激しい拳に防戦一方である。現状、凌ぐことしか不可能だ。妖怪相手に体力勝負を人間が仕掛けるのは一見、愚策に見えるかもしれないが、私にとっては都合がいい。今回は魔理沙も漣さんも近くにいないのだが、こちらも序の口である。まだまだ手はある。伊達に博麗の巫女はしていない。
ただそれは相手にとっても同じ。圧倒的な力の差の一方で、やや余裕を感じる。改めて、幻想郷での随一の恐ろしさを身に染みて感じる。なんとか、体力を削ぎ、一撃かまさなければ…。
ユウカ「邪魔くさいわ。去ね。」
霊夢「お断りよ。」
まだ死ねない。あの子たちもまだ小さいのに…死んでたまるか…。その意思に反して、ユウカは私に拳を打つ。だが、先ほどまでの鋭さは何処へやら。明らかに鈍くなっている。だが、その差も僅かだ。僅かに鈍くなっているだけ。それなりに時間は経っているというのに…。
霊力で強化された体にすら、その拳はかなりの衝撃である。
霊力は色を変え、灼熱の気となり、その拳を焼く。あの時の感覚に似ている。というか、ほぼ同じだ。
迦具土の炎…。
漣さんの時のような圧倒的な力は感じないが、それでも私を押し上げてくれる。誰が見ても力は増しているだろう。ユウカから放たれた拳を避け、腕を掴むと、腕はぐしゃりと紙の筒のように潰れた。
ユウカ「くっ…!!」
あの風見ユウカが人間相手に退いた。手を振り解き、距離を取った僅か一瞬の隙に人ならば明らかな重傷である腕は完治してしまった。『再生』というより『復元』である。
だが、妖怪とはいえ、体力は有限だ。そして、その有限なる体力の中、退けば退くほど体力も勿論のこと、消耗する。風見ユウカは間違いを犯したのだ。
これを好機と言わずに何と呼ぶ。私は極限まで高められた霊力を体に纏い、勇猛果敢に攻めていく。ユウカは表情こそ変わっていないが、煩わしく思っているのは確か。
私の左手の手刀が彼女の左腕を骨ごと粉砕する。そして、その激痛に悶える顔を私は右足で蹴る。しかし、ここまで弱っていても風見ユウカは風見幽香であった。
霊夢「キャー!!」
痛みに近い熱さと目を壊しかねない極光が私の体を包み込む。印の効果は感じられず、容赦ない一撃が私に直撃した。
幸い、火傷には至らなかったようだ。後が残ったら、次、漣さんとするときに恥ずかしいもの…。
極光に視界を遮られながらも、勘を頼りに蹴りを放つと当たった感触があり、極光が勢いを無くした。その瞬間、私は高らかに宣言した。
霊夢「夢想封印ッ!!」
逢魔「実に陳腐ですね。氷川漣。」
拳と拳がぶつかり合う。油断をすれば、己を立たせるために張った糸が千切れてしまう。俺は傷だらけの体を奮い立たせると、逢魔にインファイトを仕掛ける。
漣「お前には負けないッ!!そのプレジデントとやらもぶっ倒してやるッ!!」
逢魔「出来ぬ夢は語らない方が良いですよ?…プレジデントグラートは恐怖の権化。何者も彼を封じることは出来ないッ!!」
逢魔の拳が俺の腹へ入る。瞬間、口から血と空気の混じった何かが出た。だが、俺は奴に一矢報いる為、ふらつきそうな頭を奴の頭へとぶつけた。それは予想していなかったらしく、奴が急な衝撃にふらつく。
逢魔「ッ!?…き、貴様ァッ!!」
漣「ぐはッ…!!」
度重なる拳の攻撃に何度も何度も意識が消えそうになる。
筋繊維で膨張した奴の豪腕は俺の足を軽々掴み上げ、暴徒の如く、グルングルンと空中でぶん回し、前方へと勢いよくぶん投げられる。
石と木々を倒し、投げ出された俺は飛んでいく。こっちは依頼主が戦っている方向だ。俺は依頼主にぶち当たり、最悪の2人を合わせてしまった。
逢魔「おや、運が無いですね。巻き込まれてしまうとは。」
?「誰だ。テメェ。」
逢魔「名乗る筋合いはありませんッ!!」
逢魔が生きているかのように揺らめく剣を振り上げた。だが、それはどこから来たか、火球に遮られた。
一瞬、驚く逢魔。その火球の中心の人物は逢魔の腹を蹴り、勢いよく飛ばした。
漣「…先生。」
凰牙「御大層なこって。戦場で寝っ転がるとはな。」
気怠げに吐かれたそんな声が俺に刺さる。だが、先生は優しげな笑みを浮かべた。
嘴「…誰だ?」
凰牙「…喋ってる暇はねえだろ。ったく、可笑しな仮面つけやがって。」
喋ってる先生にノーモーションで嘴のハンマーが襲い掛かった。ブルンッと思いっきり振るわれたその槌は先生に当たることなく、例外なく架空で静止した。
凰牙「いきなりっつうのは、どうかと思うがな。…まぁ良い。俺も久々に楽しめそうだ。」
先生の右の突きが嘴に放たれる。
嘴は悠々とそれを避け、またあのハンマーを先生の死角から振るわれた。
それもまた静止し、先生は回し蹴りを嘴の腹へと放った。
嘴はまたそれを避ける。
凰牙「チッ…!!奇妙な奴だぜ。火爪〜伍ノ型〜『柳』」
炎がとてつもない勢いで点火し、先生の体は加速。嘴の体を左手で掴もうとする。が、嘴はそれをまたもや悠々と避け、次は大剣を振りかざした。その瞬間、一瞬にしてそこは爆風と黒煙に包まれた。
先生が弱い?
ノンノン。嘴さんが規格外なだけです。とはいえ、先生の戦闘ってあんまり…最近は多いけど、あんまりかけてなかったかなと思うんでね。色々技が出て、混乱するかもだけどよしなに。
では次回。ではでは〜!!