少し肌寒い風が吹いてくる。アイツと違って、俺は温度を感じる。だから、外には出たくないんだが…。
ルナサ「…なんで…なんで…!!」
リリカ「うわぁぁぁん!!」
奴と関わりを持ったものは泣き、悲しみ、喚き…。正に阿鼻叫喚だ。ただ黙ってその様子を見ているのは俺を含め、シャド、流弦、レミリアの四名。…気持ちは分からんでもない。
黙って墓前に手を合わせる。死んでいるのは確認した。俺が回収したから…。
凰牙「…漣。」
シャド「…アイツがそんな簡単にやられるわけないじゃない。どうせ、ここにあるこれもきっと何かの間違いよ…。」
流弦「…どのような英雄でも命は一つ。不死でも変わらない。何度倒れようと回復する力が強いだけ…命の数は変わらない。奴は役目を全うした。それだけだ。」
バッ!!
流弦の襟を妖夢が掴む。流弦はその妖夢を見下す…ということではないが、それでも体格差的にそういう様子にとれた。
妖夢「役目…?何を全うしたっていうんですか…!!役目なんて…どうでもいいんです…。私たちはッ!!ただ漣さんに帰ってきて…欲しかったッ!!なにがそれだけですかッ!!貴方には人の心が無いんですかッ!?」
涙を目に溜め、赤くなった目で流弦を睨む。流弦は目を閉じ、浴びせられる罵声をただ聞いていた。重々しいその口を開いた。
流弦「…いつも通り、そこに氷川漣が立っていた。それが蒸発したかのように消え去った。…いつしか来る別れを俺たちは戦うものという立場として、心に括って置かなければならない。」
和泉「…流弦様。」
流弦「…武の者として敬意を称そう。友として、別れを言おう。何処に居ようが、奴の魂は生き続ける。ただ、今は奔走するのみ。私情を持ち込めばそれは…弱点となる。」
…冷たい。ただ、今はそれが賢明だ。
魂魄妖夢の手を優しく剥がすと、仏頂面が特徴的な流弦は穏やかな笑みを浮かべ、こう言った。
流弦「…安心しろ。奴の強さは…俺たちがよく知っている。」
逢魔「…エリザベート。君は信頼していたのですが…見損なった…。まさか、1番の目的である氷川蓮の抹殺を君がしてしまうとは…。これほど腹立たしいことはない…ッ。」
逢魔が低い声で言う。その声は確かに広く薄暗いアジトで二人は座れるソファの上に逢魔とベル。横に控える形で目を閉じ、全てを見定めるかのような空蛇厳秋と真顔で暗闇の中を睨む檜扇春國。そして、逢魔が睨む先には片膝をついているエリザベートの姿があった。
エリザベート「…それはマァ…。幸か不幸かってことで。」
逢魔「…貴様。今の状況を分かって言っているのか。」
暗闇でもわかる。玄霧逢魔は青筋を立て、完全にキレていた。火に油を注ぐが如く、エリザベートはおちゃらけたような笑みを浮かべていた。
エリザベート「わかってるさ。わかってるから、笑ってんだよ。俺は殺されても可笑しくは無い。けど、アンタはしねェ。何故だが、わかるか?」
逢魔「…確信があるようで。今ここで廃人にしても構わないのですが?」
エリザベート「ハッハッハッ!!冗談を。しねェよ。特に…情報が欲しいアンタは。だから、俺みたいなお誂え向きの奴を手に入れたのさ。俺は居場所が欲しい。アンタは俺の能力が欲しい。正にWIN-WINの関係よ。」
見下し、睨む逢魔に対して、勝ち誇ったような笑みを浮かべるエリザベート。
逢魔「…君じゃなくてもメロンやレモンを殺すことだって可能だ。」
その言葉にエリザベートの雰囲気が変わる。先程までギザギザとした歯を見せ、笑っていた…のだが、今は違う。逢魔をまるで親の仇のように殺気を丸出しにして睨みつけていた。
エリザベート「…手前…。あの子らに手を出したら…黙っちゃおけねェ。」
逢魔「…何もかもが曖昧だ。君はあの子らの母であり、父でもある。全くもって難儀だ。」
エリザベート「…アイツらは俺にとっての全てだ。もしそんなことをしてみろ…。手前ら、全員、呑み込んでやる。」
逢魔「…できるものなら。」
エリザベートも逢魔も一歩も引かない状況。妙な緊張感が薄暗い部屋、赤い絨毯が敷かれた部屋を駆け巡る。もし、妖精や弱い妖怪がここに立ち入れば、息をする間も無く、卒倒するだろう。
エリザベート「…意地が悪いぜ。アンタなら事の顛末は知ってるだろうに…。」
逢魔「…当然。あの男の不可解さは僕がよく知っている。」
エリザベート「…で?次は俺は何をすればいい?」
話を早く進めたいのか、逢魔を急かすエリザベート。逢魔はガチャガチャと口を隠すガスマスクを外し、机の上に置かれた紅茶を啜る。
逢魔「…時期尚早。今はただ待つのみ。」
エリザベート「悪趣味だねェ。修行させて無駄な労力を使わせて、結局は叩き落とすって。」
逢魔「…oui。」
タイトルを短くしたことでタイトルに割く時間が無くなったので、中身に着手できますね。
では次回。ではでは。