レン「圧倒的な鬼の力、見せてやるよッ!!」
そう言うとレンは地面を蹴り、漣の顔面に拳を放った。
漣はまともに食らうが、吹き飛ばされることもなく、カウンターとして右拳をレンの顔に向かって放った。
レンは顔面に行く漣の拳を左手で受け止めた。
レン「おいおいッ!!こんなもんかッ!!幻想神ッ!!」
レンは後方に跳び、紫電一閃を鞘から抜き、構え、再び此方へ飛んでくる。
刃は漣の顔を斬ろうと近づくが、そこは漣。紫電一閃の刃を宵ノ明星の居合い斬りで弾き、持ち替えて、斬りかかる。
レンは紫電一閃でその攻撃をガードし、刃同士から火花が散った。
漣「お前の言い分はわかった。だがッ!!ルナサはお前には渡さないッ!!」
レン「いいやッ!!もらうッ!!そういう契約だからなッ!!もう気づいてんだろ?お前の技は俺にも出来るってことをよッ!!どうせ、この機会に新技しこたまこしらえてきたんだろうが、無駄だったようだなッ!!」
漣「それは…ッ!!どうかなッ…!!銀玉『ピンボール·ダンス』ッ!!」
斬り合いに次ぐ斬り合いに埒があかないと思った漣は後ろに跳び、弾幕を1発撃ち込んだ。
撃たれた弾幕は縦横無尽に駆け回り、レンを追い詰めていく。本来ならば、自身もその弾幕の行方はわからないのだが、漣の能力はその行方すらも知らせていく。
レンはそれを煩わしく思いながらも的確に避けながら、漣へと向かっていく。
漣はレンの拳を掴み、後ろへと投げる。
レンは咄嗟の判断で手を使って回転をかけ、追尾してくる銀の弾幕を紫電一閃で斬り裂いた。その弾幕は後ろで爆発した。
戦いは激化する。レンと漣はそれが嬉しくてニヤリと笑った。
漣が地面を蹴り、レンの顔を殴りかかる。
レンはそれを避け、漣の右頬に右拳をカウンターと言わんばかりに思いっきりぶん殴る。
漣「ぐっ…!!」
レン「ダァッ!!」
レンの攻撃をモロに受け、少しふらつく漣。その隙を逃さず、レンは回し蹴りを漣の左頬に当てていく。
レン「…なに?」
漣「…へっ。」
その蹴りを漣は左手で弾き飛ばすと、驚いているレンの頭に頭突きをかました。
レン「ガッ…!!」
その一撃で形成逆転。レンは血が滲む額を抑え、漣を睨んだ。
漣「埒があかねえな…。肉弾戦ばかりじゃ飽きるだろっ!!痛毒『ディスバランサーNo.13』!!」
展開される12個の大弾幕、そして、空中へ飛んだ漣の極太レーザーが地面を抉り取る。その極光がレンを丸ごと飲み込み、大爆発を起こした。
漣「おっと…!!」
大爆発の影響でふらつき、地面へと落下し、尻餅をつく漣。レンの姿は見当たらない。爆風と砂埃で辺りが見えないからだ。終わったとは思っていない。漣はレンのいた辺りをずっと睨んでいた。
レン「ぐっ…!!流石だよ…ッ!!」
漣「…やっぱ、簡単にはやられてくれねえか。」
…立っていた。黒煙が、砂埃が晴れ、レンはそこに立っていた。大地が削れるほどのレーザーを浴びて、立ち上がっていた。
レン「…服がボロボロになっちまったじゃねえか。酷いねえ。自分相手にそんなことするか?」
漣「…自分相手だからこそだよ。…何がお前をそこまで突き動かす。何故、お前は俺に牙を剥く。ルナサが守れなかったからか?」
レン「…ふっ。それもあるかもしれないな。…最期まで…いや、最期くらい一緒に居たかったじゃないか。なのに…俺は先に逝かせちまった…ッ!!心底腹が立つ…!!俺は…俺が嫌いだッ!!」
漣「なっ!?」
漣の腹にレンの拳が入った。その一瞬、レンの攻撃は漣の未来視すらも超え、漣へと攻撃をくらわした。その一撃は重く、漣は腹を抑えて悶絶していた。
レン「何が幻想神だッ!!…俺は鬼で良かったんだ…ッ!!大切なものを守れないのにッ…神なんて…ッ!!」
漣「…ぐっ…鬼で良かった…だと…ッ!?…く、くだらない…ッ!!」
レン「なんだとッ!?」
漣「…へへ…ッ。そんなに…崩れちまうなら…俺は神で良いッ!!」
レンの姿は誰が見ても崩れていた。人から見ても鬼から見ても異形と言うだろう。白い体に血が滲み、鍛え抜かれた筋肉質な上半身にはいくつか黒いヒビが入っていた。先程のレーザーを喰らい、半裸になった姿で眉間や目尻にシワを寄せる激怒の表情はまさに鬼だった。
レン「…崩れただと…。俺は俺だッ!!崩壊などしていないッ!!」
漣「…ルナサが死んだことはお悔やみ申し上げる。俺だってそうなったらどうなってしまうかわからない…。だが、他の奴に迷惑をかけるのはちげぇだろうよ…ッ!!」
レン「…ッ…!!うるせぇんだよッ!!ただただ甘い蜜啜ってるテメェが俺の苦しみがわかんのかよッ!!絶望しろォォ…ッ!!テメェも…大事なもんを亡くしたら…わかるだろうよッ!!」
歯をむき出しにし、筋肉質な腕で漣の頭を掴みあげるレン。完全に怒っている。瞳孔も開き、顔や目に血管が浮き出ている。その姿は紛れもない鬼である。
漣「ガァァァッ!!」
レン「ハッハッハッ!!このまま、テメェの頭を握り潰してやるよッ!!」
ミシミシと骨の軋む音がする。漣はその圧倒的な握力からなんとか逃れようともがく。レンの体を漣は蹴ろうとするが、少しでも動こうとすれば、握る力を強められ、苦痛により体を動かすことができない。
レン「この程度かッ!!神は鬼には勝てないッ!!もう長ったらしい戦いは終わりにしようぜッ!!」
漣「グッ…!!」
レン「さぁ!!その頭を握り潰して、終わりだよッ!!テメェの人生もこの俺が貰ってやるよッ!!」
漣「…。」
漣はもがくことをやめた。レンはその様子を不思議に思いながらも諦めたと解釈し、高らかに笑った。
漣「…手紙が届いたんだ。」
レン「…なに?」
漣「…双子だってさ。ホント…可愛いんだろうな。」
レン「…ッ!?」
レンは気づいた。もう諦めているような声を出していたが、漣の手の中には握られていたのだ。
レン「貴様ッ!!自分ごとッ!!」
漣「…俺はまだ死ねないんだよ。俺は我が子の頭を撫でなきゃなんないからなッ!!」
…握られた光弾は2人を包み込む大爆発を起こした。
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漣「グッ…!!」
大爆発の末、奴の腕という支えを無くした俺の体は地面を転がる。流石に自爆はやりすぎたかな。
漣「…やれやれ。これで終わってくれれば、良かったんだがな。」
…奴はかなりタフだ。魔理沙のマスパには劣るがそれくらいの威力の爆発にも関わらず、体に傷を作るだけでピンピンしている。とはいえ、此方も賭けだった。下手をすれば、火力調整をミスって2人ともお陀仏だったからな。
レン「…ハァ…ハァ…。血迷ったかッ!!自爆なんて!!」
漣「…おかげでこうしてお前の拘束から逃れられた。」
確かに普段なら自滅行為なんて絶対にしない。俺が自身を犠牲にするのはいつだって後ろに誰かがいる時だ。守りたいという意思表示…とでも考えてくれれば良い。何もしないで死ぬのなら…せめて、相手の腕くらいはもぎ取っておきたい…というのが、俺のスタンスだからな。
漣「…『煉獄の奇術師』か。奇術なんてそんな洒落てるもんじゃあないさ。」
レン「ア?…何を…。」
俺の周りから陽炎が出ている。あったまってきたみたいだ。この感じは…。あっちの俺もその様子に気づいたようで、構えを取り始めた。初めの頃の冷静さはもうない。服が破れた上裸の鬼。角こそないが、まさに鬼だった。
漣「…幼い頃、とある男が俺に言ったんだ。『炎は変幻自在。自身を守る盾にもなれば、自身を滅ぼす剣にもなる。だからこそ、炎の真意を知らなければならない。その炎は何のためにお前に力を貸すのか、考えなければならない。』ってな。その男は小さい頃に姿をくらまし、その代わり、俺には師匠が剣技を教えてくれるようになったんだが…。まぁ、そんなことは関係ないわな。」
レン「貴様…ッ!!一体、何をする気だッ!!」
俺は奴にニヤリと笑ってやった。2人ともボロボロだ。ったく、気に入ってたコートもまた作り直しじゃないか。俺は空へと浮遊する。
漣「…さぁ、力を貸してくれよッ!!迦具土ッ!!」
俺の声に応えるかのように地面や大気を揺らがす咆哮が何処からか聞こえてきた。そして、竜のような、蛇のような何かが空から飛来し、俺を包み込んだ。
レン「なんだ!!コイツは…ッ!!」
…久しぶりだな。この感じ。何故か、あの時以来、俺はこの力が使えなくなっていた。あの時と似たような感覚…熱気を感じたから呼んでみたらビンゴだった。俺の視界は一気に炎の壁に遮られる。そして、俺は炎を払った。
漣「…。」
俺は胸一杯に息を吸い、ゆっくりと息を吐いた。落ち着いているというか、多分、この姿の時には何の感情もないような気がする。ただ、それを考えるのは虚しいだけかもしれない。
レン「…髪がほのかに赤くなっただけじゃないか。おどかせやがって…。」
漣「…本当にそう思うのなら、かかってこい。」
レン「ッ!!後悔するなよッ!!」
地面にゆっくりと降り立った俺の挑発に奴は乗り、地面を蹴って殴りかかってきた。
その重い拳を俺は軽々と右手で受け止めた。
レン「何ッ!!」
漣「…。」
俺は奴を後ろに投げた。
投げ飛ばされたことにも気づかない奴は受け身も取らず、そのまま地面と衝突した。
迦具土「漣ッ!!」
…みんなが各自の戦いを終え、俺の元へ来たようだ。正邪の呼んできた味方の人たちにはそれぞれの場所の守りを任せている。そちらは問題ないだろう。守矢の二柱もいることだしな。
レン「ガッ…。く、クソッタレッ!!」
…殴るだけしか能のない奴だ。背後からなら俺に攻撃が当たると思ったらしい。俺は奴の右拳に合わせ、左手で受け止めた。
レン「…ッ!?」
漣「…。」
奴は俺から後ろに飛んで距離をとった。俺はゆっくりと奴の方を見る。奴の顔からは完全な焦りを感じた。
奴が紫電一閃を取り、俺に向かって切りかかってくる。
俺はその刃を居合で弾いた。奴は紫電一閃を離したのか、紫電一閃は宙を舞い、地面へと突き刺さった。
漣「終わりだ。」
レン「グッ…!!」
奴は性懲りもなく、俺に向かってインファイトを仕掛けてくる。だが、俺はいつもと変わらず、奴の拳が出る前に拳で、奴の足が出る前に蹴りで相殺する。…もう奴に勝ち筋はない。
迦具土「…二段階目。ようやくここまできたか。」
霊夢「…ねぇ。どういうこと?」
迦具土「…イーグルの時は奴の炎は25%ほど。炎の強化とパワー向上だけだった。それがだんだん神の炎に近しいものになった。それが今回の状態、炎の守りが奴の体に敵の動きを抑え、奴の動きのキレが増している。」
霊夢「…つまり?」
迦具土「…いつもよりカウンターの威力も速さも増しているということだ。」
…なるほどね。だから、奴の攻撃に手応えがないのか。
レン「グッ…グハッ…!!」
漣「…終わらせる。」
俺は奴を蹴り飛ばし、奴から距離を取ると空へと浮遊。そして、左掌を上へと掲げた。その左手には俺の迦具土の炎を出来るだけ、集める。
レン「グッ…!!クソッタレェェェッ!!俺は生きるぞッ!!こんなところで負けてたまるかァァァッ!!」
漣「…お前も俺だ。一思いに殺してやる。獄炎『時空断絶炎』」
左掌を奴へと向け、溜めた炎のエネルギーを思いっきり照射する。極太の炎のレーザーを奴は受け止めようとするが、無駄だろう。このエネルギーはその圧力だけで周りの時空にヒビを作る程度の力。それを直にくらって受け止めようなど、馬鹿な話だ。
レン「グッ…!!くそッ…!!クソッタレェェェッ…!!」
…そして奴は、けたたましい轟音ととてつもない質量のレーザーの中、姿形すらも分からないほど散り散りになり、この世界から消えていった。
漣「…ふぅ…。」
俺は勝ちを確信し、赤い龍へ別れの言葉を述べた。龍はその紺碧の瞳で俺を見定めると天へと飛び帰っていった。
漣「…ルナサはいないのか。」
…ちょっと残念だな。まぁ、ほぼ半裸の陽奈がいるから、お父さんのかっこいいところは見せられたか。俺はみんなに手を振り、みんなの元へと歩いていった。
…それはとても軽率な行動だったことをすぐに知ることになる。そう、事件はまだ終わっていないということを。
叫び声とか喘ぎ声とか泣き声とかのレパートリーが少ないんだよね。いろんな作品を読んではいるけども…。
では次回。
ではでは〜。