※この作品はR-18です。

半人半妖の恋愛奇譚   作:紳爾零士

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第174話『悪食と反射と効かない嘘と』

迦具土「千之道『火祭物見櫓』」

 

グラートの放つ幾千の斬撃を床から飛び出す千個の炎がグラートを中心に円形に配置される。

 

グラートに対しては目隠しであり、斬波も火柱の方が強いため、切り裂けない。此方としては盾としての役割もある。

 

迦具土「漣ッ!!貴様なら突っ切れるだろッ!!行けッ!!」

 

漣「了解ッ!!」

 

火のカーテンを突っ切って、俺はグラートに殴りかかる。

 

グラートは完全に包囲されているにも関わらず、ニヤリと笑い、俺の右拳に対応する形で拳を振るい、相殺した。

 

俺は一度飛んで下がり、左拳を奴に喰らわせる。

 

グラートはそれを手で受け止め、俺をいとも簡単にぶん投げた。

 

漣「ぐっ…!!」

 

俺は木の床に剣を突き刺し、勢いを殺した。…あの反応速度をどうにかしないと…奴に拳すら与えられない…。

 

陽奈「お父さん!!大丈夫!?」

 

漣「…あぁ…。」

 

咲夜「…あの男、とんでもないですね。先ほどからほとんど一撃で沈めている…。それほど力があるようには…見えませんが…。」

 

…確かに。

近くから見たら剛腕に見えるが、遠くからだとそうでもない。成人男性一人を片手でぶん投げるほどの力を持っている…と言ったらわかりやすいだろう。

 

グラート「この炎、煩わしい。」

 

迦具土「…時間切れだ…。」

 

火柱が勢いを無くし、消え去る。

 

その瞬間を狙い、グラートに向かって、フューリーがインファイトを仕掛ける。

 

グラートは少し苛立ちながらも、そのインファイトに冷静に対応する形でインファイトを返す。

 

グラート「…まだ生きていたか。愚か者め。」

 

フューリー「死ぬんなら本望…。アンタも一緒に地獄へ連れてってやるぜ…。プレジデント…!!」

 

グラートが右拳を放つ。

 

フューリーがそれを飛んで躱し、グラートの頭にハンマー状に組んだ手で打撃を喰らわす。

 

グラートはその一撃をまともに食らうが狼狽えず、油断したフューリーの頭を掴み、地面へと勢いよく落とした。

 

フューリー「グハッ…!!」

 

グラート「…お前は本当にバカだ。フューリー。まともに会話も成り立たず、兄としての幻影を追いかけるだけ。お前が力を求めたから病弱な弟を強くしてやった。お前が望む最高の結果にしてやった。それなのに…貴様は恩を仇で返すのだな?」

 

フューリー「グッ…それに関して…は…感謝してる…ッ…!!だが…ッ!!使われるために…生きているんじゃないッ!!」

 

グラート「…虫の良い話だな。」

 

グラートの手に力が入る。

 

ミシミシとフューリーの頭が悲鳴を上げる。骨が軋む…嫌な音だ…。

 

フューリー「ガァァァッ…!!」

 

ラスト「兄さんッ!!」

 

霊夢「ハァァァァッ!!」

 

霊夢が後ろから弾幕を止めどなく撃っていく。それに賛同する形で俺たちも撃っていくが、奴は全く気にすることなく俺たちを無視する形でフューリーと会話している。

 

…そして、フューリーはなす術なくグラートの剛腕に顔をもたれ、持ち上げられ、グラートは何度も何度も戦う意志のないフューリーを殴りつけた。

 

グラート「バカな奴らだ。それが我輩に力を与えていると知って…尚も弾幕を打ち込んでくる。馬鹿の一つ覚えだッ!!」

 

そう声を荒げるとグラートは思いっきりフューリーごと拳を木の床に振るう。

 

当たった床は大きく窪み、そこを中心に室内の床に大きくヒビが走る。

 

グラート「招待しようッ!!本物の…地獄へとッ!!」

 

グラートはフューリーを掴んでいる方の手から極光が漏れ出し、瞬く間に光と熱、地震が発生。室内を飲み込み、部屋の床を破壊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

漣「…痛ぇ…。」

 

…まさか、自分から城を破壊するとは…。

上に先ほど居た部屋の天井が見える…。床を破壊し、あの場にいた全員が落とされた…ということか…。

 

漣「そうだ!!みんなは…!!」

 

迦具土「無事だ。」

 

迦具土の声が横から聞こえる。あたりを見渡すと霊夢、ルナサ、陽奈、咲夜も落ちていたが、無事であった。

…奴がやったのか、輝針城の向きが逆になっており、普通の城と同じ向きになっていた。しかし、落とされた場所は悪趣味だ…。まさか、地下牢とは…。

 

?「お前ら…なんで来たんだよッ!!」

 

声が聞こえる。

そこには地下牢の隅で真っ赤な顔をして驚いているような表情を見せている鬼人正邪が立っていた。

 

漣「良かった…。無事だったか。」

 

正邪「無事だったか…じゃねえよッ!!テメェ、なんでこんな…。テメェみたいな雑魚がこんなところにいても…意味ないじゃねえかッ!!」

 

…泣いてる?

グラートの先ほどの極光で天井にも穴が開いており日の光が差し込んでいるにも関わらず、地下牢は暗いのでよく分からないが…彼女の心は恐怖に震えていた。

 

漣「…意味ないことはないさ。」

 

正邪「…良いから帰ってくれよ…!!アンタもッ!!そこの女もッ!!一体…私のなんなんだよッ!!」

 

声を荒げながら、正邪は同じく隅にいるサグメを指した。サグメは何も話さない。彼女の能力ゆえのことだ。仕方ない。

俺が近くにいれば緩和できるし、普通に話せるようになるが、今は少し遠い。だから、話せば能力が発動してしまう…。

 

グラート「…外野がうるさいぞ。」

 

…砂埃が徐々に消えていく。

その手には尚もフューリーの姿があった。グラートの低くよく通る声に室内は凍りついたように静かになった。

 

ラスト「兄さんッ!!」

 

フューリー「…ラス…ト…。」

 

グラート「…見ろ。貴様らは選ばれた者たちだ。お前たちには良いものを見せてやろう。革命への扉、そのための生贄を。」

 

…グラートが顎で部屋の奥を指した。そこにあるものを見て、俺は絶句した。と同時に怒りがこみ上げてきた。

 

漣「グラート…貴様ァァァッ!!」

 

グラート「…弱い犬ほどよく吠える。何もできぬのに吠えるだけ。本当にバカだな。貴様。」

 

漣「虚無『絶滅の灯火』ッ!!」

 

黒い炎が俺の体を包む。

 

即座に炎をなぎ払い、奴に向かって右拳を放つ…が。

 

グラート「ふんッ!!」

 

漣「グァァァッ!!」

 

その拳は当たることなく、俺は壁へと回し蹴りで蹴り飛ばされたしまった…。思いっきり頭に当たった為か、少し頭が痛い…。立とうと思っても少しよろけてしまう。

 

グラート「…何を怒っているのか。あれがこの城の核、No. 1を基礎として、赤い筋肉に囲まれたまさにこの城の心臓である。彼女の力をこの城中に流し、膨大な魔力エネルギーを我輩の力としていたわけだ。」

 

ルナサ「そんな…酷い…。」

 

グラート「あの筋肉は魔力によって生み出された生物であり、簡単に外すことは…不可能ッ!!故に貴様らの勝ち筋はNo. 1を破壊するしかないのだよッ!!」

 

…クソッタレ…。

筋肉…と呼ばれた赤い糸はまさにがんじがらめに彼女の体を縛っており、彼女を逃がしまいとしていた。…破壊だと?

 

漣「…できるかよ…。」

 

リリカになんで説明すれば…。

 

グラート「…甘いな。実に甘い。家族だろうがなんだろうが、守る為なら殺すが正義だ。…そんな甘さでは夢など叶わない。」

 

霊夢「そんなわけないでしょ…。殺すが正義なんて認めないッ!!ここであなたを止めて見せるわッ!!」

 

グラート「できるものならやってみろッ!!…圧倒的な力の前で死に絶えてしまえ…。〈critical over〉」

 

グラートがボソリと呟くと周りが多く揺れだした。俺はバランスを崩し、地面へと尻餅をついた。

 

漣「…なっ!?」

 

グラート「…見えるか。これが力だ。貴様らの与えた力が今ッ!!我輩の体を数百倍となって駆け巡っている…!!此処からは本気だ。ゲームではない。本気なのだよ!!」

 

グラートの体に沿って赤い電気のようなものが駆け巡っている。感じる力も強大になっており、久しぶりに少し恐怖を感じた。

 

グラート「手始めにこのゴミを片付けるとしよう。」

 

右手で捕縛したフューリーを上へと上げる。

 

グラートは左手をフューリーの右腕へと伸ばし………引きちぎった。

 

フューリー「グァァァァァァァッ!!」

 

右腕だったものはフューリーの下に落とされ、骨すらも引き抜かれ、断面は見るのも躊躇うほどだった。苦痛に絶叫するフューリー。断面からは血が滴り落ちている。

 

グラート「…最期に何か言い残すことはあるか?」

 

フューリー「ァ…ア…ァァ…ッ…。ラス…ト…!!」

 

フューリーは掠れた声でラストに呼びかけた。

もう目は見えていないのだろう。先ほどの極光をモロに受けたのだ。フューリーに戦う力は残っていない。

 

フューリー「…俺の…おとぅ…とでッ…いてくれ…てッ…ありがと…う…!!」

 

フューリーの目からは血ではなく、大粒の涙が流れていた。その瞬間、すべての音が消えたような気がした。

 

無情にもグラートの右手がフューリーの頭を豆腐の如く、握り潰したのだ。

 

ラスト「…兄さん…!!ア…アァァァァァァッ!!」

 

グラート「…クックックッ!!ハッハッハッ!!これこそが恐怖…!!これこそが絶望…!!良い…。良いぞッ!!喚け…。叫べッ!!これだから力を持つことはやめられない…!!」

 

…首のない兄貴の体を揺すり、抱かえながら大粒の涙を流すラスト。それに対し、グラートはそれを見ながら、高笑いしていた。

 

グラート「さぁ!!次は貴様らの番だッ!!悪いのは貴様らだぞ?我輩に牙を剥いたのは貴様らだからなッ!!」

 

漣「グ…グラートォォォォッ!!」

 

…叫べるのに体が動かない。

何かされたか…?いや、絶滅の灯火の効果か。久しく使っていなかったから…反動が大きいのか…?くそ…。どちらにしても…動けないッ…!!

 

グラート「叫ぶだけのただの愚者よ。そこでお前の言う家族が皆殺しになっていくところを見るが良い。」

 

?「そうはさせるかァァァァァァッ!!マスタースパークッ!!」

 

極光が空よりグラートに降り注ぐ。月夜見、シャド、魔理沙、妖夢がきてくれたのだ。

 

シャド「おいおい…。漣がここまでズタズタにやられるなんて…!!」

 

漣「…絶滅の灯火の副作用だ…。しばらく使っていなかったのと体力を消耗し過ぎた…。」

 

月夜見「…こう言う時ぐらい自分の体力管理はしっかりしろ。…阿呆め。」

 

…言い返す言葉がございません…。

 

グラート「ええい。煩わしい!!今更、ゴミが増えても我輩は止められんぞッ!!」

 

グラートには極光は通じていない。奴にとってレーザー砲は水をがぶ飲みするのと同じなのだ。

 

月夜見「…俺たちがゴミなら、貴様はゴミ以下だな。」

 

シャド「ゴミの実力…。見せてやるよッ!!」

 

漣「…待て。」

 

今にも向かいそうなシャドと月夜見を止める。

闘争心剥き出しで止められた二人は俺に抗議の目を向けてくるが、どう見積もっても二人でかかって勝てる未来が見えないのだ。

 

シャド「なにさ。このまま見殺しにしろっての!?」

 

漣「…違う。ひとつだけ…。奴に勝てる方法がある。迦具土。出来るだけ時間を稼いでくれるか。」

 

迦具土「…貴様の賭けに乗れと言うのか。仕方ない。」

 

迦具土は一人、グラートへと走っていった。

 

グラートは向かってきた迦具土に斬波を打ち込む。

 

迦具土はそれをひらりと避け、グラートの脳天に下駄による一撃を与えた。

 

魔理沙「おいおい…!!一人で大丈夫なのかよッ!!」

 

漣「…逆だ。一人じゃなきゃ、死人を増やすだけだ。」

 

…霊夢の夢想天生ならいとも容易く勝てるかもしれない。だが、この城は奴の一部となっている。夢想天生の力まで奴が飲み込んでしまえば、どうなるかはわからない。

 

シャド「…で?何をする気なのよ。」

 

月夜見「…このまま迦具土に戦わせる気か。」

 

漣「違うさ。それぞれが力を高めた今なら、あの技を本物にできる…と思ってな。」

 

…初めて使ったときは30分と持たなかった。最終的に神君が居たから勝てたと思っている。ただ、今回は状況が違う。シャドの変化、迦具土の炎の影響、今まで以上の敵…。次は時間制限が終わった後は死ぬことが確定している。

 

月夜見「…三位一体。しかし、あれから一度も使っていないぞッ!!成功する確率は…半分と無い…!!」

 

漣「…成功するまでやるさ。迦具土ならあの場を凌ぎきれる。…成功しなきゃ幻想郷は終わるんだよ。」

 

月夜見「…仕方ないな。ここは迦具土を信じる他あるまい。」

 

シャド「つべこべ言わずにやるよッ!!」

 

シャドと月夜見の手が俺の背中に添えられる。二人の力が俺に流れてくるのを感じる。…あの時と同じ容量だ。3人の心を一つにし、そして、唱えるのみ。

 

月夜見・シャド・漣「奥義『三位一体』ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラート「煩わしい。実に煩わしい。」

 

グラートの拳を迦具土は躱す。

 

迦具土による蹴りがグラートの腹へと直撃する。

 

グラートはそれをもろともせず、俺を飛ばした回し蹴りを迦具土に放つ。

 

迦具土の体は陽炎のようになり、グラートの脚は空を蹴った。

 

グラート「…なんだ?我輩の知らない力がこの場所に満ちている。」

 

迦具土「…やったようだな。漣。」

 

グラート「何?」

 

グラートはまた迦具土に拳を振るう。

 

迦具土はそれを避けようとしなかった。が、グラートの拳は何者かに受け止められた。

 

グラート「…何者だ。」

 

?「氷川漣。」

 

俺はグラートにカウンターとばかりに腹を殴った。

 

グラートは痛みに顔をしかめ、膝をついた。




三位一体漣登場!!
侵略異変ももうすぐ終了です。
では次回!!ではでは〜!!
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