終「…あれか。」
空からパッと見ただけで結構な数はいる。虫みたいに群がりやがる。全く、気色悪い。玄霧逢魔の姿やらなんやらは…見えないな。頭を取れば、話は終わるが、そいつも用心深いようで…。
終「…ん?」
シリウス兵「誰だッ!!」
…気づかれたか。まぁ良い。そんな強そうなやつはいなさそうだし、武器だけ取り上げれば良いだろう。それに俺の能力はアレだから、死人を出さないようにするのは…難しいからな。
シリウス兵「お前は…リストには無かった顔だな。何者だ!!」
終「…なるほど?隊長なしの寄せ集め…ってとこか。確かに、ここは人里の中心部から外れているから、雑魚どもでも良いってわけだ。」
シリウス兵「ア?テメェ、この状況が分かってんのか?一人でこの人数を捌けるわけがないだろう?」
…俺は確かな一人だ。対して、相手は見たところ百は超えている。だが、それがなんだと言うんだ。たかだか、何百倍かの違いだろ。
俺は鼻で笑った。それが逆鱗に触れたのか、先ほどまで話していた黒服の男は俺に銃口を向けた。…本当にバカな奴らだ。
シリウス兵「死ね。」
俺はニヤリと笑った。…死ぬのはお前らの方だと。
—————壊肉怨技『
…破裂した。梅干しの如く、赤い肉塊はぐちゃぐちゃと音を立て、俺の周りを意志を持つが如く、浮遊している。
シリウス兵2「なっ!?」
その姿を見て、吐く者や言葉を失う者がほとんどだった。…肉梅は俺の技、壊肉怨技の一つである。俺に殺意を持つ一定範囲の者を人の形を失わせ、肉塊として操る。
シリウス兵3「それは…人なのか!?」
終「なぁに、見てやがったんだ。さっきの奴が粗挽きになった姿だ。あと何人…死ぬ?」
シリウス兵2「うわぁぁぁッ!!」
シリウス兵4「ば…化け物ッ!!」
…バンバンうるせえな。乱発しすぎだ。
俺は空中を浮遊する肉塊を操り、相手の放つ鉄の弾丸を全て包み込み、受け止める。…軟体な肉はとても成形しやすく、簡単には破けない。鉄なんて目じゃない。
終「…壊肉怨技『蜘蛛乃爪』」
音を立て、形成される肉塊。俺からまるで生えているように先がとんがった八足のまるで蜘蛛のような足になった。それを飛ばし、殴打するのがこの技である。伸縮自在の肉の足。蜘蛛のような…蟹のような…。流れる死臭、腐卵臭にはもはや慣れた。
終「…さて、予備はたくさんあるな。」
俺の操る肉塊に触れた者は同じく肉塊となる。およそ、人のものではない音が辺りからする。俺の攻撃をくらった者は最早、人ではない。ただの肉なのだ。ぐちゃぐちゃと音を立て、ウニュウニュと蠢く様はおよそこの世のものじゃない。だから、醜いのである。
…ハズレの方にはあの氷川漣がいるのか。
終「…頑張れよ。第三世代。」
…まだ、奴には程遠い。
月夜見「…ッ!?」
この気配。まさか、奴がこの永遠亭に…。
フューリー「殺しに来たのかい?…死屍累々の残党ども。」
月夜見「わからない。」
…この扉の先に奴らがいる。ただ、数は少ない。4人ほどの生体反応しか感じない。感覚を研ぎ澄まし、引き戸を開ける。…やっぱりだ。玄霧逢魔の姿が…ない。
左近「おや?月夜見じゃないか。それに幹部様。飛んだ偶然だねぇ?」
右近「…兄者。生きてたら帰れとのご命令。見逃すわけにはいかない。」
鏡一郎「…生首を差し出すってのも手だぜ?なぁ?月夜見様よ。」
…見慣れた顔だった。見慣れてはいるが、多少の記憶との違いはある。全体的に異国の黒い…革製の羽織を着ている。全員が揃いも揃ってだ。仲が良いとは言えないだろう。かつての彼らならば、寄せ集めもいいとこだ。
月夜見「…死屍累々。何をしに来た。」
ライトシープ「…無論、復讐です。貴方方、特に貴方達3人には借りがありますからね…。」
…殺気。しかし、確かにライトシープはあの時、死んだとシャドが言っていた。話に聞く、豪腕裂破はそれほどまでに浅かったのか…。いや、耳にした様子だと、骨すらも残らなかったそうだ。…なら、何故、生きている?
鏡一郎「ナァ?…今、何故、俺たちが生きてるのか、不思議に思ってるナァ?クックックッ…。」
ライトシープ「我が教祖、グリードの能力は絶対です。」
右近「…我々は何度でも蘇る。グリード様、強いては玄霧様が居る限り、我々は何度でも…。」
月夜見「なっ!?」
…だから、全員が勝ち誇った笑みをしているのか。何度でも蘇る…だと…。そんな能力者が相手方にいるのか…!!
鏡一郎「…これでお前に復讐できる…!!」
月夜見「チッ!!」
奴特有の鎌『デュベル』が振り下ろされる。
俺はその瞬間、刃を刀で弾き、後ろへと飛び立った。
…くそッ!!場所が狭すぎる…ッ!!すぐ背後には永遠亭の玄関扉があるッ!!中の奴らの心配までせねばならんのかッ!!
ライトシープ「変身『タイプ
鏡一郎「死ね死ね死ねッ!!ギャハハハッ!!俺たちにはどうでも良いんだよ…!!何人死のうが、何処が壊れようがァッ!!」
…何回もポンポンと姿を変える…!!
巨鳥、巨大猫の次は…蛇!!
先ほどから乱雑に鎌を振るう鏡一郎。左近と右近は見ているだけだが、大蛇も俺に飛びかかってくる。
俺はそれを刀で弾き、横に飛び、なんとか永遠亭に飛び火しないようにする。
フューリーも先ほどから右近と左近と睨み合いをしている。だが、そんなことはどうでも良い。
月夜見「ッ!!」
顔スレスレをデュベルの刃が通り過ぎた。
鏡一郎「こりゃ、簡単にやれそうだなぁ…?」
ライトシープ「シャアァァァァ!!」
月夜見「…チッ!!」
考える時間はない。
鎌の刃と人など容易く丸呑み出来そうな蛇の牙。これを避けねば、俺に明日はない。
月夜見「月夜見家秘伝『稲妻斬り』!!」
ライトシープ「シャアァァァァ!!」
蛇が飛びかかってくるこの瞬間、俺は刀を握り、足を踏ん張る。
蛇の牙が俺の頭を噛み砕こうと迫ってくる。
月夜見「今だッ!!」
律儀に一人ずつ攻撃してきよって…!!
俺は蛇の口から尻尾まで横一線に切り裂く。
まさに一刀両断である。
ライトシープ「ギャアァァァァッ!!」
鏡一郎「…チッ。うるせえ…!!でも、俺が月夜見と決着つけるに邪魔者はいなくなった。…あのグラートとか言う奴に能力加速剤をもらってから、体が軽いんだ!!ギャハハハッ!!」
月夜見「…。」
眼の外は赤く、瞳は黒い。もはや、人ではないのか…。
鏡一郎「今なら…!!お前だって倒せるゥッ!!ギャハハハ、ギャハハハハハッ!!」
不規則に刻まれる鎌の刃を全て刀の刃で受け止める。力が乗っているのか、刀と鎌が当たった瞬間、火花が散る。
…まさか、力で負けているとでも言うのか…!!
踏み込んでいる足元から砂埃が立つ。確実に押されている…!!
鏡一郎「死ね、死ね、死ねェェェェェッ!!」
月夜見「月夜見家秘伝『雪花吹雪斬』!!」
鎌の動きに合わせて、刀を振るう。
またもや、火花が散る。その瞬間、デュベルの刃は凍りつき、虚しく砕け散った。
鏡一郎「なっ!?」
鏡一郎は驚いたのか、尻餅をつき、ワナワナと震えていた。
俺はその首に合わせて、剣先を向けた。
月夜見「…死ね、カスども。」
そんなにグロくなかったね。
では次回。ではでは。