に一撃も与えられていない。フランと左近たちの力の差は誰が見ても明らかだった。だが、フランには狙いがあった。
…ルナサだ。ルナサが魔理沙を抱き、永琳の元へと向かっている。永琳ならば、魔理沙の致命傷をなんとか治せると踏んでいた。
左近「キシャシャシャッ!!おいおい。嬢ちゃん、言ってた割には弱いぜッ!!それがお前の本気か?本気なのかァ?キシャシャシャッ!!」
現世刀がレーヴァとかちわる。一振りと二つの刀と槍の衝撃が隣で戦う右近達にも伝わる。右近は硬化させた体でラッシュを受けているが、フランの攻撃は早くなっていく。それに右近は少しずつ煩わしくなっていき、少し距離を取る。そして、地面に手をつくと、また大規模な弾幕を繰り出した。フラン3とフラン4はその弾幕に当たってしまい、消えてしまった。
左近「ほらほらほらァッ!!タイムリミットまで後20分だぜ?ちょこまか逃げてるだけじゃ意味ねえぞッ!!」
剣がフラン2を切り裂く。背後からの突然の攻撃により、なすすべなく消えてしまった。フラン1…いや、フラン本体はまだ勇猛果敢にレーヴァを振り回して立ち向かうが、体を硬化させた右近にその炎は遮られてしまう。
フラン「う、うぅ〜…!!」
右近「諦めろ。我らと貴様では積んできた場数が違う。」
左近「そうそう。だから、アンタだけ逃げちまいな?誰も責めねぇよ。アンタには勝ち目がねぇんだから。資料に書いてあったぜ?アンタの家族も友達とやらも見捨てて、逃げちまいな?キシシッ…!!」
フラン「…。」
フランは唇から血が出るほど噛んだ。咲夜、陽奈、そして、魔理沙。誰の役にも立たなかった。それがフランにはとても悔しかった。悲しかった。それを踏みにじるように右近と左近はフランを追い詰める。ジリジリとにじり寄る。フランはゆっくりゆっくりと後退していき、フランは大きな岩に背をつけた。ルナサを呼んでもすぐには来ない。
左近「さぁ、わかったんなら諦め「…嫌だ」ん?」
フラン「嫌だッ!!咲夜も陽奈ちゃんも魔理沙も居ない幻想郷なんて嫌だァッ!!」
右近「…貴様…ッ!!折角の機会を不意にしよって…。」
左近「…だったら、アンタも地獄行きだな。残念ながら、ギャーギャー喚くガキの声を聞いてやるほど俺たち兄弟は優しかねえ。じゃあな、フランドール。」
左近が刀を振りかぶる。刃はちょうどフランの首を一直線でぶった斬ろうとそのまま振り下ろした。フランは必死の覚悟で右手で目を握った。その直後、左近は爆散し、フランは上空へと飛んだ。
右近「兄者ッ!!…貴様ァァッ!!」
フラン「ハァ…ハァ…。残念でした〜♪地獄行きは貴方たちの方なんだからッ!!」
右近「くっ…!!」
フランはべ〜と舌を出して、右近を挑発する。右近は相当頭に来ているのか、顔を赤くして怒っている。
左近「なぁにやってんのよぉ…。右近。」
フラン「…嘘…。」
右近「…油断しすぎだ。兄者。」
フランの足元。さっきほど肉塊にしたはずのものが蠢いていた。まるでその姿はスライムのようだった。血肉はそれぞれが意志を持つかのようにドロッ…ドロッ…と蠢き、それは形作った。
左近「ヒュー。やるねえ。嬢ちゃん。咄嗟に能力使ってなけりゃ、この世からおさらばしてたぜ。」
フラン「嘘でしょ…。だって!!ちゃんと壊して…!!」
左近「おいおい。無駄話してていいのか?アンタの友達、後10分くらいで消化しちまうぜ?俺の能力は『液状化させる』程度の能力。ちょっとでも体が残っていれば、周りの液体や物体を集めて回復できる。アンタみたいに相手を爆散させる相手は得意分野ってわけよ。」
首をゴキッゴキッと鳴らして、ニタニタとした笑みでフランを見る左近。フランはもう勝てないと感じていた。体の底から震えがした。陽奈にも咲夜にももう会えない。そう思ったら、まだ精神の幼い彼女からしたら恐怖と虚無感で頭の中がぐしゃぐしゃになった。気づけば彼女の目からは一筋の涙が出ていた。
左近「…じゃ、これで終いにするかな。」
フラン「キャーッ!!」
左近は天にいるフランに向け、右手を突き出した。その右手は網目状に広がり、フランの体をからめとり、地面に叩き落とした。
フラン「…う…うぅ…ッ…。」
上空からの一気な落下により、フランの体は悲鳴を上げていた。左近の手が元に戻ると、フランは逃げようとゆらりゆらりと立ち上がった。フランの体からは少し血が垂れていた。
左近「じゃあな。フランドール。」
フラン「…まだ…なんだから…ッ…。」
フランは倒れそうな体でなんとか立ち上がり、その手にレーヴァを持った。左近はニヤリと笑い、右近は煩わしそうに頭を掻いた。フランはレーヴァテインを力の限りをぶん回した。だが、右近の岩のように硬い皮膚がレーヴァの炎をいともたやすく受け止めた。
更に右近は足元のおぼつかないフランの頭を硬化させた拳で一撃殴りつけた。
フラン「ッ…!!」
フランの口からは大量の血が吐き出てきた。無情にもその様子を見て慈悲の一つも感じない右近はフランの体に2発3発と拳を入れた。
右近「まだ倒れぬかッ!!」
フラン「ハァ…ハァ…こ、こんなもの…?ぜ、全然…痛く…ない…!!」
右近「…嘘をつくでないわ。俺の拳は鋼をも砕く。どれほど強固な生物でももうそろそろ骨が砕けてもいい頃だ。」
右近の言葉は図星だった。フランの体は立つのもやっとの状態。更には視界もぼやけてきており、レーヴァを振り回す体力も残っていない。対して、右近は強固な肌を持っており、左近もその体は柔軟に動かせる特異体質。どう考えても今のフランでは勝つことは不可能であった。
左近「さぁて、残り8分ちょいってとこか。嬢ちゃんも俺の力の一部になってもらうぜ?」
左近の腕が軟体化し、フランに飛びかかってくる。もう終わりだ。フランは目を閉じた。そこに映るのは姉や家族、友達に一人の男の姿だった。小さな彼女にとって外に出てからのことは非常に珍しかった。そして、非常に楽しかった。だが、無情にも左近の腕はフランを取り込まんと飛びかかる。
左近「終わりだッ!!フランドール・スカーレットッ!!」
?「霊符『夢想封印』ッ!!」
?「終焉『破獄道楽』ッ!!」
フランは目を開ける。何処からか声が聞こえたからだ。そして、その風景に絶句した。先程まで苦戦していた、追い詰められていた筈の二人がいないのだ。
左近「くそッ!!なんで、アイツが居るんだッ!!」
右近「博麗の巫女ーッ!!」
左近と右近の見ている方向をフランも見た。そこには見慣れた紅白の巫女服の少女が空に浮いていた。そして、それ以外にも4人。一人は幻想郷の管理者、八雲紫。もう一人は…かつて氷川漣と戦った謎の男、ラグナログだった。
ラグナログ「で?俺はあの固そうな奴をぶっ殺せばいいのか?」
霊夢「ええ。後は私とこの子たちで相手するから。」
ラグナログ「…全く、ロリッ子閻魔様のせいで無駄な肉体労働を…。まぁ、暴れられるなら良いかッ!!」
ラグナログが上空から勢いよく滑空し、地面と並行に飛行し、右近に剣を振るった。刃と硬化された腕とで火花が散る。
ラグナログ「くくっ。おっもしれぇなぁ?もうちょっと前に会っていたら俺たちの軍に入れていたぜ。」
右近「資料で見たときよりも雰囲気が違うようだが?」
ラグナログ「お喋りは…嫌いだねッ!!」
ラグナログは右近の腹を上空へと蹴り飛ばした。
左近「おいおい。マジかよ。あの右近に近接攻撃が通じてるよ。」
紫「貴方の相手はこちらですッ!!」
左近は右近とラグナログの戦いに驚いているようだ。その隙に霊夢はフランにゆっくりと近づいた。フランの目からは安堵からなのだろう、大粒の涙が落ちてきていた。フランは霊夢に抱きつき、子どものように大泣きしていた。霊夢は優しくフランを抱擁し、フランの頭を優しく撫でた。ラグナログはその様子を見て、
ラグナログ「おいおい。そんな暇ねえだろうよ。」
と、苦笑いをしていた。
右近「余所見は厳禁ッ!!」
右近の拳をラグナログが受け止める。
右近「なっ!?嘘だッ!!鋼をも砕く拳だぞッ!!」
ラグナログ「へぇ。良い拳だ。でもなぁ…。」
右近「ッ!?」
ラグナログが右近の右頬に拳をたたき込んだ。その壮絶なる威力に右近は思いっきり、地面に叩き落とされた。
ラグナログ「攻撃…ってのは、こういうのを言うんだぜ?」
霊夢「あそこに陽奈と咲夜が居るのね?」
フラン「うん…ッ!!」
霊夢「わかった。行ってくるわ。行くわよ?二人とも。」
霊夢の声に後ろにいた二人の少女が頷いた。そして、霊夢たちは飛び立ち、悠々とラグナログと右近の戦いを見ていた左近の元へと行った。紫の宣戦布告は聞いていたのだろうが、無視していたのだろう。そして、こちらに気づいた途端、ニヤリと笑い、振り向いた。
左近「やぁ、博麗の巫女。そこの二人の少女は誰かな?」
霊夢「…アンタを倒す少女たちよ。」
霊夢は左近を睨みつける。左近は霊夢の表情に少し冷や汗をかきながらも、笑みを保った。
左近「…倒す?嘘をついてはダメだね。寺子屋に行ってそうな奴らがこの俺を倒せるわけが…。」
自慢げに話す左近に霊夢の後ろにいた少女のうち、一人が蹴りを入れた。その少女は見た目こそ霊夢に似ているが、髪が霊夢と違って長いのかポニーテールにしており、霊夢と同じ巫女服を着ているが、背丈は霊夢よりも小さかった。
?「ふんっ!!体で判断するからこうなるのよッ!!」
霊夢「ちょっと霊華…。」
その少女、霊華の行動に霊夢はジト目で睨んでいた。
霊華「良いじゃん良いじゃんッ!!それに挑発してきたのはこのおっさんだしッ!!」
?「お、お姉ちゃん…。初対面の人に…おっさん呼びはダメだよ…。」
先が思いやられると霊夢が肩を落としていると、蹴り飛ばされた方向の瓦礫が崩れ、左近が姿を現した。既に左近には笑みは消えており、3人を睨みつけていた。
左近「いきなりとは…ッ。生きの良い嬢ちゃんだ。」
霊華「べぇ〜だッ!!おっさんなんか!!私が一瞬で片付けてやるッ!!」
霊華は自分よりもデカい相手にビシッと人差し指を指して挑発した。
左近「…良いだろう。博麗の巫女の前に君を食ってやる。」
先程の戦いで現世刀を壊された左近は格闘に転じる。左近が霊華を殴ろうとするが、霊華はヒョイッと左近の攻撃を避け、左近の頭にかかと落としをした。
左近「ガッ…!!」
霊華「へっへぇ!!遅い遅いッ!!ほら、雷夢!!アンタもおいで!!」
霊華は霊夢の後ろに隠れる少女を戦いに呼んだ。雷夢と呼ばれた少女は、まさに霊夢と瓜二つだが、霊華と同じで毛先が赤く、身長が低いが、紅白の巫女服に身を包んでいた。霊華よりも成長は豊かなようだ。だが、霊華よりも交戦的ではないようで、先ほどから霊夢の影に隠れていた。
霊夢「…行っておいで。大丈夫よ。何かあったらお母さんとお姉ちゃんが守ってくれるから。」
雷夢「…うぅ…ほんと?」
雷夢はうるうるとした目で霊夢に聞いた。霊夢は笑顔で頷き、雷夢の手を取って左近の元へと連れて行った。
左近「…いいのか?俺ァ、ちっせえ子に手加減できるほど甘くはねえぞ?」
霊華「へっ!!勝手に言ってろ、おっさんッ!!私ら、次世代の巫女コンビが倒してやるからねッ!!」
雷夢「お、お手柔らかに…お、お願いします…。」
その言葉を皮切りに左近の顔に二人の拳が当たったのだった。
気づいたら6000文字に達しそうになってた…。
では次回っ!!
こっから幻想郷軍が巻き返します。ではでは〜。