※この作品はR-18です。

半人半妖の恋愛奇譚   作:紳爾零士

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スペルリクエストありがとうございます。
僕は命名センスが無いので…非常に助かってます!!これからも募集は常時してますので、これどうぞ。とかあれば是非!!
では本編、どぞ。


第166話『雷撃と爆発と炎上と』

蹴り上げた…だと…。

レーザーは地上から九十度曲がり、天高く上がり、雲を突き抜け、青空で爆発する。…受け止めたわけでもなく、相殺したわけでもない。ただ、蹴り上げた…。

 

…上げた足を何事もなかったかのように元に戻し、此方を見るレジネス。その顔も何かあったかと此方に訴えかけているようだった。

 

レジネス「…あんなネズミ花火、受け止める気にもならねえ…。」

 

魔理沙「…埃一つつけられやしないか…。」

 

魔理沙は八卦路を下に向け、乾いたような笑い声を上げた。…俺や月夜見、強いては霊夢の血を引く博麗の巫女見習いもレジネスの攻撃や動作を見極めることができていないか、或いはまだ疑問を持つ程度だ。核心まで至っていない。更に言えば、奴の速度は天狗を軽く超えている。早すぎて残像が残って見えるほどだ。そこに居たのに、一瞬にして俺の背後に立っている。…荒地となった人里なのに、隠れ場所など無くなっているのに…。

 

シャド「だったら、動けないようにするだけよッ!!」

 

薄く白い冷気が土色の地面を急速に這い、レジネスの足を絡め取り、薄氷のような…だが、確実にレジネスの動きを停止させる為の氷を張る。

 

レジネス「…?」

 

シャド「凶悪『ブラックドーナツ』ッ!!」

 

レジネスの周りに巨大な輪っかのような弾幕の渦が出来上がり、その渦は時間をかけ、徐々に小さくなっていく。

 

シャド「逃げられないアンタには悪いけど、コイツは甘くないわ。」

 

レジネス「…甘くない洋菓子があるかよ…。特に拘束なんて俺にとっちゃ、なんのハンデにもならねえ。ただ、足が凍ってるだけだ。」

 

シャド「その『凍ってるだけ』がアンタの命を左右するのよ。私の氷を舐めないでくれるかしら?」

 

レジネス「いーや、凍ってるだけだね…。」

 

その言葉とともにレジネスの周りがバチバチと音を発し始めた。そこからは一瞬である。氷が完全に砕け散り、輪っか状の弾幕の渦をいくつかの落雷で破壊した。

 

シャド「ぐっ…。」

 

レジネス「氷ってのは…脆い…。脆すぎる…。扱いが難しいのを選んだものだ…。」

 

シャド「うるっさいわねっ!!アンタには関係ないでしょ!!」

 

レジネス「…関係あるさ。お前たちは俺に指一本触れられずに…死ぬ。」

 

…偉い自信だ。だが、自惚れは自分を破壊する。

 

俺と月夜見、霊夢は目配せをして、3人でレジネスに向かう。

 

霊夢と俺が霊力と妖力で強化した拳で前へと出る。

 

レジネスはそれをまたもや軽々と躱し、180はある槍で縦に切るように動かす。

 

俺たちはそれをお互い、横に避け、そこからが月夜見の出番だ。槍をもう一度構える少しの間を狙い、月夜見が刀を振るっていく。

 

横薙ぎの一閃をレジネスは動揺もせず、伏せて避ける。更に奴は、月夜見が刀を再びあげるその僅かな一瞬を狙い、銃のように形作った右手の指の先から、雷の弾丸を放った。

 

月夜見「ふんッ!!」

 

たった一つ、飛んできた弾丸を月夜見は剣による縦の斬撃で斬り伏せ、弾丸は月夜見の背後で小爆発を起こした。正に一刀両断と言ったところ。レジネスは次の一手を考え、その銃のように形作った右手の指先を頭上へとあげる。…だが、遅い。

 

レジネス「…何?」

 

漣「暴符『遊び暴れて珍道中』ッ!!」

 

突如として雷帝を包む無色透明な結界の檻。そして、その内側壁面を大小様々な無数の弾幕が跳ねるかのように動き出す。

 

レジネスはそれすらも目で見て避けているが、この地獄はまだ続く。レジネスは地上では埓があかないと、空中すらも滑るように移動する。弾幕の速度は加速し、奴の速度に匹敵するほどとなったが、奴はそれすらも凌駕するほどの速度で動き出す。

 

…そして、奴に一撃も当たること無く、結界の檻は時間制限を迎え、粉々に割れてしまった。

 

レジネス「…この程度、造作もないことだ。」

 

漣「…チッ。」

 

何をしても奴の速度に追いつけない。これは憶測であるが、奴は俺のように未来を視ているわけではなく、奴は一度見て、的確に動いているのだろう。視界に入れてから動いているのだ。並大抵の速さではもちろん不可能である。

 

レジネス「…これで終わりか。悪足掻きにもならない。『雷帝の砲弾』」

 

気怠げに言い放ち、右掌から人一人が飲み込まれるぐらいの大きさの弾幕を放った。

 

俺はそれを真っ二つに横薙ぎに切るとその勢いで奴の間合いに入り、奴にも横薙ぎの一閃を喰らわす。

 

レジネスはそれを長槍で弾く。

 

そこからはほぼ斬り合い、弾きあいとなった。

 

レジネス「もう諦めろッ!!何をしても俺の速度には勝てないッ!!悪足掻きにもなってないんだよッ!!」

 

漣「…チッ…!!」

 

埓があかないとはこのことだ。何処から切りかかっても奴の長い槍の前には何の意味もない。弾かれ、火花が散るのみ。華奢な腕でよくあんな長い槍を扱う…。それに一切息を切らしてない。ポーカーフェイスって奴だ。…くそッ。此方が消耗するだけか…。

 

俺は一度後ろに飛び、弾幕を何発か撃ち込んだ。

 

レジネス「…また弾幕か。芸がないな。」

 

レジネスはその何発何十発の弾幕を長槍で薙ぎ払った。弾幕はその槍により爆発し、黒煙と化した。

 

漣「芸がないなら、花を添えてやる。爆符『芸術は爆発』」

 

…避けるのならば避けられないほど大規模の攻撃を当てれば良い。安直だが、それしかない。

 

俺はその黒煙が止む前に火炎弾を投げる要領で放つ。

 

次の瞬間、轟音、爆風とともに爆炎が空へと上がり、レジネス諸共そこら一帯を燃やし尽くす。…いつもの付け焼き刃の爆発を改良した技だが、結構体力を使うのが弱点だ…。

 

膝をついて、息を整える。…慣れない技は使うもんじゃないな…。

 

ルナサ「漣さんッ!!大丈夫!?」

 

漣「…ああ…。」

 

…なんとか立ち上がる。情けない…。

あの斬り合いの後で尚更だ。酸欠ではないが、ただ単に疲労である。俺らしくない変な汗が出てきた…。それほどまでにあのレジネスという青年は…。

 

漣「…これで終わりか。」

 

レジネス「終わり?…冗談には聞こえないぞ。幻想神。」

 

漣「だよなぁ…。」

 

こういう時、敵方は絶対思い通りにならない。首の骨をボキボキと鳴らす。立ち上がり、やつを見定める。…だが、今までの奴のように余裕はないようだ。少し、顔が汚れているし、服は破けている。血が垂れているの見える。狙いは当たったようだ。

 

レジネス「…少し痛かったが、それまでだ。まだ死ぬに値しない。」

 

漣「そろそろ、終わらせないとな。」

 

シャド「ええ。…もう終わりにしましょ。」

 

他のみんなも賛同し、レジネスを取り囲むように降り立った。…待て。ルナサ、何を持っているんだ。

 

迦具土「…これほど良い実践はない。いくぞ。ルナサ。」

 

ルナサ「うん。」

 

ルナサが拙い手つきで短刀を鞘から引き抜く。するとルナサの周りを先程のような爆炎が包み込んだ。

 

魔理沙「な、なんだぁ!?」

 

月夜見「…。」

 

…まさか。迦具土はルナサをも器にしたのか?

短刀をトリガーとして、一時的にではあるが神の力を使う…ということか。

 

力の渦がルナサを中心に完成する。レジネスは脅威と思ったのか、弾幕を乱雑に撃ち込むが、力の渦はそれを飲み込み、かき消していく。誰も手が出せない状態だ。

 

霊夢「なにこれ…。」

 

霊華「神下ろしとは違う…。こんな荒っぽくないもん…。」

 

月夜見「古文書で見たことがある。特定の神は器と同調し、本来の力をより強く引き出す。…名付けるならば、『神憑(かみつき)』と言ったところか。より繋がりのある二人だからこそ、ここまでの力を出せているのだろうが…合わなければその身を滅ぼすこととなるぞ…。」

 

…確かにルナサと迦具土はまるで母と子、旧知の友のような関係だったが、器となっているとは聞いていなかった。

 

荒々しい神風は瓦礫を全てチリと化し、地面を渦状に侵食していく。神風が止み、先ほどまでのとてつもない勢いの火柱が火の粉となっていく。…その中心たる人物の変貌ぶりに皆が驚いていた。

 

レジネス「…何者だ。」

 

ルナサ「…ルナサ・プリズムリバー。」

 

ほのかに毛先が橙色となった髪、いつもの帽子は無く、そこには三日月があしらわれた簪が刺さっており、少し引いた紅が彼女の印象を大人っぽくしていた。服装もだいぶ変わり、黒い着物には彼岸花があしらわれている。着物から見える彼女の生足が何処か色っぽく、彼女を大和美人たらしめた。…和風ルナサ・プリズムリバーの誕生である。

 

…勿論、力も別格だった。感じ取る力は迦具土と同等だ。迦具土が取り憑いているだけはある。

 

ルナサ「いきましょ。漣さん。みんな。」

 

漣「…ああ。」

 

ルナサと俺以外が中心に向け、弾幕を撃ち込む。

 

レジネスは落雷を発生させ、全員を散り散りにさせた。

 

ルナサは火をつけた瓦礫を奴の認識していない背後から飛ばし、着弾させる。

 

レジネス「ッ…!?」

 

初めて…ここに来て初めて、レジネスという男は顔をしかめた。

 

俺は輪廻転生乃炎を使い、身体能力を強化させ、奴に右左右と三段蹴りをかます。

 

レジネスは避けようとせず、それを受け止めるが、背後から来る無慈悲な極光に飲み込まれた。…間一髪で俺は避け、やった普通の魔法使いを睨んだ。

 

漣「…おい。」

 

魔理沙「悪りぃな!!まっ。当たったとしてもマスパだ。」

 

無防備に食らったら『当たったとしても』じゃすまんわ。無邪気に歯を見せ笑う魔理沙の頭をとりあえず一発殴りつつ、脚光が止むのを待った。

 

…そこにあったのはレジネス…だけでなく、砂鉄の玉であった。流石の判断力と言ったところか。当たる刹那、地面の砂鉄をかき集め、自分を守るように作り替えた…。心なしか、翼状にも見えないことはない。

 

と、立ち上がって分かった。奴は砂鉄で両翼を作り、守ったようだ。銀色の翼が奴の背中から生えているように配置されている。奴は俺たちを鋭く睨みつけ、静かに立っていた。

 

レジネス「…俺に膝をつかせる奴は珍しい。先ずは褒めてやる。」

 

羽音は立てていないが、動いている翼。先程の大爆発か、或いはマスパが少し擦ったのか、右目から血が垂れている。顔には出していないが、かなりキレているのだろう。

 

そして、レジネスは羽を一本むしり取り、剣のような形状と化したそれを右手に握りしめ、地面を蹴って此方に向かってくる。

 

レジネス「…死ねぇ…!!ゴミ虫共…ッ!!」

 

レジネスの低い声が響き渡る。レジネスの刃が届いた先は…月夜見であった。

 

レジネスの細いが火力のある縦の一閃を月夜見の剛腕が持つ刃が止める。力が思いの外乗っているようで、月夜見の腕は血管が浮き出ていた。

 

また先程の俺と奴の時のような斬り合いが始まった。レジネスの単純に早い剣撃による牽制が月夜見の力の乗った剣撃の行手を阻む。

 

斜めから振り下ろされる物を跳ね上げたり、下からの斬撃を弾いたりする月夜見に対し、質より量のレジネスはとにかく乱雑に型に乗っ取らず切り刻む。

 

レジネス「…俺に型なんざ存在しねえ。流派なんざ尚更だ。」

 

月夜見「…無論ッ…。俺も…だッ!!」

 

レジネスの刃を跳ね除け、そのまま奴の腹に横薙ぎの一閃を打ち込む月夜見。避けることを忘れ、もろに受ける体勢だったが、咄嗟に羽で月夜見の攻撃をガードし、羽で月夜見を逆に跳ね除けるレジネス。

 

レジネス「…ぐっ…。」

 

月夜見「…チッ…!!」

 

次に俺が前線に出る。剣撃同士のぶつかり合い。だが、奴の動きが見える分、此方が押している。いつもの戦法だ。やられる前に…やる。

 

ルナサ「…私に任せて…。」

 

漣「…ルナッ…!?」

 

ルナサ「焔奏『恋風ロンド』」

 

…不思議なことにただぷかぷかと浮かび、敵意剥き出しのレジネスの前に行き、ほぼ目の前で弾幕を撃ち込むという誰でも避けられそうな弾幕だったのに、レジネスは避けることなく思いっきりくらった。…見えていなかったわけじゃないだろう。…なのに。

 

レジネス「どういう…ことだ…ッ…。」

 

ルナサ「…私は陽炎みたいになっただけ。私の陽炎は認識から薄れることができる。」

 

レジネス「…なんだと…。」

 

…陽炎。伝えていないのに、迦具土が教えたということか…。

 

レジネスはルナサに斬りかかる…が、体が何故かふらついている。

 

レジネス「…うっ…体が…思うように…。」

 

右へ…左へ…とまるでひどい酔っ払いのようだ。レジネスの目は虚になっており、ひどい汗を掻いていた。

 

ルナサ「迦具土の力は火と熱を操る力。今の貴方の体にみんなの熱を集めてみた。…ただの熱中症ってやつよ。今の気候と合わせれば、簡単になる。」

 

レジネス「…くっ…くそったれ…!!」

 

狙った相手の放熱を操る…。恐ろしいな。俺も鍛えればそこまでできるだろうか。だが、今は満身創痍のレジネスにとどめを刺すことにしよう。

 

レジネス「クソッタレェェェェッ!!」

 

文字通り、最後の足掻き。纏った電気を周りやたらめったらに放電するレジネス。…近づけば、電撃をもろに喰らう。遠距離でとどめをさすしかない…か…ッ!!

 

レジネス「ゴルァァァァァッ!!」

 

ルナサ「…私合わせて。」

 

漣「…わかった。」

 

俺は右掌を、ルナサは左掌を前に突き出し、二人の炎を集中させる。限界まで上がった温度で荒野のような人里の地面が焦げていくのが見えた。

 

月夜見「チッ…!!全員、下がれェェッ!!消し済みにされるぞッ!!」

 

…月夜見の言う通りだ。一人ならまだしも二人なら…周りまで被害が確実に出る。レジネスは気付いていないのだ。目の前に広がる地獄に…。

 

ルナサ「行くよッ!!」

 

漣「おうッ!!」

 

背中を合わせて、二人の腕も合わせる。匂いが鼻に入るくらいにピッタリとお互いの肩を合わせている。美しい薔薇にはトゲがある。…この勝負、終わりにしよう…!!

 

ルナサ・漣「炎神『日照ルナティックブレイズ』ッ!!」

 

赤い極光…いや、もはや包み隠さず炎と言おう。赤い炎が地面を融解させながら、とてつもない速さでレジネスに向かう。地面はグツグツと燃えたぎり、その炎はまるで龍のようにレジネスの体を包み込んだ。

 

…もはや、レジネスの叫びは聞こえない。ただ気配は消えた。

 

ルナサ「…ふぅ…。」

 

ルナサからあの神々しさは消え、いつもの彼女に戻り、ぺったりと地面に尻餅をついた。

 

漣「よくがんばったな。」

 

ルナサ「えへへ。」

 

頭を撫でると疲労からか、目を細め、猫のように喜ぶルナサ。さっきの神々しさが嘘のようだ。…良かった。俺の知るルナサだ。

 

迦具土「改良が必要だな。」

 

何処からか、現れた迦具土がルナサに向かう。ルナサは真面目な子なので、少し考え込む仕草をする。立ち位置的にどうあがいても上目遣いになって可愛い。

 

ルナサ「…疲れた。」

 

漣「…おぶってやるよ。」

 

ルナサ「…やったぁぁ…。」

 

やけに甘えてくる。疲労感とは人をここまで変えてくるものなのか。…いや、もう可愛いでいいな。これは。おぶってやるとルナサは満足そうな声を上げ、俺の頸を嗅ぎ出した。…なんか、くすぐったいな。

 

ルナサ「むふふ〜…♡」

 

漣「…欲求不満…かよ…。」

 

…これが終わったら真っ先に抱く。

そう思った俺はみんなと合流することにした。




文字が多いよぅ…。
あと、ははうさぎがやばいよぅ…。
では次回。ではでは。
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