…欲しくない?
…周りで戦い始めてきた。私も強い相手を探してウズウズしてきたわけだが、咲夜さんは冷静にこの現状を捉えていた。
陽奈「私たちの相手は…あの人、誰?」
私たちの目の前には二振りの刀を構える人物がいた。咲夜さんがボソリと「妖夢」と言った。だが、それは私たちの知る妖夢さんとは違った。少なくとも冗談でも私たちの知る妖夢さんは友達に剣は向けない。
ヨウム「…咲夜さん。」
咲夜「…。」
咲夜さんも睨んでいる。こっちの妖夢にはあっちの妖夢のようなほんわかな感じは出ておらず、殺気が滲み出ていた。
咲夜「貴女はまさか。」
ヨウム「…ええ。貴女方とは違う世界のものです。」
…へぇ。ご丁寧に言ってくれるんだ。前にこの平原っぽいとこで戦った時はへんな能力のせいで満足行くまで戦えなかったし。ヨウムさんなら、全力で戦っても大丈夫でしょ。
陽奈「…咲夜さん。あの人は敵なの?」
聞くまでもない。この殺気、相手してくれと言っているようなものだ。咲夜さんは少し動揺する。ヨウムさんはふっと、笑い、
ヨウム「ええ。そうですよ。私は敵です。」
ギラリとその瞳は光り輝いた。…ふふ。それは私にとっては朗報だ。
陽奈「じゃあ!!倒していいってことねッ!!」
その瞬間、私は地を蹴り、ヨウムさんの近くまで走っていく。その時、咲夜さんが何か言ったような気がしたが、今は目の前のヨウムさんに集中したい。それが、最大限の礼儀だからだ。
先ずはお手並み拝見。私は彼女の頭上に飛び、銃弾に寄せた光弾を銃口から射出する。
ヨウムさんは当然、頭上からの攻撃に備えて、身構える。私は死角である彼女の背から狙い、先程の光弾を打ち出した。
陽奈「おりゃおりゃ〜!!」
…光弾は彼女に見えていない。変幻自在の弾道は真っ直ぐ飛ぶものもあり、更には弾道が曲がり、彼女の予期せぬだろう場所から現れたりする。これで勝ったら、楽しくないなぁ…。
…まぁ、そんなわけないか。
ヨウムさんは二振りの刀で弾き消した。
陽奈「え?」
久しぶりにびっくりした。私の攻撃は人に見切れるほどあまくはしていない。…嗚呼、そんなのなんて…。
陽奈「…アハッ♪」
…ゾクゾクしてきた。
私の打った光弾は全て弾かれる。果たして、これが喜びと表さずなんと言うのか。自分が普通ではないのは知っている。だが、楽しいんだ。こちらに向き直ったヨウムさんに私は笑顔で言った。
陽奈「貴女、強いわねっ!!」
ヨウム「…貴女ほどでは。」
ありゃりゃ。本気じゃないの、バレちゃった。まぁいいや。私は銃口を向けて、相手を睨んだ。
…お姉ちゃん。
霊華「いくわよ!!吸血鬼さんっ!!」
れみりあ「来いッ!!若き巫女よッ!!」
お姉ちゃんとれみりあさんのぶつかり合いを私は見ていた。お姉ちゃんやお母さんは凄い。格闘なんて痛いだけなのに、お姉ちゃんやお母さんは好んでする。何が面白いのかわからない。でも、お姉ちゃんはカッコいい。だって、お姉ちゃんは吸血鬼の身体能力についていっているから。お母さんも言っていた。お姉ちゃんは、小さい頃のお母さんそっくりだって。
お姉ちゃんとれみりあさんが右手同士でぶつかり合う。お姉ちゃんもれみりあさんも笑っていた。
霊華「やっぱり吸血鬼の体は硬いわね…。」
れみりあ「ハッ、それは自慢か?骨まで響いたわよ。」
お姉ちゃんはゆっくりと後退して、距離を離す。かと、思えたが、地面を勢いよく蹴り、スピードに乗った状態で蹴りをかます。
れみりあさんはそれを上に飛んで避け、豪雨のような激しいラッシュをお姉ちゃんに繰り出す。
雷夢「お姉ちゃんっ!!」
私は声を思わずあげてしまった。お姉ちゃんは大丈夫と言う代わりに親指を立てて、私に合図した。
全ての攻撃をお姉ちゃんは結界を使って防いだ。そして、お姉ちゃんはその結界を蹴り飛ばして、れみりあさんに当てた。れみりあさんは少しそれに怯んだ。…やっぱり凄い。
れみりあ「小賢しいな。」
霊華「ありがとう。」
結界は散り散りに崩れていく。やっぱり2人は笑っていた。だけど、お父さんやお母さんみたいな優しい笑みじゃなくて、あれはお互いを認めたっていう笑みだってお父さんが言っていた。
雷夢「お姉ちゃん…。」
ふらん「どこ見てる、のよッ!!」
と、横から声が聞こえる。私は飛んできた弾幕をゆらりゆらりと避け、その弾幕の先を見やる。そこにはふらんちゃんが立っていた。
…私も戦わないとダメだよね。正直、戦いは嫌いだ。私からお姉ちゃんもお父さんもお母さんも取ってしまう。
…でも、弾幕ごっこは好き。お母さんが凄いって、お姉ちゃんが凄いって褒めてくれるから。頑張ったら、褒めてくれるよね?お姉ちゃん、お母さん。
私はふらんちゃんを見て、にっと微笑んだ。その周りには赤い赤い弾幕がふらんちゃんを囲んでいた…。
では次回!!ではでは〜!!