そろそろ短刀(詳しく知りたい方はコラボ編参照)の伏線を回収したい。
…一夜明け、永遠亭のシャド達をここに迎え、全員が揃った。シャド達が敵方の幹部を二人も連れて来たのには驚いたが、シャドや魔理沙、月夜見までもが、黙認しているということは敵対の意思はないのだろう。
シャド「…左近達の言っていたことが本当だとするとアイツらはただの一つの小隊にすぎないということね。」
月夜見「…上に何者かが動いている。そして、それはあの時のあの洋装をしている男。奴が束ねているということか。」
…あの時の奴の動き。体を保ちつつ、嘴の攻撃を液化し、避けていた。あの化け物の攻撃をほぼ無傷で耐えていたこともあり、相当な実力者と言えるだろう。…勿論、これは嘴の能力を制御した状態でのことだが…。
シャド「…ねー?アンタら、そのプレジデントグラートのこと、何か知らないの?」
シャドはラストなる青髪の少年に聞く。この少年、目が濃い青色一色でキョトンとした顔をしており、何を考えているかわからない。ただ、偉くシャドに懐いているようで、先ほどからシャドの横から動こうとしない。
ラスト「…プレジデントグラートは強いよ。絆とか逢魔とかの比にならない。…彼は…全ての認識や世界の摂理から外れている存在…。」
?「ぺちゃくちゃうるせぇなぁ?ラスト…。」
一同「!?」
…なんだ…!!この男は…!!
銀色で逆立った髪に、此方を威嚇するようなつり目の男…。来る気配など…全くなかった。感じなかった…。いつの間に…!!
?「…ンだよ…。フューリーの野郎は居ねえのか…。面倒だから、一気に相手取りたかったんだがなぁ…。」
月夜見「…何者だッ!!」
?「…ア?…機動隊『シリウス』第5番隊隊長レジネス。」
低く…何処か威圧感のある声。殺意を隠す気は無いようで、手を服のポケットに入れ、こちらを睨む。
シャド「…その隊長さんが何の用なのよ!!」
レジネス「…何の用…?クックックッ…!!もうわかってんだろ…?俺の用はここに全て揃っているッ!!」
レジネスが右手をポケットから出し、掌を広げ、俺たちの方へと伸ばす。…矢張り、そうか…。ここで全員を始末する…!!
漣「ッ!!全員、ここから離れさせろッ!!」
レジネス「…関係ねえ奴らを助ける気かい?…良いねぇ…。慈悲深い…。でもなぁ…?俺に速さで勝負する時点で負け確定なんだよ…ッ!!」
レジネスの掌からバチバチと音を立て、電撃が掌に集約される。相当な威力なのか、室内を荒れ狂う暴風が襲い、室内の家具が風に煽られ、めちゃくちゃになっている。
漣「早くしろッ!!」
レジネス「さぁ…!!これで俺の仕事は終わる!!」
レジネスがニヤリと笑う。俺たちは急いで出口まで走り、雪崩れ込むように人里の人たちを守りつつ、逃げようとする。第六感が告げているのだ。あの男はこれまでとは比にならないほどヤバイと…ッ!!
レジネス「『神鳴り』」
バリバリガッシャーンッ!!
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エレーナ「…完了したようですわ。偉く呆気なかったですわね。」
船内まで聞こえるほどの轟音。人里から漏れ出す目が痛くなるほどの閃光。そして、波紋状に広がる暴風、衝撃…。
…レジネスの攻撃である。
エレーナ「…相変わらず、無茶しますわね…。あの馬鹿男…。」
グラート「ハッハッハッ…。そう言うな。彼奴のような力を持った斬り込み隊長がいるだけで、全くと言って良いほど状況が変わる…。」
エレーナ「…貴方はあの馬鹿を過大評価しすぎでは?」
グラート「ふむ。君のお眼鏡には敵わないかな?エレーナ。」
エレーナ「勿論です。」
以前として窓から見えるのは荒れ果てた人里。民家だった瓦礫ばかりだったが、グラートの予測通り、人里の人間どもは隠れ家を用意していた。いや、正しくは博麗の巫女が、だが。
巫女の結界で認識をずらし、防護壁のような役割として、残った民家を隠す。グラートの予測通りだった。
エレーナ「しかし、流石です。我々に相反する哀れな愚か者どもが合流することも読めていたとは…。」
グラート「…なぁに。追い詰められたネズミがなにをするか。我輩でなくてもわかること。奴らが無能だった…だけ。」
エレーナ「…しかし、ここで終わるとは思えません。」
グラート「…無論。二手三手、考えてある。我輩が出ることすらもな。」
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レジネス「至近距離の神鳴りをほぼ無傷で受け切るとはな。…流石…幻想神…。」
家は完全に倒壊した。奴の放った電撃で…だ。
倒壊した瓦礫の山にすらりと立つレジネス…という男。霊夢の結界と俺の鬼神結界を用いても完全に威力は消しきれなかった。というか、守護する立場の結界が完全に押されてしまい、全く守り切れていなかった。
レジネス「…あの落雷を全員無傷で受け切るとはナァ…?はぁ…。ほんっと、めんどくせえ…。あれで全員、コロっと逝っちまってたら、次手を用意する必要…なかったんだがなぁ…?」
月夜見「…溜めありであの火力か。見た目だけだな、派手なのは…。」
シャド「…アンタ、一人で来たのは良いけど…。この人数、捌き切れんの?」
…尤もだ。
奴は一人で潜入してきた。それに比べ、此方は10人強…。数の利では此方が上だ。
月夜見が刀を抜刀し、俺も抜刀の態勢に入る。それぞれが臨戦態勢を取る中、レジネスは武器一つ見せず、ただ気怠げな表情でこちらを見ているだけだった。
レジネス「…血気盛んなこって…。武器なんか幾らでも作れるさ。俺は逆に一人の方がやりやすいんで、気にすんな。」
霊華「ぺちゃくちゃ喋ってる暇、ないでしょうがッ!!」
漣「待てッ!!霊華ッ!!」
霊華が衝動に駆られたのか、レジネスに向かって飛びかかって行く。
霊華の得意分野は格闘術。近づかなければ、無意味だ。…だがっ!!実力差がありすぎる…ッ!!
霊華「ハァァァッ!!」
霊華の飛び蹴り。
それをレジネスはゆらりと躱す。
霊華はラッシュに切り替える。
レジネスはそれを全て、躱していく。
雷夢「お姉ちゃん…!!行って…。弾幕さん達ッ!!」
レジネス「…弾幕か。」
姉、霊華の猛攻に鼓舞されたのか、雷夢が得意分野の弾幕を張り、レジネスに向かって放っていく。
が、密度の濃い、かつ早い弾幕すらもまるでひ弱な拳を避けるが如く、ひらりひらりと交わしていく。表情も一切変わっていない。
月夜見「氷川漣ッ!!早く娘を奴から引き離せッ!!俺が時間を稼ぐッ!!」
漣「ああなちまったら無理だッ!!俺たちも援護する形を取るッ!!」
月夜見「どうなっても知らんぞッ!!」
月夜見が刀を振りかぶり、地面を蹴って間合いを詰める。
剣先がレジネスに今にも届きそうになるが、レジネスはひらりと躱し、涼しげな顔で月夜見を見やる。
漣「紅蓮『外れ迦楼羅』ッ!!」
当たらぬのならと俺はホーミングする菱形の弾幕を放つ。この外れ迦楼羅は対象が俺の死角に居ても一度、追従すればどこまでも追いかけ、追いかければ追いかけるほどにスピードの増す弾幕だ。
レジネス「…めんどくせえ。『雷帝の弾丸』」
レジネスはその弾幕に対し、右手を横一点に何かを払うような動作をする。と、俺の放った弾幕と全く同じ形状の弾幕が召喚され、とてつもないスピードで相殺する。…今の一撃…。稲妻のようなものが走っている…ということしかわからなかった。
レジネス「…さて、もう終わりかい?」
霊華「ンなわけ…!!」
月夜見「あるものかッ!!」
霊華がレジネスの顎を蹴り抜こうとする。
レジネスはそれを避ける。
さらに二手目の月夜見の力の乗った一閃を軽々と躱し、霊華、月夜見の順になるように蹴り飛ばした。
霊華「キャァァァッ!!」
漣「ぐっ…!!」
今の蹴り、軽いのに力が乗っていた。飛ばされた霊華をなんとか転がり込むように受け止める。
霊華「あ、ありがとう…。父さん…。」
漣「…おかしい。」
霊華「…うん。あのおっさん、動きも型もあんなに地味で軽いのにパワーや速度はまるで別もんよ。私の蹴りが全く、擦りもしなかった。」
…浅いとはいえ、体術は元鬼の四天王、茨木華扇のお墨付き。6の少女にしては力も速度も鬼レベル…と。普通の人間や並の能力者ならあんな少しの動きで避けられるわけがない。まだ子どもとはいえ、霊夢と華扇の体術を継ぐもの。…得体の知れない。
月夜見「『桜華一閃・影小雪』ッ!!」
月夜見の剣技、桜華一閃の中でも細かく、幾つもの斬撃を飛ばす技、影小雪を使い、避けられぬほどの速さと質量で攻めていく。…だが、それだけでは…。
レジネス「『雷帝の大槍』」
レジネスは両手持ちの槍を突如として形作り、その剣撃を全ていなした。
月夜見「チッ…!!此奴…何処から…!!」
漣「…霊華。今の、見えたか?」
霊華「…あれ、確か、砂鉄…だよね。」
…あの一瞬で地面から砂鉄を磁力で集め、槍を形作った。芯は電気なのだろう。だが、周りは砂鉄だ。一体化してるようにさえ、見える。
レジネス「電磁、温度、電圧…etc。雷は人類の科学力に大きく関与してきた。これから先も…だ。お喋りが過ぎたかな…。」
月夜見「そんな長い柄物で、距離が捉えられるものかッ!!」
月夜見の剣とレジネスの長槍のかち合う金属音。火花。月夜見の攻撃に常に対応した攻撃を打ってきている。横一線なら横薙ぎの、縦一閃なら払い除け、突きに対しては躱してからの突きで…と言った具合にだ。
速い…。更に、力の乗っている攻撃。
まるで雷のような動きに見える。疾風迅雷…なんて言葉があるがまさにその通りだ。砂埃も少ししか立っていないことから、勢いつけず、常人離れした速度で動いている。…ということしかわかっていない。一回一回の攻撃のたびに一度、月夜見から離れ、勢いと速さをつけてから槍による攻撃をしている。それが早すぎて、動作が地味に見えていたのか…。
霊華「父さん。行くよ。」
漣「シャドと迦具土。それなら、ルナサ、魔理沙、霊夢ッ!!援護を頼む。陽奈と咲夜、ルーミアもだ。フラン、蛮奇、響奇、紫苑は先ず残った人里の人たちの避難誘導を頼むッ!!」
ルーミア「…全く、人使い荒いんだから。…一つ貸しかしら。」
ルーミアが闇を展開する。人食い妖怪にして常闇妖怪の彼女は闇の中でこそ真価を発揮する。ただ見えないのが、難点らしく俺の目を共有するという荒技を使っている。
漣「行くぞッ!!」
俺は地面を蹴り、なおも剣撃を仕掛け、押され気味の月夜見に加勢する。
単純に2倍に増えた剣撃とルーミアの闇の弾幕で押していく。だが、奴は攻撃をやめ、持ち前の速度で避けていく。
砂ぼこりが少し立ち、視界が悪くなる中、剣撃と弾幕による攻撃は過激化していく。
レジネス「…。」
月夜見「ハァッ!!ダァッ!!セイヤァッ!!」
漣「チッ…!!ちょこまかと…ッ!!」
まるで踊っているかのようだ。刃をステップで避け、弾幕を華麗な足運びで躱していく。見た目によらず、身軽なようで、突きも裂きも全てを飛んだり…。そもそもの攻撃がわかっているのか…いや、それならば俺のように反応する前に叩くはずだ。
レジネス「しゃらくせぇ…。『神鳴り・散』」
月夜見・漣「ッ!?」
先程の落雷よりも広範囲に高密度で雷が落ちる。閃光と轟音と体を襲う熱さ、衝撃を俺たちは感じる。生身で受ければ、即死級だ。落雷の衝撃に俺たちは奴から突き放される。
レジネス「おいおい…。まだ、テメェらは俺に一撃も与えられてないぞ?」
ルーミア「漣ッ!!」
レジネス「いい加減、弾幕もうざったくなってきやがった。『神鳴り・響』」
ルーミア「キャァァァッ!!」
…チッ…!!
レジネスは手を上から下に思いっきり下げるような動作をし、雷をルーミアに直接、落とした。俺は落ちてくるルーミアを受け止める為に走り、受け止めた。
漣「大丈夫か。ルーミア。」
ルーミア「ええ。…少しびっくりしただけ。高密度な闇で守ってたから、大丈夫よ。」
そりゃ良かった。まだ、行為にも至ってないのに傷モノにされちゃ、気の毒だ。俺はルーミアをゆっくりと下に下ろし、ルーミアが立ち上がるのを見てから、レジネスに睨みを聞かせる。…ここまでの戦いでも、レジネスの気怠げな顔は一切変わらない。
レジネス「…守るってのはなんて面倒なことなんだ。人を守るから全力出しきれていない。偽善ぶってるから、殺す気にならない。…全く、つくづく面倒だね。」
シャド「へっ!!偽善ぶってる?守るから全力出しきれてない?自分のメンツばっか、守ってるだけの人間が人の善悪を判断するんじゃないわよッ!!」
魔理沙「次は私らが行くぜッ!!恋符『マスタースパーク』ッ!!」
直線距離で加速し、やつを包み込むには十分すぎるほどの極光。地面を喰らいながら進むその極光を奴は避ける素振りも見せず、ただ見やるだけ。マスタースパークを受け止めるのは難しい。火力特化のレーザー砲だからだ。避ける、或いはそれ以上の火力で相殺する、又は結界や妖力で受け止めること。だが、奴からはその妖力も結界を張る力も感じられない。生身なのだ。
レジネス「…来い。」
魔理沙「いっけぇぇぇぇ!!」
魔理沙は叫ぶ。その叫びに共鳴するかのように極光は更に更に速度を上げていく。その極光をレジネスは…蹴り上げた。
戦闘は難しいんじゃ…。
では次回。ではでは〜。