※この作品はR-18です。

半人半妖の恋愛奇譚   作:紳爾零士

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第221話『因縁』

シャド「チッ…!!タフすぎるでしょ…!!」

 

バハムート「…これが全力…?ちっとも面白くない冗談だ。」

 

広がる煙。其れを掻き分けるかのように中心に立つ男。バハムート。

 

シャド、魔理沙には信じられないことが起きていた。確実に至近距離で腹にぶっ放したオルトロススパーク。火力はマスパと同格…故に対象を破壊するには十分すぎる火力だった。…はずなのに、この男は何も無かったかのように無傷だった。

 

バハムート「俺は神獣だ。神に飼われた魔鯨。或いは神龍。或いは神その者。人の火力で死ぬ程、やわじゃない。」

 

シャド「…魔理沙、まだ行ける?」

 

魔理沙「それはこっちのセリフだ。お前、限界だろうが。」

 

シャド「…確かに。」

 

シャドの身体はボロボロだった。関節が軋む、動悸が激しい…。口の中に軽く血の味が走る…。視界がぼやける。次使えば、強力な力の代償として、眼病を患っても可笑しくない。

 

バハムート「そりゃそうだ。テメェのさっきのアレは、身体の限界を脳に誤解させる諸刃の剣。身体のデットヒートを抑え、最大限まで動く代わりに動いた後にドッと体に高熱が走る。…俺から言わせりゃ、命の前借り。」

 

シャド「…そうしなきゃ、アンタは殺さなきゃいけないんだ…!!」

 

バハムート「…何故そうまでして、貴様は俺に固執する。」

 

シャド「アンタが本気になってないからさッ!!」

 

シャドがフラフラの足でバハムートへ向かっていく。

 

バハムートはそのシャドを掴み、後ろへ投げる。

 

魔理沙「シャドッ!!」

 

バハムート「サンドラ、話をしよう。お前は何故、熱くなる?」

 

シャド「…はぁ…?」

 

バハムートの目はシャドをじっと見つめる。その眼の奥は闇。シャドの姿は映っていなかった。

 

シャド「…私は…アルカディアの血を…絶やす…!!あのクソ野郎の、血を!!私が殺したアイツの…。」

 

バハムート「…自殺がお好みか。だが、それは容易くはないな。貴様が死ぬことは何が望んでいる?そして、一つだけ、間違いを教えてやろう。イドラの血はまだ生きている。イドラ自身がだが…。」

 

シャド「…ッ…!!なんでッ!!アイツは私がッ!!」

 

バハムート「魔術はなんでも出来る。禁忌すらもな。死して生き返るなど造作もない。最高で最悪の魔法使いは、ある意味では禁忌を凌駕する狂人。」

 

バハムートはコツッ…コツッ…と倒れるシャドに近づく。シャドは立つことも叶わず、ただ茫然と奴を睨み返すことしてかできなかった。

 

バハムート「俺たちの因縁は呪いだ。歯車は錆で動かず、時計の針は動くことを忘れて、時を刻まず…。ある一点の狂人だけが、その頁をめくることができる。…俺たちだよ。サンドラ。」

 

シャド「…気持ち悪い。何が言いたいんだ。単細胞。」

 

バハムート「…俺の器になれ。サンドラ。」

 

シャド「…ハァ?」

 

…何を言っているんだとシャドは思った。男は平然とした顔でシャドに器…所謂、表裏一体になれと言っているのだ。

 

シャド「…そんなの嫌に決まってるでしょッ!!大体、器なんて神しか持てない…。」

 

バハムート「俺は人の間では神でもある。人が恐怖を抱き、神化すればそりゃ神だ。…そして、器は神の力を同格以上に扱える。更には俺たちの目的はイドラ・アルカディアの抹殺。類似してる。…このことに躊躇いも何もないだろう?」

 

シャド「…くぅ…ッ…。」

 

バハムートはため息を吐く。シャドはそれを見定める。悔しげに…だが、バハムートの提案はシャドにとってとても良いものだった。バハムートの力は一国を軽く流す程度の力を持っている。大陸を海に沈めることも容易い。…人が恐れる絶対的な力、それが水である。

 

シャド「…私はアンタを拒絶する。街も人も、アンタに殺された。」

 

バハムート「まだ小さかった貴様は嘸かし、憎悪を抱いたのだろう。トラウマ…という奴だ。」

 

シャド「…だけど、アンタを飼い慣らすことができるなら、それは良いことだ。アンタが味方につけば、これ以上に良いことはない。私の力がアンタを超えた時、完全に消去すれば良い。」

 

バハムート「…良い答えだ。サンドラ・アルカディア。」

 

…傍観しているのは霧雨魔理沙、一人。彼らの言葉は彼らにしか届いていない。魔理沙の頭はピークに達していた。其処にいるのは二人の化け物。人の姿をしているが人成らざるもの。

 

バハムート「…我、汝に如何なる時も同等とし、顕現の誓いを立てる。魔剣に救う神龍魔鯨『バハムート』の名において、サンドラに力を貸す。」

 

シャド「…。」

 

バハムート「俺は貴様の中で眠る。顕現すれば貴様の人格と俺が入れ替わり、俺の力を引き出せる。名目、共に表裏一体だ。」

 

…バハムートのニヤつきにシャドが身震いをする。バハムートは光の粒子になって消え、シャドの体に吸収されていった。

 

シャド「…。」

 

魔理沙「だ、大丈夫なのか?私には何が何だか…。」

 

シャド「…大丈夫だよ。」

 

そう言う彼女の顔は晴れやかだったと言う。

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