※この作品はR-18です。

半人半妖の恋愛奇譚   作:紳爾零士

201 / 262
前回の短刀のネタ。あれ、前にコラボした笑さんが提供してくださったんですよね。有り難いわぁ…って思いながら、書いてました。そして、ルナサを超強化しちまいました。完全に贔屓です。申し訳ございません。でも、可愛いから…いいよね!!


第167話『暴食と逆さと輝針城と』

グラート「諸君ッ!!よくぞ、我が腹心、レジネスを討ち取ったッ!!」

 

…レジネスは序章に過ぎなかった。そうだ。コイツがまだ残っていた。

 

洋風の礼服に身を包み、黒い髪を全て後ろに掻き上げている男…。不敵な笑みを浮かべるその男は得体が知れない。前に戦ってくれたのは…あれは…なんだったのか…。

 

漣「何の用だッ!!」

 

グラート「なぁに。これはただの挨拶だよ。ミスター…ひがわ?」

 

漣「…氷川。」

 

グラート「そう!!それだ…。ミスター氷川?」

 

…コイツ…。ふざけてないか?

俺の名を聞いて指を指しながら満面の笑みをする…よく言えば子供のようで、悪く言えば気持ち悪い。ぷかぷかと浮かびながら、自分に浸るように笑うグラートに少し震えを覚えた。

 

グラート「ハッハッハッ。まぁ、そう嫌そうな顔をするな。諸君。レジネス、フューリー、ラスト、ミスター玄霧…。シリウスの実力者も過半数は失った…。此方としてはとても悲しいのだよ。しかも、ラストとフューリーは君たちに加担していると聞く。我が子にも近い彼らに裏切られたショックは計り知れない。君ならわかるだろう…?ミスター氷川。」

 

月夜見「能書きはいい。貴様の話を聞くつもりなど毛頭ない。」

 

魔理沙「ここでテメェをやっつけてやるッ!!」

 

グラート「oh…。これは失礼した。だが、今の諸君らが我輩を相手にして10秒以上は生きることができないよ。」

 

漣「…えらい自信だな。」

 

宙にぷかぷかと浮かび、俺たちに近づいてくるグラート。その眉目秀麗な顔は胡散臭さと爽やかさに満ちた笑みを浮かべている。グラートはまるで背もたれにもたれるように空中に座っているように浮かんでいた。

 

グラート「とはいえ、タコ殴りにされるほど我輩も馬鹿ではない。…それに、こんな殺風景な里では我輩の計画の最終幕は下ろせないのだよ。もっとユニークで!!マーベラスなッ!!エンドロールを迎えたいのだッ!!

ハーハッハッハッ!!」

 

手を広げ、胸を張り、恍惚な表情を浮かべながら、高笑いをするグラート。…殺風景な里だと?そうしたのはアンタラだろうが…。

 

漣「御託は良いんだよ…。ここで終わらせる。」

 

グラート「勇気と無謀は別物だよ。ミスター氷川。自分と相手の力の差を見極めたまえ。…さて、本題に入るが…。」

 

…笑みをやめ、真顔となるグラート。奴の低い声に謎の緊張感がレジネスと戦った後の俺たちに走る。…とはいえ、喋り方は以前として少し癪に触る。

 

グラート「…この娘に見覚えはあるかな?」

 

?「ンーッ!!」

 

その場に居るもの全員がまるで雷で撃たれたかのような衝撃を覚えた。そこに居たのは、死屍累々戦以来、姿をくらましていた鬼人正邪だった。口には布で枷がされており、手足も縛られているようだった。

 

グラート「この娘は我輩らの船に潜伏していてねぇ。紛れ込んだ鼠を我輩自らが捕獲し、我輩の計画の一部とすることを考えた…というわけさ。なにせ、この娘の知り合いにはあの姫がいるらしいからね。」

 

霊夢「…姫…。まさか!?」

 

グラート「そのまさかだよッ!!鬼の世界へと行き、そこに沈んだ輝針城と打ち出の小槌を手に入れる。それによって、我輩の計画は実現を迎える。…だが、その前に我輩の力を引き伸ばすため、No. 1の居場所を吐いてもらおうか。」

 

漣「誰が言うかよ。」

 

グラート「…その反応は予測済みだ。」

 

グラートがニヤリと不敵な笑みを浮かべる。…俺は妙な胸騒ぎを感じていた。不安なのか、ルナサは俺の袖口を掴んで離さない。

 

グラート「No. 1は既に回収した。」

 

…なんだと…。

グラートは俺たちに向け、勝ち誇った笑みを浮かべた。…嫌な予感がよぎる。こめかみあたりから嫌な汗が垂れてくる。心臓がドクッ…ドクッ…とうるさい。

 

グラート「この逃亡劇。どうやら、我々の勝ちのようだ。」

 

漣「…おい…。一緒にいた二人はどうしたッ!!」

 

グラート「…あぁ。商品を勝手に持ち出した猪口才な小娘とその姉か。生きているよ。うちの魔術師は優秀でね。君たちが遊んでいる間にその娘らを眠らせて、No. 1のみを回収したのさ。無駄な殺傷を我々、上層部の人間はしないのさ。安心したまえ。」

 

魔理沙「…何が無駄な殺傷はしない…だッ!!巫山戯るなッ!!人里の人たちを手当たり次第、殺しておいて…ッ!!」

 

…魔理沙は涙を浮かべ、顔を赤くして声を荒げた。…その通りだ。何十人と人が命を落としている。慧音なんか、それで倒れたぐらいだ。だが、こいつは悲しむそぶりも謝罪のそぶりも見せず、ただただ爽やかな笑みを浮かべていた。

 

グラート「何か問題かな?」

 

魔理沙「なっ!?」

 

グラート「君たちも我輩の同志たちを無差別に殺しているだろう?それを我々は人里の人間でやっただけのこと。していることは同じなのだよ。ミス霧雨。」

 

魔理沙「なんだとッ!!」

 

シャド「魔理沙ッ!!」

 

今で突っかかっていきそうな魔理沙をシャドが肩を持ってとめる。その姿を見つつも、まだ笑みを浮かべているグラート。口角を上げ、爽やかさよりも胡散臭さの方が勝っている。

 

グラート「滑稽だね。どこまでヒーローぶれば気が済むのか…。全く、人間とは面白いねぇ…。さて、我輩には少しでも時間が惜しい。ここでお暇させてもらおうか。」

 

漣「…ッ!?ま、待てッ!!」

 

グラートは正邪を右手に掴んだまま、黒い油のような液体に覆われ、そのまま沈んでいく。正邪は暴れながら、涙を浮かべながら此方に何かを訴えかけているような顔をしていた。

 

俺は急いで飛んで行こうとも思ったが、ルナサが恐怖からかキッチリ掴んで離さない。一瞬の間に虚空へと沈んでいった。

 

…ただそこに言いようのない嗚咽感と違和感、喪失感を残して…。




では次回。ではでは…。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。