凰牙「弁々、八橋。いくぞ。」
弁々・八橋「はーいっ!!」
…白昼堂々、団子屋巡り。
無駄なことばかりしている気がして、つい甘いものに手が伸びる。とはいえ、甘いものばかりを口にしていると体は飽きてきて、今日のようにざる蕎麦を食いたくなる。…そこに探し物があるわけでもなしに…。
八橋「ねぇ、そういえば先生はなんで旅をしているの?」
凰牙「なんでってそりゃ…。」
…探し物。
ただこの郷にあるとある物を探している。奴の焦燥を追いかけて、ただ道無き道をいくだけのこと。
弁々「何を探しているの?」
凰牙「…テメェらみたいなちび助にはわかんねえことだよ。安心しろ。別に危険な旅じゃねえから。」
弁々の頭を乱暴に撫でる。本人は気持ちよさそうに目を細めているが、本当に気持ちいいのだろうか。この背丈の餓鬼をみると、昔の馬鹿を思い出す。幻想神なんて奉られているひよっこを。
八橋「そういえば、私たち、先生のこと何も知らない…。」
弁々「ねぇねぇ!!先生のこと、もっと教えて?いいでしょー?」
凰牙「…知っても面白くねえ話だよ。」
…昔話なんて嫌いだ。好きで過去に縋ろうとする奴の気がしれない。
弁々「だって、先生って今、本調子じゃないんでしょ?確か…胸に傷を負ってから、まともに戦えてないって…。」
凰牙「…戦いにおいて、まともにやれるかどうかは問題じゃねえ。自分の調子が良かろうが悪かろうが、相手は待ってくれやしねえ。必要なのはどれだけ強者であろうがなかろうが俺は俺という信念よ。いい刀でも、強え能力でも、賢い頭でもない。どこまで行っても曲がらねェ信念だ。…それはそうとして、そのくらいは話してやる。」
…これは…そうだ。
戀真が玄霧逢魔と戦い、相討ちになった時、逢魔の側近たるある男と戦った時のことだ。
凰牙「月の都に振り向くなッ!!一度見せた背中は必ず刈られるッ!!だから、必ず振り向くじゃないッ!!」
…俺はこの日、攻めてきた玄霧一派の下っ端軍団を西部入り口を主として、当時の月夜見〈雨叢雲月光〉に借りた軍勢を率いていた。
雪崩れ込む玄霧一派。
それを月の軍兵たちは銃口を向け、最後の盾として、月の都を守っていた。
?「凰牙っ!!」
凰牙「姉さんっ!!」
後方からやってくる俺の姉さん。血の繋がりは無いが、姉さんは姉さんだ。姉さんは戦闘員ではあるが、俺より剣の腕は遥かに劣り、戦闘能力的には一般兵にも劣る。そんな姉さんが何故ここにいるかというと…俺たちが月の重鎮のクソ野郎どもの玩具であるからだ。奴らの言うことには逆らえない。…例え、不死身になれと言われても。
凰牙「なんで来たんだよッ!!姉さんッ!!」
?「そりゃ、心配だから。」
凰牙「ッ!?…あのなぁッ!!」
…はっきり言って姉さんが傷つくのを見るのは嫌いだった。だから、強さだけを求めたのに…。
玄霧兵「仕留めろォォォォッ!!」
玄霧兵「士道凰牙と士道春風を殺せェェッ!!」
凰牙「チッ!!朱点抜刀『狭霧炎舞』ッ!!」
横一線の斬波が飛ぶ。
目の前から大波のように雪崩れ込んで来る玄霧一派の下っ端どもを散らした。
春風「おー。流石。」
凰牙「…姉さんは下がってな。やべえのがいる。」
…その時、玄霧の下っ端は赤子よりも弱えぐらい、手応えのない奴らばかりだったが、その奥…。
?「…。」
此方を睨みつけも嘲笑いもせず、ただ見るだけの男がいた。まるで女のように真っ白な髪を長くし、束ねている男だった。
凰牙「何モンだッ!!!この月の都に何しに来やがったッ!!!!」
?「…空蛇厳秋。玄霧逢魔様の右腕。そして、お前を斬る者…。」
凰牙「俺を斬る?…やってみな…。」
…この時、俺はまだ若かったと思う。
目の前の男と俺を推し量るために戦おうとしていた自分の力の儚さにこの後嘆くこととなろうとは…。
凰牙「行くぞッ!!」
厳秋「…。」
俺は地面を蹴って、奴に近づく。
横薙ぎの一閃を確実に奴に入れるが、その刃は空を斬った。
凰牙「へっ!!」
…そうでなければ面白くない。俺は後ろにいた厳秋を背後まで回り、切り裂く。
が、火花が散り、奴の刀にガードされた。
凰牙「……ッ!!…おいおい…。守ってるだけかい…?」
厳秋「…闇雲に攻撃してなんになる。当たらなければ意味はなし。」
凰牙「チッ…!!」
俺は一度アイツから飛び離れ、また剣を構えた。この時、奴は俺の方を向いておらず、どこを向いているかわからなかった。
凰牙「…妙な能力を…。」
厳秋「…お前に理解できる代物ではない。」
玄霧兵「空蛇様ッ!!我らもッ!!」
厳秋「…来るな。…力を持たぬ貴様らに、あのじゃじゃ馬は斬れない。俺でなければ、奴は無敵だ。」
凰牙「へっ!!言ってらァッ!!朱点抜刀『紅一点』ッ!!」
縦、横と切り裂いて、十字に飛んでいく斬波。確実まで奴の命を取りに行く斬波だった。
厳秋「『死の大樹』」
空蛇厳秋が左足のかかとで地面を軽く叩く。すると厳秋の目の前に紫色の大木が急に生えてきて、俺の斬波を受け止めた。
受け止めた後、月の海の波の如く、その大樹は消え、俺たちに向かってくる。月の兵士の中には巻き込まれ、消えていく者もいた。この時、前線に立つ俺もやべぇと思っていた。…だが、手はないわけではなかった。
凰牙「『煉業』ッ!!」
黒い炎が俺の周りを覆い、それを中心に炎の壁が上がり、紫色の波紋を上から覆い尽くし、波を全て蒸発させた。
厳秋「…コイツは…楽しめそうだ。」
凰牙「…。」
『煉業』とは、白炎とは対の型。
白炎のようにオールマイティに伸ばす型ではなく、攻撃と速度を重点的に上げた技。一見諸刃の剣のように見えるが、炎操術の範囲を広げたり、相手の攻撃を反射する力もある。故にこういう範囲に長けた技の奴にはかなり効く。なにせ、無闇矢鱈と撃っても自分に向かってくるのだから。
凰牙「炎操術『烈火乃群衆』…!!」
俺の周りに火の玉を複数呼び出し、高速の勢いで飛ばせた。
厳秋は一振りで全てを斬り裂き、地面を蹴り、俺に剣を振るう。
俺はそれを受け止め、跳ね飛ばし、足元を狙い、斬った。
厳秋はそれを飛んで避け、俺の頭の上で一回転し、俺の背後から切り裂いた。
俺はそれを咄嗟に剣を後ろに回し、刃で受け止めた。
厳秋「…能力は一歩上手だが、剣技はそうでもないな。そこらの坊主の方が良い技を使う。」
凰牙「………テメェの能力、毒か?」
厳秋「…その視点、最もだ。しかし、浅はか。」
また俺たちは間合いを離す。
一点を中心として、円形に俺たちは歩き、相対するかの如く、相手を睨みつつ、歩いた。相手の力を見定める手段として、ゆっくりと確実に首をとりにいかなければならなかったからだ。
厳秋「…お前が息を吸うが如く、蛇は毒を扱う。そう、俺は元々、白蛇だったからな。これは能力ではない。」
凰牙「…やっぱりな。」
厳秋「…さぁ、この狂宴を終わりにしようか。俺とて暇ではない。」
俺は斬波を飛ばした。
だが、それは何もない場所を斬るだけで、厳秋は俺の背後から睨みつけていた。
凰牙「チッ…。」
厳秋「…下らぬ技を使うな。一撃で首を取りに来い。」
瞳が縦に縮み、めんどくさそうに頭を掻く厳秋。俺は厳秋の行動に苛立ちつつも、奴の目の前に立った。
凰牙「…姉さんが見てるんだ。あまり過激にしないでくれよ?」
厳秋「…戦場に談義は不要だ。」
凰牙/厳秋「この一撃で全てを決めるッ!!」
剣を振るい、奴に向かって行った。奴もまた剣を持ち、走って来た。
凰牙「朱点斬技『天神鬼炎丸』ッ!!」
厳秋「『厳罰』ッ!!」
炎の刃と黒く染まった刃がかち割った。何遍も何遍もカチ割り、最後にはお互いの体に致命傷を与え、この戦いは終幕を迎えた。
凰牙「この胸の横一閃の傷はその時に出来た傷だ。これのせいで俺は内臓が傷つけられ、二度と天神鬼炎丸が使えなくなった。…刃も失ったんだ。」
八橋「うーん?なんか、難しいお話…?」
凰牙「…理解しなくて良い。ただ覚えておいてくれ。紅もそれで供養される。」
逢魔「どうしました?貴方らしくもない。」
…畜生界。ビル群の影に隠れて、茶色の毛皮のコートを着た玄霧逢魔と黒い着物に白い花柄の服を着た男、空蛇厳秋が座り込んでいた。逢魔はいつも冷静で何事もこなす厳秋が足を止めたことに少し違和感を覚えた。
厳秋「いえ、昔のことを思い出しただけです。」
逢魔「…君の左腕が無くなった時の話ですか…。」
…現在、厳秋の左腕は紫色の毒で腕状に固められ、使っていた。
厳秋「…あの若者は中々に見込みがあった。…ただそれだけだった。」
逢魔「…傷ついた今でも、あの強さの士道凰牙。君にとって彼はどうでしたか?」
厳秋「…なにも。全力なら俺は愚か、月も消し去っていたでしょう。能力だけなら誰よりも上だ。」
ビル影の内側で玄霧逢魔の高笑いがただ聞こえていた。その前に貫かれた動物霊たちがいくつか倒れているのを除いて、そこに不自然な点はなかった。
厳秋の能力が毒だったらメディと被るんですよねぇ。他のキャラも出来るだけ被らないようにしたいですが、シャドとか和泉とかはどうしても被ってしまいます。なんか良い感じの能力って無いですかねぇ。弱すぎず、程よく強い感じで成長を残してる感じの。主人公陣営は複数能力を取り入れたいんですよね。何かあればリクエストBOXに宜しくお願いします。僕が合わないかなぁ…って思った奴も新キャラに付けたりとか、月夜見や漣に付け足しますのでよろしくお願いします。
…もうネタが…。
日常編って結構楽しいけどね。
では次回。ではでは〜。