響奇「わぁい、お風呂屋だ。」
キスメ「…ご、ごゆっくりぃ…。」
地底の温泉郷。箸休めにやってきた。しかも、混浴付きらしい。
蛮奇「馬鹿なこと考えてないで、早く行こう。」
漣「あぁ。」
…しかし、湯煙の中に蛮奇と響奇の髪色は映える。体つきや性格もよく似てきた、言わば姉さん女房のような感じだ。しっかりしているというか…特にお金の面でチャッカリしているというか…。とはいえ、蛮奇は割りかししっかりと働いて、稼いで来てくれているのであまり言えないのが本心である。
漣「ふぅ…。」
大衆浴場。湯屋には昨年、紫苑と来た以来だが、この雰囲気が気に入っている。程よく濁り、花のいい香りが湯屋の中を漂う。しかも、この時間はあまり人が居ない。
蛮奇「…うっわ…。また傷増えてんじゃん…。」
漣「もう体、洗ったのか。」
蛮奇「うん。…てか、そろそろ体大事にしなよ。アンタに死なれたら夢見悪いじゃん。」
漣「…全くだ。」
…確かに、昔に比べたらいくつか古傷が増えている。普通の人間なら死んでいてもおかしくはないが、生憎、俺は自ら不死身になった。1万年…などと言っているが、月の都と幻想郷の時間軸は違うので此方ではどれほど生きているのかわからない。…てか、普通に八意の小さいときを見ていたぐらいの歳だし…。
響奇「ねーねー。父さん、背中流して〜。」
蛮奇「…それぐらい自分でやりなさい。アンタも普通の人間なら年頃なんだから。」
響奇「ブーブー!!いいでしょ?せっかく、お風呂屋さん来たんだから!!」
…しゃーない。
湯から上がり、シャンプーハットをかぶっている響奇のところへと行く。響奇もだいぶと背が伸びた。前まではフランといい勝負だったのにいつのまにか、フランを通り越して…。
漣「…痛くない?」
響奇「だいじょぶ!!」
蛮奇「…甘やかしてどうすんのさ。」
漣「そうは言わないでくれよ。こういう時ぐらいしか、俺は父としていられないからな。」
…幻想神だの、英雄だの言われる反面で、俺は父としての役割を全うできていない。戦いに明け暮れて、家族サービスができていない。蛮奇やルナサたちに負い目を感じている分、俺ができることは精一杯やりたい。
響奇「そーだよ!!母さんの鬼ぃ!!」
蛮奇「鬼ってねぇ…!!引っ叩くよっ!!」
響奇「ぼーりょくはんたーい!!」
…蛮奇の娘ってのがなんとなくわかるような気がする。霊華と霊夢みたいな…あの子もそのうち、気が強くなるのだろうか。
漣「…こういうのも、良いな。」
響奇「ん?」
なんでもないよと頭を撫でる。最近、俺も疲れているが、我が子と一緒にこうして風呂に入るとどこか心が安らぐ。
蛮奇「…。」
漣「甘えん坊生首。」
当の蛮奇は赤面しているが、蛮奇の分身が俺にスリスリと頭を擦り付けてくる。これは蛮奇の嫉妬というか、甘えたいという感情によるものらしい。当の本人があまりそういうのを子供の前で口にしたくないらしく、わからないところで甘えてくる。
漣「…頭でも撫でて欲しいのか?」
蛮奇「…うん。」
隣から抜け駆け厳禁とボソリと呟く本体を尻目に、すりすりと寄り添ってくる蛮奇。…本体もここまで素直なら良いんだけど。
横目でチラリと見れば、蛮奇(本体)は顔を真っ赤にして、ぷるぷると震えていた。対して首の方は顔が浸水しないように俺の膝に乗せて撫でているためか、満足そうに笑いながら、隣の響奇と一緒にワーワー言いながら歌っていた。
漣「ほら、隣、おいで。」
蛮奇「…い、良いわよ…。別に…。」
漣「おいでって。」
蛮奇「…。」
半ば根負けする形で、チャポンッと膝を折って座る蛮奇。…こりゃ、相当、拗ねてるな。
漣「…。」
蛮奇「ん…。なによぅ…。」
頭をポンポンと軽く叩いた。あの大きなリボンが無いだけで彼女が少し小さくも見える。髪からぽちゃんっと雫が落ちる。少し赤らめた体が彼女を色っぽくも見せる。
漣「蛮奇、偉いぞー。」
蛮奇「…響奇とは違うんだけど?そんな子どもみたいにあやされても許さないから。」
漣「でも、こうして一緒に来てくれてありがとな。嬉しいよ。」
蛮奇「…ばか。」
風呂の中で俺に寄ってきて、ギュッと腕を抱く蛮奇。俺の肩に頭を預け、彼女の右胸を俺の腕につけている。彼女曰く、当たっているのではなく、当てているらしい。
蛮奇「…ばか。どこ見てんの?」
漣「…っ。その…。」
…目に悪い。
蛮奇とて意識してはいないだろうが、何処となく前よりも成長している。なんというか、前より色っぽいというか…。バスタオルを巻いているから…だろうか。…疲れているな。
蛮奇「…もう。そういうことは子どもの見てないとこでしなよ。全く、変態さんなんだから…。」
漣「最近、疲れてたから効くなぁ。」
蛮奇「話を逸らさないの。それにアンタ、嘘つくの苦手なんだからやめときな?」
漣「うっ…。すみません…。」
…なんでも見透かされてるな…。ルナサとか霊夢とか…後は紫苑、蛮奇とかは勘が鋭いか、一緒にいる時間が長いため、結構、こういうことがある。反応も慣れてきたのか、中々俺が上に立てない。まぁ、それで良いが、正邪みたいなのも新鮮で好きなんだよなぁ…。天邪鬼なのに素直ってとこが。
蛮奇「…我慢してんのは私も一緒なんだからね?」
漣「…ん?」
蛮奇の顔が俺に近づいてくる。白い湯煙で周りからの目は閉ざされ、桃色の唇が俺の口に重なった。柔らかい。急に来て少しびっくりとはしたが、それでも風呂の暖かさとは違う、人肌の暖かさが伝わってきた。
蛮奇「ぷはっ…。私だって我慢してんだから。隠し事が容易にできると思わないこと。…バカでど変態な亭主を持つと大変だよ。」
漣「…バカでど変態で悪かったな…。」
蛮奇「…だから、貰ってやったことに感謝して欲しいね。この埋め合わせは夜にして頂戴。」
…ん?
漣「今…なんて…?」
蛮奇「…何度も言わせないでよ!!…馬鹿っ…。」
突然しおらしくなったと思ったら…なんだ、そういうことか。
漣「…わかったよ。素直じゃないな。ほんっと。」
蛮奇「るっさい!!…馬鹿…。」
ギュッと俺の腕を抱く蛮奇の頬に俺はそっとキスをして、蛮奇の分身体と遊んでいる響奇と共に湯屋を後にした。
響奇「ねー。父さん達、なに話してたのー?」
蛮奇「…アンタはまだ知らなくて良いことよ。」
漣「…そうだね。」
終わり方適当w
用事もいろいろ終わったのでこれからは早めに出せるかな?では次回。ではでは。