〜尭黒院『姉妹の間』〜
メロン「…始めましょう。我々の…勝負を。」
レモン「ふふふっ。」
シリンダーがガラガラと動きだす。姉、メロンがショットガン。妹、レモンが二丁の拳銃を持っている。メロンはその名の通り、発色の良い緑色で緑の軍服ドレスを着ている。レモンはそれの黄色バージョンだ。
二人とも空中に生成された透明な箱の上をぴょんぴょんと乗り継ぎながら、銃を撃つレモン。それを目眩しに使い、物陰から銃を撃つメロン。
博麗姉妹は、その攻撃に苦戦しつつも、避けながらいなしていた。
霊華「くっ…!!鬱陶しいわねッ!!」
雷夢「弾丸は全部私が消すッ!!お姉ちゃんは突っ込んでッ!!」
霊華「無理…すんなよッ!!」
霊力を帯びたパンチが弾丸と弾幕の間を縫って、前線のレモンへと当たる。
レモンは銃を飛んできた霊華の眉間に撃つ
レモン「チッ…。面倒だね、身体強化…。鋼みたいに体を硬化させる…か。弾丸が通らないわけだ。」
霊華「そんなやわな身体してないんで。」
レモン「あっそ。でも、私たちも普通の人間じゃあないんだよ。私たちは狂人どもの玩具さ。…どれだけ…どれだけッどれだけッどれだけッ…!!この体を弄くり回されたか…。」
…関節が軋んだ音が聞こえる。…レモンの右手が銃を飲み込み始めた。バリバリと鉱物の噛み砕かれる音が聞こえる。レモンの右手がまるで蛇のように形を変え、ハンドガンがだんだんと形を変え、ライフルのように形を変える。小さな身体に大きなライフル。…通称『半機械半人』。
レモン「…砕け散れ。」
バンッ…!!
逢魔「…ようこそ。」
霊夢「…。」
…錆びついた歯車が回る。そこは教会か、或いは寂れた城跡か。悪趣味な玉座に足を組みながら、座るガスマスクの男。鼻から顎にかけて、綺麗な顔には不相応なマスク。首元のふわふわとしたファー。…玄霧逢魔。
霊夢「…漸く、此処でお前を…。」
逢魔「博麗霊夢、魂魄妖夢…。もう直ぐ奴らも来るか。」
妖夢「…奴ら…って誰です…?」
逢魔「…待ち人。」
逢魔が玉座から降りる。霊夢と妖夢の前へ歩いていく。その距離は目と鼻の先、やろうと思えばいくらでもやれたが、体が動かなかった。霊夢と妖夢は葛藤していた。初めての感覚だった。
逢魔から溢れる強大なる邪気。怒りと殺意が程よく練り込まれた異形な妖力。玄霧逢魔から溢れる力は醜悪で下劣…だが、美しくもあった。
逢魔「…おや?肩が…足が…震えてますよ…?どうしましたか?幻想郷の巫女様…?」
…巨悪を目の前にしているとはこのことだ。
逢魔「…さぁ、始めようかッ!!」
霊夢「ッ!?」
至近距離から回し蹴りを喰らう霊夢。
避けられず、受け身も取れず、そのまま壁へと飛ばされる。
妖夢「霊夢ッ!!」
魂魄妖夢は走る。
間合いまで行き、抜刀する。
が、その刃は虚空だけを裂いた。
逢魔「…つまらない。何かを守るということは、此処までつまらないのか…。」
妖夢「…何を…。」
逢魔「君たちは素晴らしい。どちらも混ざり物ながら…いや、片方は違うか…。混ざり物ながら、天晴れだ。死よりも先に絶望させてあげよう。」
霊夢「霊符ッ!!『夢想封印』ッ!!」
霊夢の弾幕が逢魔を囲む。被弾する弾幕を逢魔は軽々と避ける。
逢魔「黄昏『生命の
逢魔を取り囲むように縦のレーザーが放たれる。色は白。何にも染まらない真白なレーザー。
妖夢「霊夢ッ!!」
霊夢「まだまだッ!!」
逢魔「…なぁ…。教えてくれよ…。お前達をつき動かすのは…何者だ…?」
妖夢の刀が逢魔を切ろうとする。
逢魔はそれを後ろに飛び、避ける。
それを予期していた霊夢に蹴り飛ばされる。
逢魔「…ッ!!」
霊夢「ハァッ!!」
そのまま霊夢の拳をもろに受ける逢魔。
逢魔はなす術なく、蹴られ、殴られ、打ちのめされる。
霊夢「妖夢ッ!!」
妖夢「幽鬼剣『妖童餓鬼の断食』ッ!!」
横一線の飛ぶ斬撃が逢魔に直撃する。
そのまま黒煙を撒き、逢魔は壁へと飛ばされる。
妖夢「…やりました…か。」
逢魔「…眉目秀麗な少女ですら、刀を持ち、拳を振るい…そして、死にゆく。力を持ったからだ。こんな汚い世界に用はない。…幻想郷など、無意味だ。」
霊夢「チッ…!!タフなやつね。アンタの妄言はもう沢山。幻想郷が無意味なんて、アンタが決めることじゃないわ!!」
逢魔「…はぁ…。悲劇のヒロインはやめろ。胸糞悪い…。死ね。」
霊夢の拳が逢魔に放たれる。
逢魔はそれを掴み、後ろへと飛ばす。
霊夢は受け身を取り、空中で静止。そのまま弾幕を放つ霊夢。
逢魔はそれを全て、飛んで避け、隣から来る妖夢の刀の上に乗る。
妖夢「くっ…!!離れてくださいッ!!」
逢魔「皮肉だな。これでお前は攻撃できない。」
霊夢「ハァァッ!!」
喋っている逢魔に霊夢の蹴りが入る。
そのまま逢魔は飛んでいくが、後ろに弾幕を放ち、相殺する。
妖夢が地面を蹴り、逢魔に向かって縦の一閃をかます。
妖夢「…!!」
逢魔「黄昏『
逢魔が刃を指で摘むと黒い稲妻が刀越しに妖夢に走る。
妖夢「ぐっ…何を…。」
逢魔「…チッ。無理か。普通の凡妖から筋肉組織が焼き切れている。」
妖夢「…それで熱いのか…。」
逢魔「…次はこうはいかない。」
逢魔が妖夢を蹴り飛ばす。
上手く体を動かせない妖夢は受け身すら取れない。
そんな妖夢を霊夢が受け止め、なんとか止まった。
霊夢「…大丈夫?」
妖夢「…はい。」
逢魔「…くくくっ…!!ハハハッ!!…ほんと、癪に触る奴らだ。…ここで終わりだ。死ね。」
…そんな二人を黒い極光が包み込む。
ただそこには逢魔の嘲笑だけが残っていた。